勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    TSMC(台湾積体電路製造)は5日、熊本県菊陽町で人工知能(AI)向け半導体の生産を検討すると表明した。回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの工場建設を計画。九州に世界最先端レベルの製造拠点ができる。TSMCとの取引を目指す企業には、これまで以上に厳しい技術や品質管理が求められる。関連産業の誘致も課題だ。熊本県は、TSMC工場周辺に半導体関連企業やAI関連のスタートアップを呼び込み、起爆剤としたい考えだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月6日付)は、「TSMCの熊本AI半導体、供給網の覚悟問う 技術・品質より高く」と題する記事を掲載した。

     

    九州にある半導体製造装置部品の関連企業トップは1月、TSMCの計画変更を見据え「従来の2.5〜3倍となる10億円規模を投資しないと追いつかない」。早くも、こうそろばんをはじき出した。

     

    (1)「TSMCが2025年10月に着工した熊本第2工場(同町)では、従来は車載向けや通信機器などに適する6〜40ナノ品を造る予定だった。新たに検討する3ナノは同社が25年に量産を始めた2ナノ品に次ぐ高度な技術だ。携わるサプライヤーもより大規模な設備投資が必要で、部品の扱いなども気を使う作業が求められる。先端半導体はわずかなチリやホコリの付着も許されない。この企業トップは、「納品する装置部品の清浄度のチェックがより厳しくなる。高価なパーティカルカウンター(微粒子計測器)も用意する必要がある」と身構える」

     

    第2工場は、3ナノ製造である。携わるサプライヤーは、より大規模な設備投資が必要で、部品の扱いなども気を使う作業が求められる。技術の向上が必須要件になる。

     

    (2)「装置部品を拭き取る際に使うアルコールは、揮発しやすい高級品に切り替え、製造や加工に用いる純水や薬液も高機能品に変える必要があるという。「自社工場や搬送車両にも高度なクリーンルームなどの設備が必要になりそう」と話し、新工場の建設や新卒採用にも意欲を示す。TSMCがサプライヤー企業に求める技術や品質管理の水準は高い。TSMC熊本工場の運営子会社JASM(同町)は半導体素材などのサプライチェーン(供給網)について、国内調達比率を30年に60%程度に高める目標を掲げる。だが先端半導体の工場と取引するなら、対応できる国内企業はより限られる可能性もある」

     

    第二工場は、半導体素材などのサプライチェーン(供給網)について、国内調達比率を30年に60%程度に高める目標を掲げる。地元は、これに応えられる技術が求められる。ラピダスは、2ナノである。前工程と後工程の全自動化を目指している。

     

    (3)「それでも多くの手間やコストをかけてTSMCの要求に食らいつくサプライヤー企業があるのは、世界的に需要が高いAI半導体市場の恩恵を期待するからだ。TSMCの魏哲家董事長兼最高経営責任者(CEO)は5日、首相官邸で高市早苗首相と面会し、熊本第2工場の検討内容について説明した。魏氏は、「3ナノ技術はAIやスマートフォン製品に使う最先端のプロセスだ。地域経済の成長にさらに貢献し、日本のAIビジネスの基盤を形成すると確信している」と話した」

     

    TSMCは、3ナノ生産で地域経済の成長と日本のAIビジネスの基盤形成に貢献すると発言している。このチャンスを生かすことで、日本経済に寄与する。

     

    (4)「世界最先端の半導体工場が九州に建つことに地元の期待も大きい。熊本県の木村敬知事は5日、「生成AIや自動運転など未来の産業を生み出したい」との考えを示した。TSMC工場周辺に半導体関連企業やAI関連のスタートアップを呼び込む起爆剤としたい考えだ。九州地銀の関係者は「(最先端半導体の国産化を目指す)ラピダスとかぶらない技術になってよかったのでは」と話す。熊本第2工場の生産品目は2ナノ品になるとの見方も一時浮上していた。同じ2ナノを手がけるラピダスとの競合が懸念されていた」

     

    地元は、生成AIや自動運転など未来の産業を育成したとしている。これが、起爆剤になることは確実だ。

     

     

     

     

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    中国EV(電気自動車)は、メーカーも消費者も政府補助金という大きな支えによって急成長してきた。だが、財政上の理由から両補助金は中止の方向である。これが、メーカーを直撃している。過剰生産による乱売合戦が、恒常化している上に、コストアップ要因がのし掛って生きたからだ。国内で、長期的に利益が出るか疑問視されるほど、過激な競争を繰り広げている。どれだけ、資源の無駄使いになっているか驚くほかない。

     

    『ブルームバーグ』(2月6日付)は、「中、EV巡る投資家の不安裏付け-需要悪化とメモリー高騰で株価下落」と題する記事を掲載した。

     

    中国で電気自動車(EV)セクターの利益見通しを巡る投資家の不安が、BYD(比亜迪)株の止まらない売りによって浮き彫りになっている。国内需要の冷え込みと原材料費の急騰が重なり、見通しの大幅見直しは必至だ。

     

    (1)「BYDの香港上場株は今週、下落。期待外れの販売データが響き、昨年5月から時価総額を600億ドル(約9兆4000億円)余り押し下げてきた売り局面が続いている。この低迷は、他のEVメーカーにも波及し、税制を巡る新たな懸念や人工知能(AI)による事業混乱への不安に直面する株式相場の重石となっている。それでも、需要悪化のペースは多くの市場参加者の想定を超えている。加えて、電池材料や半導体メモリーのコスト高騰が、自動車メーカーの利益率をさらに圧迫する可能性が高い」

     

    BYDは、政府から支払手形の短縮化という問題を突きつけられている。これまでの野放図な200日以上の手形期間が、60日に縮めるよう求められているもの。この結果、販売戦線の縮小を迫られている。これは、他の自動車メーカーも同じである。

     

    (2)「CLSA香港の中国産業リサーチ共同責任者、シアオ・フォン氏は「投資家心理が極めてネガティブだ」と指摘。「より深刻なのは、今年に入って大規模な業績予想の下方修正が相次ぎ、中国国内市場でEVメーカーが長期的に利益を生み出せるのか疑問が高まることだ」と語った。輸出は引き続き明るい材料だが、中国の自動車メーカーは依然として競争の激しい国内市場への依存度が高く、消費者心理は慎重なままだ」

     

    EV業界は、完全に成長企業ではなくなった。国内市場が、乱売戦の舞台であるからだ。これまでの過剰生産体制からの脱却が不可能になっている。

     

    (3)「モルガン・スタンレーによると、多くの国内メーカーは今年13月期の販売台数が前期比で30~40%減少すると見込んでいる。1月の販売動向は、EV業界のトップ企業でさえ安泰ではないことを示した。BYDの国内出荷台数は、前年同月比で半減し10万9569台。小鵬汽車は総出荷台数が30%余り減少したと報告した。投資家にとってより大きな懸念は、原材料費の急騰が利益に与える影響だ。EVメーカーは、買い手を引き付けるための販売促進活動で依然として資金を消耗している」

     

    今年13月期の販売台数が、前期比で30~40%減少すると見込まれている。これは、「急減」というべき現象である。この落ち込み分が、ダンピング輸出として海外へ押し出されることになろう。

     

    (4)「EV用電池に使われるリチウムの価格は、ここ3ヶ月で倍以上に上昇し、銅やアルミニウムも高騰している。半導体メモリーの需給逼迫により、インテリジェント車両向け部品のコストも上がっている。アバディーン・インベストメンツで中国株の投資マネジャーを務めるジョアン・チェン氏は、「コストインフレが最大のリスクだ」と述べ、「競争が激しい中で、自動車OEM(相手先ブランドによる生産)がコストを小売価格に転嫁できるかどうかが問われている」との見方を示した」

     

    EVの部品コストが軒並み上がっている。リチウム・銅・アルミニウム・半導体がコストアップ要因だ。販売台数が減る一方で、コストアップが直撃するので、利益など出るはずがない。

     

    (5)「市場予想では、車両1台当たりの追加コストは一部の高級モデルで約1000ドル、あるいはそれ以上に達する可能性がある。バーンスタインの調査によれば、利益率の低い量販ブランドである小鵬汽車と理想汽車、蔚来汽車(NIO)は影響を受けやすいが、BYDは部品の内製化により相対的に有利な立場にある。業界には前向きな動きもある。カナダや欧州連合(EU)と中国の通商関係改善が進むとの兆しは、輸出の勢いが続くとの期待を高めている。自動車メーカーはAIや人型ロボット、ロボタクシーといった新興テクノロジー分野にも進出しており、これも株価の押し上げ要因となり得る」

     

    車両1台当たりの追加コストは、一部の高級モデルで約1000ドル、あるいはそれ以上に達するという。これでは、作れば作るほど赤字になりかねない。乱売合戦は、こういう形で終息に向うほかない。

     

    テイカカズラ
       

    高市人気の秘密は、どこのあるのか。2カ所での選挙演説をすべてユーチューブで聴いた感想は、言葉に無駄がないことだ。聴衆を聞き飽きさせない「話術」は、歴代首相の中ではピカイチであろう。人気が出るのは自然な感じである。戦後の首相では、石橋湛山の演説も聞く者を引きつけた。夢を語り希望を持たせたからだ。高市人気の秘密は、この「希望」で聴衆に夢を与えているのかも知れない。若い層での人気がトップというのは、こういう背景であろう。

     

    高市人気が、そのまま選挙結果に現れると、自民党単独で過半数超えになる。このことから、連立の組み替え予想が出てきた。参院での過半数維持には、国民民主党を連立に引き入れることが必要という根拠である。さて、どうなるか。

     

    『毎日新聞 電子版』(2月6日付)は、「自民単独過半数なら『高市カラー』加速 連立組み替えも選択肢に」と題する記事を掲載した。

     

    毎日新聞が実施した衆院選(8日投開票)の終盤情勢調査では、自民党が単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢いとなっている。一方、立憲民主党と公明党が結成した新党・中道改革連合は大きく議席を減らす公算が大きい。選挙結果が今後の政権の行方を左右するが、想定される衆院選後の動きをシミュレーションした。

     

    (1)「国旗損壊罪を新設する刑法改正案やスパイ防止法案など与野党対決が想定される法案は、日本維新の会との連立政権合意に盛り込まれていたが、成立の見通しが立っていなかった。だが、自民党が単独で過半数を得て大勝した場合、高市早苗首相(自民総裁)はこうした保守色の強い肝いり政策を推進するとみられる。政権基盤が安定し、強気の政権運営ができるようになれば、維新の存在感が低下する可能性がある」

     

    自民党の過半数超えが実現すれば、強気の政権運営になるのは予想できる。それが、維新の存在感を低下させる。物理現象であろう。

     

    (2)「第2次高市内閣が発足すれば、まずは衆院解散で遅れている2026年度当初予算案の審議を急ぐことになる。予算軽視の「自己都合解散」との批判を避けるため、中道改革連合の枝野幸男氏が就いていた衆院予算委員長ポストを自民が奪還し、「スピード成立」を目指す。それでも、年度内成立は極めて困難だ。4月以降にずれ込めば、成立までの「つなぎ」として必要最小限の経費を計上する「暫定予算案」で対応することになる。予算審議後には、インテリジェンス(情報収集・分析)の司令塔機能を担う「国家情報局」の設置など「高市カラー」の強い法案の審議が本格化するとみられる。1月段階では政府提出法案のリストで、旧姓の通称使用の法制化法案や、旧宮家出身の男系男子が養子として皇室に入る案を「第一優先」とする皇室典範改正案は「検討中」とされた。選挙結果を「民意」として、法案提出の動きが加速する可能性がある」

     

    保守色の強い法案が、提出されるという。「国家情報局」は、日本がスパイの巣になっている現状を放置するかどうかという視点の問題だ。国家情報局は、戦時中のイメージが暗すぎることからくる反対論もあるであろう。

     

    (3)「日本の国旗を損壊したり汚したりした場合に刑事罰を科す国旗損壊罪の新設は、衆院選の第一声で訴えた。首相は1月27日、東京・秋葉原の街頭演説で、刑法改正案を審議する衆院法務委員長ポストを「最も反対しそうな党(中道)」に握られており、法案提出は「今年の国会では諦めざるを得なかった」と悔しさをにじませた。衆院選で与党の議席数が、委員長ポストを与党が独占できる安定多数(243議席)、さらに全委員会で過半数を得られる絶対安定多数(261議席)を超えれば、法改正の動きが加速する見通しだ」

     

    国旗損壊罪の新設は、どこの国でも行っていることであろう。国旗を大切にすることは、日本人として自然の行為であろう。外国人も同様である。

     

    (4)「政権内にも慎重論があったスパイ防止法も、検討が進むとみられる。また、首相が「悲願」と言及した飲食料品の「2年間消費税ゼロ」について、首相がどこまで実現に向けた動きを具体化するかも焦点となる。一方、参院では与党が過半数に満たない「衆参ねじれ」の状況が続くため、法案成立には野党との連携が必要となる。もっとも、衆院選で与党が3分の2(310議席)を超えた場合、参院で法案を否決されても、衆院で再可決して成立させることが可能となる。参院で野党の賛同が得られない場合でも、与党が衆院で強引に「数の力」で押し切ることもできる」

     

    2年間消費税ゼロは、財政政策上も止めた方が無難である。低所得者保護という理由だが、富裕者はこれによって大きな利益を得る点で、不平等拡大になる。それよりも、物価引下げ策のほうがどれだけ有益かである。

     

    (5)「自民が政権の足場を固めれば、維新が「連立の絶対条件」としてきた衆院議員定数の削減や、首都機能のバックアップを図る「副首都構想」は実現の機運が弱まる可能性がある。定数削減は昨秋の臨時国会で法案審議に入れず、さらに結論が先送りされれば、維新内で連立離脱論が再燃しかねない。ただし、与党が少数の参院で国民民主会派(25議席)の協力が得られれば、自民会派の101議席と合わせて過半数(125議席)に届く。衆院で自民が多数を確保すれば、連立の組み替えも選択肢に浮上する。組み替えに至らなくとも、自民が政策ごとに維新と国民民主をてんびんにかけ、取り込みを図る戦略を取ることも想定される」

     

    国会の定数削減問題は、自民党が絶対多数を握れば猛反対が出るだろう。幅広い民意を聞くという視点から言えば、本筋論から外れている。少数意見を反映した「少数政党」も必要であるからだ。それが、国民の政治への関心を高める手段になる。

     

     

     

     

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    8日の衆院選は、自民党が圧勝する勢いである。日本初の女性首相という「新鮮さ」も加わり、特に働く女性からの支持が圧倒的という。高市氏が出席する集会は、どこでも超満員だ。高市氏は、握手攻めになって指を痛めたと報じられているが、それほど高い人気を得ている。問題は、「積極的財政政策」が円安の引き金にならないかという、懸念である。そうなると、せっかくの「高市人気」が萎んで批判の対象になる。選挙後の経済政策によって、長期政権かどうかが決まるであろう。

     

    『ロイター』(2月6日付)は、「高市首相人気の要因と課題 選挙後に待つ『ジレンマ』」と題する記事を掲載した。

     

    高市早苗首相(自民党総裁)が8日投開票の衆議院選で大勝する公算が高まっている。報道各社は終盤情勢調査で自民の勢いが維持され、議席を大きく積み増す見通しだと伝えた。一昨年から大型選挙で連敗を喫してきた自民が支持を急回復している最大の要因は高市氏の人気によるものと言えそうだ。複数の関係者への取材から、高市氏が有権者に受け入れられる要因と今後の課題を探った。

     

    (1)「衆院選が公示された1月27日、東京都のJR秋葉原駅前でマイクを握った高市氏の第一声は、「日本列島を強く豊かに」から始まった。奈良県のサラリーマン家庭で育ったこと、地盤や知名度もない中で32年前に国政に打って出たこと、3回目の挑戦でようやく首相の座をつかんだことなど、演説は自身の生い立ちをたどるように続く。歴代首相の訴えに比べれば、個人的な内容が前面に出過ぎていると感じられるかもしれない。

    そこから高市氏は政策を畳みかける。「責任ある積極財政の肝は危機管理投資と成長投資だ」と口火を切り、「完全閉鎖型の植物工場」「次世代革新炉」「フュージョン(核融合)エネルギー」「サイバーセキュリティー」「特定の国に頼らないサプライチェーン(供給網)の構築」など、規模の大小を問わず具体策を列挙した。一国の首相の演説にしては各論に入り過ぎているとも見られかねない」

     

    現場で、高市氏の演説が聞こえるような感じだ。

     

    (2)「ただ、この演説に聴衆は熱狂した。「挑戦しない国に未来はありません」「皆様と一緒に未来をつくります。どうか力を貸してください。一緒に戦ってください」。高市氏が叫ぶと、演説会場は拍手に包まれた。「前回の衆院選と聴衆の反応が全然違う」と声を弾ませた候補者もいた。高市氏の政策に精通する政権幹部の一人は、「演説ではストーリーを伝えることを非常に重視している」と明かす。自身の政治家としての原点や抱いた問題意識を紹介した上で、自らの政策を実現するため挑戦を重ねて首相になり、議会で多数を獲得するため党幹部にも相談せず解散総選挙に打って出た「強い思い」につなげる。このストーリーが高市氏の演説に一貫して裏打ちされている。わかりやすいストーリーと、将来への希望を抱かせる言い回しが有権者に響いているという」

     

    高石市は、聴衆の反応を得るツボを心得ている。元ニュースキャスターの経験が生きているのであろう。

     

    (3)「ソーシャルメディア(SNS)での発信も力の源泉の一つになっているようだ。高市氏によるXでの配信の特徴は、その文面の長さにある。候補者の応援演説を紹介する投稿にも、細かい政策を長文で書き加える。最初は文章が長すぎて本当に読まれるのかと思ったが、これが若者を中心に響いている」と、前出の政権幹部は手ごたえをつかむ。政治家本人による発信に重きが置かれる時代背景もあり、「有権者はテレビや新聞ではなくSNSで情報を得る。国民民主党の玉木雄一郎代表も自身で政策を発信して支持を拡大した。高市氏も同じ手法だ」と指摘する」

     

    SNSで、若者の心を掴んでいる。新しい時代の選挙戦術を身につけている。

     

    (4)「実際、NHKの年代別政党支持率でも自民は全世代で1位を獲得し、1829歳の31.8%、30代の32.5%が支持している。こうした若者層はこれまで国民民主や参政党を支持していた層とも重なる。政府関係者は「高市氏が自身を前面に出し『私でいいのかを決める選挙』にしたことで自民党から離れた保守層と現役世代を中心とした無党派層の支持が一気に集まった」と解説した」

     

    高市氏は、自民党から離れた人たちを引き戻している。多党化といわれ始めた世評を覆している。

     

    (5)「ただ、高市氏の本当の戦いはむしろ選挙後に始まるのかもしれない。自民が大勝すれば高市氏が掲げる政策への期待感はより高まることになる。実際、高市氏が消費減税を選挙公約に掲げたことをきっかけに、財政見通しへの懸念から円安・債券安が続いている。こうした地合いが長期化し、物価高や金利上昇による生活への悪影響がさらに深刻化すれば、有権者の熱狂に冷や水を浴びせかねない」

     

    金融市場が、積極的財政政策をどう評価するかがポイントである。円安へシフトすれば、物価高へ拍車を掛けるからだ。

     

    (6)「自民にとっては、「高市人気」を背景に選挙で大勝することは吉報だろう。ただ、政策実現への期待が高まれば高まるほど、高市氏は市場と米国のプレッシャーをより強く受けることになる、と前出の政府関係者は語った。「選挙後、高市氏は壮大なジレンマと戦うことになるだろう」と危惧する」

     

    このまま円安が進めば、米国との間で摩擦が起る。高市氏は、米国との関係も目配りせざるをえなくなろう。高市氏の鬼門は、金融市場にありそうだ。

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    中国は、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に強く反発し、軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制にまでエスカレートした。悪化した関係を修復する糸口は、見いだせるのか。2月8日の衆院選では、自民党「大勝」の予測が増えている。この予測通になれば、中国の経済的威圧は緩むのか。中国は、日中の経済力からみて自国が断然有利であり、「日本威圧」政策を変えないという。傲慢姿勢の継続である。

     

    レアアースをめぐっては、状況が着々と変ってきた。米国の主導する重要鉱物「特恵貿易圏」構想が軌道に乗ると、日本が化学的精錬法を発展途上国へ供与することで、レアアース生産が増えるからだ。このレアアースが、関税無税・最低価格維持である特恵貿易圏へ出荷されて、対中国取引からシフトすることになる。中国は、こうして需要先を失うと同時に市場操作効果が減殺される。結果として、西側諸国はレアアース不足と価格変動に悩まされることから開放されることになろう。要するに、中国のレアアース世界市場支配力が大きく後退するのだ。中国は、こういう日米合体の戦略が進んでいることを知らずに「太平楽」を口にしている。

     

    『毎日新聞 電信版』(2月5日付)は、「日本の『大ばくち』注視する中国 長期戦でも国力差と国際情勢に自信」と題する記事を掲載した。

     

    台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に中国は強く反発し、軍民両用(デュアルユース)品の対日輸出規制にまでエスカレートした。悪化した関係を修復する糸口は見いだせるのか。

     

    (1)「中国外務省の報道官は127日の記者会見で、「日本側の言動は『再軍備化』を推進し、戦後秩序に挑戦しようとする右翼勢力の野心を再度さらけ出すものだ」。前日の民放番組での首相発言を念頭にこう述べた。習近平指導部は、訪日旅行やレアアース(希土類)を武器とする経済的威圧で日本世論を揺さぶり、高市首相を追い詰めようとしてきた。しかし、総選挙で自民党が大勝すれば、強硬姿勢が結果として「裏目」に出ることになりかねない」

     

    中国は、日本が軍備を持たないことを理想的な「平和主義」とみている。中国が、日本を威嚇し放題になるからだ。だが、自衛権は国家固有の権利である。日本は、中国の言いなりになるわけにはいかないのだ。

     

    (2)「中国国内の報道ぶりは、「高市首相の支持率急落」「台湾問題で再び妄言」などと、高市政権の敗北を期待するかのような否定的内容が目立つ。公明党と立憲民主党が結成した新党「中道改革連合」についても、新華社通信は「両党が手を結び、高市政権を『苦境』に追い込めるか」と題する記事を配信した。一方、専門家の間では、高市首相の高い支持率や日本の厳しい対中世論という現実を直視すべきだとする声も上がる」

     

    日本の国民世論が、何を選択するか。中国は、その帰趨に従うべきだろう。

     

    (3)「中国国際問題研究院アジア太平洋研究所の項昊宇・特任研究員は、中国メディアの取材に「どのような選挙結果であろうと、短期的に日本の対中政策に大きな変化は起こりえない。我々は高い警戒心を保たなければならない」と分析した。ベテラン記者による時事評論コラム「牛弾琴」は、「(高市政権の)惨敗が喜ばしいが、率直に言えばその可能性は最も低い。我々は現実離れした幻想を抱いてはならない」と指摘。そのうえで「例え我々が嫌いでも、日本人の高市支持は高い。それが意味するのは、長期的な闘争になるということだ。我々は完全に自信がある。今の中国は昔とは違う」と強調した」

     

    中国時事評論では、「我々は完全に自信がある。今の中国は昔とは違う」と粋がっている。ならばお尋ねする。最近の、人民解放軍の粛清騒ぎは何を意味するかだ。歴史的に言えば、粛清は、政治的混乱の表れである。清朝末期もそうだった。中国内部は今、腐敗が急速に進行しているのだ。これも、「凶兆」の一つである。

     

    (4)「かつて習指導部は、高市首相と政治信条が近い安倍晋三政権との間で関係改善を果たしたが、その過程には数年を要した。中国からすれば、日中関係の冷え込みが国内経済に悪影響を及ぼす事態は望ましくない。ただ、長期戦になれば、国力で圧倒する自国に有利との計算があるようだ。今や国内総生産(GDP)は日本の約5倍に達し、巨大市場や重要な供給網も掌握している」

     

    日中対立が長期戦になれば、いまの経済威圧の継続であろう。さらに強化すれば、日本も輸出規制で対抗するほかない。これはGDP規模の問題ではなく、日本が中国の必需品を握っていることだ。高速鉄道のベアリングや半導体素材である。

     

    (5)「中国にとっては、最大のライバルである米国と「休戦」に持ち込んでいることが何より大きい。4月の訪中を成功させたいトランプ氏は、習氏を刺激する言動を避けている。米国防総省が1月に公表した国家防衛戦略(NDS)は「台湾」に直接言及しなかった。トランプ政権が対中取引(ディール)に前のめりになり、主要な先進国が「中国詣で」をする状況は、習指導部に外交的余裕を生んでいる。日中関係筋は「日本以外の西側との関係が安定しているだけに、日本との関係を動かす必要性を感じていないのではないか」と警戒心を示した」

     

    米中「休戦」は、表面的なことだ。米国は、着々と中国勢力駆逐策を取っている。米国の対中戦略の「凄さ」は、黙って実行していることだ。他国との間では「舌戦」を展開しているが、「口先」だけである。収まる所へ収まっている。舌戦は国内向けの政治ショーである。対中政策だけは全く異なる。沈黙を守りつつ要所、要所を締付けている。ベネズエラ急襲は、中国への見せしめである。台湾侵攻作戦をすれば、こうなるという事例である。


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