勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    空虚だった「北京宣言」

    中国が難癖つける理由

    弱小国食い荒らす無法

     

    中国の習近平国家主席は焦っている。今秋の共産党大会で、国家主席3選を勝ち取るためには、党員を納得させる成果を上げなければならない。現状では、得点はゼロどころか、マイナス点ばかりだ。そこで、党員だけでなく国民も奮い立たせるイベントが必要になった。

     

    その役割を担ったのが6月23日、習近平氏主宰によるオンライン形式での新興5ヶ国(BRICS)首脳会議である。参加国は、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカの5ヶ国である。習氏は、BRICS首脳会議で米欧対抗軸をつくり上げて、中国が世界の2大強国として米国へ対抗する姿勢を国民に見せる算段であった。

     


    この思惑を裏づけるように、習氏は首脳会議で強気発言を行なった。国連体制に基づいて、真の多国籍的な国際システムを支持する必要があると強調した。その上で、「冷戦思考を放棄し、対立を阻止する必要がある」とした。「主要新興国および途上国として、BRICSは自らの責任を果たしていかなければならない」と述べたのである。

     

    ロシアのプーチン大統領もこれに呼応して、西側諸国が世界的な危機を助長していると非難。「誠実かつ相互に有益な協力によってのみ、一部の国々(注:西側諸国)の軽率で利己的な行動によって世界経済に生じた危機的状況から脱却する方法を模索できる」とし、BRICSの連携強化を呼びかけた。

     

    習氏とプーチン氏の演説を聴く限り、現在の世界経済を混乱させている責任は、ロシアへ経済制裁を科している西側諸国となる。この原因をつくった、ロシアのウクライナ侵攻について一言半句も触れていないのだ。国連の紛争調整機能を奪っているのも、当事国ロシアの拒否権発動が原因である。余りにも、自己弁護が過ぎる中国とロシアの発言に、ブラジル・インド・南アフリカの首脳も、あいづちを打つわけにいかなかったに違いない。

     


    空虚だった「北京宣言」

    こういう経緯からか、BRICS首脳会議後の「北京宣言」は、習氏とプーチン氏のトーンとかけ離れた「穏やかな」調子のものになった。

     

    北京宣言は、次のような内容だ。

    1)各国の主権や領土の一体性を尊重する。

    2)対話や協議を通じ国家間の不一致や紛争を解決すべきであり、危機の平和的解決に資す

    る努力を支持する。

    3)朝鮮半島情勢では、「完全非核化」に向けた北朝鮮など関係国の話し合いを後押しする。

    4)新たな参加国を求める。

     

    上記内容を見れば、1)から3)はありきたりのことで新味はない。新たに決まったことと言えば、参加国を求めることだけである。習氏は、これによって「中ロ枢軸」を強化しようと狙っている。既存メンバーでは、インドが「反中国」であり協力するはずがない。ブラジルと南アフリカが、「中ロ枢軸」に加わったところで、大した力にならない。新規参加国を求めたくても、新メンバー国へ提供できる肝心の技術がないのだ。

     

    中ロは、西側諸国から大量の技術を導入し、多額の特許権使用料を支払っている身だ。「技術料収支」で大赤字になり、世界最低クラスの「技術貧困国」である。この中ロの率いる「BRICS」へ、新たに加盟したい国が現れるとは思えないのだ。中ロ枢軸が、欧米への対抗軸を構築すること自体、ナンセンスと言うほかない。

     

    習氏が、「BRICS」というマイナーな集まりを強化しようとした狙いは何か。それは、米欧による「中国包囲網」がジリジリと形成されていることにあろう。

     

    米国主導のIPEF(インド太平洋経済枠組)は、14ヶ国が参加する。ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヶ国中7ヶ国までが加わり、これに日米豪印のほかに韓国やNZ(ニュージーランド)、南太平洋島嶼国のフィジーが参加する多彩なメンバーである。

     


    IPEFは、4つの分野から成り立つ。

    1)貿易

    2)サプライチェーン

    3)クリーンエネルギー・脱炭素化

    4)税制・腐敗防止

     

    参加国は、前記の4分野から選択すれば良い仕組みである。1)貿易は、関税引き下げのメリットはない。2)サプライチェーンや、3)クリーンエネルギー・脱炭素化ではかなりのメリットが得られる感じだ。

     

    具体的には次のような内容である。

    2)では、半導体や重要鉱物へのアクセスを容易にできること。

    3)では、インフラの開発支援やクリーンエネルギー開発技術といった途上国には魅力的なテーマが並ぶ。こういうきめ細かい対応を見れば、「技術貧困国」中ロが逆立ちしても対抗できる筈もないのだ。(つづく)

     

    次の記事もご参考に。

    2022-06-02

    メルマガ365号 習近平10年の「悪行」、欧米から突付けられた「縁切り状」

    2022-06-09

    メルマガ367号 中国「二つの鬼門」、ロシア支援・ウイグル族弾圧事件 西側から孤立し

     

     

     

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    中国は、長引いたロックダウンの影響と、政府のハイテク企業規制強化で雇用状態は最悪期を迎えている。大手ハイテク企業は、1割の人員削減を迫られており、大学生の就職内定も取消されている。中国では、参政権を奪われている代わりに、高い経済成長が約束されてきた。この「約束」が反古にされており、改めて中国共産党への信頼感が揺さぶられる事態に直面している。

     

    『ロイター』(6月25日付)は、「中国の大学新卒者『空前の就職難』ゼロコロナが拍車」と題する記事を掲載した。

     

    中国経済は昨年の不動産市場の冷え込みや地政学的問題、当局によるハイテク、教育など幅広い産業への締め付けで既に減速していた。そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」と言える。一方で、数十年来で最悪の状況となった労働市場に、ポルトガルの全人口を上回る規模の中国の大学新卒者(1080万人)が、一斉に参入しようとしている。足元の若者の失業率は、全世代の3倍以上で過去最高の18.4%に達している。

     


    (1)「こうした就職できない若者の大量発生が、中国社会にどう影響するかは全く読めない。中国が何十年も高成長を続けてきた後で、職探しに苦労するという事態は、せっかく高等教育を受けてきた若者にとって全くの想定外だ。社会の安定を最優先に考える共産党指導部にとっても、特に今年は習近平国家主席の続投が秋に正式に決まろうかという局面で、若者の雇用不安が起きるのはあまりにも間が悪い」

     

    過去の高度成長の成果で、大学進学者は大幅に増えた。今年6月の卒業生は1080万人である。これらの人々が就職するには、「5.5%前後の」GDP成長率が不可欠であった。これも今や実現不可能で、3%前後の成長率予測が多数である。大量失業は不可避だ。

     

    (2)「北京大学のマイケル・ペティス教授(ファイナンス)は、「(中国の)政府と人民が交わした社会契約では、人民が政治に参加しない代わりに、生活水準が年々向上すると保証されている。だから、懸念されるのはいったんこの保証が崩れれば、契約の他の部分も変わらざるを得なくなるのではないか、という点にある」と述べた」

     

    中国では、選挙権ゼロの代わりに「失業ゼロ」が、共産党と国民の間で一種の「社会契約」となってきた。この契約が守られない以上、政府はペナルティをどう払うのか、という新たな課題が出ると指摘される。単純に言えば、習氏が責任を取って、国家主席3選を止めることだが、そんな殊勝さを持っている筈がない。

     


    (3)「李克強首相は、大学新卒者の雇用確保が政府の最優先課題だと明言している。実際、新卒者向けにインターンシップ枠を設けている企業には、他の一般的な雇用支援措置を差し置いて補助金が支給される。一部の地方政府は、起業する新卒者に低利の融資を提供。いくつかの国有企業は、民間で余剰化した非熟練雇用の一部を吸収する見通しだ」

     

    地方政府は細々とながらも雇用支援措置を行なっている。だが、焼け石に水であろう。1080万人の新卒に手厚い保護など不可能だ。

     

    (4)「総合人材サービス企業・ランドスタッドの広域中華圏マネジングディレクター、ロッキー・チャン氏は、中国の非熟練雇用市場は2008~09年の世界金融危機時よりも悪化しており、新規雇用は昨年比で20~30%減ると見積もっている。20年にわたって求人業務に携わってきた同氏は、今年はこれまで見てきた中で市場が最も低調だと指摘した。大手求人サイト、智辯招聘によると、予想給与水準も6.2%低下するとみられる」

     

    新規雇用は、昨年比で20~30%減ると見込まれる。それだけでない。給与水準も6.2%低下予想という。賃下げである。

     


    (5)「最近まで中国の大学新卒者の大量採用してきたのが、ハイテクセクターだった。ところが、業界全体では今、雇用を縮小する動きが広がっている。インターンネットサービスのテンセント(騰訊控股)から電子商取引のアリババまで、多くの大手IT企業は規制当局の取り締まり強化のあおりで、大規模な人員削減を強いられた。ハイテクセクター全体で今年、何万人もが職を失った、と5人の業界関係者がロイターに明かした。上海を拠点する人材管理サービスの許姆四達集団が4月に公表したリポートを見ると、ハイテク大手約10社のほぼ全てが最低でも10%の人員を減らし、動画配信の愛奇芸などさらに削減幅が大きくなったケースもあった」

     

    過去、雇用の受け皿であったハイテク大手10社は、最低でも10%の人員減らしを計画している。中国経済の落込みを反映したものだ。

     

    (6)「教育サービスも当局からにらまれた業界の1つで、やはり何万人も解雇した。最大手の新東方教育科技集団は6万人の削減を発表している。逆に新規採用の動きは鈍い。人材紹介会社ロバート・ウォルターズのジュリア・ジュー氏は、「インターネット企業は多くの雇用を減らしている。今、彼らに採用資金があるなら、新卒者よりも経験者を選んでいる」と説明した。近年はハイテク企業との仕事がほとんどだった北京拠点のヘッドハンター、ジェーソンウォン氏は目下、政府系通信企業が主な顧客だ。「インターネット企業の採用が、活発化する黄金時代は終わりを迎えた」と言い切る」

     

    インターネット企業の多くは、新規採用を減らして即戦力の中途採用に切り変えている。これで、新卒者の採用は一段と狭まる。

     

     

     

     

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    中国は、南太平洋島嶼国へ布石を打つつもりで動いていたが、島嶼国側の拒否で不発に終わった。これに刺激された日米英豪NZ(ニュージーランド)の5ヶ国は、島嶼国側へ共同支援体制を組むことを決定した。米ホワイトハウスが25日発表した。

     

    中国はこれまでも「弱小国」への支援名目で過剰融資し、「債務の罠」にかける悪質な例が複数表面化している。南太平洋島嶼国でも、このようなリスクの発生が懸念されることから、日米英豪NZが先手を打って長期安定的な支援体制を組む。

     

    米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官は23日、閣僚など高官レベルの太平洋島嶼国訪問が増えることに期待を示した。キャンベル氏は、米シンクタンク、戦略国際問題研究所のイベントで講演し、米国はこの地域で外交施設や域内諸国との接触を増やす必要があると指摘した。「閣僚級など、より多くの高官が太平洋地域を訪問することになるだろう」と述べ、当地に足を運ぶ外交上の重要性を強調した。キャンベル氏は、中国には言及せず「われわれは太平洋地域に関して主権が重要と捉えている。主権を損なったり疑問視したりするような構想は懸念される」と述べた。

     

    『産経新聞』(6月26日付)は、「太平洋関与へ5カ国連携 日米豪などグループ設立」と題する記事を掲載した。

    米国、日本、オーストラリア、ニュージーランドと英国は24日、太平洋地域への関与強化に向けた協力枠組み「青い太平洋におけるパートナー(PBP)」を立ち上げた。米ホワイトハウスが発表した。太平洋の島嶼(とうしょ)国などを民主主義の5カ国が連携して支援。中国への対抗を念頭に、ルールに基づく自由で開かれた地域秩序を後押しする。

     

    (1)「5カ国はPBPを通じ、気候変動や海洋安全保障など地域各国が抱える課題の解決に協力し、外交的な関与を強化する。中国が南太平洋のソロモン諸島と協定を結ぶなど、海洋進出を強めており、地域諸国が過度に中国に傾斜するのを防ぐ狙いもある。ホワイトハウスは声明で「太平洋地域の繁栄と強靭(きょうじん)性、安全を支え続ける」と表明し、5カ国の協力強化の重要性を強調した。

     


    日米英豪NZの5ヶ国が、「青い太平洋におけるパートナー」を立上げて、太平洋島嶼国への恒常的な支援を行ない、中国の介入する余地をなくす。中国は、南太平洋のソロモン諸島と協定を結んだ。ただ、ソロモン諸島は島嶼国全体との協議に委ねる姿勢を見せている。島嶼国全体が、承認しない限り発効しないという立場を取っているのだ。

     

    (2)「米政府によると、5カ国の高官が23、24両日、米ワシントンで太平洋諸国の代表団と会合を開いた。会合にはフランス、欧州連合(EU)もオブザーバー参加した。会合を受けて24日に立ち上げたPBPについて「包摂的で非公式なメカニズム」と位置付けた。 PBPは「地域主義や主権、透明性、説明責任」を重視するとした。会合では運輸や海洋保護、保健衛生、教育分野も議論した

     

    南太平洋島嶼国の立場に立った支援体制を組む。運輸や海洋保護、保健衛生、教育分野など身近な問題の悩み解決に当る。

     


    (3)「米国の太平洋関与をめぐっては、国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官が23日の講演で、多国間で開放的な「太平洋の地域主義」を支えると表明していた。バイデン米大統領が5月下旬に訪日した際には、日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合が開かれ、違法漁業を取り締まる新たな仕組みの発足で合意した。中国漁船による乱獲が一部で問題視されていた」

     

    中国は、支援する側の利益を先行させるのでなく、中国の権益を拡大するという旧式のタイプである。極端な秘密主義で契約内容の公開を厳禁しており、相手国の利益を奪取するという狙いが最初から明白になっている。植民地収奪スタイルだ。いまどき、こういうスタイルが通用すると考えているところが恐ろしい国である。

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    韓国文政権は、寝た子を起すに等しい外交惨事を引き起し、解決もできずに退任した。日韓慰安婦合意問題である。文氏の前政権へダメージを与えるという「私憤」が招いた事件である。こういう出鱈目なことが起こったのは、韓国政治の未熟性を示しており、日本としては許しがたい気持ちになって当然であろう。

     

    韓国では、政権が進歩派(民族主義)から保守派(リベラル)へ移った。新たな視点で、この難問に取り組まざるを得まい。一義的に、韓国国内の問題であるのだ。これが実現すれば、日韓関係も解決の方向へ動き出すであろう。

     


    『朝鮮日報』(6月26日付)は、「韓日慰安婦合意は本当に『屈辱』だったか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイム・ミンヒョク記者である。

     

    来週のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議の舞台から、韓日関係の突破口を探るための外交的努力が始まる。展望は明るいだけではない。「未来志向」の意思は十分でも、現実的な過去史の壁はあまりにも高いからだ。強制徴用と共に過去史問題の一つの軸となっている慰安婦問題に関連して、最近公開された「外交部(省に相当)-尹美香(ユン・ミヒャン)面談」文書は、数年にわたって傾けられた努力が一瞬で水泡に帰する過程の一断面を見せてくれる。同じミスを繰り返さないためにも、何があったのか振り返ってみる必要がある。

     

    (1)「慰安婦問題で韓国政府が、数十年にわたり日本政府に要求してきた核心は、「謝罪と責任認定、それに伴う賠償」だった。その水準についてはいろいろな意見があったが、最も重要なのは被害者が受け入れるかどうかだった。2015年の韓日慰安婦合意の交渉を行った当局者は、ばかではない。彼らは、合意後に被害者が反対したら自分たちが「売国奴」として追われるであろうことを誰よりもよく理解していた。だから合意前に10回以上も被害者側と接触し、意見交換を行ったのだ。当時、正義連の代表だった尹美香氏は「私を(被害者側の)窓口にしてほしい」と言ったという」

     

    慰安婦問題の真相は不明である。自主的に慰安婦になった人たちが圧倒的であるからだ。韓国が、日本追及手段にこれを利用したこと。米国も真相を知らないで「人権問題」として一括りにしたことなど、日韓慰安婦合意の裏には日本の不満が鬱積していた。日本は、それにも関わらず「政治解決」したものである。韓国は、こういう日本側の事情を無視して居丈高になったので、日本が反発して泥沼に陥ったのだ。

     

    (2)「韓国外交部の文書によると、合意発表前日に交渉団は尹氏に「安倍首相の直接謝罪・反省表明」「日本政府の予算10億円拠出」など、中心的な骨子を事前に伝えた。そのいずれも、被害者の「恨」(ハン。晴らせない無念の思い)を100%解くことはできないが、「日本政府の予算拠出+首相の謝罪」は日本の責任を明らかにするもので、その意味は小さくなかった。尹氏も前向きな反応を示したといわれている。交渉家らは「被害者の同意を得た」と考えただろう」

     

    文在寅氏は、「日本は加害者、韓国は被害者」という立場を一貫させた。だから、韓国が無理な要求を出しても、日本はすべて飲むべきという一方的な姿勢であった。文氏は、弁護士出身である以上、係争事件の落としどころを知っている筈である。そのブレーキまで外して、日本へ対抗した。愚かな「弁護士」であった。

     


    (3)「ところが尹氏は、韓国側の措置、すなわち「日本大使館前少女像問題の解決の努力」「国際社会での非難・批判の自粛」「最終的・不可逆的解決の確認」と言う部分は聞かなかったという点を問題にしている。「政府が屈辱合意を隠した」と非難した。この部分は確かめてみるべきだ。少女像や国際社会での批判は、それ自体が目的ではない。責任認定、反省に背を向ける日本を圧迫するための手段だった」

     

    尹美香氏は、慰安婦問題で金儲けを企んでいた。現在、寄付金横領で裁判中の身であることが証明している。尹氏は、日韓慰安婦合意でこの問題が落着すると以後、募金活動ができなくなるので、文在寅氏へ協力して破棄へ持込んだのが真相だ。要するに、文氏と尹氏による「共謀事件」である。

     


    (4)「納得できるだけの謝罪と反省を得られたなら、ことさら国際法的論争を引き起こしながら外国公館前に少女像を置いておく必要はない。少女像を撤去するのでもなく、別の意味ある空間へ移そうというものだった。また、謝罪・賠償を受けたら韓国が国際社会で日本をののしる理由もなくなる。こうなれば、自然と最終的・不可逆的に問題は解決する。もし日本が合意を守らず、とんでもないことを言い出したら、そのときはまた少女像、国際社会での批判を動員すればいい。これをもって、合意自体に「屈辱」のレッテルを張るのは正しいことか」

     

    日韓慰安婦合意によって、すべての紛議を終わらせる。それが、政治的決着の意味である。韓国は、この意味するところを実行せず、少女像を日本大使館正面に置くだけでなく、世界中にばらまくことを止めなかった。いかにも朝鮮民族らしい振る舞いと言うほかない。恥を世界に吹聴して歩くからだ。朝鮮時代の夫婦喧嘩は、わざわざ外でやるという話を聞いた。少女像の海外配置はこの類いである。

     


    (5)「責任認定、賠償の部分に問題があるのなら、尹氏は事前説明を聞いた際に被害者と共有し、「絶対駄目」とブレーキをかけるべきだった。だが慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)ハルモニ(おばあさん)などは、「尹美香は合意の内容を知らせてくれなかった」と語った。合意の発表後、世論では少女像ばかりを浮き彫りにし、「尻尾が胴を振り回す」格好になった」

     

    民事事件において一件落着後は、一切これに触れないという条項がある。少女像は、明文化していなくても、合意後は自粛するのが韓国政府に義務であろう。それを放棄した。

     

    (6)「一度もつれた結び目は、余計に絡む。文在寅(ムン・ジェイン)政権は慰安婦合意を、前政権を攻撃する手段として活用し、外交部は前後の脈絡をきちんと知っていながら「大変な欠陥」があったとして、事実上合意を破棄した。そのせいで、加害者である日本が「韓国は国家間合意も守らない」と大声を上げる状況になると、文在寅大統領は後になって「両国間の公式合意であることは間違いない」と言った。慰安婦合意が「粥でも飯でもない」中途半端な状態になってから5年間、被害者のための措置は一歩も前に進まなかった。その間に、35人いた生存者のうち24人が世を去った」

     

    旧慰安婦とされた人々の大半は、日本の提供した10億円の中から資金が渡されている。それにも関わらず、韓国で別の慰謝料請求裁判の原告になった者まで表われた。韓国地裁は、この事実を指摘して、「一度受領した者に請求権はない」と諭される始末だ。名誉回復が目的でなく、金儲けが絡んでいる。

     

    (7)「ただでさえ難題の韓日問題に、国内政治、陣営の論理、世論の追い立てが絡むと、このような悲劇が起きる。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が反面教師にすべき理由がここにある」

     

    尹政権は、こういう文政権の不始末をどのようにして解決するのか。旧徴用工問題も同じだ。文氏は、民衆を煽っておきながら解決もしないで退任した。無責任な大統領であった。

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    EU(欧州連合)は、ウクライナとモルドヴァの両国を「加盟候補国」と承認した。EU加盟国27カ国が全会一致で決めた。今後は、国内の制度改革が実効を挙げたか、その実績評価によって、正式な加盟国になる。これによって、経済的なメリットを受ける。EU域内では、モノやサービス、ヒトが自由に移動できる。ウクライナ国民も、EU市民になれば域内のどこにでも住み、働くことができるからだ。現状から見ると、夢のような環境が生まれる。

     

    こうした経済的メリットもさることながら、「EUに加盟することで、ウクライナはロシア世界の一部ではなく、欧州の独立主権国家という地位を確立できるだろう」という指摘がある。バルト三国(エストニア・リトアニア・ラトビア)が、「一寸の虫にも三分の魂」で自由を叫び、ロシアから独立した血の叫びを想起すべきだろう。人間には、自由が不可欠である。ウクライナ国民は、それを勝ち取ろうとしているのだ。

     


    英国『BBC』(6月23日付)は、「ウクライナがEU加盟候補国へ『何が変わる』ロシアの反応は?」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ゼレンスキー大統領は、今年2月にロシアの侵攻が始まった5日後に、EU加盟を申請した。ウクライナ側は即時の加盟を求めているが、その手続きには数年かかる可能性もある。EUに加盟すれば財政的な利点があるだろう。しかし、ブリュッセルのシンクタンク「欧州政策研究センター」のザック・パイキン博士は、ウクライナの動機は経済的なものではないと指摘する。「EUに加盟することで、ウクライナはロシア世界の一部ではなく、欧州の独立主権国家という地位を確立できるだろう」と、パイキン博士は述べた」

     

    ウクライナのEU加盟への目的は、欧州の一員になってロシアと縁を切りたいことだという。ウクライナ人の親類縁者はロシアに一杯いるが、もはや価値観が異なる以上、絶縁したいのだ。ウクライナ正教は、すでにロシア正教から独立した存在である。信仰が異なる以上、ロシアの支配を受けたくないという独立精神が旺盛なのだ。

     


    (2)「欧州委員会は、
    申請した国が加盟候補にふさわしいかどうかを判断する。安定した民主主義政府があるかどうか、人権が尊重されているか、自由市場経済が存在しているかどうかなどが基準となる。この手続きの後、欧州委が申請国を加盟候補に推奨すると、次は全加盟国の承認が必要となる。全加盟国が承認し、正式な加盟候補となった国は、数年をかけてEU法や規制を国内法に適用していく。このプロセスが終わって初めて、加盟候補国は加盟条約に署名することができる。この条約も、全加盟国が批准する必要がある」

     

    欧州は、カソリックかプロテスタントである。宗教改革や科学革命を経験している文化圏だ。それだけに、正教の古い慣行に染まっている国では、汚職などがはびこっている。EUは、それを糺さないと正式加盟国として受入れない。

     


    (3)「ブルガリアやルーマニア、クロアチアといった直近の加盟国は、一連の手続きに10~12年を費やした。アルバニアと北マケドニア、モンテネグロ、セルビアは正式な加盟候補国となって数年がたっているが、手続きは滞っている。トルコも1999年に加盟候補国となったものの、人権侵害への懸念があることから、加盟交渉は中断したままだ。ウクライナの隣国のモルドヴァも、ウクライナと同じ日に加盟候補国に認められた。ジョージアも同時期に申請したが、いくつかの改革が必要と判断された」

     

    ブルガリアやルーマニアの宗教は正教である。クロアチアはカトリックが8割である。一連の手続きに10~12年も費やしている。ウクライナは、こういう国々と比べてどこまで短縮できるかだ。ウクライナ侵攻という多大の犠牲を被っても、新しい国造りを目指す熱意が、期間を短縮させることを期待したい。

     

    (4)「ウクライナは、EU加盟申請への準備としてすでに、数々の国内法や規制をEU基準に変更している。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、ウクライナは「良い仕事をしている」と述べた一方で、加盟に向けてはさらに「重要な改革」が必要だと指摘した。これには、法の統治の強化、人権状況の改善、オリガルヒ(新興財閥)の権力縮小、汚職対策などが挙げられている。欧州政策研究センターのパイキン博士はさらに、「ウクライナは一人前の市場経済を構築する必要がある。旧ソ連国には難しい課題だ」と指摘した。また、大きな批判を浴びている司法体系の整備も、課題の一つだという」

     

    ウクライナが、EUの加盟国になるには下線部のような改善が課されている。オリガルヒの権力はかなり縮小されている。ウクライナ侵攻撃退で、自費で戦費を提供している例もあるという。

     


    (5)「EU加盟から15年がたった
    ルーマニアでは国民総所得が3に、ブルガリアでは2に拡大した。EUは欧州構造投資基金(ESIF)を通じ、両国に数百億ユーロを投入している。こうした資金は、新しい道路や港の建設などに充てられ、経済開発を支援している。2014~2020年に、ブルガリアは112億ユーロを、ルーマニアは350億ユーロを受け取っている。一方で、各国の腐敗・汚職に取り組む非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルは、こうした資金の多くが汚職によって失われていると指摘する」

     

    EUが、汚職に厳しい目を向けているのは、EUからの補助金が汚職で消えているからだ。EUが、新加盟国のハードルを高くしているの裏には、こういう事情があるのだ。

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