韓国は、去年から人口減になった。日本の人口減入りが2010年である。韓国はあらゆる経済データが、日本と約30年のタイムラグがある。このパターンから言えば、韓国は2040年に人口減入りしても不思議でなかった。それが、2021年の人口減だ。19年も前倒しである。ちなみに、中国は今年から人口減入りが確実である。
中韓に見られる、大幅前倒しで人口減入りする原因は、「合計特殊出生率」の急低下にある。韓国は、人口横ばいに必要な合計特殊出生率「2.08」を大きく下回って、「0.84」と世界最低記録を更新中だ。
この背景には、儒教特有の「男尊女卑」がある。韓国の若者社会では、男性と女性の意識が鋭く対立している。若い女性が、結婚・出産に乗り気でない理由の一つに、夫の育児協力のなさを上げている。女性は、職業と育児の両立は不可能としており、韓国の「男尊女卑社会」の悪弊が改まらない限り、出生率はさらに低下する運命のようだ。
米ノースウェスタン大学経済学科のマティアス・ドゥプケ教授の研究チームが5月、全米経済研究所(NBER)を通じて公開した「出産の経済学:新しい時代」と題する報告書が注目されている。OECD(経済協力開発機構)加盟国を中心に約40カ国が調査対象だ。
それによると、女性の経済活動が活発な国で出生率が高いこと。また、男性が育児と家事にあまり積極的ではない国で出生率が低い傾向が見られた。男性の家事や育児への貢献度の高いスウェーデン、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、米国の上位5カ国は、いずれも合計特殊出生率が1.8人を超えた。寄与度の低い下位5カ国は1.5人未満だった。チェコ、日本、韓国、ポーランド、スロバキアがこれに属した。日本にとっても耳の痛いデータだ。
『中央日報』(6月28日付)は、「『韓国』が絶滅する?」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・チャンギュ経済エディターである。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は先月、韓国の人口減少に言及した。日本の人口が11年連続で減少していることについて「出生率が死亡率を超えるような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と警告した後だ。マスクCEOはツイッターで「韓国と香港は最も速いペースの人口崩壊に直面している」とし、世界銀行の2020年国別出生率の順位表も共有した。
(1)「これによると韓国の出生率は0.84人で、200カ国のうち最も低い。世界で人口が最も急速に減少している国が韓国だ。香港は0.87人で199位、日本は186位(1.34人)だった。マスクCEOは「韓国の出生率が変わらなければ3世代のうちに韓国の人口は現在の6%以下に減少するだろう」とコメントした」
欧州の出生率も、ゆっくりと下がっている。男女同権が地に着いているので、夫の育児協力は当たり前のことだ。それでも低下しているのは、女性の高学歴化と社会進出によるもの。韓国では、男性は女性より「偉い」という根拠なき優越感に浸って、夫「風」を吹かせているようだ。日本もその嫌いはあるが、韓国はより鮮明に出ている。儒教の悪しき弊害であろう。
(2)「最近の韓国経済は風前の灯火のようだ。原油価格が上昇し、サプライチェーン問題で世界はインフレーションの恐怖に包まれている。今回の景気沈滞は、韓国にとって時期的に良くない。韓国は2020年(注:正しくは2021年)から人口の減少が始まった。初めて死亡者数(31万人)が出生数(27万人)より多い「デッドクロス」が発生した。人口の減少は成長潜在力を低下させる。統計庁の将来人口推計によると、総人口は2020年の5184万人から2030年に5120万人、2040年に5019万人、2050年に4736万人に減少する。30年間に釜山の人口(336万人)の1.3倍ほどの448万人(8.6%)が消える」
景気が悪いことは、出生率低下に拍車をかける。雇用不安を抱えていたのでは、結婚・出産を諦めるからだ。韓国で、今年1月から4月までに全国産婦人科など医療機関で新生児を分べんした産婦は8万1454人。過去最低で、今年は年間で25万人程度と最悪予想が出ている。「韓国絶滅」は、冗談として聞き逃せなくなった。
(4)「人口が減れば創業する人が減り、雇用も減少する。こうなると成長が鈍って所得が減る。収入が減れば若者が結婚を避け、子どもを持とうとしない。結局は「人口減少→成長率低下→所得減少→人口減少」の悪循環に入る。英国の人口学者ポール・ウォーレス氏は人口減少が大地震に劣らずマイナスの影響を与えるとし、これを「人口地震」と表現した。状況がこれほど深刻であるにもかかわらず、政府も民間も総体的な対応をしない。政策決定権者が主に暮らす大都市では人口減少を肌で感じることができないからだ」
文政権は、出生率低下に対して冷淡であった。北朝鮮と統一すれば、全体の人口が増えると言った感覚であったのだろう。新政権では深刻に捉えている。
(5)「2005年に低出産高齢社会委員会が発足してから15年間、220兆ウォン(約23兆円)以上の資金を少子化対策に投入した。それでも人口問題は悪化していった。最悪の状況になればその時には打つ手がない。いま韓国は、徐々に温まっていく水の中のカエルと同じだ。新政権も24日、人口危機対応TFを設置した。過去の前轍を踏まないためには国を救うという使命感を持って取り組む必要がある。韓国という国を存続させるために」
韓国に巣食う儒教倫理の男尊女卑社会を改めなければならない。「社会改造」する気迫で取り組まなければ、韓国は消える運命だ。