勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国経済は、不動産バブル崩壊後遺症によって金融危機へ発展しかねないリスクを抱えている。不動産不況の長期化が、地方政府債務を累増させ、投資の停滞と家計消費の不振を招いているからだ。中国経済の実体は、改革以来の後退局面に陥っている。これと歩調を合わせるように、政治面でも、習氏が人民解放軍中央軍事委員会副主席の張又侠氏ら二人を粛清した。こうした経済不振と軍事における人事の混乱は、中国にとってどういう意味を持つのか。国家として、極めて危険なシグナルである。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月27日付)は、「中国の退廃と軍幹部粛清」と題する記事を掲載した。

     

    粛清の波によって人民解放軍の高位の人物が次々に失脚する中で、張又侠氏は手出しできない存在に見えていた。張氏は習近平国家主席に抜てきされ、共産党政治局員を務めるとともに、軍の序列で習氏に次ぐナンバー2に当たる中央軍事委員会副主席の地位にあった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じた24日の軍最高幹部向け会合で、張氏が家族との不正共謀から核兵器を巡る米国への機密漏えいに至るまで、ありとあらゆる疑惑で告発されたことが報告された。

     

    (1)「このニュース自体が衝撃的なものだったが、これに関する論説記事はさらに不気味だった。有力な中国ウオッチャーのビル・ビショップ氏が自身のニュースレター「シノシズム」に掲載した翻訳によると、人民解放軍の日刊紙「解放軍報」の論説記事では、両容疑者は「政治的問題や腐敗を深刻なまでに助長し、軍に対する党の絶対的指導力に影響を与え、党の統治基盤を危険にさらした。(中略)彼らは軍の政治構造や政治体系、戦闘能力の構築に甚大な打撃を与え、党・国家・軍に極めて悪質な影響を及ぼした」と書かれていた」

     

    追放された2人の軍最高幹部は、「悪人」扱いである。真相はどうなのか。習氏が、経済疲弊と台湾侵攻問題で行き詰まった結果と読むべきだ。これが、専制主義国家の最後の「あがき」として浮上するありふれた事態である。習氏の焦りである。

     

    (2)「この文言からは、習氏の最も信頼する側近の1人が金銭的な不正行為に関与しただけでなく、習氏に対して陰謀を企てていたことが示唆されている。軍事クーデターが未然に防がれたのか。最高指導者を中心に固く結束しているイメージを常に打ち出している中国指導部だが、実際は派閥争いがあり、分裂しているのか。一般市民よりもはるかに多くの情報を持つ高官らは、習氏が導く中国の未来に懸念を抱いていたのだろうか」

     

    人民解放軍は、統一と団結が特色である。真相は、漏れてこない。ただ、何十年後には「習氏の独断」という形で暴露されるに違いない。

     

    (3)「米大統領の予測不能さ、多くの西側諸国の首脳の無能さ、そして多くの民主主義社会における政治不安や社会的対立が、自由な政治体制の持続可能性や有効性に疑問を投げ掛ける中、中国の粛清は他の政治体制にも欠点があることを思い起こさせてくれる。中国のような体制では、健全で自浄的な方策は機能し得ない。党が重要な状況への対応を間違えば間違うほど、当局者やメディアはより大きな声で一斉に党指導部を称賛しなくてはならないからだ」

     

    西側諸国では、トランプ米大統領など日常的に批判の対象になっている。中国では逆だ。賞賛され尽くしている。

     

    (4)「中国のほぼすべての世帯は、破滅的で非人間的な一人っ子政策の影響を受けている。この政策は国全体に人口動態上の危機をもたらした。しかし、誰も反対できなかった。今、それを強制した残酷で誤った考えを持った指導者たちに説明責任を要求できる人は誰もいない。中央政府の数十年にわたる誤った政策がもたらした、当然予想できたはずの不動産バブル崩壊によって、何百万もの世帯が生涯の貯蓄を失った。中央政府は、腐敗した地方政府の当局者や強力な利益集団にけしかけられて政策を実行していた。これについても誰も何も言うことができない」

     

    専制主義国家は短期的には成功しても、長期的には腐敗する。批判することが許されないからだ。米国のトランプ批判は、中間選挙という関門によって「浄化」される。中国には、こういう自浄組織が存在しないのだ。

     

    (5)「専制主義の官僚政治体制は短・中期的にはうまく機能することが多かった。ルイ14世、ナポレオン、ドイツ帝国、ヒトラー、東条英機、スターリンには、いずれも好調な時期があった。しかし、絶対的権力者に付きものの有害な孤立が彼らの洞察力を鈍らせ、社会の能力を損なうといった流れが何度も繰り返されてきた。中国に現在突き付けられている問題は、張又侠氏が軍事機密を米国に売り渡したかどうかではない。これまで破滅と敗北に追い込まれてきた歴史上の多くの専制主義体制と同様に、中国共産党が専制主義的退廃の犠牲になりつつあるのかどうかだ」

     

    中国共産党は、これまで敗北に追い込まれてきた歴史上の多くの専制主義体制と同様に、専制主義的退廃の犠牲になりつつあるのか。客観的言えば、そういう危険性が高まっている。経済危機という時限爆弾が、中国の専制主義を追詰めるのだ。

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    高市早苗首相が、若い女性の間で高い人気という。「働く女性」のシンボルのような存在になってきた。高市氏が、使っているボールペンやバッグの売行きが良いのも、高市氏への憧れという解説まで登場している。ただ、こういう「ふあっと人気」は萎むのも早いという警告もある。さて、どうなるか。

     

    『毎日新聞 電子版』(1月30日付)は、「サナ活は選挙を動かすか 政策は知らないけど『働く姿に憧れ』」と題する記事を掲載した。

     

    高市早苗政権が初めて有権者の審判を受ける衆院選では、若者や無党派層の動向が注目されている。世論調査では若い世代ほど内閣支持率が高い傾向にあるが、何が支持を生み、交流サイト(SNS)はどう影響しているのか。実像を探った。

     

    (1)「『高市早苗さん、応援したくなる首相だ』。会社員の女性(27)は2025年11月、TikTokに高市氏を応援する「サナ活」のショート動画を投稿した。高市氏が記者会見などで用いる三菱鉛筆のピンクのボールペンを、女性が使って勉強する内容。「しっかりサナ活」とテロップを付けると、5万回以上再生された。サナ活は高市氏の名前から取った「推し活」の一種だ」

     

    日本で初の女性首相である。働く女性には、何か親近感があるようだ。「働いて、働いて、、、」の台詞がすっかり定着している。

     

    (2)「高市氏のニュース映像から持ち物を特定し、同じものを買い求める現象がSNSで話題になった。官邸入りの際に手にするトートバッグは注文が殺到し、販売会社によると入荷は9ヶ月待ちという。「正直、首相が代わることも知らなかった」。女性は取材にそう明かす。サナ活という言葉はSNSで知った。当初は韓国の人気女性グループ「TWICE」メンバーのサナを推す活動のことだと思ったが、調べたら「まさかの高市首相だった」。たまたま同じボールペンを持っていて「なんとなくSNSに載せたらプチバズりした」と振り返る」

     

    高市氏の手にしているトートバッグは、注文が殺到して9ヶ月待ちという。野球の大谷選手並みの人気である。

     

    (3)「女性にとって、高市氏は「働く女性のお手本のような存在」だ。政策は詳しく知らなくても「働く姿勢に憧れる」という。高市氏が、韓国コスメを使っていると聞くと身近に感じ、外交の場で堂々としている姿を「カッコいい」と思う。今月16日、高市氏がイタリアのメローニ首相の誕生日を祝う歌をイタリア語で披露する姿をTikTokで見て感銘を受けた。衆院選の投票に行くかどうかは決めていない。「SNSでしか政治を目にする機会がなく、切り抜き動画だと偏りが出るので情報の取捨選択が難しい」「候補者が誰一人分からないので、票を入れるのもどうなのか」と迷いを打ち明けた」

     

    これまでに日本の首相タイプからみれば、高市氏は華やかな存在に映るのであろう。ドラムは叩くし、イタリアの唄も原語で歌う。「タレント並み」である。首相という威厳のある立場が、隣の「おばさん」というイメージを与え身近な存在にさせているのであろう。

     

    (4)「東京都内の国立大に通う男性(24)も、強い支持というより、ふわっとした期待を寄せる若者の一人だ。「個別の政策や実績では判断できない」が、なんとなく「好印象を持つ」という。「僕の周りでも、強気で常に笑顔で、流行語にもなった『働いて、働いて、働いて……』という発言がなんか信頼できるという意見が強い」と話した。専門家はどう見ているのか。SNSを用いた情報分析などを行う「JX通信社」の米重克洋社長は、若者がインターネット上の情報を重視するようになった「メディアシフト」を挙げる」

     

    24年から生まれたSNSを使った選挙運動が、若い層のニーズのピタリ合っている。映像として流れているからだ。

     

    (5)「公益財団法人「新聞通信調査会」の調査によると、25年の参院選で投票先を決める際に参考にしたメディアは「民放テレビ」と答えた人が42.5%で最も多く、NHKテレビ(36.5%)、新聞(33.8%)と続いた。しかし、年代別で見ると、20代が参考にしたのは1位がインターネット(SNS以外)で44.4%。2位はX(ツイッター)など「短文投稿型SNS」で34.6%、3位はYouTubeなどの動画投稿・共有型SNSで29.8%だった。30代も似た傾向にあり、若い世代ほどSNSを参考にする比率が高かった」

     

    SNSは、若い世代ほど参考にされている。選挙も、この波に乗れるかどうかが勝敗を左右する時代になった。

     

    (6)「米重氏は、「SNSでは保守的な主張をしたり、積極財政を訴えたりするインフルエンサーが多く、拡散力が強い」と指摘。こうした方向性と軌を一にする高市氏について「歴代で最も『ネット地盤』が強い首相と言える」と語る。特に若い世代はインフレの影響を受けやすいため、高市氏が唱える積極財政への期待感が高いと分析する」

     

    高市氏が、唱える積極財政への期待感は、若い層ほど高いという。財政によって、景気がさらに良くなるという期待だ。だが、危険である。円安を促進して生活を圧迫するからだ。

     

     

    あじさいのたまご
       

    トランプ大統領は1月26日、SNSを通じ、米韓首脳が昨年11月に合意した関税引き下げ措置を2カ月半ぶりに元に戻すと宣言し、韓国政府を震え上がらせた。トランプ氏は、「韓国の議会がわれわれの歴史的な貿易協定を立法化しなかった」とし、韓国製自動車、木材、医薬品の品目関税と相互関税を15%から25%に引き上げると明らかにした。

     

    これを受けて、韓国の金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官が29日、米国を緊急訪問しラトニック米商務長官と緊急会談を行った。90分の会談を行ったが結論はでず

    で、再会談することになった。

     

    公平に見て、韓国に落ち度がある。韓国の対米投資の法的根拠となる「韓米戦略的投資管理に向けた特別法」は、いまだに韓国国会で議決されていないのだ。米国は、韓国が3500億ドル規模の対米投資をする条件として、特別法が韓国国会に提出されればその月の1日付で遡及し関税を引き下げることにした。

     

    現実は、米国が昨年11月26日に関税を11月1日付で遡及して引き下げたのだ。韓国国会は、こういう米国の「好意」に報いず、2カ月にわたり案件上程すらされていない状態で放置してきた。トランプ氏が、「爆弾」を落としたのは当然であろう。韓国が、国家間の約束を守らなかったからだ。

     

    『中央日報』(1月28日付)は、「トランプ氏の関税圧力、原則を守り緻密な対応を」と題する社説を掲載した。

     

    トランプ米大統領が、昨年7月末に妥結した韓米関税交渉と11月の両国首脳間で再確認した合意を一方的に覆した。トランプ大統領は26日(現地時間)、韓国製品に対する関税を貿易合意以前の水準に再び引き上げるという内容をSNSに投稿した。自動車・木材・医薬品などの関税を15%から25%に引き上げるという内容だ。

     

    (1)「トランプ大統領は、韓国国会が韓米間の貿易合意履行に必要な法的手続きを進めていないと主張した。相互関税の違法性の是非に関する米連邦最高裁判所の判決が近く下される予定であるだけに、韓国を圧迫して対米投資の可視的な成果を早く示したいと考えたのだろう。現在、韓国国会に係留されている「対米投資特別法」を巡って国内に異論はあるものの、この法案が対米投資の根拠法であり、年間200億ドルの対米投資を今年開始することで合意している以上、法案の国会通過自体は予定された事実だ。トランプ氏の関税圧力は、同盟国である国会の適法な国内手続きに過度に介入しているという点でも不適切な処置だ。トランプ氏の関税撤回が、圧力止まりに終わることを願うばかりだ」

     

    韓国は、トランプ関税が米最高裁で違法判決が出るのを待って、わざと国会での審査を遅らせていた。トランプ氏は、これに気づき激怒したのであろう。韓国が、安保で最大の後ろ盾である米国との約束を履行しなかったのは、逃げ隠れできない話であろう。韓国の誠意が疑われる。

     

    (2)「ただし、トランプ大統領の突発的な関税撤回が、韓米間のコミュニケーションの亀裂を露呈させただけでなく、我が政府の対応の甘さを示しているという点は懸念せざるを得ない。最近、訪米してJD・バンス副大統領と会談した金民錫(キム・ミンソク)首相は、「米国とのホットライン」構築を成果として掲げた。金首相は、トランプ政府が関税交渉の履行に関して韓国政府に抱いている不満の深刻さを、全く感知できていなかったというのか」

     

    韓国が、約束を守らなかったという大きな落ち度がある。国家間の約束は、早急に履行すべきであるからだ。

     

    (3)「米国は2週間前、すでに韓国側に対し、関税交渉の合意事項のうち「米国のビッグテック企業に対する差別禁止」の履行を促す書簡を送ってきたという。駐韓米国大使代理が送ったこの書簡が、たとえ対米投資特別法の話ではなかったとしても、韓国に対する不満を公式に表明したものである以上、政府は問題意識を持ってより積極的に対処すべきだった」

     

    米国は、韓国へこれまで種々の「不満」を伝えてきていた。それらを敏感に処理しなかった「甘え」が、問題を大きくしたのだ。

     

    (4)「李在明(イ・ジェミョン)大統領は新年記者会見で、米国の半導体関税圧力に対し「一喜一憂していては軸を据えることができない」とし、「自分たちの軸を明確に持ち、定められた方針と原則に従って対応していけばよい」と述べた。しかし、トランプ氏の関税撤回騒動に見るように、韓米間に不信と誤解が積み重なり、破綻へと突き進むようなことがあってはならない。関税だけでなく、クーパン(Coupang)事態やデジタル規制などを巡り、両国間の不協和音は鮮明になっている。政府はまず、米国の意図を正確に把握し、国益最優先の原則の下、慎重かつ緻密に対処すべきである。国会も政争を止め、政府と積極的に協力することを促す」

     

    クーパン問題とは、次のような米韓での行き違いによる。韓国最大のEC企業クーパンが、米国市場へ上場したことから、米国はクーパンを米国企業として扱っている。これに対して韓国政府は、クーパンを韓国企業として扱い種々の調査を行っている。米国政府がこれを違法として韓国へ抗議しているもの。これが、米国側には「米国企業への不当な規制」と映っていると報じられているのだ。この双方の行き違いは、微妙な問題である。

     

     

     

    テイカカズラ
       

    衆議院選挙は、冷え込んだ日中関係の行方を占う上でも注目されている。安倍晋三元首相が、強い政権基盤を背景に中国との関係を立て直したように、高市首相が大勝すれば、圧力をかけ続けてきた中国は、戦略変更を迫られる可能性が出る。日本の政府関係者や外交の専門家らは、こう見ているという。

     

    『ロイター』(1月30日付)は、「日中関係の行方占う衆院選、高市氏勝利なら中国は戦略変更も」と題する記事を掲載した。

     

    「このタイミングの解散総選挙はとてもプラスだ」。高市氏が記者会見で衆院解散を表明してから数日後の1月下旬、安全保障政策に携わる日本の政策関係者はロイターにこう語った。

     

    (1)「念頭にあるのは膠着状態にある日中関係だ。このままでは改善の糸口さえつかめないままに両国の溝は深まり続けてしまう。同関係者は「中国は弱い政権だと『いじめ尽くしてやろう』『追い込めばもっと良い政権に代えられるかもしれない』と考えるが、強い政権なら『いじめる戦略じゃない方がいいかもしれない』と考える」と分析し、「高市氏が選挙に勝てば、中国にとってインセンティブになる」と期待を寄せた」

     

    今回の衆院選は、日中外交の今後を占う重要なポイントになる。高市氏は、大勝しない限り中国を動かすことは難しいとしている。

     

    (2)「防衛事務次官や内閣官房参与などを歴任した島田和久氏は、「中国はおそらく当初、高市政権を倒そうという発想だったと思う」と言う。「少数与党で政権基盤が弱いと、中国は足元を見る。日本国内の世論の分断を狙ってくる。だから今回の選挙は非常に重要だ」と語る。日本初の女性宰相となった高市氏は、日中関係が悪化する中でも高い支持率を維持している。29日付の読売新聞と日本経済新聞の世論調査によると、個人的な人気を追い風に衆院選は自民党が単独過半数をうかがう情勢だ」

     

    中国は当初、高市政権が弱いとみて揺さぶってきた。それが、国民の反中意識へ火を付ける結果となれば、全くの失敗になる。

     

    (3)「前出の政府関係者は、「レアアースの輸出規制までやったのに高市首相が勝つとすると、中国としては『この方法では日本の政権を痛めつけられない』となるだろう」と話す。いくらプレッシャーをかけても日本国内の分断が進まないという証明となり、中国の戦略が意味をなさなくなるというわけだ。加えて、「圧力をかけていたはずの中国側にとって良くない経済データが出てくる。中国が世界に訴える『日本が右傾化した』という言説が国際社会で広がらない実感が出てくる。この条件が揃えば中国は日本と向き合わざるを得なくなる」とも語る」

     

    日本のレアアース事情はここ1~2年、中国依存が続く。だが、その先は明るい展望だ。日本の化学的精錬法が世界で普及し始めることと、南鳥島のレアアース開発が軌道に乗る。これらが実現の暁は、中国優勢という状況が消えるのだ。

     

    (4)「とはいえ、現時点で中国が方針転換する兆候はない。政治アナリストらが「近年で最も予測困難な選挙」と評する今回の選挙で、高市氏率いる自民が勢いを保ったまま投開票を迎える保証はないからだ。衆院選で比較第1党を目指す「中道改革連合」は、主要政策として対中関係を盛り込み、「中国に対する懸念への毅然とした対応と、国益確保を両立させる中長期的視点に立った戦略的互恵関係の構築」を掲げている」

     

    中国が、選挙期間中日本批判すれば、確実に自民党の得票を増やすであろう。中道は、その割を喰う形となる。

     

    (5)「高市氏が、与党内でも予想外のタイミングで衆院を解散し、総選挙に打って出たのは、国政選挙で連勝して盤石な政権基盤を築いた安倍元首相の影響があると秘書官を務めた島田氏は見る。安倍氏の場合、2012年末の第2次政権発足前から日中関係は悪化していた。同年10月に当時の民主党政権が尖閣諸島(中国名:釣魚島)を国有化したのが主な原因だ。それでも安倍氏は13年7月の参院選で圧勝。同年末に靖国神社を参拝して対中関係は一層冷え込んだが、翌14年11月には習氏との初会談を実現した」

     

    安倍晋三元首相は、選挙戦で強かったので中国も一目置くほかなかった。民意を反映していたからだ。

     

    (6)「島田氏は、「安倍政権の時も最初は2年近く首脳会談ができなかった。その間も、その後も選挙に勝ち続け、非常に強固な体制を築いた。そうなると中国も安倍政権を相手にせざるを得なくなった」と振り返る。ユーラシア・グループの北東アジア担当上級アナリスト、ジェレミー・チャン氏は、自民が単独過半数(233)を確保できるかどうかが高市氏の勝利を測る指標だと指摘する。定数465の衆議院で現在の198議席から35議席を上積みする必要がある」

     

    高市氏の勝利を測る指標は、自民党が単独過半数を取るかどうかにかかっている。

     

    (7)「チャン氏は、「実現すれば高市氏が今後数年間首相の座にとどまる可能性が高く、圧力をかける中国の戦略が裏目に出たというシグナルを中国に送ることができる」と、言う。「逆に、勝利が小幅にとどまれば、中国は日本に対する威圧を強める可能性が高い」と指摘する」

     

    高市氏が単独過半数を得られれば今後、数年間は首相の座にいることが可能とみる意見も出ている。逆に、小幅勝利では中国の威圧が高まるとしている。対中関係を展望する上でも、今回の衆院選は重要なポイントである。

     

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    中国で春節(旧正月)の花火や爆竹をめぐる規制緩和が相次いでいる。大気汚染を防ぐために使用を全面禁止していた地方政府が、郊外など一部に限って解禁する動きが目立つ。景気低迷が続く中国では、市民の生活に対する不満が高まる。当局は伝統ある風習の復活による「ガス抜き効果」を狙っているとみられる。

     

    「日本経済新聞」(1月30日付)は、「中国春節、花火・爆竹を容認 景気低迷、市民のガス抜き? 大気汚染防止から一転」と題する記事を掲載した。

     

    春節は旧暦の新年にあたり、2026年は2月中旬に始まる。大きな音を出す花火や爆竹には邪気をはらう効果があると信じられている。春節の街角に響く爆音は中国の風物詩といえる。一方で、国が豊かになって人々が大量の花火や爆竹を買うようになると、大気汚染やケガの発生が社会問題になった。近年は地方政府が販売や使用を厳しく管理している。

     

    (1)「26年の春節は状況が変わりそうだ。25年まで全面禁止していた四川省成都は今年、市内8区域の指定場所で花火や爆竹の利用を認める。大みそかにあたる2月16日、元日にあたる同17日など、4日間について解禁する。内陸部の山西省も昨年末、省内全域を対象としてきた花火や爆竹の全面禁止通告を廃止した。同通告は許可を得た花火大会の運営事業者のみが花火を取り扱えると定めていた。一般の消費者は省内では楽しめなかった」

     

    中国は、賑やさを好む社会である。花火・爆竹は、「生活必需品」とも言える。昔は葬儀も派手にやっていた。その花火・爆竹が、環境への配慮で中止されていた。世の中をぱっと明るくするには、うってつけの手段である。

     

    (2)「解禁済みの都市もある。米アップルの製品をつくる巨大工場があることで知られる河南省鄭州は23年の春節で成都と同様の規制緩和に踏み切った。中国メディアによると遼寧省瀋陽や江蘇省南京も25年までに「全面禁止」を「場所・時間帯による制限」に切り替えた。中国では中央政府が政策の大まかな方向を定め、細かな施策は各地方政府が決める場合が多い」

     

    中国は、中央政府が政策の大まかな方向を定める。これに従って、地方政府が細かな施策を決めるのだ。だが、花火ぐらい、自由にやらせるべきであろうが、一時が万事で、国家統制である。

     

    (3)「花火と爆竹も同じだ。国家レベルでは国務院(政府)が06年、「いかなる機関・団体・個人も、地元政府が禁じる時間帯や場所で花火や爆竹を使ってはならない」と定めている。いずれも全面禁止は求めてはいない。ただ、中国の地方政府は中央の方針を保守的に解釈し、厳しめの政策を敷く傾向がある。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、18年の段階で全国803の地方政府が花火・爆竹の使用を全面的に禁止した」

     

    箸の上げ下げまで、中央政府が管理している。「いかなる機関・団体・個人も、地元政府が禁じる時間帯や場所で花火や爆竹を使ってはならない」としている。

     

    (4)「転機となったのが、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の法制工作委員会が23年末に出した報告だ。条例などの適法性を審査する立場から、全面禁止は「花火・爆竹安全管理条例と大気汚染防治法の規定と一致しない」とした。「上位法の趣旨に照らし修正を」と求めた。中国は、不動産不況に端を発する景気低迷の出口が見えない。国家統計局によると若い世代の失業率は2割弱と高い水準が続く。東京財団の柯隆・主席研究員は「社会に閉塞感が強まり、市民の鬱憤は過去20年ほどで最も高い状態にある」と指摘する」

     

    今の中国は、社会の閉塞感が強まり、市民の鬱憤は過去20年ほどで最も高い状態という。せめて花火や爆竹を認めて「ガス抜き」が必要になっている。

     

    (5)「国家安全を最重要視する習近平指導部は、政権に批判の矛先が向かう恐れのある社会不安の封じ込めに重点を置く。李強首相も25年3月の演説文書で「人民大衆の幸福感を不断に高める」と訴えた。花火や爆竹の規制緩和はこの流れに合致する。「もうずいぶん春節のにぎやかな雰囲気を味わえていない。今年は従業員みんなで楽しみたい」。自身の暮らす場所が解禁対象になった、成都市内でレストランを経営する女性(50)は話す」

     

    中国国民は檻の中にいるようなものだ。四六時中、監視カメラと密告制度で取り囲まれている。気の毒なものだ。

     

    (6)「世界生産の9割を占める花火大国の中国にとっては、貿易摩擦の高まりを背景とする輸出の伸び悩みを補う効果にも期待がかかる。中国税関総署によると、中国の花火・爆竹の輸出額は25年に11億3913万ドル(約1750億円)で、前年より2%減った。かつて過半を占めたこともある米国向けの減少が一因だ。貿易摩擦の行方は見通しにくい。国内需要の回復は産地にとって死活問題といえる」

     

    中国は、世界生産の9割を占める花火生産大国である。対米輸出が落込んでいるので、国内需要でカバーするほかない。

     

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