勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    ウクライナの次なる戦闘にとって、戦車こそが最適の兵器となるだろうと予測されている。ウクライナ軍は、ドイツの主力戦車「レオパルト2」の供与を受けられることになった。ウクライナのオメルチェンコ駐仏大使は、ウクライナに供与される戦車が計321両になると明かした。最短距離で4月以降には最前線に配備される見通しである。これを受けて、ロシア軍も戦車で対抗するものと見られる。 

    ロシア製戦車はこれまでの戦闘で、「ビックリ箱」と揶揄されるように、砲撃に弱いことが知られている。砲塔と弾薬が近くに配置されているから、すぐに誘発をおこして爆発するのだ。西側諸国の戦車は、砲身と弾薬が別々に配置されているので、「ビックリ箱」という事態を免れている。ロシア軍は、こうした弱点を抱える戦車隊がどのように戦うのか、ヤマ場を迎える。 

    米『CNN』(1月28日付)は、「ウクライナ情勢、今後の戦闘で戦車が決め手となる理由」と題する寄稿を掲載した。筆者のデービッド・A・アンデルマン氏は、CNNへの寄稿者で、優れたジャーナリストを表彰する「デッドライン・クラブ・アワード」を2度受賞している。 

    ウクライナで戦争に突入した1年前、一般的な通念では戦車はもはや時代遅れということになっていた。ドローン(無人機)や自動追尾機能のあるミサイルには太刀打ちできないというのがその理由だ。この考えは明らかに間違っている。かなり明確になりつつあることだが、ウクライナのような戦場において、装甲車両による優越性は形勢を逆転させ得る。それも劇的に。 

    (1)「ロシアの戦車は、(昨年ウクライナで)冬から春にかけて雪解けのために起きる土壌のぬかるみにはまった。中には砲塔まで泥に沈んだ戦車もあった。そうした戦車は戦うこともできず、ウクライナ軍に狙い撃ちにされた。侵攻の過程でロシア軍が失った戦車の数は1400両を超える。あれから1年近くが経過した現在、ロシア軍は教訓を得たと思われる。「彼らにとって、冬の後半や春の初めに攻撃を開始するのは得策ではないだろう」「春の終わりまで待つはずだ。その時期なら土壌の水気は格段に抜けている」と、アンドリー・ザゴロドニュク元ウクライナ国防相は指摘する」 

    ロシアは、昨年の開戦直後の失敗に懲りている。本格的攻撃開始は、雪解けが終わって大地が乾くまで仕掛けないと見られる。 

    (2)「西側は現状を好機ととらえ、自国の最新鋭の主力戦車を実際の戦争という状況下でテストしたい考えだ。対するロシア側は、長い間そうしたシナリオへの準備を全く整えていなかった。ソ連の戦車操縦手には大型のハンマーが支給される。頻発するギアの不具合が起きた際には、それでトランスミッションを叩いて対処するのだという。また戦車内には冷暖房がないため、搭乗員は冬の寒さに凍え、夏は暑さに息が詰まる状態を余儀なくされる。とりわけ砲塔を閉じる時にはそうだった」 

    ロシア側は、西側諸国の戦車と戦う想定がなく、旧式の戦車を稼働させている。戦車内は劣悪な「戦闘空間」である。戦車内には冷暖房設備がないのだ。 

    (3)「ウクライナでのロシア軍戦車が、(ソ連時代同様に)脆弱であることに変わりはなかった。中でも「ビックリ箱」に例えられる設計上の欠陥は深刻だ。ロシア軍の戦車のほとんどは、大砲の弾薬を操縦手や砲手のすぐ隣に搭載している。その数最大40発。戦車は前部こそ頑丈な装甲で覆われているが、側面や砲塔はそれほどでもない」 

    ロシア戦車は、「ビックリ箱」と称せられるように、敵の攻撃で簡単に爆発する構造になっている。砲塔が爆発で飛び出すほどである。むろん、塔乗員は犠牲になる。 

    (4)「米国製の「ジャベリン」や、英国とスウェーデンが合同開発した「NLAW」といった対戦車ミサイルが、ロシア戦車のエンジンを直撃すると、最も装甲の薄い部分に影響が及ぶ。このため、搭載する弾薬全てが爆発し搭乗員は焼け死ぬことになる。これに対し、米国のM1エイブラムスやドイツのレオパルト2など西側の戦車は、搭乗員を弾薬から厳重に隔離。双方の間には爆発にも耐えられる壁が設置されている」 

    ドイツのレオパルト2など西側の戦車は、搭乗員が弾薬から厳重に隔離されているので「ビックリ箱」にはならない。 

    (5)「ロシア軍の保有する新型戦車「T14アルマータ」は、あらゆる点でM1エイブラムスとレオパルト2に匹敵するが、わずかな数しか製造していないという問題がある。昨年のメーデーに赤の広場で行われたパレードには、3両しか登場しなかった。最近の情報報告によると、同戦車の開発と配備は、コストの上昇など複雑な問題が絡んで停止しているとみられる」 

    ロシアにも欧米並みの新鋭戦車はあるが、たったの3両しか登場していない。コスト高が鬼門になっている。 
    (6)「ウクライナでの戦争が戦車戦に変わるとしても、またそれがエイブラムス、レオパルト対最新のロシア戦車の戦いだとしても、実際には全く勝負にならない可能性がある。西側の戦車の到着が間に合えばなおさらだ。ウクライナの当局者は、最新の戦車300両があれば自軍の装備を補完しつつ、ロシアに対しても数の上で全く同等の立場に持ち込めるとみている。ザゴロドニュク氏が国防省の推計を引用して筆者に説明した」 

    ウクライナ軍は、西側の最新戦車300両があれば、ロシア軍と対等の戦いができるという。すでに321両の供与が決まったから、この面での不安は消えた。

    (7)「車長や砲手、操縦手、技術兵、整備士を訓練するには最低でも3カ月を要する。それだけ複雑な戦車を相手にするのであり、時間が極めて重要になる。今後4カ月もしないうちに春の雪解けは終わり、地面は乾き始める。間違いを犯す、もしくは躊躇するような余裕はほぼないと言っていい 

    下線のように、ウクライナにとっては今後の4ヶ月が極めて重要な時間になる。それは、ロシアにとっても同じことだ。

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    今年は、4年ぶりの規制なしの春節である。これからの個人消費動向を占う意味でも重要な試金石であった。コロナ前の春節(2019年)に比べて、旅行客数は1割減、観光収入が3割減に止まった。コロナ感染者の犠牲者が、増えている中での春節である。慎重になったのであろう。この状況を見ると、今年の個人消費は「一陽来復」とは行かないようだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月28日付)は、「中国、春節休暇の国内旅行3億人 コロナ前の9割水準と題する記事を掲載した。

     

    中国文化観光省は27日、春節(旧正月)に伴う大型連休(21〜27日)の国内旅行者数が前年比23%増の延べ3億800万人だったと発表した。新型コロナウイルス流行前の2019年の9割近い水準となった。観光収入は前年比30%増の3758億4300万元(約7兆2000億円)だった。

     

    (1)「新型コロナを封じ込める「ゼロコロナ」政策が昨年12月に事実上終了し、4年ぶりに移動制限のない春節となった。休暇を家族らと過ごす帰省客が増え、国内の観光地もにぎわった。国家移民管理局によると、21〜26日に中国本土から香港や海外に出た人は延べ119万2000人で前年比2倍だった。旅行予約サイトの携程集団(トリップドットコムグループ)によると、海外ではタイやシンガポール、マレーシアなど東南アジアが人気を集めた。中国交通運輸省は春節休暇を挟む40日間の旅客数が、前年の2倍の延べ20億9500万人になると予測している。人の移動や集まりが増え、新型コロナ感染が地方都市や農村に広がる可能性も懸念されている」

     

    国内旅行者数が延べ3億800万人、香港や海外に出た人は延べ119万2000人という結果になった。国内旅行客数は、コロナ前に比べて1割減。4年ぶりの制限のない春節であったが、「爆発」という状況ではなかった。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月28日付)は、「中国、春節の観光収入3割増 コロナ前には届かず」と題する記事を掲載した。

     

    中国文化観光省によると、27日終了した春節(旧正月)に伴う大型連休の観光収入は、前年比30%増の3758億4300万元(約7兆2000億円)だった。コロナ拡大前の2019年に比べると3割減の水準にとどまった。

     

    (2)「上海市の観光地「豫園」は25日、今年の干支のウサギのランタンがライトアップされ、家族連れなどでにぎわった。菓子店の店員は「今年は客が多く売れ行きがいい」と話した。中堅旅行会社の同程旅行によると、今回の春節休暇でホテル予約数の伸びが大きかったのは陝西省西安市、浙江省杭州市、黒竜江省ハルビン市などだった」

     

    陝西省西安市、浙江省杭州市、黒竜江省ハルビン市が賑わったという。いずれも、有名な観光地である。それにしても「極寒の地」ハルピンは、零下50度と報じられていたほど。非日常体験の好奇心から人気を集めたのか。

     

    (3)「観光地はにぎわいが戻りつつある。西安にある「兵馬俑(へいばよう)」の博物館では、チケットが事前に売りきれる日もあった。昨年は、たびたび一時的に営業を停止した上海ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・北京(USB)などのテーマパークも多くの人でにぎわったようだ。両施設のアプリによると、連休中は待ち時間が23時間になるアトラクションもあった」

     

    テーマパークは、手近な娯楽である。待ち時間が2~3時間とは、これまでお預けにされてきた場所だけに、人気復活である。

     

    (4)「身近な娯楽である映画も好調だった。国家電影局によると、興行収入は67億元超と22年の60億元を上回った。中国を代表する映画監督の張芸謀(チャン・イーモウ)氏の作品である「満江紅」やSF映画「流転の地球」の続編が人気だった。中国メディアによると21年に続いて過去2番目の水準だった」

     

    映画館が賑わったのは、作品で人気が集まった面もあるが、最大の理由が「少額」での娯楽である。いかにも、現在の中国経済を反映している感じだ。

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    中国防疫当局は、コロナの感染ピークは過ぎたとして、早期の収束予測を始めている。だが、これを裏づける詳細なデータは未発表だ。WHO(世界保健機関)も、詳細なデータの発表を求めているほどである。 

    英医療調査会社エアフィニティーは、中国の統計に病院以外での死者数を含まれず、コロナ関連死の定義が狭すぎると指摘している。要するに、第三者機関は中国の主張するピーク説を検証できるデータが不足しているのだ。中国の政治的発表と見られる。 

    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月28日付)は、「中国『脱ゼロコロナ』 専門家はデータ疑問視」と題する記事を掲載した。 

    中国は今週、新型コロナウイルス流行のピークが過ぎたことを示そうと、大量のデータを公表した。だが公衆衛生の専門家は、中国政府の情報に状況を正確に判断できるだけの透明性があるかと疑問を呈している。

     

    (1)「中国疾病予防管理センター(CDC)は、コロナによる病院での死者数について、1月上旬は1日約4300人前後だったが、27日までの1週間の春節(旧正月)休暇の半ば時点では、その2割近くに減少したとしている。CDCは同じ報告書で、コロナ感染者数と重症者数の激減も示した。このデータは、昨年12月に厳格なコロナ政策を3年ぶりに解除してからの最も難しい期間を乗り切り、コロナとの共存への移行が円滑で秩序立っているとする中国の主張を裏付けるものだ」 

    病院での死者数は、1月上旬がピークであったという。27日時点ではその2割近くまで減少したという。これをもって、中国はコロナ感染ピーク説を主張している。 

    (2)「疫学者の間では、中国の感染ピークが過ぎた可能性が高いことに同意しつつも、政策転換の影響を十分に判断するには政府の数字は不完全過ぎるとの声もある。世界保健機関(WHO)も、その点を問題に挙げている。今月に入り公表された直近の報告書によれば、入院と外来受診は年初ごろに天井を打った。また、今週は1月5日に記録した高水準に比べて入院者数が85%、重症者数が72%、それぞれ減少した。コロナの流行状況を測る指標である発熱外来の受診件数は、ピークをつけた12月23日の287万件からの減少が続いた。この報告書にはピーク値とトラフ値はあるが、1日ごとの内訳はない」 

    感染症を巡る判断では、日々の克明なデータが必要である。日本でも毎日、感染者数、重症者数、死者数が報告されている。中国では、それが伏せられているのだ。都合のいいデータだけを発表する。その意図は何かが問われている。

     

    (3)「WHOは26日公表した最新のリポートで、中国のコロナ死者数など関連の数字を付属資料に掲載した上で、中国政府の総論を裏付けるデータがないため同国の状況を独自に検証していないと説明した。WHOのマーガレット・ハリス報道官は先週、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)に、前週比での有意義な分析をするには「週次データが必要だ」と語った。WHOはこの点を26日付の報告書でも強調。地域別データの欠如にも言及した」 

    中国はWHOからも注文がつくほど、詳細なデータを公表せずにいる。 

    (4)「中国が開示した情報の正確性にはコロナ流行当初から疑問が投げかけられており、外部の専門家からの懐疑論は後を絶たない。それでも、中国が感染ピークを越えたという主張に同意する世界的専門家もいる。英イーストアングリア大学のポール・ハンター医学教授は、報告されたコロナの再生産数と、12月20日までの感染者数が2億5000万人とする中国政府の推計を踏まえると、中国は既に感染ピークを過ぎた見込みが十分にあるとし、「中国のピークは高いが期間は短かったようだ」と話した」 

    不正確なデータでも、中国の感染ピークは過ぎたようである。

     

    (5)「英医療調査会社エアフィニティーの分析担当ディレクター、マット・リンリー氏は、中国の統計には病院以外での死者数は含まれておらず、コロナ関連死の定義が狭すぎると指摘。「(中国が)発表するデータは大抵、現状把握に役立たない。このところの公式数値の多くは矛盾している」と述べた。エアフィニティーは先ごろ、地方のコロナ感染ペースが予想を上回った結果、死者数と感染者数がわずか数日前にピークに達したとする、より大規模で長期にわたる流行を予測した一部の著名な感染症専門家はこの予測に疑問を呈している。だが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の張作風・疫学教授は、中国のコロナ流行が政府の主張するピークよりはるかに長く続いたとの見方を支持。今月の春節前後の帰省ラッシュは新たな感染の波につながるリスクだと話した 

    英医療調査会社エアフィニティーによれば、ピークは1月20日過ぎで、今後のより大規模な長期にわたる流行を予測している。この予測には反対論もあるが、春節の帰省ラッシュが新たな感染を引き起すリスクは指摘されている。 

    (6)「中国CDC所属で著名な疫学者の曽光氏は、1月初めの北京での会議で、コロナ流行の最も重大な影響は2カ月余り続く可能性があると、より保守的な見解を打ち出した。曽氏はWSJに、感染者数と重症者数が減少しても、高齢の患者は回復に2カ月余りかかる見込みで、多くの患者が再感染し、死亡さえする可能性が高いと話した。「さらに慎重な見積もりが必要だ」と語った」 

    中国の著名な疫学者の曽光氏は、3月頃まで続くコロナ感染症の悪影響を指摘している。ここは、慎重に見ておくべきであろう。

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    ウクライナ軍は、ロシア軍との1000キロメートルにも及ぶ戦線を突破するために、数百台規模の米欧製の戦車を必要としている。今回のドイツ戦車「レオパルト21」の供与決定によって、装甲車と組み合わせた機甲部隊の編成が可能になった。欧州13カ国の軍は、約2000両のレオパルト2を保有している。今年前半で供与されるレオパルト2は、100両を大きく超えるとみられる。主力戦車の訓練は、米英指導による「NATO方式」で1〜2カ月程度かかるとみられる。春から夏には、供与された戦車を軸とした機甲部隊を前線に投入できる見通しという。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月27日付)は、「ウクライナ戦車戦は『NATO軍式』、米英が戦術指導」と題する記事を掲載した。

     

    欧米各国が相次ぎウクライナへの戦車供与を決めたことに伴い、同国軍は春から夏にかけて大規模な反攻作戦に出る見通しとなった。発動される作戦は、戦車部隊を中心に編成し、2003年のイラク戦争でイラク軍を攻略した「北大西洋条約機構(NATO)軍式」の最新の機甲戦となる見通しだ。

     

    (1)「戦車は戦車だけで戦うわけではない。装甲の厚さゆえに視界が制限される戦車の弱点を補うため、戦車に準じた能力を持つ戦闘装甲車や兵員輸送車に搭乗し対戦車砲などで武装する歩兵が帯同し、全体で「機甲部隊」をつくる。米英仏独などは既に戦車供与に先立って戦闘装甲車などの供与を表明済みだ」

     

    「機甲部隊」は、戦車と装甲車から構成される。戦車部隊は通常、4両で1個小隊を構成する。さらに小隊3個+隊長車1両で1個中隊(計13両)となる。つまり、戦車13両で1個中隊の編成だ。

     

    (2)「NATO式機甲戦の強みは、戦車や装甲車、無人機(ドローン)と司令部を通信で常時つなぎ、連携して効率的に敵軍を無力化する「ネットワーク中心の戦い(NCW)」にある。砲弾が尽きた戦車が敵戦車を発見した場合、仲間の戦車やドローンに敵の場所を伝え、代わりに攻撃してもらうといったことができる。ロシアの戦車と比べ「走・攻・守」の基本性能がただでさえ優れている上に、こうした連携戦が可能な英独米の主力戦車をウクライナ軍が配備することの意義は大きい。今後、米欧製の戦車や装甲車に搭乗する兵員の訓練を進めれば、全体で数百両の戦車・装甲車からなるNATO式の機甲部隊に編成し、順調にいけば春から夏にかけて大規模な反転攻勢の準備が整いそうだ」

     

    ウクライナは、ITに長けている国である。現在でも、わずかな部品を組立てて独自の通信機能を維持して最前線で戦果を上げている。NATO式機甲戦は、戦車や装甲車、無人機(ドローン)と司令部を通信で常時つなぎ、連携して効率的に敵軍を無力化することだ。この方式は、直ぐにウクライナ軍に消化されるはず。短期間に機甲化部隊は軌道に乗るであろう。

     

    (3)「米軍や英軍は03年のイラク戦争で大規模な機甲戦を展開し、旧ソ連製戦車を配備していたイラクのサダム・フセイン政権軍を一気に打倒した。この実績を踏まえ米英軍は、ウクライナ軍に戦車などを供与するのと並行して具体的な戦術を指導しているもようだ。イラク戦争当時と現在が異なるのは、地上戦において無人機が普及したことだ。ロシア軍はなお各種ミサイルも保有している。ウクライナ軍が大規模な機甲戦に踏み切る際には、ロシア軍の空からの反撃に備える必要がある」

     

    イラク軍は、ロシア製戦車を砂漠の中に埋める奇想天外な待ち伏せ作戦を行い大失敗した。米英軍の理詰めの戦術に対抗できなかったのだ。こういう失敗から、ロシア軍はどのような戦い方をするのか。空からの攻撃も考えられるのであろう。

     

    (4)「ロシア軍は今後、ウクライナ軍の機甲戦準備が整う前に、兵士に多大な犠牲を強いる力任せの従来型戦術で攻勢をかけてくる見通しだ。ウクライナ軍や同軍を支援する欧米各国が戦いの主導権を握るには、今後の新機甲部隊の編成と戦闘準備をいかに前倒しできるかにかかっている」

     

    軍事戦略の専門家は、次のような予測をしている。「ロシア軍司令官は、ウクライナが新型兵器をどこでどのように使用するか予測し、最善の対策を見極めようとするだろう。ロシア政府は、防御と攻撃のバランスをどう取るか、機先を制するか、それとも春に予想されるウクライナの攻撃を待ち構えるか決断する必要がある」(『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月27日付)

     

    ロシア国防省は25日、戦闘地域の近くで「急襲部隊」が訓練を受けている映像も公開した。「ウクライナ軍の最も困難で陣形の整った防衛地区を突破する」ことを想定していると指摘した。こういう秘密作戦を公開したのは、逆に言えば「行なわない」という意味でもある。虚々実々の駆引きをしているところだ。

     

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    日本の半導体は現在、汎用品とされる「40ナノ」(ナノは、10億分の1メーター)の生産に止まっている。それが、新会社Rapidus(ラピダス)は、一挙に「2ナノ」へ挑戦するので世界が驚いている。米IBMの新技術「GAA(ゲートオールアラウンド)」を導入して、この技術的遅れを飛び越す「荒業」で挑戦するのだ。

     

    日本半導体は1980年代、米国半導体を追い抜き世界一の座についていた。これが、米国との経済摩擦の種になり、米国へ妥協して後退を余儀なくされた経緯がある。それだけに、日本の半導体基礎技術は盤石である。さらに、半導体製造設備や半導体素材では強い競争力を持っている。こうして、日本半導体が世界トップへ踊り出られる潜在的総合力は十分に備えている。

     

    『日本経済新聞』(1月25日付)は、「ラピダス、25年前半に先端半導体試作ライン TSMC追う」と題する記事を掲載した。

     

    最先端半導体の国内生産を目指すラピダスは、2025年前半までに試作ラインを構築する。同ラインでスーパーコンピューターなどに使う2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体生産技術を確立し、20年代後半に量産工程を立ち上げる。25年に「2ナノ品」の量産を計画する台湾積体電路製造(TSMC)など世界大手に迫り、日本の半導体産業の復権を目指す。

     

    (1)「ラピダスの小池淳義社長が24日、日本経済新聞の取材で明らかにした。20年代後半に量産を始めるには、技術の確立などに取り組む試作ラインの稼働が25年前半までに必要と説明した。国内の候補地の条件として、水や電気などのインフラが安定していることに加え「国内外の人材が集まりやすい場所であること」を挙げた。選定作業を進めており、3月までに正式決定する。試作ラインを設置した場所に量産工場も置く方針だ」

     

    ラピダスが手がける「2ナノ」は、27年から量産化の見通しである。この「2ナノ」が最先端プロセスである時期は、2030年代前半までと予測されている。日本は「2ナノ」半導体を世に送れば、先行メーカーの台湾TSMCや韓国サムスンと技術的な肩を並べられるという。日本にとっては周回遅れが俄然、トップランナーに追いつけるのだ。

     

     

    (2)「小池社長は技術の確立までに2兆円、量産ラインの準備に3兆円規模の投資が必要になるとの展望を示している。ラピダスが量産を目指すのは2ナノ品と呼ばれる最先端の演算用半導体だ。スパコンや人工知能(AI)などの「頭脳」を担う。回路を微細にして性能を高める必要がある。現在、TSMCは3ナノ品を手掛けており、25年に2ナノ品を量産する計画を示している。2ナノ品は、微細な回路を形成する技術だけでなく、回路を形作る構造自体も大きく変化するため、量産に必要な技術的なハードルが高くなっている。国内ではTSMCが熊本県で24年に量産開始を予定する半導体工場でも12〜28ナノ品にとどまる」

     

    日本半導体が、台湾や韓国などの半導体と異なるのは、国内に世界一流の製造業を擁していることだ。スパコンや人工知能(AI)をテコにし、日本製造業の競争力が飛躍的に増すという希望が出てくる。

     

    (3)「先端半導体は回路が微細で複雑になった分、設計し、量産するまでに必要な時間が長くなっている。小池社長は、ユーザー企業への設計支援や量産工程の見直しなどを進め、量産に必要な時間を短縮する考えを示した。最先端品を短期間で提供するビジネスで、量で圧倒するTSMCや韓国サムスン電子との差異化を目指す。将来的には「先端品のみを量産する体制を目指し、高収益なビジネスモデルを築く」という。ラピダスが22年末に技術ライセンスを結んだ米IBMは21年、2ナノ品の試作に成功している。ラピダスは米国に近く社員を派遣し、必要な基礎技術の習熟を進める。小池社長は技術開発から量産工程の確立に向け「数百人規模のエンジニアが必要になる」との見方を示し、順次採用を進めている」

     

    下線部は重要である。半導体ユーザー企業と一体化できることだ。これが、半導体製造時間を短縮してコスト切り下げが可能になるとしている。少量生産でも受注できる体制を整え、先行2社との競争に備える。

     

    (4)「ラピダスにはトヨタ自動車やソニーグループ、デンソー、キオクシアなどが出資している。出資企業からラピダスに派遣された社員もおり「各企業の得意分野のエンジニアなどにも来てもらい(半導体を使った)製品の新しい価値を生み出していきたい」と語った。今後も最先端半導体の用途開発などを見据え、出資企業との連携を進める」

     

    ラピダスは、トヨタ自動車やソニーグループ、デンソー、キオクシアなどが出資している。需要家でもあるので、注文を直接聞けるのも大きなメリットに上げられている。ラピダスは、日本の発注先の製造業に直結しているのは、何と言っても強みとなろう。

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