勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    文在寅大統領は、最低賃金の大幅引上げによって「所得主導経済」を実現すると胸を反らしてきた。だが、結果は失業率を高めるだけに終わっている。文氏が、この「所得主導経済論」を決断したきっかけは、文氏が書籍を読んで感銘を受けて導入したもの。きわめて安直な政策決定過程であることがわかっている。衆知を集めて達した結論でなかったのだ。

     

    聞けば聞くほど呆れた政策決定過程である。韓国の経済学会から、「所得主導経済論」へ厳しい評価が発表された。思いつきで導入した経済政策であるから、当然と言えば当然の話である。

     

    『朝鮮日報』(2月15日付)は、「韓国最大の経済学術大会で猛批判にさらされた文政権の経済政策」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「経済学者約1500人が出席する韓国最大の経済学術大会で文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策の柱である「所得主導成長」に対し、強い批判の声が上がった。文在寅政権発足以前の4年と発足後1年の国内総生産(GDP)、投資、雇用の伸びを比較した結果、むしろ指標が後退したためだ。賃金を引き上げて消費を刺激し、消費増加がさらに所得を増やすプラスの循環を期待した所得主導成長は効果が表れていない格好だ」

     

    文大統領は、形無しである。あれだけ「成功間違いなし」と言ってきた看板政策が、経済学会で否定された。素人の「生兵法」であったのだ。

     

    (2)「西江大経済学部のイ・ユンス教授とチェ・イン教授は14日、韓国経済学会で「2019年経済学共同学術大会」の第1次全体会議で、「新政府のマクロ経済効果の実証評価」という論文を発表した。所得主導成長を実証的に分析した結果が主要学会で発表されたのは初めてだ。イ教授は「所得主導成長は賃金が上昇しても、投資、雇用、生産性が低下しなければ、効果があると言えるが、データ分析をしたところ、主要指標の伸びが鈍化していた」と指摘した」

     

    生産性を上回る賃上げは、「賃金コスト」の上昇を招くから企業利益は減少する。よって投資や雇用が減って当然である。何も計量分析をしなくても出てくる結果である。ただ、データに裏付けられた分析だから、文氏に逃げ場はない。

     

    (3)「イ教授らは、文在寅政権の発足前(2013年第1四半期-17年第2四半期)と発足後(17年第3四半期-18年第3四半期)の経済指標を比較分析した。その結果、現政権発足後、GDP成長率は0.13ポイント、投資伸び率は5.14ポイント、雇用伸び率は2.07ポイントそれぞれ低下した。政府・与党は所得主導成長による効果の証拠として、昨年の民間消費が2.8%伸びた点を挙げているが、学識者は「錯視」だと指摘する」

     

    韓国国民は、文政権の「間違い政策」で大きな損害を被った。

     

    GDP成長率は0.13%ポイント

    投資伸び率は5.14%ポイント

    雇用伸び率は2.07%ポイント

     

    前記の中で、投資が5.14%ポイントも落込んだことは、今後さらなる負の効果が尾を引くという示唆だ。つまり、GDP成長率の低下の前兆である。

     

    (4)「イ教授らの研究でも民間消費は1.14ポイント伸びていた。しかし、イ教授らは「国内消費が伸びたとは言えない」と断じた。輸入消費財を除けば、民間消費の成長率の伸びは0.46ポイントにすぎない。純粋な国内消費と言えるサービス分野の消費は減少したからだ。イ教授は「所得主導成長では国民の消費が再び国民の懐に戻ってくることが重要だ。民間消費の伸びはサービスなど国内消費の伸びによるものではないと推定され、内需増進効果はないと判断される」と指摘した」

     

    要するに、文政権になって民間消費が1.14%ポイント伸びたが、輸入消費財を除けば、0.46%ポイントに過ぎない。これでは、5兆円の財政資金をつぎ込んでアルバイト雇用の長期化を図った効果はゼロに等しいことが判明した。次期政権が保守派になれば、この不透明な最賃大幅引上が問題化する。文氏は、首を洗って待つべきだ。


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    日韓関係の破綻は、もはや隠しようがない状況まで突き進んでしまった。韓国の国会議長による「天皇謝罪要求発言」は、その言葉使いの下劣さとともに、日本人全体の怒りを買っている。

     

    日本人にとって天皇の存在は、思想の右・左を問わず言いがたい重みを持っている。その天皇に対する「侮辱的発言」は、韓国の国会議長としてきわめて遺憾と言うほかない。

     

    文在寅政権は、過去の日韓政府が積み上げた和解と融和への努力をすべてひっくり返す行為に出ている。韓国は、これによって何のメリットが得られるだろうか。実は、メリットどころかデメリットだけである。日本が、韓国の違法行為に対して頭を下げると思っているとしたら、それは完全な間違いである。日本は、文政権から過去に結んで協定・条約を破棄同然の扱いを受けた。日韓関係の再構築の義務は、明らかに韓国側にある。文政権は、その認識を持っていない点が悲劇的である。

     

    『中央日報』(2月17日付)は、「最悪の韓日関係 慰安婦・強制徴用ビッグディールで突破を」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「多重・複合骨折状態の韓日関係にはさまざまな構造的要因がとぐろを巻いている。両国社会が戦後世代に交代して歴史認識に大きな乖離が生じるようになった。購入力基準で両国の国民所得が同等になるほど経済格差が縮んだ影響もある。また、韓国では過去の権威主義政府で作られてきた対日政策に対する「正義探し」が現れる状況で、日本では「失われた20年」に伴う保守右傾化と歴史修正主義が台頭して歴史を再び召喚している」

    このパラグラフに、韓国人の典型的な道徳観が表れている。過去に結んだ約束(正義)は絶えず、現在の時点で見直して良いという認識である。日本が指摘するように、「韓国はゴールポストを動かす国民」という発言は、正鵠を得たものだ。日本は、こういう独特の民族を相手にして、もはやいかなる協定・条約も結べない。あとになって、韓国が有利になったと見るや、過去の約束ごとを破棄される以上、まともな外交関係は維持できないだろう。

     

    私の見るところでは、韓国経済に明るい展望があるわけでない。文政権の経済政策は韓国経済を破綻の極に向かわせるはずだ。最低賃金の大幅引上げがもたらした雇用構造の破壊。これを糊塗する財政の放漫支出がもたらす赤字化。北朝鮮接近による支援増大。いずれもマイナス要因として働く。

     

    韓国は、こういう「時限爆弾」の存在に気付かず、意気揚々として日本に「大言壮語」して迫っているのは漫画に映るのだ。次期政権が登場したとき、韓国経済が、どうにもならない事態へ踏み込んでいることに気付く。時すでに遅しである。

     

    (2)「経済分野でも両国の経済信頼を担保する韓日自由貿易協定(FTA)の締結、韓国の包括的・漸進的なCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)加入に対する日本の支援、中断された通貨スワップの再開、第三国市場でのインフラ・プラント・資源協力、4次産業での協力、少子高齢化への対処など、協力の余地はいくらでもある」

    このパラグラフに出てくる項目は、すべて日本の協力なくしては成就できないものだ。要約しておこう。

     

    ①    韓日自由貿易協定(FTA)の締結

    ②    韓国の包括的・漸進的なCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)加入に対する日本の支援

    ③    中断された通貨スワップの再開

    ④    第三国市場でのインフラ・プラント・資源協力

    ⑤    4次産業での協力

    ⑥    少子高齢化への対処

     

    このパラグラフでは、「協力の余地はいくらでもある」と、さも韓国が日本に協力するような誤解を与える文章である。正確には、日本の協力なしには韓国経済は保たないのだ。こういう意味で、日本の存在がきわめて大きいにもかかわらず、韓国は身勝手な言動を続けている。呆れるほかない。どうぞ、韓国はご自由にやって下さい。そう言うほかない。
     


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    中国社会の投機好きは、世界でも例を見ないレベルだ。すべてを賭の対象にする。昔は、コオロギも賭の対象になっていた。最近では、キャベツがそうだった。賭け麻雀は中国が発祥。余談だが、中国麻雀と日本麻雀は、似て非なるものという。

     

    今年の1月になってようやく、住宅販売が落込んできたのは遅すぎた。中国経済の先行きが暗い展望の中で、せっせと住宅投機にうつつを抜かしていた人が多かったのだ。これは、勉強不足というほかない。中国の経済情勢を的確に把握しようとしない。そういう人が、余りにも多いという意味である。それだけに、住宅バブル崩壊による傷は、想像を絶するものがある。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月15日付)は、「中国、住宅市場に変調、大手4社の1月販売額3割減」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国のマンションを中心とした住宅販売が変調をきたしている。万科企業など住宅大手4社の2019年1月の販売額は前年同月に比べ3割超も減少した。上海や深圳をはじめ主要都市の価格高騰が収まり、投資資金の流入にブレーキがかかっている。需要の頭打ちが長引けば、財政を土地売却に依存する地方政府の資金難や建設・不動産などの雇用悪化を通じて景気への悪影響は避けられない」

     

    私の持論であるが、地方政府に土地売却益(土地利用権売却益)を財源として認めている国家がほかにあるだろうか。GDP2位の中国で、地方財政制度にこのような不確定な財源を与えたことが、不動産バブルを引き起こさせる潜在的な要因になっていた。

     

    この矛盾は、解決されるどころか、むしろ煽り立てられてきた。国家が唯一の土地所有者であるから、地価はいかようにも操作できるのだ。これまでの内需成長は、「土地がらみ」であった。この「土地依存経済」が、静かに幕を引くであろう。資本市場の開放が進めば、不動産投機で利益を上げる危険性を認識するであろう。

     


    (2)「販売の変調を受け、大手の一角である碧桂園は18年秋以降、上海や江蘇省、江西省などの一部物件で2~3割の値引きに踏み切った。「碧桂園は(購入者を)欺いた。解約を求める」。上海のマンション「浦東南郡」の販売センターには、最も目立つ入り口のアーチ部分にこんな抗議文が貼られていた。分譲価格が引き下げられると、転売狙いの購入者は損失を被る可能性が高まるため、購入者が販売担当者に詰め寄る場面もあった」

     

    昨年12月頃は、当局が住宅価格の引き下げを監視していた。値引き競争が、住宅価格の本格的な値下がりに拍車を掛けることを警戒していたもの。当局の価格介入が、不動産開発会社の利益に影響を与えるという苦情が持ち込まれたのだろう。在庫処分の値下げは、企業の資金繰りを助ける意味で不可欠である。ビジネスの本質を知らない官僚が、干渉してよいことは一つもない。「餅は餅屋」である。

     

    2~3割の値引きが始って、最初の抗議者は転売狙いでマンションを買った投機筋である。この投機屋が、住宅価格を不必要にまで高く押上げた「元凶」である。これが、庶民に過剰なローン負担押しつけ、個人消費に圧力を掛けた張本人である。中国経済を破綻に追い込んだ集団とも言える。しかも、中国は不動産保有税がない国である。幾度か、不動産保有税が法案化される噂が出ながら、すべて消されてしまった。共産党員が、住宅投機の当事者であったので、党内の「身内同士」の取引で法案化を阻止してきたのだ。国民不在の政治である。

     

    (3)「マンションの最終的な買い手である個人が見送り姿勢を強め、開発業者も土地の仕入れに慎重になりつつある。このしわ寄せは地方政府に及ぶ。地方政府は18年、土地売却で6兆5000億元を超す収入を得た。地方政府は税収が伸び悩み、政府本体も傘下企業も多額の負債を抱える。土地売却は景気下支えに必要なインフラ整備などの財源になってきたのは間違いない」

     

    土地売却益が、インフラ投資の財源になる。こういう不健全な財政制度が、改革開放の40年間も続いてきた。この不規則な財源調達が、必然的に不動産バブルを生んできた。だが、不動産バブルが崩壊すれば、今後はどうやってインフラ投資を行なうのか。中国では、インフラ投資がはたと止まる宿命を負っている。考えれば考えるほど、不可思議な手品を使ってきたものだ。もはや、この手を仕えなくなった。その影響は甚大であろう。

     


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    中国は、二枚看板の国である。他国を威嚇するときは「経済大国」を前面に出す。国際機関から利益を得るときは、「発展途上国」を使って同情を求める国である。これほど、カメレオンのような国はない。実利に徹しているのだ。「韓信の股くぐり」という歴史的な故事が示すように、将来の利益のためにはメンツを捨てる国である。

     

    世界銀行は、経済発展の遅れた国に低利の資金を供与する金融機関である。中国は、今なおこの世銀から低利資金の融資を受けている。この中国が、なんとAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創立リーダーになり、筆頭出資国になっている。この落差の大きさに誰でも驚かされるのだ。まさに、世銀から融資を受ける時は「発展途上国」になりすましている。AIIB設立の時は、GDP2位の経済大国の顔になっている。カメレオン中国である。

     

    中国は、世銀から資金を借入れてはいけない国である。中国が借り出さなければ、もっと切実な経済事情を抱えている国が融資を受けられたはずだ。中国は、その機会を奪った意味で強い批判を浴びなければならない。

     

    中国は、世界銀行から借りた資金をどこへ持っていったか。それは、「一帯一路」に再融資資金として回っているはずだ。かつて、日本が中国へODA(政府開発援助)で融資していた。その一方で中国は、アフリカで日本の融資した資金を「転貸」していた。このように、平然と他国の善意を踏みにじり、利用するという厚かましさがある。「発展途上国」と「経済大国」を使い分けているのだ。

     

    『ロイター』(2月15日付)は、「米国がWTO改革提案、特別待遇国削減要求、中印反発の公算」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国は15日、世界貿易機関(WTO)を改革し、「特別かつ異なる待遇」を受けられる国の数を減らすよう提案した。中国やインドなどの反発を招く公算が大きい。WTOのウェブサイトに掲載された。特別かつ異なる待遇は途上国に対し、合意方針や貿易機会拡大策の実施期間を長くしたり、先進国と比べ2倍の農業補助金を認めたりするもの」

     

    途上国の範囲を絞って、現状よりも手厚く待遇を与える配慮をする。そうすれば、中国の悪用を防ぐ意味で、他国の賛成が得られるであろう。中国は、「一帯一路」で他国を債務漬にして暴利を貪るなど「悪行」を働き信頼を失っている。こういう機会を利用して、純然たる発展途上国と、「エセ」発展途上国を分離する工夫が求められる。

     

    (2)「米国の改革案は、世界銀行が「高所得」と分類する国や経済協力開発機構(OECD)加盟国、20カ国・地域(G20)のほか、世界貿易の0.5%以上を占める国などに対し、特別待遇を認めないとした。米国は、WTO加盟国が自らを「途上国」とし、さまざまな恩恵が受けられる状態にあると批判してきた」

     

    以下の分類国は、発展途上国の分類から外すべき、としている。

    1.経済協力開発機構(OECD)加盟国、

    2.20カ国・地域(G20)、

    3.世界貿易の0.5%以上を占める国

     

    記事では、中国と印度が反発するだろう、根拠もなく指摘している。そういう配慮はすべきでない。中国やインドのGDP規模になっても、1人当たり名目GDPが1万ドル以下という物差しで、発展途上国といって保護を与える必要はない。あとは、自国の経済政策をうまくやり経済発展すべきである。一律の尺度で、保護するのは正しい選択でないのだ。ましてや、中国にはそれが当てはまる。


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    中国経済は、二進も三進もいかない事態を迎えている。国内景気の「体温計」である生産者物価指数は、1月に前年比0.1%の伸びにまで低下してきた。昨年1月が同4.3%と高い伸びであった反動現象もあるが、昨年12月の同0.9%の伸びという低下傾向から判断して、2月以降のマイナスは不可避である。中国経済は「急速冷凍」状況に入っている。

     

    中国の民族派は、習近平氏を含めて米中貿易戦争の緒戦で強気の姿勢を見せていた。「米国が殴ってくれば、中国も殴り返す」と意気軒昂だった。あれから、1年も経たないうちに、内需はガタガタである。2012~16年に見られたデフレ状況へ再び陥るとの観測が浮上している。これまで、不動産バブルの熱気で中国経済の脆弱さを覆い隠していたに過ぎなかった。

     

    生産者物価の低迷は、企業の減収に直接影響する。売上が減れば、企業利益は落込む。膨大な債務をどうやって返済するのか。もはや繰り言になるが、計画経済という無謀な成長率目標達成の弊害が、中国経済を蝕んだ。民主主義国であれば、政権交代で経済立て直しに着手するが、独裁政権ではそれも不可能である。もがき苦しんで、時間が解決するのを待つしかないのだ。

     

    『ロイター』(2月12日付)は、「中国企業の相互債務保証にほころびデフォルト連鎖も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国で民間企業が債務保証し合うことで資金調達してきた仕組みがほころび始めている。これによって金融システムに存在するさまざまなリスクが浮かび上がっており、減速基調が強まる経済に新たな悪影響を及ぼしかねない事態と言える。既に警報が鳴り響いているのは、石油精製業と重工業の一大拠点である山東省東営市だ。ロイターが裁判所の記録を確認したところでは、少なくとも民間28社が債務再編を通じて経営破綻を回避しようとしており、そうなった主な原因は保証していた他の企業の債務が焦げ付いたことだった。28社の中には、2018年に中国の優良経営企業ベスト500に選ばれた、山東大海集団や山東金茂紡織化工集団などが含まれている」

     

    山東省東営市は、石油精製業と重工業のセンターで繁栄してきた。この市に本拠を置く28社が経営破綻に直面している。この企業の中には、2018年に中国の優良経営企業ベスト500に選ばれたものも含まれている。その優良企業が突然、経営破綻の危機の直面したのは、債務保証し合うことで資金調達してきた仕組みがほころび始めた結果である。

     

    子どもの運動会に出てくるムカデ競走は、互いに足を縛って歩調を合わせて走る競技である。一人でも足が乱れると全員が転ぶゲームである。債務保証し合うことで資金調達するのは、このムカデ競走と同じシステムだ。一社が、デフォルトになれば、相互債務保証の企業はすべてデフォルトに陥る。金融制度の未成熟国家で起る現象である。中国の経済体質はこの程度なのだ。習近平氏にこういう認識がなく、米国へ覇権競争を挑むのは「お笑い種」を提供しているに等しいことである。

     

    (2)「中国の民間企業が銀行から融資を受けようとする場合、特にそれが従来型の資本集約的な産業であれば、相当な担保を差し入れるか、別の企業に保証してもらう必要が出てくる。保証を請け負う企業自体も、また違う企業から債務保証をしてもらっている公算がかなり大きい。東営市における民間セクターの混乱は、まさにこの相互債務保証が本来持つ危険性をはっきり示している。いざ1件が不良債権化すると、瞬く間にデフォルト(債務不履行)が連鎖し、地域の金融システムが損なわれて新規融資の動きに支障が生じる恐れがある。

    心配なのは、民間企業の相互債務保証は中国全土で普及している以上、東営市のケースが氷山の一角にすぎないのではないかという点だ」

     

    このパラグラフは、中国の未熟な金融制度の弱点が余すところなく現れている。一度、この相互債務保証の破綻が起れば、中国全土を舐め尽くす危険性が高い。中国が、貿易戦争を続けられるゆとりは全くない。「即時停戦」して和平交渉すべき段階だ。

     

     


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