日本政府は、徴用工問題をめぐる韓国での日本企業資産の差し押さえ執行前に、韓国政府に外交的協議を申入れた。韓国は、煮え切らない態度を示している。日本が、国際司法裁判所へ提訴する前提で、韓国政府に外交的協議を申入れてきたと見ているからだ。
韓国政府は、徴用工問題について日本企業の資産差し押えで、なし崩し的にことを終わらせようとしている。そうすれば、韓国政府が紛争に巻き込まれないで済むし、文政権の立場が強化されるという計算であろう。
日本としては、とうてい受け入れられない話である。1965年の日韓基本条約で、無償3億ドルを支払い済みだ。韓国大法院の判決は、この3億ドルに個人賠償という名目がないので、別途、賠償権が存在するとした。この判決で、「人権侵害の補償に時効はない」と名文句を述べたが、この部分だけに共鳴した日本の司法関係者もいる。支払い済みの「3億ドル」の事実を無視した議論を展開しているのだ。
『中央日報』(1月15日付)は、「日本、国際法廷に向かう前に着実に名分作り、韓国は『沈黙モード』」と題する記事を掲載した。
(1)「日本政府は1月9日、韓日請求権協定上の外交協議要求書を韓国政府に送った。回答期限は1カ月後である2月8日と明示したという。韓国の旧正月連休(2月4~6日)を考えると、事実上今月中に回答を求めたことになる。外交部当局者は14日『複雑に絡み合っている強制徴用問題の対策を1カ月以内に出すことが事実上不可能だというのは日本も承知しているだろう』とし『外交欠礼とまではいかなくても韓国を圧迫するという一種のキャンペーンだと見ている』と話した」
韓国大法院の判決が出たのは昨年10月30日である。あれからすでに2ヶ月が経っている。日本政府が、2月8日を回答期限に指定したのは、判決から3ヶ月の時間を経ているのだから当然と言える。何ら、外交欠礼には当らない。むしろ、これまで日本政府との接触をせず、「日本政府は謙虚になれ」という文大統領発言こそ外交欠礼そのものだろう。
(2)「日本側が、『締め切り』を前面に出して回答を促している背景には、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に向けた名分作りという見方が優勢だ。韓国側の反応とは関係なく請求権協定(第3条第1項)上、外交協議要請→請求権協定(第3条第2~4項)の仲裁委員会構成要請→ICJ提訴の手順を踏むためということだ。今回、日本が要求した30日という期限は請求権協定の仲裁委員会の構成に関する規定だが、日本は外交的協議要請にもこれを適用して通知した」
韓国政府は、日本が国際司法裁判所へ提訴することを最も恐れている。表面的な理由は、国際司法裁判所で、日韓が争うことで修復不可能な関係になるのを回避したいとしている。日本は、すでに提訴に備え弁護士の選定も終わっている、と韓国紙が報道するほどだ。
韓国は、提訴に応じない方針である。韓国が不利であることを自覚しているからだ。ただ、国内で『反日』材料に使う意向であろう。文政権は、「過去と未来を分けたツー・トラック方式外交」を標榜している。だが、過去の問題で争い、未来について協力するという、韓国に都合のいいことはあり得ない。
(3)「韓国政府は、『慎重に検討する』として事実上、『沈黙モード』に入っている。生半可に対応しては日本側のペースに巻き込まれる可能性があるという判断からだ。外交協議や仲裁委の構成は韓国が応じなければ成立しない。仲裁委の構成は、韓日間請求権協定に期限と構成方法などが明示されているが、どちら側が協議に応じない場合に対する規定がない」
韓国は、この問題をうやむやにして、最終的に文政権の得点にする方針であろう。だが、踏んだり蹴ったりの扱いをされている日本が、泣き寝入りするはずがない。「白黒」の決着を付けねばならない時期であろう。日韓関係で不毛の争いを根絶するには避けて通れない道だ。例え、韓国が提訴に応じなくても、その事実を国際的にPRすることである。ここまでこじれた日韓関係である。これ以上、落ちようがない所まできている。遠慮することはない。「主張する日本」を打ち出すべきであろう。





