勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    a0005_000144_m

       


    日本政府は、徴用工問題をめぐる韓国での日本企業資産の差し押さえ執行前に、韓国政府に外交的協議を申入れた。韓国は、煮え切らない態度を示している。日本が、国際司法裁判所へ提訴する前提で、韓国政府に外交的協議を申入れてきたと見ているからだ。

     

    韓国政府は、徴用工問題について日本企業の資産差し押えで、なし崩し的にことを終わらせようとしている。そうすれば、韓国政府が紛争に巻き込まれないで済むし、文政権の立場が強化されるという計算であろう。

     

    日本としては、とうてい受け入れられない話である。1965年の日韓基本条約で、無償3億ドルを支払い済みだ。韓国大法院の判決は、この3億ドルに個人賠償という名目がないので、別途、賠償権が存在するとした。この判決で、「人権侵害の補償に時効はない」と名文句を述べたが、この部分だけに共鳴した日本の司法関係者もいる。支払い済みの「3億ドル」の事実を無視した議論を展開しているのだ。

     

    『中央日報』(1月15日付)は、「日本、国際法廷に向かう前に着実に名分作り、韓国は『沈黙モード』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「日本政府は1月9日、韓日請求権協定上の外交協議要求書を韓国政府に送った。回答期限は1カ月後である2月8日と明示したという。韓国の旧正月連休(2月4~6日)を考えると、事実上今月中に回答を求めたことになる。外交部当局者は14日『複雑に絡み合っている強制徴用問題の対策を1カ月以内に出すことが事実上不可能だというのは日本も承知しているだろう』とし『外交欠礼とまではいかなくても韓国を圧迫するという一種のキャンペーンだと見ている』と話した」

     

    韓国大法院の判決が出たのは昨年10月30日である。あれからすでに2ヶ月が経っている。日本政府が、2月8日を回答期限に指定したのは、判決から3ヶ月の時間を経ているのだから当然と言える。何ら、外交欠礼には当らない。むしろ、これまで日本政府との接触をせず、「日本政府は謙虚になれ」という文大統領発言こそ外交欠礼そのものだろう。

     

    (2)「日本側が、『締め切り』を前面に出して回答を促している背景には、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に向けた名分作りという見方が優勢だ。韓国側の反応とは関係なく請求権協定(第3条第1項)上、外交協議要請請求権協定(第3条第2~4項)の仲裁委員会構成要請ICJ提訴の手順を踏むためということだ。今回、日本が要求した30日という期限は請求権協定の仲裁委員会の構成に関する規定だが、日本は外交的協議要請にもこれを適用して通知した」

     

    韓国政府は、日本が国際司法裁判所へ提訴することを最も恐れている。表面的な理由は、国際司法裁判所で、日韓が争うことで修復不可能な関係になるのを回避したいとしている。日本は、すでに提訴に備え弁護士の選定も終わっている、と韓国紙が報道するほどだ。

     

    韓国は、提訴に応じない方針である。韓国が不利であることを自覚しているからだ。ただ、国内で『反日』材料に使う意向であろう。文政権は、「過去と未来を分けたツー・トラック方式外交」を標榜している。だが、過去の問題で争い、未来について協力するという、韓国に都合のいいことはあり得ない。
    (3)「韓国政府は、『慎重に検討する』として事実上、『沈黙モード』に入っている。生半可に対応しては日本側のペースに巻き込まれる可能性があるという判断からだ。外交協議や仲裁委の構成は韓国が応じなければ成立しない。仲裁委の構成は、韓日間請求権協定に期限と構成方法などが明示されているが、どちら側が協議に応じない場合に対する規定がない」

    韓国は、この問題をうやむやにして、最終的に文政権の得点にする方針であろう。だが、踏んだり蹴ったりの扱いをされている日本が、泣き寝入りするはずがない。「白黒」の決着を付けねばならない時期であろう。日韓関係で不毛の争いを根絶するには避けて通れない道だ。例え、韓国が提訴に応じなくても、その事実を国際的にPRすることである。ここまでこじれた日韓関係である。これ以上、落ちようがない所まできている。遠慮することはない。「主張する日本」を打ち出すべきであろう。


    a1320_000159_m

       


    北朝鮮の金正恩委員長は、中国の国家主席習近平氏と会談する際、必ずメモを取っている。生徒が先生に教えを請う形であり、首脳会談には似つかわしくない光景だ。中国のTVは、この場面を意図的に繰り返し流し、中国の優位性を誇示している。

     

    金正恩氏は、今回も特別列車を利用して訪中した。その理由について、いろいろと取り沙汰されている。帰途、土産物を沢山積み込む必要上、特別列車を仕立てているというのだ。経済制裁中で、中国は北朝鮮への輸出が制約されている。ところが、列車に積めば税関を通すわけでもなく、遠慮なく北朝鮮へ「禁輸品」を持ち込めるという解釈である。

     


    『朝鮮日報』(1月14日付)は、「習近平主席の言葉をメモする金正恩委員長」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のアン・ヨンヒョン論説委員である。

     

    (1)「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は先日、66年前の金日成主席と全く同じ服装で4回目の中国訪問を行った。しかし中国側の対応は当時と全く違っていた。中国の最高指導部とされる共産党政治局常務委員7人のうち、金正恩氏と食事をしたのは習近平・国家主席と王滬寧書記の2人だけだった。金正日(キム・ジョンイル)総書記の時も常務委員全員が会談や食事に同席していた。金正恩氏は中国を4回訪問したが、常務委員全員と食事をしたことはまだない。中国は北朝鮮との上下関係を明確にする儀典をすでにはじめているようだ」

     

    中国は、金正恩氏を迎えるに当たり「臣下」という扱いをしている。格下扱いだ。金日成や金正日の時代は、中国最高指導部の常務委員全員が会食に出席した。正恩氏の場合、習近平国家主席と王滬寧書記の2人だけだという。北朝鮮は、中国の庇護を求めて行動しているのだからやむを得まい。

     

    (2)「中国国営テレビ(CCTV)は今回の中朝首脳会談を報じる際、金正恩氏が習主席の言葉についてメモを取る様子を意図的に34回映し出した。中国の国家主席が地方の官吏を指導するような光景だ。金正恩氏は北朝鮮では神にも等しい立場にあるため、誰かの言葉をメモする様子など想像もできないだろう。CCTVは金正恩氏が習主席の歓迎に感謝の意を伝えたと報じたが、その歓迎と関心については『関懐(配慮や思いやり)』という言葉を使っていた。上の立場が下の立場に示す関心と配慮に感謝したという意味だ。金正恩氏をさりげなく『下の人間』と表現していたのだ」

     

    今の北朝鮮は、中国をバックに米国と首脳会談をしようという苦肉の演出だ。中国には、米国への橋渡しを依頼し、経済封鎖の一部解除を実現すべく助力を依頼している。問題は、北朝鮮が本当に核放棄の意思があるのか。時間稼ぎの手段に使っているのか。そういう疑惑が付きまとっている。

     

    実は、金正恩氏の発言や周囲の状況をAI(人工知能)で分析したところ、「北朝鮮は『核・経済並進路線』を放棄しておらず、2020年に核保有国になることを目指しているとの結果が出た」(『朝鮮日報』1月4日付)。この分析方法は、2016年に米国の大統領選挙でトランプ大統領の当選を予測したことでも知られるという。システムダイナミクスは複数の事象間の動態的な関係を把握し、それを視覚化する理論である。

     

    外交交渉で、AIが登場したのは珍しい。ついでに、日韓対立の結末をこのAIによる分析では、どういう形になるかぜひ聞いて見たいものだ。

     

    (3)「中国は韓国に対しても同じように扱っている。中国は国内でさほど職責が高くない人物を駐韓大使として送り、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国に派遣した特使は2回もテーブルの下座に座らせた。香港行政長官や地方官が習主席に報告をするのと同じような席の配置だ。これに対して同じ頃に中国を訪問した日本、ベトナム、ラオスの特使は習主席と対等に並んで座った。文大統領自身も訪中の際には露骨な形でぞんざいに扱われた。中国が韓国を飼い慣らそうとする意図が明らかだ」

     

    中国は、北朝鮮のみならず韓国も「格下」扱いをしている。韓国は、中国へ卑屈になっているのと対照的に、日本へやりたい放題である。日本は、中国のように露骨な対応を韓国に対して行なわないことが、逆に韓国を増長させているのであろう。韓国には、「忖度」という相手の心を思いやる繊細さがないのだ。


    a0960_006642_m

       


    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が、1月初めの世論調査で、約2カ月ぶりに50%台を回復した。経済実態が悪化している中で、文氏への支持率上昇に首を傾げざるを得ない。だが、日韓でのレーダー照射問題が持ち上がっており、文氏支持率を引上げているように見られる。文氏も歴代韓国政権が取った政権浮揚に反日を利用し始めたと見られる。

     

    『中央日報』(1月10日付)は、「約2カ月ぶりに支持率50%台を回復した文大統領経済・民生への取り組みが影響」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「1月10日、世論調査専門機関リアルメーターが実施した世論調査の結果、文大統領の支持率は前週比3.7%ポイント上昇した50.1%(非常にうまくやっている22.3%、うまくやっているほう27.8%)を記録した。反面、否定的評価は4.0%ポイント下がった44.2%となった。これで肯定・否定評価の間の差は5.9%ポイントまで広がった。このような支持率上昇は、最近の文大統領の民生・経済への取り組みと「第2回北米首脳会談」開催に対する期待が反映されたとみられるとリアルメーター側は分析した」

    文大統領の「日本政府は謙虚になれ」という記者会見での発言は、1月10日であるから、この世論調査には影響を与えていない。韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題が、12月20日に発生している。日韓双方が、映像を公開して非難応酬が行なわれた。これが、文政権支持率を押上げた可能性は否定できない。世論調査項目に、レーダー照射問題がないので直接の世論動向は不明。だが、間接的には影響を与えていると見るべきだろう。

     



    style="display:block"
    data-ad-client="ca-pub-3024231260641479"
    data-ad-slot="5398542433"
    data-ad-format="link"
    data-full-width-responsive="true">


    それを裏付けるような、最新の世論調査結果が出てきた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月14日付)は、「文政権の対日外交より強硬に46%、韓国世論調査」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「韓国の世論調査会社リアルメーターが14日発表した調査によると、元徴用工訴訟や韓国軍艦による自衛隊機へのレーダー照射問題などで悪化する対日外交への文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応について、45.%が『より強硬に対応すべきだ』と回答した。『対応は適切』が37.%で続き、『自制すべきだ』は12.%だった」

     

     

    (3)『より強硬に』と回答した人は保守層が現政権を支持する革新層をやや上回り、年代別では60代以上と20代で高かった。リアルメーターは『対日関係の世論調査は強硬論が60~70%と高く出る傾向があったが、今回は強硬一辺倒ではなく、予想より落ち着いた結果となった』と分析している」

     

    ①「より強硬に対応すべきだ」45.%

    ②「対応は適切」37.%

    ③「自制すべきだ」12.%

     

    以上の結果をどう見るかだ。②と③の合計が50.7%である。これを、仮に常識派とすれば、①の強硬派45.6%を若干、上回っていることがわかる。通常の世論調査では「反日強硬派」が60~70%になるという。今回の世論調査は、少し冷静になっているのかもしれない。ただ、文政権にとって「反日」は、得がたい支持票になることを知っている。なんと言っても、対日強硬派が最大60~70%もいることは「魅力的存在」に映るであろう。歴代韓国政権が、支持率挽回で「反日」を利用してきた背景がこれだ。


    a0960_008531_m

       

    昨年の中国の貿易黒字は、16.1%減の3518億ドルである。実は、15年をピークに減り続けている。中国の輸出競争力は、確実に落ちている。背景にあるのは、過剰投資による生産性低下である。習近平氏は、「中国式社会主義」を標榜するが、その実態は非効率な重複投資である。

     

    今年は、建国70年を迎える。昨年12月は改革開放40年を祝ったばかりだが、どうやら中国経済の「見せ場」は終わったようである。いつまでも「中華再興」の夢に酔っていると、とんでもない事態を招きそうだ。経済的に、「一寸先は闇」という事態へ動き始めている。

     

    貿易黒字と経常黒字の推移

           貿易黒字     経常黒字     

    2014年 3830億ドル   2360億ドル

      15年 5739億ドル   3041億ドル

      16年 5097億ドル   2022億ドル

      17年 4195億ドル   1648億ドル

      18年 3518億ドル    -55億ドル(1~9月)

     

    上の表によれば、貿易黒字のピークは15年の5739億ドルドルである。急速な人民元高があったわけでもない。生産性の低下が、輸出競争力を奪ったものである。問題は、経常黒字である。昨年1~9月の累計では55億ドルの赤字である。10~12月の経常黒字は、どれだけ計上できるかがポイントである。

     

    中国が「一帯一路」のプロジェクトを始めたのは、2014~15年からである。貿易黒字も経常黒字もピークの時期である。世界覇権を夢見たのだろうが、中国経済の実態を精査することなく、ただ中華再興の夢を追って始めたプランである。現在の経常黒字が直面する急減状態を見れば事実上、「一帯一路」は店仕舞いである。資金が続かないのだ。AIIB(アジアインフラ投資銀行)も同じ運命であろう。

     

    『日本経済新聞』(1月10日付)は、「建国70年迎える中国の憂鬱」と題する同紙の上級論説委員 飯野克彦氏の記事を掲載した。

     

    (1)「『中国経済はあなたが考えている以上にソビエトだ』。英経済誌『エコノミスト』は18年末に掲載した記事でこう警鐘を鳴らした。ソ連経済は1950年代から60年代に投資主導で目覚ましく成長したが、やがて生産性の上昇が止まり、80年代には生産性の低下を記録した。中国経済も似たような方向に向かっている、というのである。根拠となったのは一橋大学の伍暁鷹特任教授らによる研究。中国経済の全要素生産性(TFP)の伸びが、2007~12年に平均で年率1%を超えるマイナスを記録した、との衝撃的な分析である。これに対しTFPはなお上昇しているとの研究もあるが、近年その勢いに急ブレーキがかかったとの見方は多くの研究者に共通しているようだ」

     

    どこの国でも投資主導経済は一時期、急速な経済成長をもたらすものだ。だが、投資はいずれ限界を迎える。それが、うまく個人消費へバトンタッチできれば良いものの、原理的に不可能である。最初から高い固定資産投資比率を保って、人為的に個人消費比率を抑制してきた経済システムが、うまく適応できるはずがない。ゆえに、今後の中国の経済成長率は、ガクンと落ちて見る影もなくなるはずだ。これが、経済の原理である。

     

    過剰投資でGDPを押上げてきた中国経済は、全要素生産性(TFP)の伸びが、2007~12年に平均で年率1%を超えるマイナスを記録したという。「限界資本係数」が正常な国の倍である5~6にもなる非効率経済で、生産性低下が起るのは当然であろう。中国は、なぜこの事実に気付かなかったのか。経済官僚の責任と言うよりも、習氏が自己の権力固めを優先して「経済原理」を無視したに違いない。

     

    (2)「中国はことし10月に建国70周年を迎える。旧ソ連がおよそ70年の歴史を刻んで崩壊したこともあり、習近平(シー・ジンピン)主席ら指導部としては大々的に祝賀ムードを盛り上げ政権の正統性を内外にアピールしたいところだ。これから10月に向けて、さらなる景気対策を打ち出していくことになろう。だが生産性が停滞したままだと投資を拡大しても効果は限られ、不良債権を膨らませる結果ともなりかねない」

     

    旧ソ連は70年で崩壊した。圧政と統制の政治経済システムは、「短命」であることの証明であろう。中国が、その轍を踏まないという保障はどこにもない。今年は、設備投資循環で投資が10年間で最も落込む時期に遭遇している。この先の中国経済に何が起るか。興味深いものがある。

     

     


    a0003_ki_0012_m

       




    中国経済は、深刻の度合いを深めている。中国の国内自動車で最大手の吉利汽車が、ドイツのダイムラー株の半分を売却して資金繰りを付けるほどの事態になっている。吉利は、国内の営業基盤の強味を生かして、海外同業の買収を手がけきた。その裏では、習近平国家主席との強い絆も取り沙汰されてきた。

     

    吉利創業者の李書福氏は、習近平氏が「吉利を支援せずしてどの企業を支援するのか」と述べるほどの関係である。習氏とは、浙江省党委書記だった時代から親しい間柄にあると指摘されてきた。李氏の妻・彭麗娟は、習氏夫人の妹と言われる。この吉利が、資金繰りを付けるべく、ダイムラー株の半分を売却するとは、かなり追い込まれていることを物語っている。

     


    『ブルームバーグ』(1月11日付)は、「中国の吉利、保有する独ダイムラー株の半分以上を売却-関係者」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の浙江吉利控股集団は、ドイツの自動車メーカー、ダイムラー株の保有比率を9.7%から半分以下に減らした。事情に詳しい関係者が明らかにした。資産家の李書福氏が率いる吉利がダイムラーの筆頭株主になってから1年足らずで、持ち分を大きく減らした。吉利のダイムラー出資は中国の自動車会社にとって過去最大規模の海外資産取得だった。関係者は吉利が手放した株式の買い手は明らかにしなかった」

     

    吉利が、ダイムラーの筆頭株主に躍り出たこと自体が驚きであった。中国の国内自動車メーカーが、そこまで経営力を付けたのか、という思いが強かった。だが、一年足らずで所有株の半分を売却せざるを得なかったのは、中国自動車不況の深刻さを窺わせている。その事情は、後で取り上げる。

     

    (2)「非公開情報だとして関係者の1人が匿名に述べたところによれば、吉利はダイムラー株5.4%を手放した。吉利から今のところコメントは得られていない。米モルガン・スタンレーは10日、ダイムラー株を5.4%保有していると当局への届け出により開示した。関係者の1人によると、同社は他の保有者の代理としてダイムラー株を保持している」

     

    吉利が手放したダイムラー株は、米モルガン・スタンレーに肩代わりされたようで、すでに当局への届け出を済ませている。これで、事実関係が確認された。

     

    吉利は、昨年12月に急激な販売減に見舞われている。

     

    『大紀元』(1月10日付)は、「18年中国自動車販売が不振、吉利汽車12月販売台数44%減」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国国内紙『華爾街見聞』8日付によると、吉利汽車が7日昨年1年間の販売状況を公開した。同社によれば、昨年12月グループ全体が中国市場での販売台数は8万6298台、前年同月比44%減った。昨年1年間の総販売台数は150万838台、前年比約20%増となったが、2018年販売目標である158万台には届かなかった。同社は、中国自動車市場の不確実性が拡大しているとして、2019年の販売台数目標を151万台に引き下げた」

     

    昨年12月の販売台数が、前年比44%減とは異常な減り方である。これは、中国経済に急ブレーキがかかった結果だ。「突然死」を思わせるような激変である。中国の「信用収縮」が一挙に進んでいることを窺わせる。自動車は、ほとんどローンを利用している。高級車は銀行ローン、普通車はシャドーバンキングである。多分、シャドーバンキングが貸付を中止したのでないか。そうでなければ、このような事態は起らないはずだ。

     

    (4)「米金融大手モルガン・スタンレーは3日、中国の内需縮小で今後中国自動車メーカーの売上げが低減すると予測し、吉利汽車の株価評価をこれまでの「ニュートラル」から「アンダーウェイト」に下方修正した。これを受けて、吉利汽車の株価は3日にも、同8%安と大幅に下落した。新車販売の低迷などの影響で、吉利汽車の株価は昨年1年間49%下落した。また、20171122日付けた最高水準の1株=29.15香港ドルから約60%急落した」

     

       

    吉利の株価が、急落している状況では銀行も、吉利に新規貸出を止めているはずだ。こうなると、手持ち株の売却で資金繰りを付けるほかない。ダイムラー株はいずれ全株売却を迫られる感じである。中国経済の危機を示す一断面であろう。




    このページのトップヘ