勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    天災か人災かで揉めていたラオス・ダム決壊事故で新たな動きが見られた。ラオス政府が事故原因調査委員会の設置に当たり、公平を期すべく韓国政府に参加を要請してきた。

     

    『中央日報』(8月5日付)は、「ラオス政府、ダム事故原因調査委員会を構成、韓国政府にも参加を要請」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「8月4日付の日刊『ビエンチャンタイムズ』によると、同国のエネルギー鉱山省の担当局長は『補助ダム事故原因を調査する委員会を構成し、任務を遂行する準備ができている』と話した。同局長は、『調査委員会はセピアン・セナムノイ水力発電所事業に株主として参加した企業が属する国も招請し、現場点検など惨事の原因を明らかにするための徹底した調査を進めるだろう』と明らかにした」

     

    ようやく、事故直後の感情の昂ぶりが鎮まって、冷静な事故原因究明に動き出したことは歓迎すべきである。

     

    (2)「この事業を受注したセピアン・セナムノイ・パワーカンパニー(PNPC)は、施工を担当したSK建設と韓国西部発電のほか、ラオス企業とタイ大手電力会社などが投資した。これとともに同局長は、『世界銀行と国際的に公認された他の独立専門家らも調査に参加するだろう』と説明した。ラオス政府のこうした措置は、調査の公正性と客観性を担保するためのものとみられる」

     

    工事に関係した企業以外に、世銀や国際的に公認された独立専門家らが参加する調査委員会を設置する。これは、関係者の揉め事を防ぐ意味でも重要である。問題は、事故の再発と被害者の早期救済である。

     

    (3)「この日、国営メディアであるビエンチャンタイムズが、トンルン首相が『補助ダム決壊の真の原因を調査し、豪雨によるものか、ダム建設に適用された技術基準によるものかを明らかにするだろう』と話したと報道したのも同じ脈絡と解説される。特に局長は、『洪水被害を受けた住民に最高の補償をするというのがラオス政府の確固とした方針だ。ダム開発会社と補償が公正に行われるよう最善を尽くすだろう』と話した。ラオス政府はまず被災者に世帯当たり約50万キープ(約570円)を提供するものと新華社通信が伝えた。一方、新華社通信はラオス救助当局の話として、先月23日ラオス南部アッタプー県で発生した補助ダム事故によりこれまでに子ども5人を含む23人が死亡したことが確認され、108人が行方不明状態だと報道した」

    ラオス政府は、まず被災者に世帯当たり約50万キープ(約570円)を提供するという。日本の感覚からすれば、信じられないほどの低い金額である。これは、ラオスの所得水準が低い結果だ。

     

    ここで、韓国とラオスの1人当たり名目GDP(2017年)を上げておく。

    ラオス   2542ドル

    韓国  2万9891ドル

     

    ラオスは、韓国の8.5%に過ぎない。逆に、韓国はラオスの11.75倍である。先の被災者の世帯当たりの補償金は約570円である。これを韓国レベルに換算すると、6697円である。仮に、人災という判定が出たとしても、SK建設とSK財閥の財力からすれば、支払い不能という金額ではなさそうだ。早期の解決を祈りたい。


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    中国は、意識して「二枚鑑札」を使い分けている。変幻自在だ。

     

    経済的には発展途上国(新興国)という。一人当たりGNI(国民所得)が、世界銀行の基準である1万2745ドル以下の8260ドル(2016年)を理由にしている。だが、政治的にはGDPが世界2位であることを理由に、昂然と胸を張って他国を圧迫する。米国は、こういう都合のいい使い分けに対して怒りを隠さないのだ。政治的に、自らを超大国として振舞っている以上、経済的には国際ルールを守れ、と言っている。

     

    米中貿易戦争は、中国が発展途上国として行動する「甘え」に対する米国の怒りの表明であろう。先進国から技術窃取するスパイ行為を止め、企業に見境なく補助金を与える行為も中止すること。米国の狙いはここにある以上、これをいかにして中国に自覚させるのか。その方法論が米国で議論されている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月1日付)は、「トランプ氏、対中交渉に乗り出すのは今」と題する寄稿を掲載した。筆者は、世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社ユーラシア・グループ会長クリフ・カプチャン氏と同社アジア担当ディレクターのマイケル・ハーソン氏である。

     

    (1)「中国政府は否定するものの、強制的な技術移転は、中国の巨大市場に参入するために米企業が頻繁に支払わされる不公正な代価となっている。米国はこの慣行をやめさせるべく、中国政府が国内システムの全当事者に明確な指示を出すよう今後も要求すべきだ。また中国は、国内ハイテク産業やその他の優遇産業に今も補助金を出している。中国で面会した人々は、米国はどうしてほしいのかと繰り返し聞いてきた」

     

    中国は、自らの行なっている経済行為がWTOに違反していることを知らないはずはない。知らない振りをしてやっていることは疑いない。この違法行為をどうやって止めさせるのか。この寄稿では、米国が中国へ圧力をかける一方では反発するから、話合い路線へ持っていけ、という主張である。だが、百戦錬磨の中国は、悪を承知でやっていること。これを説教だけで止めさせられるか。

     

    (2)「中国などの新興国では、政府の支援が経済の重要な構成要素となっている。だが、中国はもはや発展途上国とはいえないことを自覚する必要がある。その経済規模や政治的影響力は、途上国の範ちゅうをはるかに超えている。中国はむしろ、先進国市場が受け入れる国際的規範に従わなければならない。米国は同じ考えを持つ国々と協力し、中国の補助金を世界貿易機関(WTO)の基準に合わせるよう圧力をかけるほか、必要に応じてその基準を改革すべきだ」

     

    中国は、政治的に超大国の意識で振舞っている。米国覇権へ挑戦するという発言は、まさに超大国になったつもりだ。この政治意識を利用して、中国もWTO規則に則った行動に変えさせろと言っている。さて、中国がそこまで従順に路線変更するだろうか。


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    日本の株価の時価総額が8月2日、中国上海市場の時価総額を抜き返して世界2位になった。日本では、特段の注目も集めていないようだが、中国では関心を集めている。株価は、将来を含めたその国の経済力を映す鏡である。その鏡に映った中国経済は、GDP規模で言えば日本の2倍以上だが、株価の時価総額は逆の結果である。中国の人々が、慨嘆するのも当然であろう。

     

    以下の記事は、『レコードチャイナ』(8月3日付)「日本の株式時価総額が中国を超えて世界2位 『すごいぞ、わが国』と言っていたのにー中国ネット」の引用である。

     

    (1)「ブルームバーグ・ニュースでは、『2日連続(注:8月1~2日)の下落により中国の株式時価総額は6900億ドル(約676兆円)となったが、日本は61700億ドル(約685兆円)となった。日本の株式時価総額は中国を越え、世界第二の株式市場となり、米国の31兆ドル(約3441兆円)に次ぐ規模となった。中国の株式時価総額は、2014年に日本を超え、20156月には10兆ドル(約1100兆円)の過去最高を記録していた』と伝えた」

    このニュースは、私のブログでも速報した。

     

    (2)「これに対し、中国のネットユーザーから『別に何の問題もないと思う』『これが日米中の三国の経済全体の実力を本当の意味で体現しているのではないかと思う』『次はGDP(国内総生産)でも超えられてしまうのかな』などのコメントが寄せられ、驚くべきことではないとの意見が多かった」

     

    ここでは、中国経済の現状を知っている国民にとっては「当然」という受け止め方だ。それだけ、経済の実態が悪化しているに相違ない。

    (3)「しかし、『すごいぞ、わが国』(注:中国の国威発揚のPR映画。国民へ強制的に見させた)と言っていたのに、いったいどこへ行ってしまったのだ?といぶかるユーザーや、8月1日には米アップル社時価総額が約1兆ドルとなったためか、『わが国の株価は全部合わせてもアップル6社分にしかならないのか!?』とするコメントも寄せられた。ほかには、『日本はあんなに小さな国なのに。これはすごいと言わざるを得ない』『20年以上が過ぎて今振り返ると、日本が意図的にバブルを崩壊させたのは正しかったのだと思う』と書き込むユーザー見られた」

     

    なかなか正鵠を得た批判に驚かされる。極めてレベルの高い中国経済批判である。現在の中国経済が「バブル経済」であることを正確に認識していること。バブルは早期に正常化させないと、負の効果がスパイラル的に膨らむことも歴史から学んでいるのだ。習近平指導部の経済知識を超えており、これら優れた国民が経済運営のカギを握るべきなのだ。実は、市場経済システムとは、国民の正確な経済認識が価格に反映される基盤である。中国は、計画経済でこの貴重な機会を潰して暴走中である。


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    戦前の台湾と韓国は日本統治下にあったが、両国の対日感情は真逆である。台湾が「親日」である一方、韓国は筋金入りの「反日」である。韓国は未だに、世界中で慰安婦問題を取り上げ、そのシンボルに「少女像」を建てている。

     

    台湾は、時間が経つとともに「親日」の度合いを深めている。東日本大震災では、最大の義援金を贈ってくれるなど、愛情のこもった態度だ。実は、日台間の正式な外交関係は切れている。日中復交の際に「一つの中国論」によってやむなく台湾との外交関係は終わった。それは、表面的のことだ。日台の両政府は、民間レベルという形式にして、互いの「代表事務所」を置いて、連絡を取り合う関係だ。米台も同様の関係にある。

     

    韓国は、日本統治時代の公的建物は全て撤去した。旧朝鮮総督府の建物は、世界的に文化的意義があると海外から指摘されていた。だが、「日帝(日本帝国主義)時代の遺産は全て抹殺」という方針で解体された。現在は、地名や法律用語に使われている日本語も全て「追放」すると力んでいる。台湾は、旧台湾総督府の建物を台湾政府が使用し、旧台湾高等女学校の建物は国会が利用するという「親日」ぶりである。こういう流れで、台湾では日本統治時代の建物を修復し保存するという。

     

    台湾『中央社』(8月3日付)は、「日本統治時代の台北工場修復へ 来年末着工21年完成予定」と題する記事掲載した。

     

    「日本統治時代の鉄道整備工場『台北工場』(台北市)の修復工事が来年末にも開始されることが2日、分かった。台北市捷運工程局の担当者が明らかにした。工事には7000万台湾元(約2億5400万円)余りを投じる。2021年完成予定。清朝時代の『機器局』を前身とし、1909年の増築工事を経て鉄道車両やレールの整備工場になった。戦後、台湾鉄路管理局(台鉄)によってイベントホールとして使用された。建物の屋根の部分には、清朝時代の金属トラスがそのまま残っている。2010年に市定古跡に登録された。林欽栄・台北市副市長が視察に訪れ、建築の専門家などから説明を聞いた。捷運工程局の担当者によると、同局は来年5月に修復計画を文化局に提出し、審議を通過すれば工事を入札にかけるという」

    台湾では、日本統治時代の民家も多く保存されている。レンガ造りであるから耐久性に優れているのだろう。台湾が、2億5400万円もの公費をかけて保存しようとするのは、歴史を正視する姿勢によるものと思われる。韓国には絶対に見られない態度だ。歴史には、良いことも悪いこともある。これが織りなされて現在があるわけで、不都合な部分は消してしまうわけにはいかないのだ。韓国は、不都合な部分の存在すら認めない狭量な姿勢である。

     

    台湾企業と韓国企業を比較して気づくことは、台湾の積極性と韓国の消極性である。台湾は、戦前の日本の近代化教育を基盤にITなど独自の発展コースを辿っている。韓国は、日本の資本と技術で発展基盤を整えたが、次の発展コースに乗れず苦闘している。再び、「日本詣で」を始めるという不甲斐なさだ。結局は、「反日」という形で日本に甘えている構図に見える。思春期特有の精神状態であろう。ここから卒業して、「大人」にならなければ反日は収まるまい。

     

     

     

     


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    このダム決壊事故は、情報が少ないためにいろいろな説が飛び交っている。古い技術による施工などの情報も流れているほどだ。だが、建設を請け負ったSK建設は、韓国でダム工事首位のランクであり、韓国第3位の財閥であるSKブループに属する企業だ。無名の企業でないから、古い技術で施工する合理的な理由がない。

     

    『レコードチャイナ』(8月3日付)は、次のように伝えた。

     

    (1)「天災なのか、それとも人災なのか?ラオス南東部の水力発電用ダム決壊をめぐり、当事者間の言い分が大きく異なっている。ラオス政府は『欠陥工事による人災』と主張。韓国企業側は豪雨が原因で『ラオス側の対応が被害拡大をもたらした』との見解を示し、対立している。コンクリートダムではなく、粘土をコアにした石積みによるアースフィルダムで、韓国大手財閥SKグループのSK建設と韓国西部発電、タイ政府系の発電大手ラチャブリ電力、ラオスの国営企業が合弁で建設。2013年に着工し、19年の稼働を目指していた」

    完工目前であったようだ。すでに、水を貯めており下請け業者も撤収していたという。腑に落ちないのは、ラオス側が事故調査も済まない早期段階で、「欠陥工事」と決めつけている点だ。人災ゆえに補償は「天災と異なり上乗せ」とも主張しており、「金目当て」という感じもする。少なくも、中立を保つべきラオス政府の言うべきことではあるまい。


    (2)「現地からの報道を総合すると、7月20日、貯水池造成のために建設した五つの補助ダムの一つが豪雨で約11センチ沈下。沈下は許容範囲内だったため措置を取らなかったが、22日になってダム上段部10カ所に拡大し、翌日の23日午前11時にはダム上段部が約1メートル沈下したことから、午後2時半に補修作業に着手しようとしたところ、沈下が加速してダムの一部が壊れたという」

     

     5つの補助ダムのうち一つが決壊した。手抜き工事とすれば、他も疑われるはずだが、なぜこのダムだけを手抜きと断定するのか。沈下が許容範囲というダムがあるのか。工事発注側も最初から「ゆるい基準のダム」とすれば、決壊も想定していた感じがする。不思議なダムである。
     
    (3)「ラオス紙によると、同国のエネルギー鉱山相は『規格に満たない工事と予想以上の豪雨が原因であるようだ。補助ダムに亀裂が入り、この隙間から水が漏れてダムを決壊させるほど大きい穴が生じた』と主張。副首相も『洪水はダムに生じた亀裂のために起きた。被害者への補償も一般的な自然災害の場合とは異なるべきだ』などと強調した」

     

    ラオス政府側は、規格が満たないダム工事であると決めつけている。まだ、現地調査されたという情報は出ていない。盲めっぽうに言っている感じもする。要するに、悪意に解釈すれば、最初から「賠償金目当て」という感じが否めないのだ。このラオス・ダム決壊情報を10日間も扱ってきて、私は大いなる疑問を持つにいたった。SK建設が食い物にされ始めた印象が強い。

     

    (4)「SK建設は決壊が発生した理由として連日の豪雨を指摘。聯合ニュースによると。調査報告で同社は『ラオス当局に連絡して近隣住民を避難させるよう求めた。23日午後6時ごろ、責任者が建設現場職員に避難完了を知らせた後、同8時ごろに大規模な決壊が発生し、多くの死者と行方不明者を出した』とし、『当局や現地住民の事故抑止意識の低さが大きな被害につながった』などと反論している」

    SK建設側は、豪雨が続いていたので早期に避難通知を出すよう、ラオス側に求めていた。その点で、住民への連絡が遅れたと主張している。決壊2時間前に連絡済みとしているからだ。このダム決壊事故は、まだ真相は闇である。賠償金問題よりも事故原因の究明が先のはずだ。補償は二段構えで行なうべきで、最初から「人災」扱いでなく、まず「天災」基準で行なえば、補償は迅速に進むように思える。


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