勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a0960_006624_m
       


    11日の米韓首脳会談で文大統領は、米国の厚いガードの前に本論にも入れずに追い返された形だ。韓国野党・自由韓国党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表が12日、米韓首脳会談について「浮雲のような首脳会談だった。(米国に)なぜ行ったのか分からないほど正体不明の会談だったと見るしかない」と批判した。朝鮮日報が伝えたものだが、韓国野党ならずも、誰でもそう思うはずだ。

     

    米国の本心は、文氏の訪米を歓迎しなかったのである。文氏が訪米前に北朝鮮の金正恩委員長と会談していれば、その情報を聞きたいからいま少し温かく迎えたかも知れない。そういう情報も持たず、南北交流事業を認めてくれと哀訴しても無駄であった。

     

    米国は、トランプ氏と文氏が二人だけになる時間をできるだけ少なくする「工夫」をしている。二人が直接話したのはたったの「2分」という。「1泊3日」という 強行スケジュールで、2分しか話せなかったのではしゃれにもならない。文氏は、トランプ氏から徹底的に嫌われたと言うほかない。

     

    なぜ、米韓同盟という固い絆で結ばれているはずの両国が、こういう形になったのか。それは、文氏が米韓は同盟国であるという証を示さなかった結果という指摘がある。要するに、「窮鳥懐に飛び込む」という仲間意識を持たなかったからだ。米朝の間に立つ「仲介者」意識が、米国の勘に触ったのだ。韓国大統領府に陣取る「86世代」が持っている、「親中朝・反日米」という基本路線が米国から嫌われたのだ。

     

    『朝鮮日報』(4月12日付け)は、「同盟なら同盟国の味方をすべ、なぜ間に立つ?」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のワシントン支局長・姜仁仙(カン・インソン)氏だ。

     

    (1)「ハノイ米朝首脳会談の余波を受け止めた後のワシントンは、北朝鮮の核問題に対して意外なことに落ち着いていた。単純に言えば、米国は『北朝鮮が非核化さえすれば、北朝鮮の明るい将来のため、やろうということはすべてやってやる用意がある』ということになる。『非核化が先』とクギを刺したため、トランプ大統領の対北朝鮮政策について、議会や専門家たちの批判・警戒もやや和らいだ」

     

    米国の対北朝鮮政策は、核放棄先行である。過去ことごとく北朝鮮に騙されてきた「学習効果」であろう。ところが、韓国は、北朝鮮の肩を持つような発言を続けてきた。極めつけは、大統領府の文特別補佐官が、随分と出しゃばる発言を連発し、米国を軽視して南北一体論を喧伝してきた。この文特別補佐官は、元々は学会人であり外交には全くの素人である。その彼が、あたかも韓国外交の舵取りを任されたような発言を続けてきた。また、米国の外交専門誌にも寄稿するなど、すっかり米国の警戒心を高めてしまったのだ。この文特別補佐官が米韓関係に溝をつくった張本人と言える。文大統領は、好き勝手にやらせて墓穴を掘ってしまった。大統領としての識見がなかったのだ。

     


    (2)「ところが、韓国政府が仲裁者(促進者)として米朝対話の火をおこす方策を考えているという話が太平洋を渡って伝わると、突然同盟の役割について話す人が増えた。一番よく耳にしたのが、『米国の同盟国である韓国は米国の味方になるべきだ。なぜしきりに米国と北朝鮮の間に立って仲裁者になると言うのか』という話だった。『韓国が対話再開のための新たな方法を考えて米国に譲歩するよう説得するよりも、米国の考えを北朝鮮が受け入れるよう説得してほしい。それが米国の考える同盟の役割だ』という話もあった。『韓国が“南・北・米”の三者をまとめようとするたび、不愉快になる』という人もいた。『南・北・米』と言うと『韓米』対『北朝鮮』という構図ではなく、『南北』対『米国』という構図であるかのようで、韓米が同盟国ではないように感じられるというのだ」

    前記の文特別補佐官の発言に、米韓は同盟国という意識が全くゼロであった。南北一体論が明確に打ち出されていた。米国は、この文氏の発言を大統領の真意と受け取ったのであろう。誰でも、側近の発言とあればそう受け取って当然だ。

     

    米国は、「南・北・米」を「韓米」対「北朝鮮」という構図でなく、「南北」対「米国」という構図であるかのように受け取った。その原因は、先の文特別補佐官発言である。これだけ、口の軽い人物を側近に据えたこと自体、文大統領の「眼力」のなさを証明している。文大統領は、内政も外交もすべて失敗である。

     

     


    a0960_006602_m
       

    日本の「オールド・マルキスト」は、中国の行為はすべて正しく、民衆の利益に奉仕する存在と思い込んでいる。この信念を根本から揺さぶったのが、尖閣諸島への大量の漁船殺到(2010年)であろう。明らかに、日本の警備を攪乱させる予行演習であった。これに近い行為が、フィリピンの実効支配する島嶼で行なわれている。領土に貪欲なこの「中華帝国」を、どのようにして改心させるか。

     

    『大紀元』(4月12日付け)は、「フィリピン軍、中国海上民兵を警戒、3か月で中国船600隻が島に接近」と題する記事を掲載した。

     

    2016年7月、オランダのハーグにある国際仲裁裁判所は、中国側が南シナ海のほとんどの領有権を主張する「九段線」は法的根拠がないとする司法判断を下した。日本を含むG7は、裁判結果を支持した。しかし、中国はその決定を受け入れることを拒否し、南シナ海の係争地域である島嶼で、継続的な埋め立て工事や軍事拠点化を進めている。

     

    「盗賊」が、法の命令に背き自らの軍事力をひけらかして相手を威嚇するという最悪の姿をさらしている。この軍隊が、世界覇権を狙うと豪語しているが、何とも滑稽に映るのだ。周辺国が、この中国の侵略体質を軽蔑していることに気付かずにいる。清朝帝国と同じ感覚であることが哀れに見えるのだ。

     


    (1)「フィリピン政府は4月、南シナ海の係争地となっている島付近を数百隻の中国漁船が航行したことは「違法」であり、領域から退出するよう求めた。同軍司令官は、漁船乗船員について『中国の海上民兵と見なしている』とし、ときおり中国の沿岸警備艇が巡視しているという。フィ
    リピンのサルバドール・パネロ大統領報道官は4月10日、同国が実効支配するスプラトリー(南沙)諸島のコタ島(ロアイタ、南鑰)とパナタ島(ランキアム、楊信沙洲)の周辺領域から退出するべきだと述べ、領土侵入は許さず、いかなる事業もさせないと述べた」

     

    フィリピンの出方を見る「侵略テスト版」である。日本にも、こういう中国を支持する人間がいる。どういう心理状態なのか。ぜひそれを、知りたいと思う。

     

    (2)「現地メディアINQUIRERによると、3月29日、コタ島周辺を、中国漁船15隻が囲うように旋回した。コタ島は、東京ドーム1.3倍程度の大きさで、1978年からフィリピン軍が実効支配位している。フィリピン外務省の発表では、今年13月の3カ月間で、275隻の中国船がパグアサ島周辺を航行した。同島周辺には、中国が軍事拠点化するスービ礁がある。フィリピン軍西部司令部情報補佐官エルピディオ・ファクター氏は3月29日、同3カ月間で657隻の中国船舶がパグアサ島周辺に接近し、旋回したという。同補佐官によれば、中国船の乗船員は『中国の海上民兵と見なされる。ときどき中国の沿岸警備艦が警備しており、中国領域であると主張する』と述べた。軍司令部によれば、2月10日は最大87隻の中国漁船がパグアサ島周辺を航行した」

     

    中国が、大量の漁船を動員しているのは、フィリピンの隙を見て侵略する意図である。中国国内の混乱を外に向けさせる、独裁者特有の行動を見せている。要警戒である。

     


    (3)「
    ドゥテルテ大統領は4日、パラワン島で行った演説で、フィリピンが主権を主張する島で支配を試みる中国勢を一掃すると述べた。『これは(敵への)警告ではない。友人への助言であり要求だ』『もし島に接触するなら、別の話だ。私は兵士に自爆を伴う任務に備えるよう命じるだろう』と発言した。米軍とフィリピン軍は41日から12日まで、共同軍事演習を行っている。米軍官製紙9日付によると、米海軍はワスプ級強襲揚陸艦、少なくともステルス戦闘機F35B10機、MV-22オスプレイが4機、MH-60Sシーホークヘリコプター2機が参加する。参加人員は公開されていない。両軍はフィリピンの最大の島・ルソン島およびパラワン島で、水陸両用訓練、実戦訓練、都市部訓練、空港作戦およびテロ対策訓練を実施する」

     

    ワシントン拠点のシンクタンク『プロジェクト2049』研究所は2018年4月、中国の海洋における軍事的活動についてまとめた報告で、中国共産党政権による台湾、尖閣諸島の侵攻は「海上民兵になる漁師が先陣となり、海警が護衛する」作戦になる可能性が高いとした。今回の中国による示唆行動は、演習目的であろう。

     

    米軍には、フィリピンを防衛する義務がある。米比相互防衛条約が結ばれているからだ。中国が侵略行為を行なえば、すぐにこれが発動される仕組みである。フィリピンは、米国がアジア防衛の拠点にしている場所だ。その意味では、日本、台湾と並んで中国に指一本触らせない軍事拠点である。


    a0960_006639_m
       


    中国政府は背に腹を変えられず、再び住宅販売に景気回復を委ねることになった。危険な道を選択したと言うほかない。住宅販売は、個人の住宅ローンを増やすので、中長期的には中国のGDPの頭を抑える逆効果になるからだ。この分りきった事実を知りながら、「景気の麻薬」に手を出している。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月12日付け)は、「中国の不動産市場回復、 日本とドイツに恩恵」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の不動産市場に活気が戻っているようだ。野村証券がまとめた不動産開発業者23社のデータによると、中国の大都市では3月の新築住宅販売件数が前年同月比26%増となった。公式統計で縮小が示されていた1月と2月のトレンドからは急反転となる。景気刺激策が効き始めているようだ。昨年末には不動産開発業者に対する社債発行規制が緩和され、地方自治体も一連の不動産関連政策を推進している」

     

    北京や上海など一線都市では、住宅価格抑制を図っているが、地方では住宅開発が唯一の産業という地域も少なくない。こういう地方政府は、住宅開発に積極的であり、本欄もその実態を取り上げてきた。この流れが現在、中国全土で起っているという。

     

    住宅依存経済は、現代の「アヘン」である。繰り返し、この麻薬に手を出した中国政府は、住宅価格抑制と言っても「禁断症状」に耐えられないのだ。こっそりとまた、住宅販売に依存せざるを得なくなっている。この「住宅アヘン」が、これから中国経済をどれだけ蝕むか、次のパラグラフが示唆している。

     



    (2)「米カンザスシティー地区連銀によると、中国の不動産と住宅建設の需要の10%減少は中国の経済成長率の2.2%低下につながる。その影響力は10年前と比べ2倍に拡大している。当時はまだ、中国人の貯蓄や投資に占める不動産の役割が今より小さかった。中国経済にとって住宅部門の重要度が増していくと同時に、世界にとっての中国経済の重要度も増していった。英調査会社オックスフォード・エコノミクスによると、中国の2018年と19年の経済成長率が2%ポイント低下すると、世界の経済成長率は2020年までに0.5%ポイント低下する」

     

    中国の不動産と住宅建設の需要の10%減少は中国の経済成長率の2.2%(ポイント)低下につながる。その影響力は10年前と比べ2倍に拡大している。これは、米カンザスシティー地区連銀の分析だ。この相関関係の高さには驚くほどである。中国経済は、完全な「住宅アヘン」に取り憑かれしまった。現在の中国では、投機用住宅として5000万戸が値上がりを待っている。その上に、さらに住宅を庶民に売らなければ、中国経済が保たないという「重症」である。

     

    中国が、さらに住宅販売に力を入れることは、当面のGDP成長率を押し上げる効果をもつ。世間一般では、「中国経済が回復過程で万歳」という受け止め方をしている。それは、麻薬の興奮状態と変らない危険な現象である。中国の家計は、すでに住宅ローンの重圧で消費を切り詰める状態に追い込まれている。この上、住宅販売が増えれば、中長期的に消費とGDPの伸び率を押し下げる負の効果に陥るだけである。アヘンの常用が、身体を蝕んで「廃人」にさせるのと同じである。

     


    家計の債務残高は、可処分所得比で見るべきだ。中国は、2017年で107.2%である。米国のサブプラムローン発生時の124%(2007年)に接近する勢いである。中国は、「住宅アヘン」に依存した経済運営を続けていくと、間もなく「魔の124%」へ接近する。中国では、住宅ローンに苦しむ人を「房奴」と呼ぶそうだ。この言葉が出現していること自体、警戒信号を発している証拠であろう。

     

    GDP比で見た家計債務残高が30%を超えると、債務増加がもたらす景気刺激効果よりも、逆にGDPや消費を押し下げるマイナス効果へと逆転する。これは、IMF(国際通貨基金)が123ヶ国(1983~2013年)の実証研究で得た結論である。中国のGDP比の家計債務残高は、49.3%(2018年3月時点)である。私が、中国経済危機論に立つのは当然であろう。

     

    もう一つ、IMFの研究で重要な点を指摘したい。GDP比の家計債務残高が5%ポイント増加すると、3年後の実質GDP成長率は1.25%ポイントの下落になる点だ。中国が、不動産バブルで潤っていた時代は、とうの昔に終わっている。これからは、その副作用が全身に表れる時期である。習近平氏に残された時間は少ない。


    111
       


    韓国にとって、過去にこれほど惨めな米韓首脳会談があっただろうか。トランプ氏と文氏の米韓の両大統領が、単独で話した時間は「たったの2分」(中央日報)という事態だ。共同の記者会見もなければ共同発表もない、淋しい米韓首脳会談であった。

     

    こういう結果になることは、最初から分っていた。米国からは事前に、「経済制裁解除の話をするのであれば、来ないでくれ」とまで言われてきた中での文氏訪米である。文大統領が、米国のポンペオ国務長官やボルトン補佐官との会談では、他の陪席者も出席するというガードの固さを見せつけたのだ。陪席メンバーは、次の通りだ。

     

    ハリー・ハリス駐韓米国大使、スティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表、マシュー・ポッティンジャー国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、アリソン・フッカーNSC朝鮮部長という、安全保障分野のブレーン4人である。文氏は、6人と一度に会見することになった。韓国大統領府は当初、文大統領はポンペオ長官とボルトン補佐官の2人と会い、非核化案を話し合う予定と発表していた。

     

    米国が、なぜ前記4人の安全保障分野ブレーンを出席させたのか。米国は、一枚岩で韓国の要請には応じられないという守りの姿勢を見せたことである。このあと、ペンス副大統領との会談でもこの4人が陪席したという。

     

    もともと、米韓首脳会談に夫人同伴ということ自体、「真剣味」の足りなさを感じさせた。これは、米国側の希望であったという。会談時間116分中、できるだけ肝心の話題(経済制裁緩和)に触れないようにする米国の「狙い」が浮き彫りになっている。米韓は同盟国である以上、北朝鮮に対して間違ったイメージを与えないように「親密演出」した面が強い。

     

    韓国側メディアは、今回の米韓首脳会談が成果なく終わったことについて、まとまった報道がされていない。日本の報道を引用するほかない。

     



    『日本経済新聞 電子版』(4月12日付け)は、「トランプ氏、南北経済協力『今は不適切』米韓首脳会談」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11日、ホワイトハウスで会談した。トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との3回目の首脳会談に向けた意欲を示したが、完全な非核化まで制裁を維持する立場を改めて表明した。韓国が期待する南北経済協力の推進には「今は適切ではない」と述べ、容認しない考えを示した。

     

    (1)「文氏は冒頭、物別れに終わった2月末のハノイでの米朝首脳会談を「より大きな合意に至る大きなプロセスの一部だ」と評価した。「3回目の米朝首脳会談に向け、米朝間の対話の機運を維持し、前向きな展望を示すのが大事だ」と力説した。トランプ氏は「私たちはさらなる対話をするつもりだし、それを楽しみにしている」と同調した」

     

    (2)「トランプ氏は3回目の米朝首脳会談について「あるかもしれない。急いで開くのではない。順を追って進める」と指摘した。その理由を「もし急げば正しい合意が得られなくなる」と述べ、慎重に事を運ぶべきだと説明した。米朝に韓国を交えた3首脳の会談も「あり得るが、金正恩氏次第だ」との見方を示した」

     

    (3)「トランプ氏は米朝交渉について「小さな合意も色々ありうるかもしれないが、現時点で米国が話しているのは(北朝鮮に対する制裁の全面解除の見返りに全面的な非核化をめざす)『ビッグディール』だ」と主張し、包括的な合意を追求する方針を示した。文氏は「北朝鮮の完全非核化という目標で一致している。達成まで私たちに違いはない」と応じ、米韓が同一歩調だと強調した」

     

    (4)「対北朝鮮制裁についてトランプ氏は、「大幅に強化する選択肢もあるが、今が適切なレベルだ」と述べ、追加制裁には慎重な姿勢を示した。韓国大統領府によると、文氏は近く南北首脳会談を開きたい意向を示した。米韓首脳は、両国の貿易不均衡問題やトランプ氏の訪韓などについても議論した」

     

    文氏は結局、今回の訪米で何の成果も得られず、「失敗」という烙印を押されるだけに終わった。文氏の外交感覚の鈍さが目立つだけで、大統領失格とさえ言える。事前に、米国が経済制裁の緩和をしないと繰り返し強調してきた。それにも関わらず、トランプ氏に制裁緩和要請をしたが、北朝鮮向けのアピールとも見える。「これだけ努力したがダメだった」という言い訳の材料に使うための訪米でとしか思えないのだ。

     


    a0960_006618_m
       

    韓国による福島など8県産の水産物の輸入禁止は不当として日本が提訴している問題で、世界貿易機関(WTO)は11日、韓国の措置を妥当とする最終判決を下した。一審では日本の主張を認め、韓国に是正を求めていたが、日本の逆転敗訴となった。しかし、日本は泣き寝入りせず、日韓漁業協定に応じなければいいだけ。困るのは韓国である。

     

    WTOは、一審で日本の主張を認めたものの韓国が不服として上訴していた。韓国は、新たな証拠も提出できず事実上、敗訴を覚悟していた。韓国は、最終審で日本の主張が認められたとしても、輸入再開まで15ヶ月の猶予期間があるのでその間に対策を取る、とまで発言していた。それが一転、韓国勝訴とは理解に苦しむ。韓国は、棚からぼた餅である。

     


    『日本経済新聞 電子版』(4月12日付け)は、「韓国の水産物の輸入規制、日本が逆転敗訴、WTO最終審」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「最終審にあたるWTOの上級委員会は、韓国の輸入禁止措置を不当とした一審の紛争処理小委員会(パネル)の判断を破棄した。消費者保護のためとして韓国が取った措置は『必要以上に貿易制限的で、不当な差別』とした第一審の解釈は誤っているとの見解を示した。WTOの紛争処理は二審制のため『最終審』の判断となり、韓国の禁輸措置が続く」

     

    韓国では、福島水産物輸入禁止関連のWTO最終審に関連して「敗訴したとしても最長15カ月間の履行期間がある」とし「その期間を最大限に活用して国民の安全と健康を最優先して対策方案を用意する」としてきた。敗訴を覚悟していた韓国も驚きの「勝訴」である。

    (2)「韓国は2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所の事故後、放射性物質の漏出を理由に福島や岩手など8県産の水産物の輸入を禁止した。さらに水産物以外の日本産食品の検査を強化するなど段階的に規制を広げた。日本は科学的根拠がないとして撤回を求めたが、韓国が拒否したため、15年にWTOに提訴していた。第一審にあたるパネルは18年2月、輸入禁止は不当な差別として韓国に是正を勧告した。韓国はこの判決を不服として上訴していた。今回の最終判決はパネルの判決を覆した形だ」

     

    原発事故後、韓国以外でも多くの国が日本産食品の輸入を規制した。農林水産省によると、一時は最大54カ国・地域にのぼり、今年3月時点でもアジアを中心に23カ国・地域が規制を続けている。特に中国は東京や千葉、福島などのすべての食品の輸入を停止するなど、厳しい措置を取っている。日本人が、東北産の食品を無害として食卓に載せているのに、輸入制限しているのは「口実」に過ぎない。

     


    こういう不当な扱いをする国に対しては、何らかの対抗措置を取って反省を求めるほかない。当面は韓国である。恰好の対抗手段は、日韓業協定を結ばないことである。

     

    日韓両国は日韓漁業協定により毎年、相手国の排他的経済水域(EEZ)に入って操業をしてきた。だが、2015年漁期終了後は交渉が難航し、それ以降は互いに相手EEZで操業できずにいる。日本には反対する理由があるのだ。

     

    日本のEEZで、韓国漁船による違法操業があとを絶たないことである。日本の水産庁の取り締まりで押収された韓国の違法漁具は、刺し網、かごなど多数に上がっている。それ以外にも海底清掃による回収で、刺し網やかごを回収している。これら日本の取り締まりに対し、韓国漁船は、レーダーマストを高い位置に取り付けて遠方から取締船を発見できるようにしたり、逃亡を容易にするための高速化を図るほか、固定式漁具の位置を示すブイをつけずに漁を行なうこともあるという。

     

    以上のように悪質な韓国漁船を日本のEEZから排除して、漁業資源を保護しなければならない。マナーを守らない韓国漁船には、日本のEEZでの操業を認めないことが最大の防御である。


    このページのトップヘ