勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国の高利貸し手法による融資は、発展途上国の財政を悪化させている。こうした被害拡大を防ぐべく、G7(先進7ヶ国)が6000億ドルの融資で健全なインフラ投資を支援することになった。遅ればせながら、中国の野望を食止める防壁がまた一つ増える。

     

    『ハンギョレ新聞』(6月28日付)は、「G7、中国の一帯一路に対抗し 途上国などに6千億ドル投資」と題する記事を掲載した。

     

    米国をはじめとする主要7カ国(G7)が中国の一帯一路事業に対抗し、開発途上国のインフラに6000億ドルを投資すると発表した」

     


    (1)
    「ドイツ南部バイエルン州エルマウ城で開かれている主要7カ国首脳会議に出席した米国のジョー・バイデン大統領は26日(現地時間)、米国がアジアやアフリカなどの途上国と中進国のインフラ開発に5年間2000億ドルを投入する計画だと明らかにした。さらに、他のG7構成国と欧州諸国まで含めた投資目標額は6000億ドルだとし、このような内容の「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」の発足を宣言した」

     

    今後5年間で、米国が2000億ドル、他のG7やEU(欧州連合)まで含めれば、合計6000億ドルのインフラ投資を支援する。中国の高利で担保を必要とする「商業的融資」と区別した、受益国本位のインフラ投資支援だ。中国は、自国利益の視点から融資先を選んでおり、受益国の利益を無視した融資である。

     


    (2)「バイデン大統領は、「途上国はパンデミックのようなグローバルな衝撃を乗り越えていくのに必要な基盤がない場合が多い」として、「これは単に人道主義の面で懸念すべきことではなく、我々皆の経済と安全保障の面での懸念事項だ」と述べた。また「我々は世界各地の主なインフラ投資で、各国とその市民により良い選択肢を提供している」とし、「透明性やパートナーシップ、労働と環境保護」を追求すると明らかにした。「グローバル・インフラ投資パートナーシップ」は気候変化と清浄エネルギー▽安全で開放的なインターネットと情報システム▽性平等と公正性▽保健インフラの改善を4大軸としている」

     

    下線部で、融資の目的を明らかにしている。西側諸国にとっての安全保障に資するという視点が強調されている。これは同時に、中国が狙っている地域でもあり、先手を打って中国の進出を食止める狙いである。中国の「一帯一路」は、中国の国益確保が前面に出ている。

     


    (3)「ホワイトハウスは説明資料で、同事業の財源は政府資金と民間投資から作られると明らかにした。 ホワイトハウスは、米国機関が参加する初期事業として、アンゴラの太陽電池パネル事業やセネガルのワクチン製造施設、シンガポールから東アフリカを経てフランスにつながる通信網、インド農村投資ファンドなどを挙げた」

     

    具体的なプロジェクトも上げられている。中国が手がけられないようなプロジェクトが入っている。ワクチン製造施設や通信網、農村投資ファンドなど民間資金も導入した大掛かりなものが予想される。中国の一帯一路プロジェクトでは、橋・空港・トンネル・港湾・建物といった土木事業が主体である。これよりもはるかに高度な内容のプロジェクトが見込まれる。

     


    (4)「『グローバル・インフラ投資パートナーシップ』は、ユーラシア各地を鉄道や道路、港湾と5世代(5G)通信網で自国と連結する中国の一帯一路に対応する事業だ。米政府高官はブリーフィングで「(一帯一路事業として)支援を受け、いわゆる投資を受ける国々は数年後、借金がさらに増えたことに気づく」とし、「その投資というのはその国の人々に届かない」と主張した。また、米国などが参加した事業は負債を増やす方式にはならないとも述べた」

     

    中国の「債務漬け融資」は、実に巧妙な形で行なわれている。先ず政治家を賄賂で抱き込み、過剰な融資で返済不能にさせ、担保を取り上げる「悪徳商法」そのものだ。こういう悪例から見れば、今回の先進国のインフラ投資支援は、受益国本位の投資内容になっている。

     


    (5)「主要7カ国の首脳は同日、ウクライナへの支援やロシアへの圧迫強化策についても話し合った。参加国の首脳らは、ロシア産の金の輸入禁止も発表する予定だ。ロシアの最大輸入源である石油に価格上限制を適用することも議論されている。購買者がカルテルを形成し、ロシア産石油価格を制限しようという内容だ。ウクライナ戦争で悪化した食糧とエネルギー供給、インフレへの対処も主要テーマとなっている」

     

    G7首脳は27日、ロシアとの戦闘が続くウクライナへの支持を長期的に継続する姿勢を強調した。G7首脳は、将来の平和的解決はウクライナの決断次第との考えを示しつつ、ウクライナが緊急に必要とする軍装備品などの供給で協力を継続する方針を示したものだ。G7内では、ウクライナ支援について温度差のあることが伝えられていたが、最終的に「支援継続」「和平はウクライナの決めること」と決定した。ウクライナ側は、「この冬までに和平を考える」としている。

     

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    ウクライナは、年1回開催されるG7首脳会議と、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議に合わせて、自国への支援を求めて積極的な動きをしている。G7では、ロシアとの貿易から得る関税収入をウクライナ支援に充当する方針を盛り込んだ。また、NATOが2030年を目標とする文書の「戦略概念」では、欧州安保の基盤がウクライナにあることを明記するように働きかけている。これによって、NATO非加盟のウクライナの安全保障への間接的寄与を求めているものだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(6月27日付)は、「米欧、ウクライナ支援強化 ロシア関税収入を充当」と題する記事を掲載した。

     

    主要7カ国首脳会議(G7サミット)は26~27日にかけてウクライナ情勢を議論し、追加軍事支援や復興に向けた財政支援の強化で一致した。東部ルガンスク州の制圧が迫るなか、ウクライナ側に必要な支援を提供できるかどうかが戦況を左右する。

     


    (1)「G7は27日、ウクライナ支援に関する声明を発表し、ロシアとの貿易から得る関税収入をウクライナ支援に充当する方針を盛り込んだ。日米などは貿易上の優遇措置を保証する「最恵国待遇」の対象からロシアを外しており、これで引き上げた関税を有効活用する。軍事支援では米政府がサミット直前の23日、高機動ロケット砲システム「ハイマース」4基を含む4億5000万ドル(約600億円)相当の武器の追加供与を承認した。侵攻開始以来、米国のウクライナ向け武器支援は総額61億ドルにのぼる。英国とドイツも多連装ロケット発射システム(MLRS)の供与を決め、支援兵器は大型化している」

     

    G7各国は、対ロシア貿易の関税収入をウクライナ支援に充当することを決めた。これにより、一定の資金がウクライナ側で確保できる。米国は、支援兵器の大型化に乗出している。

     


    (2)「ウクライナ政府は兵器支援拡大を求めるが、足元で到着したのは要請の1割程度だと訴える。G7は29~30日にある北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の議論も踏まえ追加軍事支援を急ぐ。ゼレンスキー大統領は侵攻による打撃で毎月50億ドルの財政支援が必要だと訴える。破壊されたインフラの被害額は1000億ドルに達するとの試算もある。G7は通常の財政支出だけでなく、様々な手段でウクライナへの資金支援を検討する。対ロシア貿易の関税収入の活用はその一つだ」

     

    ウクライナが受けたインフラ被害は、すでに1000億ドルに達している。このほか、ウクライナは毎月50億ドルの財政支出が必要としている。この資金調達の一環として、ウクライナは人口流出と工場の操業ストップで電力供給が過剰になっているので、欧州へ販売する件も検討されている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月27日付)によれば、年間16億ドル程度の利益が得られるという。それでも、約10日分の財政支出を賄えるだけだ。

     

    (3)「米国や欧州連合(EU)では、制裁で凍結したロシア政府やオリガルヒ(新興財閥)の資産を、ウクライナ復興に充当する案が浮上する。ただ国際法に合致した枠組み作りのハードルは高い。今回のG7サミットでも「打開策は簡単には見つからない」(EU関係者)との見方が強い。英王立防衛安全保障研究所のマリア・ニツェーロ氏は、「私たちは法の支配の原則に沿って凍結資産の没収や支援への充当を考える必要がある。特に(各国中銀にある)ロシアの外貨準備を没収するのは難しい」と指摘する」

     

    ウクライナ復興でロシアの凍結資産を流用する問題は、法的にもかなり難しい面がある。とりわけ、ロシアの外貨準備を没収することは困難であるとしている。

     


    英紙『フィナンシャル・タイムズ』(6月25日付)は、「NATO戦略概念で『ウクライナ評価を』同国高官」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に対し、同国が欧州の安全保障で中心的な役割を果たしていると29~30日にマドリードで開かれるNATO首脳会議で評価するよう求めている。取材に応じたウクライナ政府高官が明らかにした。NATOは首脳会議で、戦略概念の改定を議論する。

     

    (4)「ウクライナのジョウクヴァ大統領府副長官兼大統領顧問(外交担当)は、ウクライナが侵攻してきたロシアと戦っている事実を考慮し、NATOの戦略目標の文書「戦略概念」にウクライナが欧州安保の「基盤」だと明記すべきだという考えを示した。ジョウクヴァ氏は、ウクライナは戦略概念を改定する議論に直接参加するわけではないが、NATOに加盟する各国に同国の提案を伝えている」

     

    ウクライナは、自国の運命をNATOに託している以上、ウクライナの立場をNATOの「戦略概念」に明記してくれるように求めている。大国ロシアを前に、ウクライナが国家主権を守るべく必死である。

     


    (5)「ジョウクヴァ氏は、「NATO各国が欧州やウクライナの現状を明記しなければ、この文書の内容は実態からかけ離れてしまう」と主張した。現行の戦略概念は2010年に改定された。欧州の安保体制の整備に向けた多くの目標の一つとして、ウクライナとの協力態勢を強化していくと明記した。背景にあるのは08年にルーマニアの首都ブカレストで開いたNATO首脳会議がウクライナの加盟を歓迎すると判断した事実だ。ウクライナは近い将来のNATO加盟が現実的でないと認識しているが、NATOにウクライナとの協力姿勢を再確認するよう要求している」

     

    現行の「戦略概念」では、ウクライナとの協力態勢を強化すると明記していた。次の「戦略概念」でも、引き続きウクライナとの関係強化を訴えているもの。このウクライナの要請によって、国運の保護をNATOに要請せざるを得ない土壇場の苦衷が伝わる。

     

    (6)「ジョウクヴァ氏は、NATOが改定する戦略概念で、ロシアを「パートナー」と言及している部分をすべて削除するようにも求めている。現行の戦略概念で、NATOはロシアとの「真の戦略的パートナーシップ」を目指し、NATOとロシアの協調は戦略上重要だと指摘している。ジョウクヴァ氏は「(新たな)戦略概念では侵略者ロシアへの警告をもっと強めてほしい。加盟国はひるむことなく、ロシアに対抗する規定をまとめてほしい」と注文をつけた」

     

    このパラグラフから言えば、NATOはロシアを敵対視せずに話し相手として位置づけていたことが分る。NATOは、ロシアを刺激しない文言であったのだ。それにも関わらず、ロシアは敢えて曲解した形で、ウクライナ侵攻に走ったことが浮き彫りになっている。それだけに、裏切られた形のウクライナは、ロシアへ厳しい言葉で対抗するように求めているのだろう。

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    先進国では、領土拡大を意味する植民地主義が、19世紀の遺物として清算済である。ロシアは、未だにこれにしがみついており、世界の平和にとって大きな障害であることが浮き彫りになった。こういう「時代遅れ」の国に対して、どのように対応するのか。悩みは深い。

     

    ロシアの領土拡大の欲望は、止まるところを知らないようだ。6月初め、プーチン氏はウクライナについて、第一歩にすぎないと述べ、他の多くの領土も潜在的な標的とみていることが分かった。9日には初代ロシア皇帝のピョートル大帝の生誕350周年を記念する展覧会に出向き、ピョートル大帝がスウェーデンから獲得した領土について、「彼は私たちの領土を取り戻し、強化しただけだ」と笑みを浮かべて説明した。

     


    米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月27日付)は、「プーチン氏『帝国の野望』 どこまで目指すのか」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「初代ロシア皇帝のピョートル大帝の生誕350周年を記念する展覧会で、プーチン氏は次のように語った。「(土地を)取り戻して強化することがわれわれの運命のようだ」と述べ、ウクライナ戦争がピョートル大帝の戦争のように、20年以上続く可能性を示唆した。大統領補佐官のウラジーミル・メジンスキー氏はさらに露骨で、モスクワが地球の表面の6分の1を支配していたときより領土が大幅に縮小したと嘆き、不運な後退は「いつまでも続かない」と述べた」

     

    領土拡大を歴史の使命とするプーチン氏は、歴史を動かす原動力が「イノベーション」であることの認識がない。領土重視=資源重視=モノカルチャー経済という必然的な衰退コースを歩んでいる。この意味で、20年後のロシアは確実に弱小国へ転落するに違いない。科学革命の経験がない国家の悲劇である。

     


    (2)「領土の回復を訴えるこうした発言は1991年のソビエト連邦崩壊を巡る積年の憤りによるところが大きい。プーチン氏が20世紀最大の惨劇だとするソ連崩壊で、ロシアは歴代皇帝が積み上げた人口と領土のほぼ半分を失った。これをきっかけに世界の超大国は権威を失って、貧困や汚職、反乱に悩まされる破綻国家となった。ロシア政府はエストニアやリトアニア――両国ともNATOと欧州連合(EU)に加盟している――やモルドバ――ロシア軍高官が標的として最近引き合いに出した――などの隣国に新たに脅しをちらつかせている」

     

    ロシアは、1991年のソ連崩壊で領土も人口も失った。正確に言えば、これまでの支配が異常であり、正常化されたにすぎない。これを歴史の屈辱と捉えているが、大きな間違いだ。

     

    戦後の日本も同じ境遇に陥った。後に総理になる石橋湛山(当時:東洋経済新報社社長)は敗戦の年、『東洋経済新報(週刊東洋経済)』8月25日号社説)で、「更正日本の針路」と題し、日本は領土を失っても悲観することはない、技術でこれを補えると鼓舞した。その後の日本経済は、現実に復興を果たした。ロシアには、石橋湛山のような思想も人物もいないのだろう。ロシアが今後、発展できない理由はこれだ。

     


    (3)「ウクライナでのぶざまな後退こそが、プーチン氏を戦争の拡大に追いやる可能性があると警告するのは、ロシアの野党政治家でかつてはプーチン氏に助言したマラト・ゲルマン氏だ。「国内で大統領の支持率が脅威にさらされている。大統領は自分が拡大し、資金を注いできた偉大な軍隊がなぜウクライナの抵抗に対応できないかを説明できない」と同氏は言う。「従って大統領はウクライナとだけでなく、世界全体と戦う新たな次元に全てを移行させる必要がある。それゆえプーチン氏は別の犠牲者を選ぶ危険がある」。戦争が拡大すれば、民間人の軍への動員と、ロシアにまだ存在する数少ない市民的自由の排除が正当化される可能性がある、と同氏は指摘する」

     

    プーチン氏が、ウクライナ敗北で引き下がる男ではない。戦線を拡大して勝つまで戦うだろう。これは、見過ごしにできない重要な点である。

     


    (4)「ロシアが軍事的な問題を抱えているにもかかわらず、ウクライナ戦争の終結はほど遠い。ロシアは年単位の戦争に備えながら、ドンバス地方で前進を続けており、ウクライナ併合という当初の目標を変えていない。国家安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ前大統領は今月、「ウクライナが2年後に世界地図に残っていると誰が言ったか」と述べた。一部の欧州の指導者にとってこれらの発言が意味するところは、ウクライナの大部分がロシアに支配された状態で停戦が実現し、ロシアが消耗した軍を再編・再建して、新たな攻撃に向けて準備をすることができれば、最終的に他の欧州の国がプーチン氏の標的になる、ということだ

     

    ウクライナ戦争は、簡単に終わらないだろうという見方である。プーチン氏が、敗北を受入れない男であるからだ。

     

    (5)「エストニアを含むバルト3国は、建前上はNATO加盟によって保護されているが、NATOが現在、この地域を含めた東欧に配置している兵力は少なく、ロシアの全面侵攻を軍事的に撃退するには十分ではない。東欧最大の国ポーランドでさえ、軍隊はウクライナ軍ほど強くはなく、戦闘で鍛えられてもいない。一部の西側の軍事専門家によると、ロシア軍はエストニアの首都タリンをわずか1日で占領できるという。ポーランド国防省が2021年に実施した軍事演習では、同国軍は5日間でロシアに完敗するとの結論に達した」

     

    バルト3国は、ロシアの戦闘拡大に最も警戒している。エストニアの首都タリンは、わずか1日で占領されるという。米軍が、バルト3国へ常駐するので、ロシア軍も簡単に手を出せない状況だ。

     

    (6)「元駐NATO米大使でシンクタンク「シカゴ・グローバル評議会(CCGA)」会長のイボ・ダルダー氏によれば、ロシアがNATO加盟国に対して軍事侵攻した場合、現状では米国は間違いなく迅速に対応するという。ウクライナでの経験とは違って、ロシアの空軍は数日で破壊され、地上部隊はNATOの優れた空軍力に太刀打ちできないだろう。しかし、米国でより孤立主義的な政権が成立すれば、状況は変わるかもしれない」

     

    米軍とNATO軍がロシア軍と戦えば、帰趨ははっきりしている。ただ、米国でトランプ氏のような孤立主義者が政権につくと状況は変わる。欧州はその場合、悲劇再現となるリスクが高まる。

     

     

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    日本は2019年7月、韓国への半導体主要3素材の輸出手続きで規制強化した。これに韓国が反発し、大掛かりな反日不買運動を始めた。あれから間もなく3年経つ。日本は、輸出手続き規制を行なっただけで輸出を規制した訳でない。韓国は、激昂してWTO(世界貿易機関)へ提訴する騒ぎになった。後に撤回している。

     

    日本は、韓国に対して「ホワイト国」として輸出手続きを一括で済ませ優遇措置をしてきた。だが、度の過ぎた反日運動に手を焼いた日本が、報復の意味で「ホワイト国」待遇を撤廃し、個別輸出手続きに切り変えただけの話だ。韓国は、日本から丁重に扱われるのが当然と思い込んできたところへ「冷や水」をかけられたのである。反日をやれば、報復されるという単純な理屈である。

     


    『日本経済新聞 電子版』(6月27日付)は、「韓国半導体素材、国産化足踏み 日本の輸出管理措置3年」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の半導体素材や製造装置の国産化が足踏みしている。2019年7月に日本政府が韓国への輸出手続きを一部品目で厳格化して以降、韓国は関連品目の国産化を進めてきた。ただ、足元では日本からの輸入額が増加に転じるなど揺り戻しが見られる。日本の措置からまもなく3年になるが、日韓の半導体関連の供給網はなお命脈を保っている。

     

    (1)「59日の大統領任期最終日。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は最後の演説でこう述べた。「日本の不当な輸出規制による危機を、全国民が団結し克服したことが忘れられません」。任期を総括した10分ほどの退任演説で早々にあらわにしたのは、日本の措置への反発だった。19年7月に当時の安倍政権は「両国間の信頼関係が著しく損なわれた」として、軍事転用リスクのある素材を韓国に輸出する際の優遇策を見直した。半導体生産に不可欠な「フッ化水素」や「EUV用フォトレジスト(感光剤)」、有機ELパネルの保護部材に使う「フッ化ポリイミド」の3品目で輸出案件ごとに個別審査を求めるとした」

     

    従来は、「政経分離」で日韓関係がもつれても経済に波及させなかった。韓国は、これによって「日本与しやすし」と誤解して過激な反日運動に走った。輸出手続き規制は、日本が「政経不分離」で政治的軋轢を経済へ波及させる最初のケースである。不条理な反日を止めるには、「政経不分離」もやむを得ない措置である。韓国に実損はなく、手続き規制だけである。これで、韓国を「教育」したことは間違いない。不条理な反日運動止めるには、致し方ないことだ。

     

    (2)「経済産業省は、「本来必要な手続きを実施するだけ」と説明した。一方の韓国政府は18年10月に韓国最高裁が日本企業への賠償を命じた元徴用工判決を念頭に「経済報復だ」と激しく反発した。韓国では日本製品の不買運動にまで発展し、日韓関係は戦後最悪といわれるほどに悪化した。文氏は率先して国内の半導体部材メーカーの拠点を訪問し、国産化の推進を鼓舞してきた。年間2兆ウォン(約2100億円)規模の研究開発支援の予算を投じ、「危機を機会に変えた」と成果を誇ってみせた」

     

    下線部の日本側説明は正しい。韓国は、出鱈目な統計を持ちだして、「国産化成功」としてきたがすべてウソであった。短期間に国産化できるはずもなく、ましてや、ユーザーが国産品切り変えに極めて慎重であるからだ。半導体の歩留まりに大きな影響を与えるのだ。文政権は、こういった微妙な点を理解しなかった。

     


    (3)「ただ、韓国貿易協会の統計を見る限り、文政権が主張するほどに「脱日本」は進んでいない。日本が輸出手続きを厳格化した半導体関連素材3品目のうち、フッ化水素の対日輸入額は19年7月を境に急減し、20年は18年比で86%減となった。それでも21年は前年比で34%増と反発し、22年1~4月も前年同期比で30%増と回復傾向が続く。残りの2品目でも、フォトレジストは前年比で2ケタの伸びが続き、フッ化ポリイミドは微減にとどまる」

     

    フッ化水素は、日本企業の海外工場から「迂回輸入」へ切り変えただけである。日本からの輸出は減るが、トータルでは変化はなかった。最近、日本からの輸出が増えたのは、日本からの直輸出に戻したに過ぎない。騙されてはいけないのだ。

     

    (4)「日系材料メーカーの関係者は、「フッ化水素を除けば、特段の影響はなかった」と声をそろえる。さらに韓国が日本から輸入する品目で金額が最も大きい半導体製造装置の21年輸入額は前年比44%増の63億ドル(約8500億円)となり、全品目での対日貿易赤字も拡大傾向が続く。IBK投資証券で素材業界を担当する李建宰(イ・ゴンジェ)アナリストは「代替材料を導入するためには半導体の生産ラインを止める必要があり、メーカー側も国産品の追加導入には慎重」とみる」

     

    半導体生産は、素材との「相性」が極めて微妙だという。同じ成分でも日本製と他国製では異なるという。製造工程が、日本型素材になれている結果と説明されている。

     

    (5)「国産化の足踏みは、韓国企業の株価にも反映される。フッ化水素の国産化で知名度を高めたソウルブレーンは19年7月以降に株価が急騰し、持ち株会社株は一時7万ウォンを付けた。しかし直近で2万ウォンを割り込み、6年ぶりの安値圏に沈む。一方で、日本政府の措置が韓国企業に無用な不信感を生んだのも事実だ。半導体大手のサムスン電子やSKハイニックスは工場停止のリスクを痛感した。結果的に日本製の部材を代替できるサプライヤーを育成するための資金支援や技術供与につながった」

     

    半導体は、製造機械から素材まですべて日本製の場合、そこに言葉では説明できないような微妙な「相性」が成立しているという。これが、製品の歩留まり率に影響するのだ。

     


    (6)「今後の焦点は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の出方だ。16日に発表した経済政策方針では、「脱日本」「国産化」といった文言は盛り込まれなかった。対日関係改善を掲げる尹政権が日本を刺激する文言を控えた可能性がある。ただ、前政権の手厚い支援で動き始めた半導体関連の素材や装置の国産化をあえて中断する理由もない。尹政権内では「経済安保の観点からも部材国産化は必要」との声も聞かれる」

     

    日本製部品の強みは、価格・品質・納期の3拍子が揃っていることである。この一つでも欠ければ、優位性を失う。韓国メーカーは、これら3点を守って日本との競争に挑むべきだ。

     

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    6月26日を以て、ロシア国債のデフォルト(債務不履行)が最終確定した。1918年以来の「歴史的事件」である。ロシアは、今回デフォルト状態に陥ったことで、経済、金融、政治の面での孤立が急速に進むという厳しい現実を示している。

     

    いかなる国といえども、世界覇権を握る西側諸国と軍事対決すると、このような冷酷な事態が起こることを示す象徴的な事例であろう。中国が軍事侵攻をすれば、ロシアと同様の結果を招くという意味で、重大な警告になる。

     


    『ブルームバーグ』(6月27日付)は、「ロシア国債がデフォルト状態、約1世紀ぶりー利払い猶予26日終了」と題する記事を掲載した。

     

    ロシアが外貨建てソブリン債のデフォルト(債務不履行)状態に陥った。旧ソ連の初代指導者レーニンが帝政ロシア時代の債務の履行を拒否した1918年以来、約100年ぶりとなる。同国のウクライナ侵攻に対して米国と西側諸国が科した金融制裁が国外債権者への支払いルートを閉ざした結果、2件のユーロ債の利払いが履行できなくなった。

     

    (1)「債権者が5月27日の期日に受け取るはずだった約1億ドル(約135億円)の利払い猶予期間が26日に終了した。期限内に支払われない場合、デフォルト事由と見なされる。ロシア側はこれに対し、いかなる支払い義務も履行する資金があるにもかかわらず不払いを余儀なくされていると主張し、デフォルトの指定に反対する構えを示す。同国政府は先週、発行残高400億ドル相当のソブリン債について、ルーブルでの返済に切り替えると発表。西側が人為的に生じさせた「不可抗力」の状況だと批判した」

     

    ロシア側は、今回のデフォルト措置に反対意向を示している。支払う資金があるにもかかわらず、支払い手段を奪われたとしている。ロシアは、デフォルト判定された後の混乱を恐れている。世界の金融網から遮断されるからだ。

     

    (2)「デフォルトは、正式には格付け会社が通常認定するが、欧州連合(EU)が制裁強化の一環でロシアの発行体への格付けを禁止したため、S&Pグローバル・レーティングなど主要格付け会社は、既存の格付けを全て取り下げた。ロシアが発行したユーロ債は3月初め以降、発行体を破綻状態として扱うディストレスト水準で取引されてきた。中央銀行の外貨準備が凍結され、上位金融機関も国際金融システムから締め出されており、今回デフォルト状態に陥ったことは、ロシアの経済、金融、政治的孤立が急速に進む厳しい現実を浮き彫りにする。ただ、ロシアの経済と市場が既に被っている打撃を考えると、デフォルトは差し当たり象徴的意味合いが大きく、2桁のインフレと数年ぶりの深刻な景気縮小に見舞われるロシア国民への影響は限定的となりそうだ」

     

    デフォルト判定は、世界の主要格付け会社が行なう。EUは、ロシアの債券発行体の格付けを禁止している。「無格付け」の債券発行は不可能ゆえに、ロシアは孤立させられる。ただ、国民生活への影響は当面、限定的とされる。影響が出るのは、ロシア経済が大きく傾いた場合だ。来年以降となろう。

     

    (3)「ルーミス・セイレス・アンド・カンパニーのシニア・ソブリンアナリストのハッサン・マリク氏は、「違う状況なら返済手段を持つ政府が、外国政府によって債務不履行を余儀なくされる極めて珍しい事態だ。歴史の転機となる大きなデフォルトの一つになるだろう」と指摘した」

     

    このパラグラフは、支払う資金があってもデフォルトになるという珍しい事例である。政治的な理由で、今後も他国で起こり得る先例になる。さしずめ、中国が次の候補国であろう。

     

    (4)「猶予期間が終了したユーロ債に関する文書によると、発行残高の25%を占める保有者が「デフォルト事由」が発生したと認めれば、債権者自身でデフォルトと認定できる。同文書によれば、請求が無効になるには、支払期日から3年経過する必要があり、債権者側は直ちに行動する必要はない。経済制裁が最終的に緩和されると期待し、ウクライナでの戦争の今後の展開を見守る選択もあり得る

     

    下線部では、ロシアへの経済制裁が解除される場合を想定している。短期間の制裁で済むだろうか。ロシアが、ウクライナの復興資金を負担させられる事態になれば、絶対に拒否するであろう。となれば、制裁は解除されるはずがない。

     

    もう一つの注目点は、EUがロシはからのエネルギー輸入を他国へ切り変えることだ。ロシアは、大手輸出先を失うので経済失速が続く。ロシア国債の格付けは、低位に沈むだろう。ロシアは今後、ウクライナ侵攻で失ったものが、人命のほかに余りにも大きいことを悟らされるはずだ。

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