米中貿易戦争で、中国の工作機械輸出が減少している。中国当局はこの穴を埋めるべく、高級工作機械を販売している日本・台湾メーカーにダンピング容疑の「濡れ衣」を着せて予備調査を始めるという。中国メーカーが製造できない高級工作機械を、日台企業がダンピングする必要性はゼロのはず。競合品がない市場で、ダンピングする理由のないのが経済学的な説明だ。中国当局は、国内メーカー保護のために「汚い手を使ってきた」。これが、率直な感想のようだ。
『日本経済新聞 電子版』(11月16日付)は、「中国当局が日台6社をサンプル調査、工作機械、米中摩擦余波か」と題する記事を掲載した。
(1)「中国商務省が日本や台湾の工作機械メーカーに対し反不当廉売(ダンピング)調査を始めた問題で、同省は16日までに、日台6社を選び販売価格などを調べる作業に入った。同省の調査を巡っては、米国の制裁関税で対米輸出が減った中国勢が、日台勢の失速を狙って同省に訴えたとの見方も浮上している。中国商務省は10月の反ダンピング調査の公告にあたり代表的な日系メーカーとしてブラザー工業、オークマ、ヤマザキマザック、ジェイテクト、ファナックの5社を挙げ、その他の日台のメーカーにも調査への協力を呼びかけていた」
日本の工作機械メーカーは、一流企業である。飛ぶように売れる高級工作機械を、なぜダンピングするのか。「売り手市場」で、ダンピングするなど荒唐無稽な話である。言いがかりである。
(2)「今後は日系メーカーに対しては3社を対象に1年ほどをかけ、販売価格が適正であったかなどを調査していく模様だ。サンプル調査は全体の調査の中で中心的な位置づけとなる。調査の結果、中国当局にダンピングの事実を認められた場合は、サンプル調査の対象にならなかったメーカーも含め制裁関税が課されることになるとみられる。中国商務省に反ダンピング調査を申請したのは、部品加工機械を手掛ける北京精雕科技集団(北京市)などの大手3社。中国メーカーは『立形マシニングセンター』と呼ばれる金属加工機について、日本や台湾のメーカーが中国国内で不当に安い値段で製品を販売していると主張している」
日本の工作機械メーカーは多量の受注残を抱えているほど。この状態で、安売りする動機がないのだ。安売りどころか値上げして利益率を上げる。それが、ビジネスというものだ。
(3)「日本貿易振興機構(ジェトロ)によると17年の中国の立形マシニングセンターの輸入台数のうち日本製が8割超、台湾製が1割弱を占めた。高度な加工が要求される製品の製造で、精度面で中国メーカーは日本メーカーに及ばないのが実情だ」
中国の工作機械は安物。日本は高級品。ランクが異なるから、日本製品は中国製品と競合するはずがない。大学生が、小学生と学力で競争ことがないのと同じ理屈だ。





