勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a0960_008779_m
       

    米トランプ大統領は、来秋の大統領選に向けて経済環境が良好という見通しの下、有利な風が吹きそうだという。ゴールドマン・サックスがレポートにまとめた。

     

    『ブルームバーグ』(5月2日付け)は、「再選へトランプ氏追い風、GS経済予測」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米金融大手ゴールドマン・サックスは4月中旬にまとめたリポートで、2020年米大統領選について、米経済見通しを考慮すればトランプ大統領が他の候補より若干優位に立っているとの分析結果を明らかにした。この中で、トランプ大統領については不支持率で一部相殺されるものの、現職大統領は一般投票で5~6ポイント有利であることに加え、ゴールドマンの経済予測もトランプ氏に有利に働いていると分析した」

     

    トランプ氏の支持率は就任以来、ほとんど変化がない。これは、歴代大統領の中で例外的な存在である。熱狂的な支持者に囲まれているが、反対派も多いという構図である。ロシア疑惑に関する特別捜査官の報告書が発表されて、トランプ氏は「無罪放免」かどうか、有権者の判断を待つしかない。

     

    ただ、大統領選に不可欠な経済環境は、トランプ氏に有利に働くという予測結果が出てきた。失業率も低下しているし、その点では「順風」が吹き続けそうである。

     


    (2)「リポートは、『1期目の大統領の優位性や、大統領選前の比較的力強い経済状況を考慮すれば、トランプ大統領が勝利して2期目を務める公算の方が民主党候補に負けるよりも大きいことを示唆する』とした。ゴールドマンは現在、米成長率が今年2.5%、来年2.3%と予想。米失業率を今年の3.7%から来年3.3%に低下させるのに十分な経済成長とみている」

     

    GDP成長率が、今年は2.5%で来年も2.3%を維持し、失業率が来年3.3%まで低下すれば、「超超完全雇用」となる。問題は、物価に火がつくかどうかである。

     

    3月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、次のように指摘している。

     

    「労働市場は力強く推移し、経済活動は堅調なペースで拡大したことを示している。雇用の伸びは概してここ数カ月堅調で、失業率は低いままだった。家計支出と企業の設備投資の伸びは第1・四半期に鈍化した。前年同月比で見ると、全体のインフレ率と食品やエネルギー以外のインフレ率は低下し、2%を下回っている。総じて、将来のインフレを示す市場ベースの指標はここ数カ月で低くとどまっており、調査に基づいた長期的なインフレ期待の指標はあまり変わっていない」(『ロイター』5月1日付け)

     

    FOMCでは、米国経済について「晴天予測」である。米中貿易戦争が終結となれば、トランプ再選への確実性は、それだけ高まるのか。

     


    a0960_008417_m
       


    日本の新元号を捉えて、韓国国会の外交委員長が日本への特使派遣を文大統領に提案した。安保と経済の協力を要請しようという狙いだ。

     

    韓国が、日韓関係打開に動き出そうというと裏には、通貨危機接近への恐怖感がある。1~3月期のマイナス成長とウォン相場の急落。2009年2月の通貨危機と似通った状況になってきたのだ。当時は、米国、中国、日本が通貨スワップ協定を結んで最悪事態を抜け出したが、今は日米との通貨スワップ協定は存在しない。

     

    日韓関係は、09年ころも悪化していた。それでも日本にはまだ、親韓派議員が存在した。現在はゼロであり、韓国は完全に孤立した状態だ。あれだけ反日をやってきた韓国に味方しようなどという国会議員はいなくなった。自業自得である。

     

    『聯合ニュース』(5月1日付け)は、「文大統領に日本への特使派遣提案、 韓国国会外交委員長」と題する記事を掲載した。

     

    韓国国会の外交統一委員会の尹相現(ユン・サンヒョン)委員長(最大野党「自由韓国党」所属)は、1日に報道資料を出した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、日本との対立解消のため早急に日本に特使団を派遣するよう提案したもの。 

    (1)「尹氏は、『特使団を通じ、日本政府側と韓日関係の新しい発展と関連した具体的な協力の青写真について協議しなければならない』との考えを明らかにした。また6月に大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議が『良い機会』になるとして、『大阪で韓日の首脳が会談し、これまでの政治的なあつれきを解消し、全面的協力の時代を開く転換点にしなければならない』と指摘した」

     

    文国会議長は、日米中ロの4ヶ国へ特使派遣を検討していると報じられたが、文議長の入院・手術で宙に浮いている。外交統一委員会の尹相現・委員長は、日本だけの特使派遣案であり、日韓関係の悪化打開を図ろうというものだ。

     


    (2)「その上で、『きょうから始まる令和時代は日本の大きい転換期だが、韓日関係でも過去を越えて新しい未来を開く転機にできる』とし、『指導者が決断してこそ長期にわたるあつれきを解消し、韓日の安保協力や経済協力などの新しい転機をつくることができる』と付け加えた」 

     

    日韓関係悪化の原因をつくったのは、すべて韓国側である。自ら解決案を出さなければ外交成果は上げられない。ただの「挨拶」程度の話で、お茶を濁されたのでは時間の無駄である。韓国政府は、その解決案を出せるのか。これまでの「反日」ぶりから見て期待薄であろう。

     

    韓国は、迫り来る3回目の通貨危機に怯え始めて、ようやく出てきた日本への特使派遣案である。その舞台裏が透けて見える。日本を利用しようという魂胆だ。日韓通貨スワップ協定の交渉は、日本が途中で打ち切ったままである。


    a0960_008407_m
       


    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    文政権が成長阻害要因

    今年のGDP2%割れ

    09年通貨危機再来も

    日韓には通貨協定なし

     

    韓国の1~3月期のGDPは、前期比マイナス0.3%という結果となりました。最低限でも0.3%の増加が見込めるのでないか。そういう当初の期待が消えました。詳細な検討は後で行ないますが、これまで輸出で支えてきた韓国経済が、半導体市況の急落によって打撃を受け、内需不振をカバーできなかったのです。

     

    文政権が成長阻害要因

    韓国の経済成長率は、2010年代に入ってから世界平均を下回るようになりました。その格差は当初、0.3ポイント前後と大きくなかったのですが、世界経済が本格回復傾向に入った2017年は0.6ポイントまで広がりました。実はこの年に、文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足しました。「反企業」という市場経済国にそぐわぬ旗を掲げた文政権が、企業の警戒心を呼び起こして、設備投資を慎重姿勢にさせたのです。

     

    文政権の「反企業」政策では、大企業の法人税を引き上げました。理由は、大企業が独占的な利益を貪っているという先入観でした。世界の大勢は、法人税率を引下げて設備投資を刺激し、それが雇用を増やし経済を好循環に乗せる、という構図です。文政権はこの流れを断ち切ったのです。

     

    これに代わって登場したのが、所得主導成長論でした。最低賃金の大幅引上げによって、個人消費を増やして経済を成長軌道に乗せるというもの。この政策が、完全に失敗しました。生産性上昇という前提を忘れて、賃金だけを引き上げれば賃金コスト増になります。生産性上昇は、この賃金引き上げ分を吸収する上で不可欠です。その大事な前提が存在しない以上、韓国経済は崖っ縁から墜落しました。

     

    困ったことに、文政権にはその認識がありません。2018~19年の2年間で最低賃金は約30%も上昇しました。生産性上昇分の6~7倍もの最賃引上です。これを吸収できる企業は、大企業以外にありません。韓国経済が、この1~3月期にマイナス成長へ陥ったのは当然です。何ら、不思議なことではないのです。

     

    文在寅大統領は4月30日、就任後初めて韓国国内のサムスン電子事業所を訪れました。これまで、サムスンの経営幹部に国内で会おうともしなかったのです。ところが、韓国経済のマイナス成長に驚き、サムスンの事業所を訪れ「拍手を送る」「新たな希望をもたらす」などと異例の賛辞を送ったそうです。文大統領は、就任当初に「所得主導成長」「公正経済」を掲げ、大企業と距離を置きました。だが、背に腹はかえられないとばかり、「敵へ塩を送る」仕儀となったのです。

     

    文政権の行なった経済失政は、次の3点に要約できるでしょう。

    1)大企業の法人税率引き上げ設備投資削減

    2)最低賃金の大幅引上げ2年間で約3割引き上げにより雇用破壊と消費押し下げ

    3) 場当たり的な雇用対策財政赤字の拡大と3回の補正予算編成

     



    文政権は、最低賃金の大幅引上げがもたらした雇用破壊をカムフラージュするべく、財政出動によって一時的にアルバイト増やしました。大学の教室では電灯を消すアルバイトを採用する、笑うに笑えない話まで流布しました。雇用促進は、民間企業の活発な生産活動によって実現するという認識がないのです。

     

    文政権の支持基盤は、労組と市民団体です。ともに諸要求を出すことに長けていますが、モノをつくるという創意工夫に乏しい団体です。こういう組織に支えられている文政権です。民間経済活動への認識が、希薄という決定的な欠陥を抱えた政権と言えます。

     

    今年のGDP2%割れ

    今年の1~3月期の前期比GDP成長率が、マイナス0.3%になったことは、今年の予想GDP成長率を引き下げる要因となりました。GDPの計算では、1~3月期の成長率を「発射台」と呼び、これが高いほどその年の成長率を押上げる特性があります。このことから、韓国政府が目標とする今年の成長率2.6%達成は不可能となりました。韓国銀行(中央銀行)は、2.5%に引下げましたが、その程度の下方修正で済むはずがありません。

    (つづく)


    a0960_008567_m
       

    米中両国政府は1日、北京で開いた閣僚級の貿易協議を終えた。お互いの製品にかける追加関税を合意後にどうするかなどを巡って意見を交わした。8日からはワシントンに舞台を移して協議を続ける。マルバニー米大統領首席補佐官代行は、協議は今後2週間で結論が出るとの見通しを示した。

     

    『ロイター』(5月2日付け)は、「米中、通商問題で生産的協議 来週ワシントンで継続」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「通商協議のために中国を訪問しているムニューシン米財務長官は1日、北京で行われた協議は「生産的」だったとし、来週ワシントンで協議を継続すると述べた。ムニューシン長官はこの日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とともに中国の劉鶴副首相と協議。劉副首相は来週ワシントンを訪問する。ムニューシン長官はツイッターに『ライトハイザー代表とともに劉副首相と生産的な話し合いを行った。来週、ワシントンで協議を継続する』と投稿した。ただ詳細については明らかにしなかった」

     

    マルバニー米大統領首席補佐官代行は、協議は今後2週間で結論が出るとの見通しを示している。最大25%の追加関税の扱いが焦点だったが、合意後すぐに全廃を求める中国と一部を残したい米国との溝は残ったとみられる。この最後の調整が残されている。中国は名うての「協定破りの国」である。「上に政策あれば、下に対策あり」で必ず脱法行為を始める。そういう意味では、天性の抜け穴探しの名手である。

     


    WTO(世界貿易機関)加盟の際も、専門家に抜け穴探しをさせてまんまと成功したのが中国である。中国にとって、協定は破るためにあるのだ。こういう国を相手にする協定は、ペナルティを残しておかない限り、100%実行が担保されないのだ。

     

    (2)「米中両国は知的財産権保護などを含む問題で進展は見られているとの見解を示しているが、米当局者は合意事項の施行メカニズムや関税措置の撤廃の時期などで交渉は難航していると指摘。中国側も施行メカニズムを重要視するとし、中国にのみ施行が義務付られることがあってはならないとの立場を示している

     

    中国は、厄介なことに「メンツの国」である。自分は不正を働く意思でいるにもかかわらず、最初からそれを義務づけられては困るというのだろう。では、協定を破ったらどうするか。米国が一方的に協定を破棄する旨を一項目、入れておくことだ。ペナルティという項目を入れるから中国が難色を示すならば、「破棄する」という項目を入れておくだけで十分だ。米国は、破棄して25%の関税を復活させれば良い。中国に協定を守らせるには、これしか方法がないであろう。

     

     


    a0960_008405_m
       

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、間もなく就任2年を迎える。この間の経済と外交の政策において成果を上げただろうか。答えは「ノー」である。いずれも失敗した。理由は、妄念から抜け出せないところにある。文氏は、社会派弁護士出身である。弁護士という職業は、もっと柔軟であり森羅万象の社会的な事象に対して、いかに法理論を当てはめるかが腕の見せ所であろう。

     

    文氏の言動を見ていると、とても腕利きの弁護士には見えない。融通の利かない点では、壊れた蓄音機みたいで、同じところでガーガー音を奏でているだけに見えるのだ。これは、一切の妥協を排する、自己過信に陥っている結果によるだろう。

     

    外交政策では、北朝鮮の核放棄をめぐって一方的に金正恩氏に肩入れしており、米国との関係を悪化させている。それが、韓国の国益にどう響くかという計算ができないのだ。日韓外交もしかりだ。学生時代の「反日」から一歩も出ていない。日本と徹底的に争うことが、韓国に何をもたらすか。それが分らないのだ。戦前の東条英機が、米国と開戦していかなる帰結をもたらすか。分っていなかったのと同じだろう。

     

    経済政策では、最低賃金の大幅引上げをやってのけて、この始末である。1~3月期はマイナス成長に陥った。それでも意気軒昂である。韓国経済の基盤は強いと、でまかせを平気で言っている。自分の頭で考えず、部下が言うことを鵜呑みにしているに違いない。

     

    以上の点を見ると、日本の安倍首相とは次元が違うようだ。安倍首相は、米国との同盟を強化して、それを足がかりに中国とも渡りを付けている。経済は超完全雇用だ。若者が自民党の支持者という、従来の支持層をすっかり変えてしまった。その点で、文氏は若者の支持を失っている。失業者を増やす大統領が、支持されるはずがないからだ。

     


    『朝鮮日報』(4月28日付け)は、「
    文-安倍に韓日関係の改善は望めない」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の金大中顧問である。

     

    (1)「文在寅政権が対北朝鮮、対米外交に没頭する間、韓国は国益をめぐる重大な損失を一つ忘れている。それは対日関係だ。文政権で韓日関係は過去最悪の状況に陥っている。文大統領は機会があるたびに『親日』を積弊(積み重なった弊害)と決め付けて攻撃し、反日へと国民感情をあおっている。強制徴用問題に司法が加勢し、全国民主労働組合総連盟(民主労総)が銅像問題で公権力を屈服させるなど韓国では時ならぬ反日ムードが盛り上がっている」

     

    文氏の頭には北朝鮮しかない。南北が手を結ぶには、日本の協力を前提にすることが分らないから「反日」をやっている。文氏は、南北統一を視野に入れたとき、膨大な資金がいることを忘れている。どこの国が、その資金の一部を出すのか。日本だろう。そういう肝心のことが分からない人なのだ。

     

    (2)「何のためだろうか。まず大韓民国の建国勢力である李承晩(イ・スンマン)など右派政権の正統性を消し去り、文在寅政権に大韓民国臨時政府を継承する嫡子(ちゃくし)の地位に据えるための歴史の歪曲(わいきょく)が目的だ。そのためには過去の右派政権を親日、反統一分断勢力として売り渡す必要がある。文大統領が『パルゲンイ(共産主義者)』という言葉と『親日』という単語を同時に使う理由はそこにある。反日は歴史を消し去るための道具だ」

     

    文氏は、目先の選挙に勝つことしか念頭にない。それには、反日を煽れという短絡した発想である。

     

    (3)「扇動政治に長けた政治家はしばしば何かに反対することで国民的結束を狙う。誰かと親しかったり、何かを肯定したりするよりは、誰かを敵視し、何かに反対した方がはるかに刺激的であり、人を引き寄せる力があるためだ。あらゆるデモのスローガンが何かに、あるいは誰かに反対する「反」の文字で始まる理由はそこにある。韓日問題がこれほどまでに停滞する間、日本は北東アジアで大きく躍進した。日本はトランプ政権発足以降、米中関係が通商問題で足踏み状態となり、韓米関係が北朝鮮問題でぎくしゃくする間、そのすき間を縫って北東アジアの実力者に浮上している。文大統領が北朝鮮の『スポークスマン』と呼ばれる間、安倍首相は米国の『代行者』を務めた格好だ」

     

    文氏は、北朝鮮のスポークスマン。安倍首相は米国の代行者だという。正恩氏に適当に利用されていることが分からないようだ。嬉々としてスポークスマン役をやっている。一方で日本を敵視する。文氏の頭の構造はどうなっているのか。

     

    (4)「先週ワシントンでは米日の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれ、両国の密接な協調が如実に見て取れた。両国は北朝鮮をめぐり、FFVD(最終的かつ完全に検証された非核化)と対北朝鮮制裁の全面的履行を促すなど過去のいつよりもまして親密さと結束を強調した。トランプ大統領は日本を『インド太平洋戦略』の最も重要なパートナーと位置づけ、中国をけん制する防波堤として利用している。日本にF35ステルス戦闘機の気密を提供することを決めたとの報道もあった。安倍首相はわずか数カ月の間にトランプ大統領と3回も会い、個人的な関係を深めている」

     

    韓国は、文大統領でどれだけ損をしているか。学生の好む左翼理論から抜け出せずにウロウロしているのは、政治家としての資質がない結果だ。文氏が、もっと向く職業は学校の先生だ。模範的な教師になったと思う。


    このページのトップヘ