中国ほど金銭にまつわるトラブルの多い国もない。金融市場の未整備が最大の理由である。しかも、金利統制をしているから低金利である。庶民にとっては、少しでも預金金利の高いところへ目が向く。だが、前記の低金利で一律に縛られている。そこで、正規の金融機関でない非正規金融機関が雨後の竹の子のように出てきた。
この非正規金融機関が悪質で、時には当局の保護を受けているような宣伝をする。中には、地方政府の幹部と結託して資金集めをし、「ドロン」する悪者も登場する。百鬼夜行である。
今日の話題のP2P(ピア・ツー・ピア)とは、スマホでプラットフォーム(資金仲介会社)を介して資金の貸借を行なうもの。このプラットフォームが不正行為を行い、資金を持ち逃げするなどの事故が多発している。
『ブルームバーグ』(12月20日付)は、「中国、P2P融資市場閉鎖へ、デフォルト急増や詐欺続出で投資家から不満の声」と題する記事を掲載した。
中国は貸し手と借り手をインターネット上で結び付けるP2P融資市場の実験終了の準備を進めている。
(1)「中国のP2P融資市場は1760億ドル(約20兆円)規模を持つ。だが事情に詳しい複数の関係者によるとデフォルト(債務不履行)急増や詐欺、投資家からの不満の声を受け、当局は中小規模のP2P貸し出しプラットフォームを全国的に閉鎖に向かわせる計画。大規模プラットフォームに対しても融資残高を現水準から増やさないよう命じた上で、時間をかけて減らしていくよう勧告する可能性があるという。関係者は非公開の議論であることを理由に匿名で語った」
約20兆円もの巨額資金が、なんの保証もないP2P融資市場に放り出されているのだ。金融当局が、この事態を放任していたことに驚く。「計画経済」を旗印にしている中国が、P2Pだけを放置していたのは、その裏に賄賂が使われていただろう。
(2)「独立系のインターネット金融調査会社、零壱財経で調査責任者を務める於百程氏は『市民がこれ以上の損失を被ることがないよう、当局は特に小規模なP2Pプラットフォームの生き残りをいっそう難しくしつつある』と指摘した。上海の調査会社、盈燦集団によれば、国国内にある6200のP2Pプラットフォームのうち、8割以上がこれまでに閉鎖されたか深刻な問題を抱えている。資金の持ち逃げや投資の失敗などが要因だという」
笑い話だが、「中国人の6割は信用できない。日本人の4割は信用できない」という中国人の言葉を思い出した。日中双方に信用できない人間はいる。ただ、中国の比率が高いところに問題がある。金融業は、「性善説」で運営できないビジネスである。貸付金回収のために担保を徴するように、「性悪説」に立たざるをえないのだ。中国のP2Pは、性善説に立ったルールである。だから、性悪説を実行する人間の食い物にされたのだ。
メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介
まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。
https://www.mag2.com/p/money/596639
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