勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    あじさいのたまご
       

    外国為替市場で7月11日夜と12日夜に円相場が急伸した。市場では政府・西銀が円買い・ドル売り介入に踏み切ったとの観測が浮上している。「弱い円」は、輸入物価の上昇を招く。政府は、コストプッシュ型のインフレが家計や企業の負担となる事態を危惧している。なりふり構わないようにも見える介入姿勢は、政府の円安への危機感の裏返しだ。財務省の神田真人財務官は12日、「(輸入物価が上がることで)普通に生きている人たち、国民の生活が脅かされるとしたら問題だ」と述べた。政府・日銀が,円安阻止に動く理由である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月13日付)は、「賃上げ効果の消失に危機感政府・日銀に再び介入観測」と題する記事を掲載した。

     

    政府と日が11〜12日に2日連続で為替介入を実施したとの観測が市場で浮上している。対ドルの円相場は一時157円台まで上昇したが、日米の金利差はなお大きく円安圧力は引き続き強い。政府は円安の長期化で賃上げ効果が消失し、経済の好循環に水を差す事態を危惧する。

     

    (1)「財務省の神田真人財務官は12日、「日本は輸入の8割が外貨建てなので投機による円安で輸入物価が上がる。それで国民の生活が脅かされるとしたら問題だ」為替介入の有無についてはノーコメントを貫きつつも、こう強調した。対ドルの円相場は11日夜に6月の米消費者物価指数(CPI)が公表された直後に4円ほど急騰した。その後はいったん円安方向に戻ったものの、12日夜に再び急上昇して一時1ドル=157円台前半とおよそ3週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。市場では日銀が12日に公表した16日の当座預金残高の見通しから、11日夜に3兆〜4兆円規模の円買い・ドル売り介入があったことが確実視されている。12日にも再介入があったとの見方がある」

     

    円安是正は、景気対策になった。異常円安が、交易条件を悪化させ国内の実質購買力を流出させるからだ。「円安不況」という認識が必要になった。

     

    (2)「円安の進行は、円換算した輸入物価を押し上げ、消費者物価を上昇させる。コストプッシュ型のインフレが強まれば、物価変動の影響を除いた実質賃金の伸びが鈍り、家計の負担が増しかねない。神田氏の発言からは、こうした政府の危機感がにじむ。実際、2024年の春季労使交渉の平均賃上げ率は連合の集計で5.%と33年ぶりに5%を上回ったものの、インフレ率の伸びに賃金の上昇が追いついていない。厚生労働省の毎月勤労統計によると、5月の実質賃金(速報、従業員5人以上の事業所)は前年比1.%減と過去最長の26カ月連続マイナスとなった」

     

    24年の平均賃上げが5%を超えても、円安に伴う物価安が続けば実質賃金がプラスに転換しない。9月に日銀の利上げが期待されているが、7月への前倒しも必要な雰囲気になっている。

     

    (3)「明治安田総合研究所の吉川裕也氏の試算では、24年下期の対ドルの為替レートが170円よりも円安に進むと、25年上期の実質賃金の前年同期比の伸び率がプラス転換しない恐れがある。「円安によるコスト高で収益が圧迫され、24年度は例年通りの定期昇給で精いっぱい。場合によっては賞与減額なども検討せざるを得ない」。

     

    日本はここで,円安に立ち向かう姿勢をハッキリと打ち出すことが必要だ、いつまでも介入に頼らず、金利操作による正攻法へ移る段階である。

     

    (4)「日本総合研究所の試算では、1年で10%円安が進むと大企業の製造業では賞与を含む年収が5.%増える。非製造業の中堅企業は2.%減、中小企業は1.%減となる。円安は全体の6割以上を占める非製造の中堅・中小で働く人へのマイナスの影響が大きい。日本総研の西岡慎一氏は「賃金と物価の好循環を実現するには中小の賃上げが必要だが、円安はこの流れを止めてしまう」と懸念する」

     

    円安で潤うのは大企業だけだ。中堅企業・中小企業・零細企業は全て損をする。

     

    (5)「日本商工会議所が6月中旬に全国の約2000社を対象に実施した調査では、「自社にとって望ましい為替レート」は110円以上〜135円未満とする答えが69.%を占めた。円安により仕入れコストが上昇しても「販売・受注価格へ転嫁できず収益が悪化する」との回答は43.%と、23年11月の前回調査から7ポイント上昇した。円安に歯止めをかけるには、賃金と物価がともに上がる好循環によって利上げしやすい環境を整えることが必要になる。中小企業を中心に働く人の実質賃金が上がるように生産性向上などの成長戦略とともに、価格転嫁などの好循環を阻む要因を取り除く取り組みが欠かせない」

     

    日本商工会議所調べでは、望ましい為替レートは110円以上〜135円未満とする答えが69.%を占めた。これが、本当の「適正レート」であろう。日米購買力平価では、1ドル=107円である。これよりも若干の円安レベルが居心地もいい水準である。

     

    次の記事もご参考に。

    2024-07-04

    メルマガ581号 「円安バブル」日本にマイナス、近づく転換点 日米で重要ポイント現る

     

     

     


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    韓国の家計債務は、対GDP比で100%を超えている。80%を超えれば、債務返済に追われて消費が停滞するなど副作用が顕著になると警戒されている。だが、韓国ではこうした警戒信号は響かず、高金利にも関係なく「投資マインド」は積極的である。凄いバイタリティーである。

     

    『中央日報』(7月8日付)は、「韓国、家計向け貸付4日で2兆ウォン増加 借金で不動産購入と株式投資の兆し」と題する記事を掲載した。

     

    韓国で再び、個人の投資活動が再開された感じだ。借りられる限度額一杯の金額を借り入れて家を買う。また、借金をして株式投資する動きが生き返る兆しをみせている。7月5大都市銀行の家計向け貸付が、4日間で2兆ウォン以上増えるなど、最近になって家計負債が急増している。

     

    (1)「7日の金融界によると、KB国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリィ銀行、NH農協銀行の韓国5大銀行の4日基準家計向け貸付残高は総額710兆7558億ウォンで、6月末の708兆5723億ウォンより2兆1835億ウォン(約2400億円)増えた。銀行の家計向け貸付は4月から再び増え始め次第に速度を速めている。6月の5大銀行の家計向け貸付は5兆3415億ウォン(約6140億円)増で、2年11カ月ぶりの増加幅を記録した。7月は4営業日で家計負債増加幅が先月の40.9%に達する」

     

    韓国5大銀行の家計向け貸出増加額は、6月で約6140億円であった。7月に入ってたったの4日間で約2400億円も増えている。異常な増え方である。韓国社会の「付和雷同性」が滲み出ている。一斉に同じ方向へ向って走り出す。こういう姿には、ある種の恐怖感を覚えるほどだ。反日不買運動のときもこういう「怒濤」のような流れがあった。

     

    (2)「家計向け貸付の増加傾向を牽引するのは住宅担保貸付だ。韓国不動産院によると、今月第1週のソウルのマンション価格は前週より0.2%上がり、2021年9月第3週の0.2%から2年9カ月ぶりの上昇幅を記録した。これに対し住宅担保貸付は今年に入り4日までで23兆991億ウォン(約2兆7300億円)増えた。価格上昇が焦りを呼び、無理な借入の需要を増やす悪循環が再び現れるのではないかとの懸念が出ている」 

     

    住宅価格は、7月に入って急に動意をみせたことから、購入急増に繋がった。買い急ぎである。少し様子を見るという慎重さはなさそう。一斉に,同じ方向へ走り出す。扇動に乗りやすいタイプにみえる。

     

    (3)「今月に入り信用貸付まで増加した。4営業日の5大銀行の家計信用貸付残高は1兆0879億ウォン増えた。先月には前月比で信用貸付が2143億ウォン減少したが増加傾向に転じたのだ。都市銀行関係者は「信用貸付が住宅担保貸付などと比較して金利が高いため利子以上の収益を期待する株式投資需要が増えた可能性が大きい」と話した」。

     

    家計信用貸付は,無担保である。これも7月に入って4日間で約1240億円の貸出増加である。資金は、株式投資に向ったと予想されている。株価が、動意を見せ始めた結果だ。自己資金でなく借入金で投資をする。日本とは傾向が異なっている。

     

    『東亜日報』(7月12日付)は、「韓銀総裁『首都圏の住宅価格の上昇ペースが予想より速い』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国銀行(韓銀=中央銀行)が、基準金利を12回連続で据え置いた。最近、首都圏を中心に住宅価格が高騰し、家計負債が急増している上、ウォン安ドル高が続いているため、史上最長期間金利を据え置いたまま、通貨緊縮の基調を維持している。

     

    (4)「韓国銀行が「ピボット」(通貨政策の転換=利下げ)に二の足を踏んでいる要因の一つは、最近高騰している首都圏の住宅価格だ。韓銀の昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は会議終了後の記者懇談会で、「首都圏の不動産価格が上昇するテンポが思ったより速くなっている」とし、「韓銀が流動性を過度に流入したり、または金利引き下げの時点について誤ったシグナルを示して住宅価格の上昇を招くような政策ミスはしてはならないということに、金融通貨委員全員が共感している」と説明した」

     

    韓国銀行が、利下げを躊躇するほど住宅価格が再び値上がりし始めている。ようやく沈静化すると期待していたが、根強い住宅需要である。

     

    (5)「家計負債が増加することも懸念要素となっている。李総裁は、「今市場に出来上がっている利下げへの期待は、やや行き過ぎた側面がある」とし、「このような期待を先に反映して、不動産価格の上昇期待などが形成されることは望ましくない」と強調した」

    韓国社会の「投機好き」は、伝統的なものである。他人が、儲かったという話を聞くと自分も波に遅れまいと手を出す。凄い勢いである。

     

     

    あじさいのたまご
       


    韓国の文政権時代は、安全保障面でアジアに関わることをできるだけ回避してきた。米国の軍事戦略に巻き込まれるという理由であった。だが、ユン政権に交代してからは一変し2022年12月、インド太平洋戦略を発表した。自由、平和、繁栄への挑戦に対抗する重層的、包括的協力ネットワークを構築するというもの。それから1年半が経過したが、アジア諸国における韓国の「認知度」は最低であることが判明した。一方の日本は、長年のアジア政策が成果を上げており、米国や中国を抑えて1位であり、韓国メディアは二重のショックを受けている。 

    『中央日報』(7月12日付)は、「インド太平洋地域での低い韓国の好感度、人的ネットワークの構築から」と題する記事を掲載した。 

    (韓国は)東南アジア諸国連合(ASEAN)と部分対話関係を結んだ1989年以降、現在世界2位の貿易・投資対象となり、人的交流は世界1位だ。西南アジアは最近インドの浮上に伴って重要性が高まっている。にもかかわらず、東南アジア国家の韓国に対する認識は極めて低いという研究結果を看過してはいけない。

     

    (1)「4月初め、シンガポール東南アジア研究所(ISEASユソフ・イシャク研究所)が発表した(識者の)世論調査結果によると、ASEAN所属8カ国のうち韓国は経済影響力が1.0点、政治・戦略影響力が1.4点にすぎなかった。ほとんど最下位レベルだ。米中競争で第3勢力戦略パートナーとして選択する協力相手でも、韓国はインド、オーストラリア・英国より低いという事実が我々の地位をそのまま見せている。日本は信頼度、暮らしたい国・働きたい国、および訪問希望国の3つの指標で米国と中国を抑えて1位だった」 

    シンガポール東南アジア研究所のイメージ調査は、有識者を対象とするものである。それだけに、日本が1位で韓国が最悪では、韓国メディアもショックを受けたであろう。日本は、アジア各国へODA(政府開発援助)によって、低利・超長期融資という相手国側に立った支援を行ってきた。これが、戦時中の被害意識を超えて「日本友好」へと結びついた理由であろう。特に、米国や中国を上回って、日本がトップの評価であることは、日本の地味な努力が報われた結果と言えよう。

     

    『日本経済新聞』(6月14日付)は、「『信頼できる日本』世界に定着、国際協力70年の結晶」と題する記事を掲載した。 

    日本が政府開発援助(ODA)を始めて2024年で70年を迎えた。経済成長と並行して1980年代後半には世界最大の援助国になった。各種調査からは日本が70年間で世界の信頼を集めたことがわかる。節目の年に「信頼力」の源泉を探った。 

    (1)「岸田文雄首相は5月、日経フォーラム「アジアの未来」の演説で「日本と東南アジアは心と心の触れ合う信頼関係を築いてきた」と強調した。その際、取り上げたのがシンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所が毎年発表する東南アジア諸国連合(ASEAN)の有識者への意識調査だ。日本は「信頼できる」との回答が2024年に58.%にのぼった。同じ質問の対象になった中国、欧州連合(EU)、インド、米国に比べて最も高く、調査の開始以来、6年連続で首位に立った」 

    前記の中央日報が取り上げたシンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所の調査データで、日本は「信頼できる」との回答が2024年に58.%にのぼった。調査の開始以来、6年連続で首位である。

     

    (2)「信頼の理由に「国際法を尊重し支持している(36.%)」を挙げる声が「経済の強さ(27.%)」などを上回り、最多だった。中国は、国際法順守の項目が14.%と、5つの国・地域で最も低く信頼度は日本の半分以下だった。決めごとを重視する姿勢は信頼の源泉の一つと言える。インドネシアのユスロン元駐日大使は「日本はODAを通じて約束を守るイメージを植え付けた」と話す。日本のODAは事業の計画から建設、維持・管理まで息長く責任を持つのが特徴だ。支援の打ち切りは、治安の悪化などを除けばほとんどなく相手国に安心感を与える。インドやインドネシア、バングラデシュといった人口大国の都市鉄道で実績を重ねていることが信頼を物語る。渋滞の緩和など実際の効果につなげるには路線網を広げる必要があり、数十年単位のプロジェクトになる。 

    日本が高い信頼度を得ている理由は、国際法を尊重し支持していることを上げている。この点で、日本と対極にあるのは中国で信頼度が最低であった。南シナ海の不法占拠が理由であろう。

     


    (3)「信頼の2つ目の理由に、人的交流が考えられる。外務省の調査によると、日本が「信頼できる」との回答はASEANやインド、中南米などの6つの国・地域で7割以上を占め、いずれも理由に「友好関係」を挙げる答えが最も多い。日本の支援は人と人とのつながりを軸にした双方向性に重きを置く。国際協力機構(JICA)の海外青年協力隊を延べ4万人超派遣する一方、技術移転を目的に相手国の人材も受け入れてきた。「日本は一方的な援助ではなく相手国が自ら考えて動ける支援を重視している」。協力隊を経験した認定NPO法人「アフリメディコ」代表理事の町井恵理氏は語る。同法人が、アフリカで手がける家庭に薬を常備する「置き薬」のサービスも自分で健康を守る自助努力の一つだ」
     

    日本の高い信頼の2つ目の理由は、人的交流が上げられる。国際協力機構(JICA)の海外青年協力隊は、延べ4万人超派遣する一方で技術移転を目的に相手国の人材も受け入れてきた。こうした交流が実を結び、日本を最高に信頼してくれることになった。韓国の反日派の人たちにもぜひ知って欲しい点だ。

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    日本政府は、新しい検察トップの検事総長に畝本直美東京高等検察庁検事長を任命した。日本国内では、通常の検察人事であり畝本氏が女性であることや、私学出身であることもニュースにならなかった。韓国では「女性・私学」の二点に驚きの目で見つめている。普段、日本批判に徹する左派メディアが、日本を見習えとの寄稿を掲載した。

     

    『ハンギョレ新聞』(7月12日付)は、「150年の慣行を破った日本の検察人事、韓国の検察は何を思うか」と題する寄稿を掲載した。筆者は、チェ・ジョンホ弁護士である。

     

    韓国の「検察庁法」は、意味や内容を把握しにくい部分が少なくない。その時、日本の検察庁法逐条解説を読むと理解できる場合がある。これは、韓国の検察制度が1947年以降の日本の検察制度をモデルにしたためだ。実際の運用過程において韓国と日本は大きな違いを見せている。

     

    (1)「日本の検察人事では、検察高官の人事で予測可能性を確保することだった。任期2年の日本の検事総長は、通常23代以降も誰がその地位に上がるのか大まかな予想ができる。法務事務次官→東京高等検察庁検事長→検事総長という経路が人事の慣行として確立されているためだ。1959年からこれまで29人の検事総長のうち、18人がこのような経路を辿った。このように未来の構図を予見できる状況なら、政治権力が人事権の行使を通じて捜査の方向を変えようとする試み自体が難しくなる」

     

    日本の検察制度は、明治時代にフランスの検察制度を導入したもので、捜査権と起訴権を持っている。その意味では大きな権力機構である。韓国検察は、日本の検察制度を導入したので当然、捜査権と起訴権を持つ。だが、韓国左派は「検察ファッショ」として検察制度を骨抜きにして、警察制度で十分という認識になっている。日本では、考えられない議論をしているのだ。

     

    検察制度は、政治から独立した厳正な機構として必要不可欠である。韓国では、検察制度が政治紛争の種になっている。罪を犯しても絶対に認めず言い逃れして、無罪放免を狙うケースが山ほどあるからだ。韓国最大野党「共に民主党」前代表の李在明氏は、犯罪のデパートと言われるほどの罪名で被告の身である。李氏は次の代表を目指して一時、辞任しているが、李氏側近は韓国検察制度をなくす勢いの運動を始めている。日本との差が余りにも大きすぎて戸惑うのだ。

     

    (2)「政治権力の干渉を排除するために、効果的なこのような人事慣行にも重大な限界がある。先例の機械的な踏襲を前提とする慣行は、必然的に保守性を帯びざるを得ない。そして、完全無欠を求める減点主義的人事システムにおいて、検事総長に任命される可能性のある人物は、東京大学や京都大学の法学部在学中に優秀な成績で司法試験に合格した少数のエリートに限られた。実際、歴代検事総長29人のうち、東大と京大以外の大学を卒業したのはたった3人だ」

     

    日本の検事総長は、これまで圧倒的に官学出身である。私学出身は、29人中わずか3人という。検事任官で官学出身が多いという面もあろう。

     

    (3)「6月28日、日本政府は新しい検事総長に畝本直美東京高等検察庁検事長を起用すると発表した。私立の中央大学法学部を卒業した畝本氏は、検察庁での勤務が比較的長かった反面、主要ポストとされる法務省の刑事局長、官房長、事務次官と東京地方検察庁検事正などを経ていない。何よりも、畝本氏は女性初の検事総長だ。長年の慣行を破って非主流に属する人物を検察の首長に抜擢した今回の人事は、日本の検察150年の歴史で前例のない試みであり、新しい現実に適応するための取り組みと言える」

     

    新しい検事総長に就任した畝本直美氏は、女性で私学出身である。日本では、この人事が珍しいとして注目されなかった。検察人事の一環として受け取られたからだ。これは、岸田内閣の特色とも言えよう。妙な「力み」を感じず、自然体で臨んでいる結果であろう。

     

    (4)「不朽の名曲はあっても、不朽の制度や組織はありえない。有機体である組織には死滅を避けるための絶え間ない自己省察と革新に向けた取り組みが求められる。今、韓国の検察は重大な危機に直面している。個別の事案に対する解明などは当然必要だが、これが現存する本質的問題を解決するための究極的な手段ではないことも明らかだ。韓国の検察は、自分たちの原型である日本の今回の検事総長人事を見て、何を考えているのだろうか。もちろん、これはもっぱら彼らに課せられた課題だろう」

     

    韓国で現在、繰り広げられている政争は検察制度を巡る争いである。傍から見ていて、「なんとかならないのか」という思いを抱くことは一再ならずある。左右両派の争いは、「自己の絶対性」を巡る争いである。いかんともし難いのだ。

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    中国のGDP統計は、これまで実態をかさ上げすべく「手を加えている」と批判されてきた。例えば,金融機関の生産性(付加価値)計算では、融資や預金の伸びを基準にしてきたので他国よりも高く算出され、その分がGDPをかさ上げしてきた。実際は、手数料収入や純金利収入が付加価値であるのだ。

     

    今になって、「真面目に計算する」理由は何かだ。中国内部が、ウソのGDPを作成していると真実の姿が分らなくなるということであろう。もはや、GDPを風船のように膨らませても意味がないことを悟ったのであろう。同時に、金融機関の付加価値が実態よりも大きいと、政府が不良債権償却を押しつけてくる危険性を察知したしのであろう。金融業の「自己防衛策」であろう。

     

    『ロイター』(7月12日付)は、「中国GDP統計、金融業の『贅肉』削ぎ落しは賢明な改良」と題するコラムを掲載した。

     

    中国国家統計局が、以前から信頼性を疑問視されていた経済指標の「最適化」を図る時は注意を要することが多い。ただ、今回の国内総生産(GDP)統計の見直しで金融業の付加価値の算出方法が微調整されたことは理に適っていると言える。

     

    (1)「金融業が生み出す付加価値の算出は、多くの国が取り組んできた課題だ。付加価値は「生産されたモノ・サービスの価値」から「生産に使用された投入物のコスト」を差し引いたものだが、金融業の付加価値の算出方法はまちまちだ。ただ、米国など大半の国では一般に収益の指標が利用されており、銀行の場合は基本的に手数料収入や純金利収入で付加価値を算出している。中国の場合は、今年初めにひそかに収益の指標に移行するまで、融資・預金の伸びで付加価値を算出していた」

     

    中国は、GDPという基本統計まで改ざんしてきた。「見栄の権化」であり、背伸びしてきたのだ。

     

    (2)「中国人民銀行(中央銀行)系の金融時報は、今回の算出見直しについて「人の目を欺く贅肉を削ぎ落す」ものだと説明。主に資産と負債の伸びを基に付加価値を算出すれば、金融業の付加価値が実態よりも過大になると指摘した。金融業が昨年生み出した付加価値は全国GDPの8%と、米国並みだった。地方ではこの比率がさらに高く、南京市では昨年第1・四半期の金融業の付加価値がGDPの14%を占めた」

     

    南京市では昨年第1・四半期の金融業の付加価値が、GDPの14%を占めている。地方政府官僚は、背伸びして高い成長率を絞り出して,自分の出世の踏み台にしてきたのだ。

     

    (3)「問題は、政府のGDP目標達成を助けるために銀行のバランスシートを容易に操作できることだ。例えば、ある報道によると、一部の金融機関は他の地域から銀行間預金を借り入れ、政府の統計担当者がデータを収集した後に、預金を返している。人民銀行の潘功勝総裁は6月の金融フォーラムで、付加価値の算出方法を微調整することで、地方政府や銀行が重要な評価期間中に融資・預金量を水増しすることを抑制できると述べた」

     

    1-6月の社会融資規模は、18兆1000億元と、前年同期の22兆元から大きく減少した。1-6月の新規融資は13兆2700億元と、市場予想の13兆3900億元を下回った。これは、「一部の金融機関は他の地域から銀行間預金を借り入れ、政府の統計担当者がデータを収集した後に、預金を返してきた」悪例を改めた結果だ。

     

    (4)「算出見直しの効果はすでに一部の指標に表れている。4月の社会融資総量は2005年以来初めて前月比で減少した。需要低迷が原因だが、銀行の間で融資や預金を増やすインセンティブが低下したことが減少ペース加速の一因になったとみられる。銀行の業績悪化を踏まえれば、今回の見直しにより、金融業のGDPへの寄与度は、ここ数年以上に低下する可能性がある。信用の拡大よりも信用の配分と効率性を優先するというのが人民銀行の潘総裁の大きなメッセージだ。統計の改良は賢明な最初の一歩と言える」

     

    中国は、信用収縮期にさしかかっている。不良債権増加が、銀行の償却を増やさせて

    いるからだ。こうなると、金融機関は、新規の貸出により慎重にならざるを得ない。新たな信用リスク発生を恐れているからだ。

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