勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    日本が、国産技術で開発した曲がる電池ペロブスカイトの実装が始まった。「曲がる電池」であることから分かるように軽量である。従来の太陽光パネルと比べれば、比較にならない軽量である。どこの屋根にも設置できることから、今後の普及が期待されている。

     

    東京都は、都立高校や特別支援学校への太陽光発電設備の導入を加速する。耐荷重やスペースの問題で設置できない学校もあったが、軽量で曲げられるパネルが誕生し、比較的低コストでの導入が可能になった。学校施設は災害時の緊急避難先としても活用されるため、自前での電力の供給能力向上への期待は強い。田無工科高校の場合、初期費用は5年程度で回収できるという。現在の耐用年数は15年程度だが、2030年をメドの20年を目標にしている。発電能力が低下すれば、その上に新規のペロブスカイトを貼れば済むという。工事が簡単であることが魅力であろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(4月10日付)は、「曲がる太陽光パネル 都立高への導入加速 軽量・低コスト 避難所機能も向上」と題する記事を掲載した。

     

    新しいタイプのパネルを活用した太陽光発電設備の第1号となるのが、都立田無工科高校で、4月から発電と蓄電が始まった。パネルの設置場所は体育館の屋根で、丸い形状に合わせて、折り曲げられる軽量パネルが使われた。蓄電池も含めた導入費用は3000万円程度で、工期は2カ月ほど。

     

    (1)「都は、1994年度から都立高校などで太陽光パネルの設置を進め、都内の教育施設での設置率は65%になっている。ただ従来型のパネルは重量が大きく、平らな場所でないと設置できないため、これ以上の上積みが難しかった。HESTA大倉のパネルは薄く軽く、折り曲げられる。都の坂本雅彦教育長は、「丸型の屋根や壁面にも設置できる。田無工科高校の場合、初期費用は5年程度で回収できる。比較的低コストで導入できるのも魅力」と話す。すでに設置済みのパネルの中には、劣化して発電量が落ちるものもあるが、こうした古いパネルへの上張りも可能だ」

     

    初期費用は、5年程度で回収できるという。劣化して発電量が落ちるものは、古いパネルへの上張りも可能だという。これは、便利である。

     

    (2)「都は都立学校を、地震など自然災害時の緊急避難場所に想定している。太陽光発電の設備が充実すれば、避難場所としての機能も向上する。田無工科高校に続き、まだ太陽光発電設備のない高校や特別支援学校にも、条件が整えば順次導入を進める。都は小池百合子知事の政策で、新築戸建て住宅に太陽光発電設備の設置を義務付けている。都立高校が率先して動くことで、「東京の区立、市立の小中学校や私立中高でも導入機運が高まる可能性がある」(坂本教育長)とみている」

     

    東京都は、すでに新築戸建て住宅に太陽光発電設備の設置を義務付けている。曲がる電池ペロブスカイトの登場で、設置場所はさらに広がるであろう。

     

    「劣化したら上から貼るだけ」は、太陽光のビジネスモデルを根底から変えるものだ。従来のシリコンパネルは、重い、固い、交換には足場・工事が必要、廃棄コストが高いなどの難点があった。これに対し、フィルム型ペロブスカイトは、軽い、曲がる、施工が簡単、廃棄が容易、上から重ね貼りできるなどの多くの利点を持っている。「太陽光=建設業」から「太陽光=シール貼り」へという転換の可能性を秘めている。これは、太陽光の普及速度を桁違いに加速させるとみられる。

     

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    中国は、イラン戦争を巡って異例の外交的介入に乗り出した。イランへ米国との協議に応じるよう働きかけたからだ。中国の役割は、決定的なものではなかったが、トランプ米大統領の訪中を目前にして、「ご機嫌取り」に全力投球している形である。中国経済の疲弊が深刻であるだけに、障害になるものは全て取り除き、名実共に「赤い絨毯」を敷こうと腐心している。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月10日付)は、「中国のイラン外交、トランプ氏の歓心買い『実利』狙う」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ氏はイランを交渉の場に引っ張り出したとして中国を名指しで称賛した。ホワイトハウスによると、米中は両国政府の「トップレベル」で停戦案を協議したという。こうした急展開の外交協力は、来月に予定されるトランプ氏の訪中のお膳立てをするための計算された戦略のように見える。習氏は今、仲介役を果たすことで、米中首脳会談への前向きな機運を生み出している。習氏は首脳会談で、地政学面での米国への貢献と引き換えに、関税やハイテク製品輸出規制の緩和、さらには台湾の独立性に関して米国のより積極的な反対姿勢を引き出したいと考えている。

     

    (1)「元安全保障担当の高官で現在はジョージタウン大学の教授を務めるエバン・メデイロス氏は、「中国政府の外交はホワイトハウスにメッセージを送ることを意図している」と、指摘した。そのメッセージとは、「中国が台湾海峡とホルムズ海峡に関して理性的になれるのであれば、トランプ氏も中国にとっての核心的利益に関する問題について同等の協力姿勢を示すべきだというものだ」と同氏は述べた。中国政府当局者らは、王毅外相が自国を仲介役に位置付けるために、関係各国の外相と26回にわたって電話協議を行ったことを明らかにした」

     

    中国は、米国に良いイメージを与えるべく奔走している。ホルムズ海峡問題に対して冷静に対応して、台湾海峡でも同様に振舞う印象を与えようとしているというものだ。

     

    (2)「中国の外交的な働きかけは、中東にとどまらず、はるかに広い地域で行われている。中国政府は5月14、15両日に予定されているトランプ氏と習氏の首脳会談を前に、中国がトランプ氏の広範な外交目標のために役立つことを示すため、多方面に向けた取り組みを行っている。王氏は9日、平壌へ向かった。この2日間の訪問は、習氏による平壌への公式訪問に先駆けて行われたとみられている。アナリストはこの訪問について、北朝鮮の核開発計画や地域の安全保障に関する交渉が行われる際には中国が依然、不可欠な存在だというホワイトハウス向けのシグナルだと指摘する」

     

    中国は、北朝鮮も引きつけておく工作を始めた。米国の対北朝鮮では、中国の存在を無視できぬようにするためだ。

     

    (3)「これに加え、台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席(党首)が今週、習氏に招待された「平和使節団」として訪中した。国民党党首の中国本土訪問は10年ぶりだ。中国政府はイラン危機で仲介役を務めながら、台湾野党との対話を促進することで、責任を持って地域に安定をもたらせる存在として自国を位置付けようとしている。中国の全ての重要問題の中でも、究極的に重要なのは台湾だ。『ウォール・ストリート・ジャーナルWSJ)の報道によると、習氏はトランプ氏との首脳会談を利用して、米国の政策を中国の見方に転換させる糸口にしたいと考えている」

     

    中国は、台湾野党代表を大陸へ招いて「平和外交」を演出している。中国が、台湾との対話を重視しているポーズを見せるためだ。

     

    (4)「中国は台湾を、本土から分離した、いずれ再統一されるべき省だと考えている。台湾の自治に対する米国の支持が揺らげば、台湾政府内で、何らかの形の再統一が避けられないとの考えが強まる可能性がある。中国の専門家らによると、中国政府は、イランの停戦における自らの役割とともに、台湾国民党の「平和使節団」について知らしめることで、米政府が関与を控える意思がある限り、地域の秩序に米国の軍事介入は必要ないとの見方を示そうとしているという」

     

    中国は、米国の台湾への軍事介入を控えれば、平和統一が可能と見せかけようとしている。第二次世界大戦中、中国は「国共合作」を行い究極的に武力闘争で勝利を収めたが、この国共合作を彷彿とさせる動きだ。中国共産党は過去、こういう「甘い手」を利用してきた。

     

    (5)「中国政府による仲介工作は、自国経済の死活問題が背景にある。ホルムズ海峡の封鎖は、ほぼ自給可能な状況にある中国の電力網が打撃を受けにくいこともあって、短期的には中国の輸出業者にとって支援材料となったが、戦争が長期化すれば、中国産品に対する世界の需要が減少する恐れがある」

     

    中国は、深刻な経済不振の渦中にある。ホルムズ海峡の封鎖長期化は、世界経済へ打撃を与え、中国の輸出に打撃を与える。死活問題であるのだ。

     

    (6)「中国はまた、米国がイランに兵器を供与している全ての国に対し50%の関税を課すとの脅しをトランプ氏がかけていることから、中国が新たな逆風に直面しかねないとアナリストらは警告している。(中国は)世界の安定に寄与しているとの主張を可能にするとともに、自国の輸出主導の経済が輸出先の国々に引きずられる形で深刻なリセッション(景気後退)に陥らないようにするという最も心地良い状況を求めている」

     

    中国は、米国へ接近することで経済的打撃を少しでも和らげようとしている。中国国内では、「勃興する中国、衰退する米国」と唱えているが、実態は全くの逆である。日本は戦時中、「鬼畜米英」と叫んでいた。これと同種の空虚なものである。

     

     

     

     

     

     

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    中国の自動車メーカーの「内巻(過当競争)」は、何も変わっていないという。中国当局は2025年6月、電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)の安売りと、自動車各社のサプライヤーに対する買掛金の長すぎる支払期限を糾弾した。各社から60日以内に支払いするとの声明が相次いだものの、25年12月期決算を見ると、買掛債務の回転日数は高止まりしたままだ。何も改善されていないのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(4月10日付)は、「変わらぬ中国EV『過当競争』の闇 供給網は持続可能か」と題する記事を掲載した。

     

    車載用鉛バッテリー大手の駱駝集団の劉長来会長は、「有力自動車メーカーが強大な支配的な地位を利用して圧力をかけ、一部のサプライヤーでは売掛金の回収まで9カ月かかっている」と、こう中国メディアに訴えた。3月上旬に開催された全国人民代表大会(全人代)で湖北省代表でもある劉会長は「業界全体の支払期限の厳格な規制」について政策提言した。

     

    (1)「本来であれば、この問題は解決しているはずだ。25年6月に中国国務院(政府)が改正した中小企業への支払保障条例で、大企業による中小企業への60日以内の支払いが義務付けられた。だが25年12月期決算をみると、実際の買掛債務の回転日数はほとんど改善していない。QUICK・ファクトセットによると、BYDの25年12月期の買掛債務の回転日数は111日と24年の119日から若干短縮し、吉利汽車控股は112日と同じく123日から改善しているものの60日を大幅に超えている。中堅はむしろ長期化している。理想汽車は160日と42日も増え、賽力斯集団(セレス・グループ)も104日と25日伸びた」

     

    中小企業への支払保障条例で、大企業による中小企業への60日以内の支払いが義務付けられたが、実際の買掛債務の回転日数はほとんど改善していないことが分かった。


    (2)「波紋を呼んだのが、26年2月に中国自動車工業協会が公表した自動車メーカーの中小企業への支払いに関する調査結果だ。主要自動車メーカーの大多数は支払期限を60日以内に短縮しており、平均54日と前年に比べて10日短縮したという。自動車メーカーは条例をきちんと順守しているというわけだ。この差はどこから生まれるのか。一つには自動車メーカーは60日以内に支払手形を振り出せば、規制に該当しないからだ。条例には手形払いの「強制」を禁止しているものの、立場を考えればサプライヤーが断ることは難しいだろう。バランスシート上は買掛金が支払手形に項目が振り替わっている格好だ」

     

    中国自動車工業協会が、公表した自動車メーカーの中小企業への支払いに関する調査結果では、主要自動車メーカーの大多数の支払期限が60日以内に短縮している。平均では、54日と前年に比べて10日も短縮だ。

     

    (3)「中国メディアによると、自動車メーカーがサプライヤーから供給された部品の品質を確認する検収作業などを理由に、納入時期を意図的に先延ばしさせる行為が横行しているようだ。さらに自動車メーカーは自社工場付近にサプライヤーの倉庫を建設させ、まずはそこに部品を納入させた後、実際に使う時点を持って正式な納入とする「寄託制」という商慣行も一般的だという。こうしたバランスシートに反映しない商慣行を加味すれば、自動車メーカーの支払いの実態は買掛債務の回転日数よりもさらに深刻だろう。駱駝集団の劉会長の「9カ月」という指摘も現実味を帯びる」

     

    自動車メーカーは、自社工場付近にサプライヤーの倉庫を建設させている。そこに部品を納入させた後、実際に使う時点を持って正式な納入とする「寄託制」という商慣行を取っている。この寄託制によると、買掛債務の実態は「9ヶ月」になるという。

     

    (4)「みずほ総合研究所の月岡直樹主任エコノミストは、「違法行為の認定が容易ではないうえに、地方政府も地元の看板企業に配慮して厳しい取り締まりを行っていない可能性が高い」と指摘する。このまま、自動車メーカーの勝手が押し通るのだろうか。今年の全人代の李強(リー・チャン)首相が読み上げた所信表明演説に相当する「政府活動報告」では、「内巻は断固是正する」と前年の表現より厳しくなった。「企業の未払い問題の解決に一層の力を入れる」と新たな文言も盛り込まれた」

     

    自動車メーカーは、多くの労働者を雇用していることで「大目」にみられているが、買掛債務の長期化が非難の的になっている。

     

    (5)「3月末には中国の独占禁止政策を担う国家市場監督管理総局が「反不正当競争防止法」の実施をさらに徹底すると通知した。内巻だけでなく、優越的地位の乱用による支払期限問題も摘発の対象になる可能性がある。車が売れば売れるほど利益が減っていく。中国自動車首位のBYDの25年12月期は新車販売が8%増の460万台だったにもかかわらず、純利益は19%減の326億元だった。25年の中国工業企業利益でみても、自動車の利益はほぼ横ばいだった。過当競争は確実に中国自動車メーカーの収益力をむしばんでいる」

     

    自動車メーカーは、値下げ競争で狂奔しており、その分をサプライヤーへしわ寄せしているのだ。この1~2月の自動車メーカーの営業利益率は2.9%である。サプライヤーへこれだけ迷惑を掛けた上での低収益率である。補助金削減で苦境に立たされているのだ。

     

     

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    NATO本部(ブリュッセル)に駐在する約30カ国大使が、4月中旬に日本を訪問する方向で調整中である。一度に訪れる人数としては異例の規模だ。参加しないのは議会選を控えるハンガリーのみ(=ほぼ全加盟国)である。日本との連携強化、特にインド太平洋との関係深化が目的とされる。背景には、米欧の足並みの乱れと、日本の役割への期待の高まりがある。また、NATO側は「日本がどうやって米国と良好な関係を維持しているのか知りたい」と語っている。

     

     『テレビ朝日』(4月10日付)は、「約30カ国のNATO大使が4月中旬訪日へ 一度に訪れる人数として異例の規模」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「NATO(北大西洋条約機構)に加盟する約30カ国の大使が、4月中旬に日本を訪れる方向で調整していることがわかりました。異例の規模での訪問です。政府関係者によりますと、日本を訪れる方向で調整しているのはベルギーの首都ブリュッセルに有るNATO本部に駐在する約30カ国の大使です。加盟国のほとんどが訪問団に参加しています。米国のトランプ大統領がイランでの軍事作戦にNATOが非協力的だとして不満を強め、脱退も示唆するなど関係が悪化しており、政府関係者は「日本がどのように良好な日米関係を築いているのかもテーマになるだろう」と話しています」

     

    NATO大使が、集団で日本を訪問することは日本にとって極めて重大な外交イベントである。今年6月、フランスで開催されるG7サミットではフランスが当初、習近平氏の招待を予定していたものの取り止めた裏に、日本の意向が働いていたとされる。こうして、日本の外交姿勢がG7に反映されるようになった。この裏には、日本の技術開発による地位向上という見えない影が働いているであろう。NATOは、こういう日本の実態を認識して、NATOとインド太平洋との結びつき強化を目指すものとみられる。要約すれば、次のように言える。

     

    1)NATOが、インド太平洋を第二の主戦場と認識していることである。

    NATOは、「ロシア(欧州)+中国(アジア)」という二正面構造で捉えており、日本はそのアジア側の要という認識である。2022年以降、NATOと日本の協力は急速に深化してきた。今回の訪問は、その延長線上にある。

     

    2)米欧の足並みが乱れ、日本が「調整役」として浮上していること。

    トランプ大統領が、NATOのイラン対応に不満を表明し、同盟内に緊張が走っている。欧州側は、米国の不満を抑えたいだけに、米国と最も安定した関係を持つ日本に注目が集まっている。NATO大使が日本に来る理由の一つは、 「日本はどうやって米国と関係を維持しているのか」を知るためだ。

     

    3)日本がNATOの「事実上の準加盟国」に近づいていることだ。

    日本は2025年、NATOへの独立代表部を開設して、専任大使も任命した。これまで、事務総長・副事務総長の来日が続くいている。今回の大使団訪問は、「日本をNATOの外側に置かない」という意思表示に近いものであろう。

     

    4)中国への「静かな包囲網」である。

    NATO大使団が日本に来る目的の一つは、中国の軍事拡張への対抗策を日本と共有することである。NATOは、公式に「対中包囲網」と言わないが、実態としては日本との協力を進めている。情報共有や兵器規格の互換性、共同訓練、防衛産業協力が進んでいる。

     

    NATO大使30人の訪日は、日本が「欧州とアジアをつなぐ安全保障のハブ」になりつつある証拠であろう。欧州では,ロシア問題、アジアは中国問題、米国は、同盟の再構築というそれぞれの課題を抱えている。NATOは、こうした諸問題の解決に当たって、日本をその中心に位置づけている。NATOは今、「日本なしではインド太平洋戦略が成立しない」と認識し始めていることは間違いない。

     

    NATOが、異例な形で30ヶ国の大使が訪日するのは、日本の技術開発がキラ星のごとく進んでいることへの「畏敬」もあるだろう。むろん、そのような言辞を発するはずはない。だが日本は、産業革命以降の技術革新「第6波」の主要技術の全てを握っていることによって、今後50年間の世界における「技術覇権」を確実にしている。NATOが、この日本と縁を深くしようというのは至極、当然であろう。それが、世界の安全保障において重要な役割を果すからだ。

     

    中国はこの動きを極めて深刻に受け止めているであろう。その理由は3つある。

    1)「NATOがアジアに来る」こと自体が脅威である。中国の戦略思想では、欧州は遠い、アジアは近いという前提があった。しかし今、NATO大使30人が来日する。NATO代表部が東京に常設される。日欧の軍事演習が増加しているなど、気懸かりなことであろう。

     

    2)日本が「欧米の安全保障の中心」になることへの恐怖である。

    中国は、これまで日本を「米国の属国」と広言してきたが今回、欧州が日本に学びに来るという変化である。日本は、欧米の橋渡し役になって、技術・外交で主導権を握ることが現実化してきた。中国は、「日本が国際秩序の中心に戻りつつある」として警戒を強めるであろう。

     

    3)台湾問題での包囲網が、強まることである。NATOは、公式に台湾問題に言及していないが、実態としては台湾海峡の安定が欧州の利益になること。日本は、台湾有事の最前線にあることから、NATOが日本を通じて台湾情勢を把握しようとしていること。中国は、こうして、「台湾問題が国際化する」ことを最も恐れているのだ。

     

    次の記事もご参考に。

    2026-04-09メルマガ761号 中国「衝撃」、仏がG7の招待取消し“高市が反対” 日本技術力「西側の戦



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    米国で、中古の電気自動車(EV)の売れ行きが大きく伸びている。ガソリン価格が急上昇する中、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)収束後のブームで買われたモデルが、次々と中古市場に流れ込んでいる。購入希望者にとって朗報である。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(4月6日付)は、「米国で中古EV販売が急加速、背景にガソリン高騰と在庫増」と題する記事を掲載した。

     

    米調査会社コックス・オートモーティブの推計によると、2026年1〜3月期の中古EV販売台数は前年同期比で12%、前四半期比で17%増加した。新車EV販売台数は前年同期比28%減と、トランプ政権が25年に最大7500ドル(約120万円)の税額控除を含む購入補助を廃止したことが響いている。

     

    (1)「アナリストの間では、20年代初めにリース販売されたEVの契約期間が終了し、安価な中古EVが市場にあふれているという背景が指摘されている。英信用調査会社エクスペリアンは、全米のリース切れ自動車に占めるEVの割合が26年末に15%となり、13月期の7.%を上回ると予想する。コックスによると、供給過多により中古EVの平均価格は25年2月から26年2月の1年間で8.%下落した。中古EVと中古ガソリン車の平均価格の差は4923ドルから1334ドルに縮まった。コックスの業界インサイト担当ディレクター、ステファニー・バルデス・ストリーティー氏は、「EV価格に大きな変化が起きている」と話した」

     

    20年代初めにリース販売されたEVが、契約期間を過ぎて大量に中古市場へ登場した。折からのガソリン価格高騰で、中古EVへ関心が集まっている。中古EVと中古ガソリン車の平均価格の差が、急激に縮まっていることも要因である。

     

    (2)「英金融大手バークレイズのアナリスト、ダン・レビー氏は、バイデン前政権が22年に7500ドルの税額控除を導入したことで、価格の低いガソリン車の新車よりEVの新車をリースする方が月々の支払いが安く済むようになっていたと説明する。レビー氏によると、米ゼネラル・モーターズ(GM)の主力ブランド「シボレー」の中型多目的スポーツ車(SUV)「ブレーザー」の場合、EVモデルの希望小売価格は4万4600ドルで、25年6月時点の月額リース料は平均515ドルだった。一方、ガソリン車モデルの価格は3万5600ドルで、毎月の支払いは平均586ドルに上っていたという」

     

    GMの主力ブランド「シボレー」の中型多目的スポーツ車の場合、EVモデルの月額リース料は平均515ドル。ガソリン車モデルの毎月のリース支払いは、平均586ドルである。EVとガソリン車のリース料の差は縮まっている。EVを選択するケースが増えるであろう。

     

    (3)「エドマンズのインサイト部門責任者、ジェシカ・コールドウェル氏は、車の維持費がかさむ中で安価な選択肢を探し求める買い手が増えており、かなり割安なモデルが続々と中古市場に流入している現状がEV購入の「入り口」になっていくのではないかとの見方を示した」

     

    EVは、車の維持費が電気代で安い上に、割安なモデルが続々と中古市場に流入しているので現在、選択に幅を広げている。

     

    (4)「米国のガソリン平均価格は、3月末に1ガロン(3.785リットル)4ドル(1リットル=約176円)を超えた。4ドルという心理的な節目を突破したのは、ロシアがウクライナの全面侵略を始めた22年以来となる。新車の平均価格も過去最高に近い水準にある。アナリストらは、13月期の新車販売が振るわなかった一因として、アフォーダビリティー(価格の手ごろさ)への懸念の高まりを挙げる。こうした中、GMの北米事業プレジデントのダンカン・オルドレッド氏は、3月末にニューヨークで開かれた業界フォーラムに登壇し、直近1カ月でEVへの「関心がいくらか高まりつつある」と発言していた」

     

    米国のガソリン価格の心理的節目は、1ガロン4ドル(1リットル約176円)を超えるときとされる。現在は、この状況を超えておりEVへの関心が高まっているという。

     

    (6)「アナリストらは、ガソリン高でEVの新車販売が著しく伸びるとはまだ言い切れないとみる。広大な国土に十分な充電インフラがそろっていないため、長距離ドライブへの不安が根強いからだ。米フォード・モーターGMなどの自動車各社は、向こう数年間でより手ごろな価格の次世代EVを発売する計画を打ち出している。コールドウェル氏は、買い手が新たなモデルの登場を待つ間、中古EVの性能が以前より向上したことに驚かされるだろうと指摘する。「前回ガソリン価格が急騰した22年には、19年式あたりの自動車が購入候補になっていたと思われるが、当時はEVがまだ完成されたものではなかった」とコールドウェル氏は語る」

     

    今回のガソリン価格高騰で、アナリストは消費者がEVへ目を向けるきっかけになるとみている。

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