韓国の文政権は、巧妙に支持基盤の利益を擁護している。最低賃金の大幅引上げは、労働団体向けの利益還元である。脱原子力政策は、市民団体の再生エネルギー運動を支援する目的である。
最低賃金の大幅引上げは、所得主導成長論というオブラートに包んで行なわれ、韓国経済に瀕死の重傷を負わせている。一見、底辺で働く人々の賃金を引き上げれば、購買力が増強されて経済が好循環を描くと考えられる。その通りだが、そのためには、生産性向上をともなわなければ、絵に描いた餅になる。現実は、その危惧通りになって、「雇用破壊」をもたらしている。
再生エネルギーは、原子力発電に比べれば無害という点で理想的である。だが、太陽光発電には、100倍という膨大な場所を必要とする。韓国の狭い国土では不向きなのだ。脱原発は、福島の原発事故から始まったが、この事故の後遺症は、事実と異なり過剰に宣伝されている。韓国政府が、福島産海産物の輸入禁止措置を取っている背景に、原発被害の過剰宣伝が大きな影を落としている。詐欺的側面すら持っているのだ。ソウル大学原子力研究陣が、この噓の混じった宣伝を否定して歩くほど、酷い内容である。
韓国の市民団体は、こうした事実に反することを理由にして、強引に太陽光発電を進めさせている。この事業に参加しているのが、市民団体である。
『朝鮮日報』(4月25日付け)は、「中国メーカーに流れる韓国の太陽光発電補助金」と題する社説を掲載した。
韓国政府は脱原発を推進するとして、再生可能エネルギーへの投資を大幅に増やしている。昨年1年間に韓国政府が太陽光発電など再生可能エネルギー事業に給付した補助金は2兆6000億ウォン(約2500億円)だった。ところが、韓国の太陽光発電事業に中国メーカーが主導的に参入し、補助金が中国メーカーに流れている。
(1)「韓国における太陽光・風力発電の割合は、2017年時点で1.6%だった。韓国政府は太陽光と風力が主軸となる再生可能エネルギー発電の割合を2030年までに20%、40年までに30~35%に高めようとしている。そうなれば、20~30年代には太陽光・風力発電分野に投入される補助金は10兆ウォンを超える可能性がある。中国企業が韓国で補助金をがっぽりもらい、韓国企業が市場から締め出される事態も予想される。過去にはドイツでも同様の事態が起きた」
文氏が、大統領に就任する以前の韓国における再生エネルギーは、わずか1.7%に過ぎなかった。今後、強引にその比率を上げようとしている。そのためには、膨大な自然破壊によって太陽光パネルを設置する場所が必要になっている。再生エネルギーという言葉はきれいだが、これを実現するには多くの森林伐採が必要とされている。
(2)「韓国のように国土が狭い国で原発を捨て、発電コストが割高な再生可能エネルギーの使用を拡大するという発想には最初から無理があった。ソウル市民が昨年消費した家庭用電力1万4000ギガワット時を確保するためには、原発ならば出力2ギガワット規模の設備を整えればよい。しかし、太陽光発電は1日に3-4時間しか稼働できないため、10ギガワット以上の設備が必要となる。同じ出力の原発を太陽光発電に転換するには20倍を超える敷地が必要だ。稼働効率も考慮すると、原発に比べ100倍を超える土地が欠かせない。それだけ山林を伐採しなければなくなる」
太陽光発電には、原発に比べてざっと100倍を上回る土地が必要である。この事実を知らずに、簡単に脱原発と言えない厳しい現実がある。韓国の市民団体は、そういう面での配慮はゼロだ。
(3)「カザフスタンを訪問した文在寅(ムン・ジェイン)大統領に現地の実力者が、韓国のアラブ首長国連邦(UAE)での原発事業を挙げ、『カザフスタンも原発を建設したい』と持ちかけ、文大統領も『韓国も参入機会があれば参入する』と答えたとされる。文大統領は昨年11月、チェコでも韓国の原発をセールスした。それほど韓国の原発をうらやむ諸外国は、韓国政府が太陽光・風力発電にこだわり、脱原発を進めようとしている点を理解できるだろうか」
韓国は、海外に原発を売り込み、国内では脱原発という矛楯を冒している。過去の原発事故の原因を徹底的に究明し、再発させないシステムをつくり上げることだ。科学には、事故を乗り越える知見の積み重ねによって現代を築いてきた歴史がある。日本では、2050年に究極の無害発電である水素発電が、完全普及時代を迎える計画だ。





