文在寅大統領は、最低賃金の大幅引上げによって「所得主導経済」を実現すると胸を反らしてきた。だが、結果は失業率を高めるだけに終わっている。文氏が、この「所得主導経済論」を決断したきっかけは、文氏が書籍を読んで感銘を受けて導入したもの。きわめて安直な政策決定過程であることがわかっている。衆知を集めて達した結論でなかったのだ。
聞けば聞くほど呆れた政策決定過程である。韓国の経済学会から、「所得主導経済論」へ厳しい評価が発表された。思いつきで導入した経済政策であるから、当然と言えば当然の話である。
『朝鮮日報』(2月15日付)は、「韓国最大の経済学術大会で猛批判にさらされた文政権の経済政策」と題する記事を掲載した。
(1)「経済学者約1500人が出席する韓国最大の経済学術大会で文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策の柱である「所得主導成長」に対し、強い批判の声が上がった。文在寅政権発足以前の4年と発足後1年の国内総生産(GDP)、投資、雇用の伸びを比較した結果、むしろ指標が後退したためだ。賃金を引き上げて消費を刺激し、消費増加がさらに所得を増やすプラスの循環を期待した所得主導成長は効果が表れていない格好だ」
文大統領は、形無しである。あれだけ「成功間違いなし」と言ってきた看板政策が、経済学会で否定された。素人の「生兵法」であったのだ。
(2)「西江大経済学部のイ・ユンス教授とチェ・イン教授は14日、韓国経済学会で「2019年経済学共同学術大会」の第1次全体会議で、「新政府のマクロ経済効果の実証評価」という論文を発表した。所得主導成長を実証的に分析した結果が主要学会で発表されたのは初めてだ。イ教授は「所得主導成長は賃金が上昇しても、投資、雇用、生産性が低下しなければ、効果があると言えるが、データ分析をしたところ、主要指標の伸びが鈍化していた」と指摘した」
生産性を上回る賃上げは、「賃金コスト」の上昇を招くから企業利益は減少する。よって投資や雇用が減って当然である。何も計量分析をしなくても出てくる結果である。ただ、データに裏付けられた分析だから、文氏に逃げ場はない。
(3)「イ教授らは、文在寅政権の発足前(2013年第1四半期-17年第2四半期)と発足後(17年第3四半期-18年第3四半期)の経済指標を比較分析した。その結果、現政権発足後、GDP成長率は0.13ポイント、投資伸び率は5.14ポイント、雇用伸び率は2.07ポイントそれぞれ低下した。政府・与党は所得主導成長による効果の証拠として、昨年の民間消費が2.8%伸びた点を挙げているが、学識者は「錯視」だと指摘する」
韓国国民は、文政権の「間違い政策」で大きな損害を被った。
GDP成長率は0.13%ポイント
投資伸び率は5.14%ポイント
雇用伸び率は2.07%ポイント
前記の中で、投資が5.14%ポイントも落込んだことは、今後さらなる負の効果が尾を引くという示唆だ。つまり、GDP成長率の低下の前兆である。
(4)「イ教授らの研究でも民間消費は1.14ポイント伸びていた。しかし、イ教授らは「国内消費が伸びたとは言えない」と断じた。輸入消費財を除けば、民間消費の成長率の伸びは0.46ポイントにすぎない。純粋な国内消費と言えるサービス分野の消費は減少したからだ。イ教授は「所得主導成長では国民の消費が再び国民の懐に戻ってくることが重要だ。民間消費の伸びはサービスなど国内消費の伸びによるものではないと推定され、内需増進効果はないと判断される」と指摘した」
要するに、文政権になって民間消費が1.14%ポイント伸びたが、輸入消費財を除けば、0.46%ポイントに過ぎない。これでは、5兆円の財政資金をつぎ込んでアルバイト雇用の長期化を図った効果はゼロに等しいことが判明した。次期政権が保守派になれば、この不透明な最賃大幅引上が問題化する。文氏は、首を洗って待つべきだ。





