勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国、「現代自動車」営業利益率3%台に落込んで「ゾンビ目前」

    韓国自動車産業が危機に立っている。トップ企業の現代自動車は、今年1~6月期の売上高営業利益率は、3%台に落込んだ。自動車メーカーは、売上高利益率が5%台を割り込むと研究開発費もままならなくなって「立ち枯れ」状態になる。まさに。「ゾンビ化」目前という事態に追込まれたのだ。

     

    現代自動車がこの状態では、下請け企業の経営状態は惨憺たるものだ。売上高営業利益率は、1~2%スレスレにまで落込んでいる。この原因が、人件費アップにある。「貴族労組」による強烈な賃金引き上げは、自動車関連メーカーの経営全体を圧迫している。下請け企業はこれに加えて、大幅な最低賃金引き上げで首を締められている。何とも不思議な構図が出来上がったものだ。

     

    『朝鮮日報』(7月28日付)は、「韓国自動車業界に激震、下請け会社の倒産相次ぐ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)韓国の自動車生産台数は2011年の465万台をピークに減少に転じた。15年は455万台を維持したが、16年には422万台、昨年は411万台にまで減少した。現代自の営業利益率は11年に10.3%を記録したが、その後は低下の一途で、昨年は4.7%と5%を割り込み、今年13月期は3%レベル(注:1~6月は3.84%)まで落ち込んだ。営業利益率3%は利息や税金を支払えば、ほとんど手元に残らないため、収益で利息も払えない『ゾンビ企業』一歩手前だ。産業研究院のイ・ハング上級研究委員は「業界は昨年の1次下請け業者の営業利益率が3%を下回ったとみている。現代自が3%レベルならば、1次下請け業者は12%かマイナス、2次・3次下請け業者はさらに深刻だ」と指摘した」

     

    現代自の営業利益率は、自動車生産台数の低下ともに下落している。2011年の営業利益率は、10.3%(韓国全体の自動車生産台数465万台)。それが、2017年は4.7%(同411万台)へ落込んでいる。今年上半期の営業利益率は3・84%である。まさに、「危機の深化」である。こうなると、「利息や税金を支払えば、ほとんど手元に資金が残らないため、収益で利息も払えない『ゾンビ企業』一歩手前」というギリギリの線に追込まれた。

     

    現代自が、ゾンビ企業目前の状態に落込んだのは、韓国経済の危機そのものである。この認識が韓国政府にあるとも思えない。「反企業主議」の立場を鮮明にしているだけに、具体的な対応などあるはずがないのだ。韓国の二枚看板の一つが舞台から退けば、残るのはサムスンだけである。「片肺飛行」危機的な韓国経済へ落込んできた。

     

    (2)「仮に、米国から自動車高率関税が適用されれば、韓国の自動車メーカーは崩壊し、下請け業者は焼け野原になる可能性がある。現代・起亜自は韓国での生産台数317万台のうち59万台を米国に輸出している。米国の自動車関税爆弾が現実となり、15兆5000億ウォンに達する対米自動車輸出が滞れば、13万人の雇用が脅かされるとの分析も聞かれる。延世大の延康欽(ヨン・ガンフム)教授(経営学)は、『製造業のうち最も労働集約的な自動車産業が崩壊すれば、韓国経済全体が深刻な打撃を受ける。外部環境が最悪な状況で、労組と規制に縛られ、生産性がさらに低下しており心配だ』と指摘した」

     

    ここで、米国が自動車関税をかける事態となれば、韓国自動車産業は完全にノックアウトを食らう。米国の自動車関税爆弾が現実となり、15兆5000億ウォンに達する対米自動車輸出が滞れば、13万人の雇用が脅かされるとの分析も聞かれる。ここまで来ると、企業レベルの対応は困難であろう。政府間交渉となろう。

     


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    韓国政府は、まな板の鯉の心境である。ASEAN(東南アジア諸国連合)での存在感を高めるべく着手したダム建設で、とんだ事故を引き起こしてしまったからだ。現状では、ひたすら頭を下げ、救援活動で誠意を見せるしか道がない。

     

    『朝鮮日報』(7月29日付)は、「ダム事故で韓国大使、ラオス政府は人災の可能性も念頭に」と題する記事を掲載した。

     

    ラオス政府の詳細な動きが、初めて分ってきた。ダム決壊について、自然災害の可能性に重きを置いているが、ラオスのエネルギー鉱業相は26日、現地メディアとのインタビューで、手抜き工事の可能性を指摘している。このエネルギー鉱業相は、一貫して「工事手抜き説」の立場であり、感情的な怒りも含むような発言を繰り返している。今回の事件で、「担当相」になると、韓国政府は面倒な立場に追込まれるリスクを抱えたようだ。

     

    (1)「韓国のSK建設が参画してラオス南東部で建設中の水力発電用ダムが決壊した事故をめぐり、ラオス政府は自然災害の可能性に重きを置いているものの、人災の可能性も念頭に置いていることが分かった。申聖淳(シン・ソンスン)駐ラオス大使が7月29日に明らかにした。この日、ラオス政府の当局者らと面会した申大使は『ラオス政府は自然災害との見方を強めているが、施工に問題がなかったかなどにも関心を示している』として、『(ラオス政府は)どんなに降雨量が多くても、(ダムの)設計がそれに耐えられるようになっているべきではないかと考えている』と述べた」

     

    予想外の降雨量だった、という理屈は通らない。いかなる気象条件の変化があっても、ダムはそれに対応すべき構造が保証されなければ意味をなさない。したがって、今回の事件は「人災」が基本線である。一切の言い訳はダメだろう。

     

    (2)「また、『ラオス政府は当初、施工を担当しているSK建設、タイの企業、設計を承認したベルギーのトラクタベル社に自主的調査を要請していたが、外部の専門家を参加させるようだ』とも話した。これに関連し、ラオスのカンマニー・インシラス・エネルギー鉱業相は26日、現地メディアとのインタビューで、手抜き工事の可能性を指摘している。同相は『規格を満たしていない工事と予想を超える規模の豪雨が原因とみられる』として、補助ダムに亀裂入って水が漏れたことが決壊につながったとの見方を示した』

     

    エネルギー鉱業相は、「規格を満たしていない工事と予想を超える規模の豪雨が原因とみられる」としている。補助ダムの亀裂で水が漏れたことが決壊につながった、と言う。ダムに亀裂が入ったとすれば、鉄筋の量が少なかったのか。セメントの強度に問題があったのか。事後調査をすれば、結果は判明する。

     

    (3)「ラオスのシーパンドン副首相は事故原因の調査について、『SK建設と話し合っているが、(ダムの)建設にどのような技術が用いられたのか確認する予定』として、エネルギー鉱業省の専門家に詳細を確認させる方針を示した。申大使はこの日、シーパンドン副首相との面会で、韓国政府が軍の輸送機3機を動員して救護用品と医療陣からなる緊急救護隊を派遣したことを伝え、政府レベルで積極的に支援する意向を示した。申大使はまた、ラオス中・北部で実施している農村開発支援事業について、今回災害が発生した南東部地域に拡大する時期を、当初予定の2020年より前倒しする方向で韓国政府と積極的に話し合う意向も示した。これに対しシーパンドン副首相は、積極的な韓国政府の支援に感謝の意を表明した」

     

    ラオス駐在韓国大使は、頻りと韓国側の誠意を強調している。軍用輸送機3機を動員して緊急救護隊を派遣したことや、農村開発支援事業地域の拡大を提案しているという。莫大な損害を与えてしまった以上、ひたすら誠意を見せる以外に方法はあるまい。

     

     


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    中国の統計数字には、事実を水増しする「ウソ」が混じっている。これは動かしがたい定説である。人間、水増しで「ウソ」をつく心理は「見栄」が原因である。中国政府は、この見栄によって「水増し統計」を発表しているのだろう。

     

    その疑惑の統計数字は、「鉱工業利益」である。昨年5月頃から始まったと指摘されている。実は、日本経済新聞と米国経済通信社のブルームバーグが、同じような内容で報道した。これによって、中国の「ウソ」が暴かれたのだ。「企業利益」の水増しは、企業会計では「粉飾決算」にあたり犯罪である。国家が発表する粉飾決算」は犯罪でないようだ。これが、犯罪に問われていれば、中国は「前科×××犯」になっている。国家の犯罪は、かくも軽く「鴻毛(こうもう)」の類いか。習近平氏に罪の意識がないのは当然であろう。

     

    『ブルームバーグ』(7月27日付)は、「中国の工業利益、6月も力強い伸び-再び統計の整合性欠く」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の工業利益は6月も力強い伸びを維持した。同月は工業生産が予想より低い伸びにとどまったものの、生産者物価指数(PPI)が今年最も大きな上昇率となった。国家統計局が7月27日発表した6月の工業利益は、前年同月比20.0%増の6582億9000万元(約10兆7200億円)。5月は21.1%増だった。ただ5月の名目値が純減を示唆していたことから、統計の信頼性を巡り疑念が生じていた」

     

    5月の工業利益が、前年比で21.1%増と聞けば、誰でも「変だな」と直感で分るはずだ、6月も前年比で20.0%増である。これは、何か操作しているなと疑ってかかるのが常識というもの。記者稼業は、先ず疑うことから始まる。

     

    (2)「6月の数値を単純計算すると、前年同月の7277億8000万元から9.5%減となり、5月と同様に整合性を欠くことになる。統計局の報道官は今月に入ってからの記者説明会で、調査サンプルの変更に伴い食い違いが生じたと説明し、調査対象企業の変更をこの統計は『正確かつ客観的』に反映することができると主張。報告済みの統計の詳しい検証と疑わしい会計・決算報告に対する取り締まりも差異にもつながっていると語っていた」

    昨年発表の6月の数値をもとに、今年6月の伸び率を計算すると20.0%増でなく、9.5%減になるという。5月も同様の結果が出てマイナスになっている。このカラクリは何か。記者に問い詰められて出てきた答えが、「統計母数を変えた」いうのだ。日本の官庁統計では、統計母数を変える場合、統計数字の連続性を維持するため、過去にさかのぼり訂正するのが普通である。そういう「統計常識」をあえて破り、「木に竹を接ぐ」形のデータ発表は間違いである。こういう「統計常識」のない中国国家統計局とは何者なのか。

     

    要するに、GDPを押上げるためには「何でもあり」なのだろう。とりわけ、「企業利益」という要の数字は株価や設備投資の予測に不可欠なデータである。そこを誤魔化し、高目の予測をさせて世間を騙す意図は明白である。

     

    『日本経済新聞』(7月19日付)では、次のような説明である。

     

    (3)「昨秋から統計局が公表する伸び率(公表値)と前年の利益額をもとに計算した伸び率(計算値)がずれ始めた。公表値で18年1~5月の利益額は2兆7298億元、伸び率は16.5%だが、前年同期の利益額は2兆9048億元。17年実績をもとにした計算値は逆に6%減となる。証券会社のエコノミストらが不自然さを指摘していた。統計局の担当者によると17年~18年4月の内部監査により国で72件、地方で7千件超の違法な統計操作が発覚した。ある企業はグループ25社のうち19社の業績を重複報告していた。これら過去の水増しを正し、17年秋から正しい数値を公表し始めた。比較対象となる17年の利益額が以前より縮小したため18年の伸び率は計算値より高めに出るという」

     

    この説明にも納得できない面がある。利益の水増しという不正行為を企業の責任になすりつけている。だが、昨年半ばから突然、水増し記入を始めたとは思えない。不正をしていたならば、過去から続けているはずだ。要するに、最近の経済環境の悪化を反映して、国家ぐるみで企業利益の水増しを始めているのであろう。こうやって、GPPを手軽に押上げる「術」を利用し始めたと見たほうが間違いない。


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    米国は、本気で中国に怒りを向けている。中国が、米国の技術を窃取しながらそれを認めない。そういう老獪なやり方に堪忍袋の緒が切れたのだ。中国による米国の知財権窃取は金額換算で6000億ドルに及んでいるという。濡れ手に粟で、米国の先端技術を盗み出そうという卑劣な行為に対して、鉄槌を下そうということだろうか。

     

    『大紀元』(7月28日付)は、「米、中国人研究者の入国ビザを不発給、技術漏えいを警戒」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米当局は、7月米国で開催された国際学術会議に出席する中国代表団全員のビザを不発給した。中国人『学術スパイ』による技術流出を強く警戒することが背景にあるとみられる。カリフォルニア州で1516日に開催された第42回「宇宙空間研究委員会(COSPAR)」で中国代表団は、地震電磁気観測衛星について研究発表を行う予定だった。しかし、米政府は全員にビザを発給しなかった。トランプ政権は、中国当局による米企業のハイテク技術の窃盗を防ぐため、6月11日から中国人留学生と研究者らへのビザ発給を制限し始めた。米通商代表部が昨年発表した調査では、中国による知的財産権侵害は、米企業に約6000億ドルの損失をもたらしたという」

     

    米国は、中国の送り出す「学術スパイ」に目を光らせている。国際学術会議への出席で入国ビザを申請した中国人研究者全員に不許可とした。これが、前例になって、中国人学者の米国入国は、事実上、不可能になった。米国の怒りのほどが分る。

     

    (2)「香港英字紙『サウス・チャイナ・モーニングポスト』(19日付)は、今回の代表団に元米国籍の中国人研究者もいると報じた。中国生物科学者で北京大学の饒毅(ジョウ・キ)教授は、1990年代米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)やハーバード大学で神経科学や生物化学の研究に従事していた。ミズーリ州のセントルイス・ワシントン大学で講師、教授を務めた後、米国籍を取得した。しかし、同氏は2007年、中国当局の海外人材呼び戻し計画、『千人計画』に応じ、米国籍を放棄し中国に帰国した。現在、北京市政府がバックアップしている北京脳科学と類脳研究センターの主任と同センター法人代表を務めている。饒氏は2016年以降、学術交流活動のほか、親族訪問のための渡米ビザも拒否されている」

     

    米国籍まで得た中国人学者が、米国籍を捨てて帰国して、米国で得た技術を中国へ持ち帰った例が報じられている。このように、米国を裏切る形になっただけに、米国の怒りは倍増している。その後、この当人は全ての米国入国を拒否されているという。当然であろう。

     

    (3)「米『ラジオ・フリー・アジア』(23日付)によると、在米中国人学者の楊占青氏は、『饒氏は米国で長い間、科学研究活動に携わった後、米のハイテク技術を中国に持ち帰り、現在中国でその分野の第一人者になっている。このような過去を持つ人に対して、米政府は警戒せざるを得ない』と分析した。米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は今年2月、上院情報委員会の公聴会で、中国人スパイが『教授、研究者、学生』の立場を利用して、米国の学術研究機関から技術情報を漏えいさせていると警告した」

     

    中国人が、「教授、研究者、学生」の立場を悪用して学術スパイを働く。これでは、中国人の信用は失墜してゼロであろう。孔子学院もその内に閉鎖命令が出るのか。すでに、FBIの厳重監視下に置かれている。中国政府は、罪なことを個人に課しているものだ。習近平氏の狙う世界覇権のために、個人が使い捨てになっている。反旗を翻す勇気ある人物はいないのだろう。



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    韓国も猛暑である。この暑さで頭がおかしくなったのでないか。そう思われる事件が仁川で起こった。

     

    仁川と聞けば、若い人たちには「仁川空港」がイメージされる。年配者には、「朝鮮戦争でマッカーサー元帥が立案し大成功を収めた、仁川奇襲作戦」であろうか。韓国軍は、北朝鮮軍の侵略で釜山まで追い詰められ絶体絶命の危機を迎ええていた。李承晩大統領(当時)は、日本の山口県に韓国政府を移転させる案まで立てたという。その韓国を救ったのが、仁川奇襲作戦である。韓国が共産主義の支配下に屈しなかった歴史的な軍事作戦である。

     

    こういう歴史的な意味のある「マッカーサー元帥像」が、左派系牧師らによって深夜、放火される事件が起こった。マルクス主義者が放火したというならば、韓国の赤化を妨害した「犯罪人」として反発したと思われる。だが、心の自由を説き、イエスキリストの道を諭す牧師の犯罪だけに驚く。同時に、韓国にある屈折した「親北・反米」の根強さを象徴する事件であるようだ。

     

    『朝鮮日報』(7月28日付)は、次のように報じた。

     

    (1)「仁川中部警察署は27日、仁川市中区の自由公園にあるマッカーサー将軍像に火をつけた疑いでイ・ジョク牧師(61)、アン・ミョンジュン牧師(60)ら反米団体『平和協定運動本部』メンバー3人を取り調べている」

     

    文在寅大統領もクリスチャンである。こういう過激なグループと関係はないだろうが、心底では通じるものがあるはずだ。文氏の「親中朝・反米」の基本スタンスは、この過激な牧師らによる後掲の「犯行声明」に頷く部分があると見る。

     

    (2)「3人は同日午前2時ごろ、はしごを使って高さ4メートルの銅像台座に登り、『私は大韓民国の牧師として民族分断の悲劇をもたらした戦争詐欺師マッカーサーの偶像をもう容赦できない』と叫んで像の足元に布団を巻き付け、火をつけた。また、『占領軍偶像撤去! 世界非核化! 米軍を追放せよ!』と書いた垂れ幕を出して台座の上でスローガンを叫び、降りた」

     

    マッカーサーを「戦争詐欺師」と呼び、民族分断の悲劇をもたらした張本人と位置づけている。マッカーサーが、仁川奇襲作戦さえ行なわなかったら、北朝鮮の勝利に終わったはずだというニュアンスである。朝鮮半島は、全て共産主議で統一されたと悔しがっているのだ。これが、心の自由を説いている牧師の本音である。北朝鮮の現状を見ればわかるように、人権が抑圧されている。韓国国民を、この状態にしようというのは、牧師として失格であろう。

     

    (3)「3人は一部メディアに送った文で、『共産化を防ぐことを名分に軍隊を永久駐留させ、戦争侵略演習をする米国は、韓国を支配しようとする戦争収奪国の帝国主義者に過ぎない』と主張した。また、『マッカーサーは南北を分断させた元凶であり、満州と我々の土地に核爆弾使用まで計画していた張本人であるのにもかかわらず、我々には共産化を阻んだ偶像としてあがめられている』と主張した。この放火により像の左脚の一部がやや焦げたが、大きな被害はなかった」

     

    南北の分断は、マッカーサーの決定ではない。彼は、第二次世界大戦の戦後処理を決めたヤルタ会談と米ソの話合いに従ったまでなのだ。米国の「文民統制の原則」(シビリアン・コントロール)によって、軍人が政治に介入できないシステムになっている。マッカーサーが、米大統領のトルーマン(当時)に解任された理由は、朝鮮戦争で原爆投下を進言して逆鱗に触れ、国連軍総司令官の座を追われた。ここにも、「文民統制の原則」が生きている。

     


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