勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    あじさいのたまご
       


    中国は「戦争準備」始めた?

    人口構造が突きつける刃とは

    助っ人にならぬ人型ロボット

    高まる戦争準備「機会費用」

    人口学的限界のデッドライン

     

    中国が、頻りと日本を標的に威圧的行動を繰り広げている。「新日本軍国主義論」を吹聴しており、第三国との外交交渉では同意を求める文書まで発表し始めた。中国の友好国であるパキスタンやバングラデシュへ、同調圧力を掛けるなどギア・アップしている。これら行動は、中国が戦争行為の一環である「認知戦」として位置づけているものだ。

     

    さらに、中国とロシア両国の空軍が6月27日、日本海と東シナ海、西太平洋の上空で「戦略的合同飛行」を実施した。理由は、「地域の平和と安定を共同で守る決意と能力を示した」と中国国防省が発表した。これは、認知戦の「実践版」である。このように、認知戦と威嚇飛行まで行う現状からみて、中国が日本との「戦争意識」(開戦するか否かは別)を固めたことは事実だ。

     

    現状を大胆に言えば、開戦への3合目の準備に着手したとみるべきだろう。これ以上の「過激化」は、日米安保条約発動という中国の最も恐れる事態を引き起こすので、レッド・ライン越えはしないであろう。そのギリギリまで踏み込んで、日本国内へ恐怖心を煽る戦略だ。これは、同時に中国国内向けの「ジェスチャー」にもなる。強い中国、というイメージで習近平政権の信頼感を繋ぎ止める狙いだ。中国は、国内の経済混乱への不満解消の一環として、一段と踏み込んだ対日強硬策へ転じるとみられる。

     

    中国は「戦争準備」始めた?

    こうした事態を受け日本国内の専門家には、軍事的危機を唱える向きも出てきた。中国は、軍の規律・人事・日常運用の根本から「戦争準備」を最優先課題にした再編をしている、という見方だ。習近平氏による軍部の人事刷新や反腐敗闘争は、習氏の独裁強化だけではなく、有事に機能する軍の指揮体系を整えるための構造改革としている。つまり、中国が「戦争をするための軍」へと、制度・文化・人事の全レベルで再編しているというのだ。日本は、この現実を直視すべきであるという厳しい警告である。

     

    この見解は、どこまで受容できるであろうか。軍隊組織とは元々、戦争するための軍事組織である。だが、中国人民解放軍は国家の軍隊でなく、中国共産党の軍隊である。つまり、「国軍」でないという組織的弱点が、戦争をする組織へ組み替える上で最大の弱点になる。

     

    現状は、国内治安を守る「党軍」である。外国軍隊と海外で戦うには、組織を国軍に変える必要がある。この制度的改変は、軍事的権力を独占する習近平氏には不可能であろう。国軍は、党軍よりも一段上の概念に依拠する軍隊である以上、習氏一人の命令で外国軍と戦うには根拠薄弱になるからだ。もう一点、党軍の作戦指揮命令系統は、中央集権方式である。軍内部の反乱を防ぐためだ。国軍として外国軍と戦うには、戦場での作戦判断が重要になる。人民解放軍は、戦場での作戦判断方式でなく外国軍とまともに戦えないのだ。

     

    軍事力の視点のみで中国の「戦争能力」を議論すると、大きな見間違いが起こるであろう。戦争の方式が大きく変っているからだ。ロシア軍がウクライナ軍に苦戦している背景は、ロシア軍の作戦が中央集権方式であり、ウクライナ軍の現場での作戦判断に劣っている結果である。現代戦は、前線での一瞬の判断が勝敗の帰趨を決める時代になっている。

     

    戦争は、国力の消耗戦である。兵士・武器弾薬という直接的な消耗以外に、国家財政の赤字化に繋がる。それだけではなく、海外からの経済制裁が加えられることだ。ロシアの   ウクライナ侵略戦争を見れば分かる通り、輸入途絶と金融制裁が行われている。中国は、ロシアと異なりエネルギーも食糧も輸入依存である。ここへ制裁が加えられたらどうなるか。中国は、備蓄量を取り崩して補充の効かない経済へ転落する。ロシアや北朝鮮が加担すれば、これも経済制裁の対象に加えられる。手も足も出ないのだ。

     

    人口構造が突きつける刃とは

    以上の想定は、極めて短期的な戦争の構図である。本質的な問題は、構造的にみた中国の「戦争能力」が問われるのだ。それを解く鍵は、中国の「人口構造」にある。

     

    人口学では、「高齢化のスピードが速い国の経済ほど、経済成長の持続性が低下する」としている。これは単なる一般論でなく、経済学・人口学・社会保障論が一致して認める構造的法則である。中国は、この法則の「最悪条件」をすべて該当しているのだ。

     

    高齢化は「人口の老化」だけではなく、経済のエンジンそのものが弱る現象である。 そのメカニズムは次のように説明できる。

     

    1)労働人口の急減

    高齢化が速い国ほど、労働人口(働く人)が急減する。人口に占める若者の比率が低下するので、経済成長率が低下する。経済成長率は、労働人口と生産性のかけ算で決まるから、高齢化は経済成長の土台を崩すことになる。中国は、2020年の労働人口が8億8000万人であった。それが2035年には、6億5000万人まで減ると推計されている。日本より速いペースの縮小である。

     

    2) 貯蓄率の急低下(高齢者は貯蓄しない)

    高齢者は、貯蓄を取り崩すので国全体の貯蓄率が下がる。貯蓄率が下がると、設備投資が減る、技術革新が遅れる、生産性が伸びない という悪循環に陥る。中国は、すでに貯蓄率のピークアウトを迎えたので、 高齢化の加速で貯蓄率はさらに低下する。これが、自律的に中国経済を縮小へ追い込む。

     

    3)社会保障費の急増(財政の圧迫)

    高齢化が速いほど、財政では年金や医療、それに介護などの支出が急増する。これら項目は、「財政の固定費」であるので、 軍事・教育・インフラなどの成長投資を圧迫する。中国は、すでに固有の悪条件に陥っている。年金制度の未成熟、医療費の急増、介護保険が2028年末開始という遅すぎる事態だ。(つづく)

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    https://www.mag2.com/m/0001684526



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    日銀1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感が5四半期連続で改善した。中東情勢の緊迫に伴うエネルギー価格の上昇が重荷となるなか、半導体など人工知能(AI)関連需要の増加が景気を支えている。設備投資は、3月調査では横ばいであったが、9月調査では6.3%増になった。高い賃上げを牽引するには、設備投の増加は不可欠である。9月景況見込みでは悪化予測だが、設備投資の堅調が力強いシグナルである。

     

    イラン戦争に伴う原油事情悪化の中で、9月の景況感改善と設備投資伸張は、企業の先行き期待感の高まりを示している。これは、名目GDP成長率が着実に高まっていることが、手がかりになっている。日本経済が、AI化に伴う新たな成長路線へ向っていることを示唆している。

     

    『日本経済新聞』(7月1日付)は、「製造業の景況感、5期連続改善 半導体需要支え」と題する記事を掲載した。

     

    大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回3月調査から5ポイント改善しプラス22だった。約8年ぶりの高水準となった。大企業非製造業の業況判断DIは3月調査から1ポイント改善のプラス37となった。1991年8月以来となる約35年ぶりの高水準を記録した。

     

    (1)「大企業製造業では、半導体やデータセンターといったAI関連需要が堅調に推移し、幅広い業種の景況感の改善につながった。一部では資材などの調達を前倒しする動きもみられた。業種別にみると、非鉄金属が13ポイント改善のプラス36、生産用機械が10ポイント改善のプラス36、業務用機械が8ポイント改善のプラス23だった。中東情勢の緊迫によるエネルギー上昇が重荷となる窯業・土石製品は14ポイント悪化のプラス11、金属製品が5ポイント悪化のプラス11、自動車が1ポイント悪化のプラス12となった」

     

    中東情勢の悪化によるエネルギー事情悪化の中で、日本経済が順調に推移できたことは、原油備蓄制度が機能したことと、ガソリン価格への補助金制度が機能した結果だ。この面での評価はどこも行っていないが、企業景況感が事前予想の「悪化」を覆した背景はこれであろう。

     

    (2)「大企業非製造業では、人件費などを販売価格に転嫁する動きや堅調なインバウンド(訪日外国人)需要が景況感の改善につながった。業種別でみると、宿泊・飲食サービスが12ポイント改善のプラス46、小売が7ポイント改善のプラス33だった。一方、原材料や人件費の上昇による影響を受け、建設が3ポイント悪化のプラス52、不動産が3ポイント悪化のプラス52となった」

     

    建設と不動産のDIが、いずれも52と高水準を維持している。これは、景気が活発化している別の証明になろう。

     

    (3)「先行きの景況感は、大企業製造業が5ポイント悪化のプラス17、非製造業が9ポイント悪化のプラス28を見込む。供給網の混乱に伴うコスト上昇や物価上昇による個人消費の鈍化、深刻な人手不足が懸念材料となる。企業の事業計画の前提となる26年度の想定為替レートは全規模・全産業で1ドル=152円57銭だった。前回調査は26年度で150円10選で、やや円安方向に修正された。輸出企業の収益改善につながる可能性がある」

     

    9月の景況感は、若干の悪化を見込んでいる。これは、円安傾向の中で金利引上げを見込み、慎重な見通しであることを表わしている。だが、価格転嫁が自由であることは、需要基盤の強さ(名目成長率の高まり)を示している。企業は「楽観的慎重」というのが本音であろう。

     

    (4)「2026年度の設備投資額の計画が、全規模・全産業で前年度比6.%増加する見通しとなった。3月時点の横ばいから上方修正され、中東情勢の緊迫を受けても堅調な人工知能(AI)需要が支えとなった。25年6月調査(6.%増)を上回り、同月の調査としては21年から6年連続でプラスの伸びとなった。短観の設備投資計画は、大企業で期初から期中にかけて上方修正が続き、年度終わりに向けて下振れする傾向がある。製造業の設備投資計画は、7.%増で全体を底上げした。日銀は「半導体やインフラ関連で生産能力増強のための投資がみられる」と分析した。建設コストの上昇も設備投資を底上げする要因になっているという。「中東情勢悪化の影響はあまり出ていない」と指摘した」

    フォームの始まり

    賃上げと設備投資が並走するのは、景気の質が非常に良い状態を示している。その設備投資の中身が 、AI・自動化・省力化 という生産性を直接押し上げる投資であることは、景気の持続性を高めまるものだ。賃上げ は、 消費を押し上げる。AI・自動化・省力化 の投資によって生産性が上がる。生産性向上 は、 企業の賃上げを継続させる。この循環が回り始めると、景気は「本調子」になる。

     

     

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    韓国の大韓商工会議所文化観光産業委員会が、日韓の観光協力強化に向け、出入国手続きの簡素化や決済インフラの拡充などを提言した。韓国の住民登録証や日本のマイナンバーカードなどの身分証だけで、両国を往来できる制度の設定を提案したという。この背景には、韓国の日本に対する旅行収支赤字額が25年、57億540万ドル(約9215億円)で、統計を取り始めた1998年以降で最大の数値を記録したこともあろう。パスポートなし旅行とは、ビックリ仰天の提案である。

     

    『レコードチャイナ』(6月28日付)は、「『パスポート不要で日韓往来を』観光業界が両国政府に提言=韓国ネットは猛反発」と題する記事を掲載した。

     

    韓国メディア『アジア経済』(6月25日付)は、によると、大韓商工会議所文化観光産業委員会が、日韓の観光協力強化に向け、出入国手続きの簡素化や決済インフラの拡充などを両国政府と国会に提言した。

     

    (1)「同委員会は25日、ソウルで「韓日観光協力討論会」を開き、韓国の住民登録証や日本のマイナンバーカードなどの身分証だけで両国を往来できる制度のほか、キャッシュレス決済システムの相互利用拡大、「韓日版ユーレイルパス」や「韓日版シェンゲン協定」などについて議論した。また、「欧州連合(EU)加盟国がシェンゲン協定によって自由に往来できるように、『韓日版シェンゲン協定』を締結すれば、両国をセットで旅行する第三国の観光客誘致に大きな効果が期待できる」との提案があった。試算では、「韓日版シェンゲン協定」が実現した場合、韓国の観光収支赤字は最大19%縮小し、経済成長率も約0.11ポイント押し上げられるとの結果が示されたという」

     

    パスポートなしで、韓国の住民登録証や日本のマイナンバーカードなどの身分証だけで両国を往来する。これは、仰天するアイデアである。韓国にとっては、年間9200億円超の旅行収支で赤字を出しているだけに真剣である。

     

    (2)「キャッシュレス決済インフラの拡充の必要性も指摘された。韓国観光公社の関係者は、「最近は20~30代の日本人女性の韓国再訪率や、同年代の男性の訪韓率が急速に上昇しており、決済の利便性向上がこれまで以上に重要になっている」と述べている。このほか、韓国の高速鉄道(KTX)、日本の新幹線、日韓航路の旅客フェリーを組み合わせた統合交通・観光ネットワークの構築など、交通分野での連携強化も提案された」

     

    両国で、交通や観光のネットワークづくりを進めることは良いとしても、「ノービザ」は警察当局が首を縦に振るまい。

     

    (3)「日本側からは、「日韓の往来は大幅に増えたものの、観光客は依然として出入国手続きや決済インフラ、公共交通機関などで不便を感じている」「最初から制度の完全統合を目指すのではなく、旅行者が利便性を実感できる分野から段階的に相互利用を進めるのが現実的だ」との意見が示された。その上で、「特定の路線や都市に限って、パスポートなしで身分証だけで往来できるようにしたり、決済システム統合の実証事業から始めたりしてはどうか」と提案した」

     

    会議に出た日本側も、韓国の「ノービザ」に驚いている様子で、段階的に相互利用を進めるのが現実的だと一歩引いている感じだ。

     

    (4)「この記事に、韓国のネットユーザーからは「実現したら新世界が開かれるね」「欧州みたいに自由に行き来できたら、経済効果の面ではとてもいい」など歓迎の声も寄せられているが、多くのコメントは「バカを言わないでほしい。欧州だってパスポートチェックは厳しくやってるよ」「パスポートなしで往来できたら、犯罪者も行き来できてしまう。どういうつもりでそんな提言をしたのか」「国を売り渡すつもり?寝ぼけたことを言うな」など、否定的な内容となっている」

     

    韓国のネット民からは、評判が極めて悪い。これは、「反日」という意味ではなく、実務面からみて実現困難ということであろう。

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    原油産出国のロシアが、皮肉にもガソリン不足に直面している。ウクライナのミサイルとドローン攻撃によって、製油所が機能不全に陥っている結果だ。ロシア当局はこれまで、燃料不足の原因として投機家やパニック買いを挙げてきた。プーチン氏は、6月28日に初めて燃料不足が現実のものであることを認めた。原因が、ウクライナ攻撃であることを間接的に臭わすことになった。

     

    『ウォールストリート・ジャーナル』(7月1日付)は、「ロシア全土に燃料不足拡大、プーチン氏は政治危機に直面」と題する記事を掲載した。

     

    ロシア全土に燃料不足が拡大し、プーチン大統領にとって新たな政治的課題となっている。ウクライナによるロシアの製油所を標的とした執拗なドローン攻撃で、多くの一般市民にとって戦争は身近なものとなった。

     

    (1)「ウクライナは長年にわたりロシアのエネルギー施設を標的にしてきたが、ウクライナのドローンとミサイルの数と破壊力は増大している。同国政府は1200マイル(約1900キロ)離れたシベリアのチュメニにある製油所を攻撃できるようになった。また、6月18日に強固な防空網を突破してモスクワの主要製油所を破壊したことが転換点となった。ロシアの石油会社ガスプロムネフチの元戦略責任者で、現在はドイツのベルリンにあるカーネギー・ロシア・ユーラシアセンターのシニアフェローを務めるセルゲイ・バクレンコ氏は、6月20日時点でロシアの製油能力の約28%が停止していると推計している」

     

    ウクライナは、自力でミサイルやドローンを開発しており、強固な防空網を突破してモスクワの主要製油所を破壊するまでになっている。これは、ロシアにとって「重大事態」の幕開けになろう。ロシアの製油能力の約28%が、6月20日時点で停止している。

     

    (2)「バクレンコ氏は「これは全て、ウクライナが発射できるドローンの数が急増したことによるものだ」と指摘。 問題はもはや物流上の困難や市場の不均衡ではなく、「燃料の物理的な不足にある」と述べた。ロシア大統領府のペスコフ報道官は6月30日、ロシアが数十年ぶりに燃料の輸入を開始する計画だとし、複数の国と交渉中だと述べたが、国名は明かさなかった。すでに戦費で逼迫しているロシアの財政をさらに圧迫することになる」

     

    ロシアが、数十年ぶりに燃料の輸入を開始する計画で複数の国と交渉中である。自国で原油を産出しながら、ガソリンを輸入する羽目に陥った。この事態を国民はどう評価するかだ。ウクライナ侵攻を失敗と受止めれば、プーチン神話にも陰りが出るであろう。

     

    (3)「かつて世界有数の石油製品輸出国だったロシアは、ウクライナの攻撃が激化する中、ガソリンとジェット燃料の輸出を数カ月にわたり禁止してきた。プーチン氏は6月28日、ディーゼル燃料の輸出禁止も検討していると述べた。ロシアでは燃料不足が全土で発生しているが、広大な国土の中で地域によって状況は異なる。プーチン氏が2022年に始めた戦争の影響を通常受けにくいモスクワでも、ここ数日間で多くのガソリンスタンドが閉鎖された。営業中のガソリンスタンドでも、数時間待ちになることが多い」

     

    モスクワは、ここ数日間で多くのガソリンスタンドが閉鎖された。営業中のガソリンスタンドも、数時間待ちという事態になっている。戦争の影が、モスクワにまで及ぶことによって、モスクワ市民も安閑としていられなくなった。

     

    (4)「シベリアや北カフカスなどでは、住民が給油のために一晩以上待ったケースも報告されている。シベリアのイルクーツクでは、政府が何キロにも及ぶ給油待ちの列の近くに仮設トイレを設置し始めた。ロシアの多くの地域で携行缶へのガソリンの給油が禁止され、1回の給油量は5ガロン程度に制限された。ロシアのディーゼル精製能力は元々高かったため、ディーゼル燃料不足はまだそれほど深刻ではない」

     

    ロシアの地方では、モスクワ以上のガソリン不足に直面している。シベリアのイルクーツクでは、政府が何キロにも及ぶ給油待ちの列の近くに仮設トイレを設置し始めた。

     

    (5)「緊張は高まっている。ロシア西部オリョール州政府は、燃料販売を地元登録車両のみに限定し、給油は週1回に制限する計画だ。クラスノダール地方のガソリンスタンドでは、地元住民と、ウクライナのドローン攻撃を受けて燃料販売が全面的に停止されたクリミアから給油に来たドライバーとの間で乱闘騒ぎが起きている。クラスノダールの主要製油所の一つが6月28日に爆破された」

     

    ロシア西部オリョール州政府は、燃料販売を地元登録車両のみに限定し、給油は週1回に制限する。ここまで来ると、必ず「戦争反対」という事態にまで発展するであろう。すでに4年4ヶ月も無益な戦争をしていることで、国民が「厭戦気分」なるのは自然であろう。

     

    (6)「ロシア独立紙ノーバヤ・ガゼータなどのアナリストで、モスクワを拠点とするアンドレイ・コレスニコフ氏は、「燃料をめぐる社会的危機は明らかに存在し、政治的な問題に発展する可能性もあるが、今のところ深刻な事態には至っていない」と述べた。「これは、いら立ちへと変わる疲弊感を強めている。しかし人々には状況を変える手段がないため、当局への不満や戦争が終わらないことへの不満を漏らすだけだ」と語った。燃料不足が常態化する中、9月に予定されているロシアの議会選挙に向けた政治活動が本格化している。自由で公正な選挙を期待する声はないが、選挙はロシア国民が静かに不満を表明する場となっている」

     

    9月に予定されているロシアの議会選挙は、燃料不足が常態化する中で迎える。国民は、どういう意思表示するのか。国民の良識が問われている。

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    謬説がまかり通っている。米イラン戦争で、勝者は中国説というものだ。石油不足によって、中国のEV(電気自動車)やバッテリー、太陽光パネルが輸出増になったというのだ。これは一時的な現象であって、中国が友好国イランへ何らの支援もできなかったことで、グローバルサウスからは「失望感」が漏れている。あれだけ「反米」を唱えながら、米国の軍事行動が始まると沈黙した。停戦合意が結ばれる、国際赤十字のように「救護品」を送ってお茶を濁している。平常の「大言壮語」は消えていたのだ。

     

    原油不足を理由に、ASEAN(東南アジア諸国連合)への石油製品輸出を停止した。ベトナムやフィリピンは、日本へ窮状を訴えて来たので、日本が「POWER Asia」政策を立案し100億ドル支援を打出した。ASEAN首脳会議では、日本の支援を受けて原油備蓄などに取組む方針を決めた。こうして、中国がこれまでのASEANへ築いて来た供給ルートは、日本へ取って変わられたのだ。こういう大きなミスを冒しながら、米イラン戦争の勝利者は中国などと謬説を流している。日本が、勝利者である。



    『中央日報』(6月30日付)は、「イラン戦争最大の勝者は中国?米国経済も影響の射程圏」と題する記事を掲載した

     

    米国とイランの戦争で最大の勝者が中国という分析が出ている。世界経済が大きな打撃を受ける中でも中国は直接被害が少なく、ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー・供給網危機はむしろ中国の産業競争力を浮上させる契機になったためだ。

     

    (1)「カート・キャンベル元米国務副長官は30日、日本経済新聞とのインタビューで、イラン戦争により石油と天然ガスの供給が中断されエネルギー安全保障の重要性が大きくなったとし、最も大きな影響を受けたのはインド太平洋地域だと指摘した。その上で、中国が米国とイランの衝突の勝者の1人だと評価した。キャンベル元副長官は、中国はエネルギー調達と備蓄の両方で余力がある。世界経済の不安定の嵐に耐えるのに最も成功している国」と話した」

     

    中国に原油備蓄にゆとりがあれば、なぜASEANへの石油製品の輸出を停止したのか。原油備蓄に余裕がなかったから、製品輸出を停止したのだ。輸出停止されたベトナムやフィリピンは、依存する先がなく日本へ供給を依頼してきた。日本は、出光興産によって400万バレルをベトナムへ緊急供給して急場を凌いだ。同時に、前記の「POWER Asia」プランを立てて根本的エネルギー供給網の確立を提案して受託された。今後は、日本が中国に代って石油供給網を担う他に、新たに電力供給も受託する方向だ。こういうビッグ・プロジェクトが、日本とASEANで結ばれようとしている。中国は、ASEANへの影響力それだけ失ったのである。


    (2)「キャンベル元副長官が会長を務めるコンサルティング会社アジアグループもこの日発表した報告書で中国が石油と天然ガスを大規模に備蓄し、クリーンエネルギー供給が豊富で最悪の危機を避けることができたと評価した。その上で中国政府は輸出統制と補助金、為替相場管理などで経済的衝撃を吸収する能力を立証したと付け加えた」

     

    これは、実態とは全く異なっている。中国は、原油備蓄量を急減させながら、原油輸入量を減らしている。世界の石油業界は、「七不思議」としている。なぜ、輸入量を減らしたのか。外貨準備高に問題があったからという推測がされているほどだ。


    (3)「中国は、イラン戦争が発生すると備蓄原油を積極的に使い、石油精製企業に輸出規制と生産統制を実施して国際原油価格上昇による市場への影響を最小化したとの評価を受ける。原子力、太陽光、風力など非化石原料エネルギーの活用度が高いのも衝撃吸収の要因のひとつに選ばれた」

     

    中国が、国内の石油精製企業に輸出規制と生産統制を実施して、国内原油価格の値上がりを防いだことが褒められることなのか。海外への石油製品供給責任を、ないがしろにしても良いという議論は余りにも無責任である。輸入国の立場はどうなるのだ。こういう無責任さが、日本のPOWER Asia政策によって崩されたのだ。

     

    (4)「むしろ今回の危機は中国の産業競争力を世界に知らせる契機になった。石油と天然ガス依存に対する懸念が大きくなるにつれ、太陽光パネル、バッテリー、電気自動車技術などに対する世界的な需要が大きくなってだ。いずれも中国が世界市場を掌握している分野だ」

     

    中国は、ASEANにとって「信頼できない国」という強い印象を与えた。自国だけ原油を備蓄できれば他国を切り捨ててもいいという結果になったからだ。太陽光パネル、バッテリー、EVの輸出増は一時的である。それよりも国家としての対外イメージの低下のほうがはるかに大きい代償を払うだろう。

     

    (5)「これは世界的企業の「脱中国」の歩みにブレーキをかけかねない。アジアグループは「エネルギーを全量輸入する国が大部分である東南アジア各国政府は(エネルギー危機の中で)経済を保護するため緊急融資と補助金拡大に依存している。エネルギー危機は東南アジアの製造業競争力に対する認識を弱め、企業が中国に工場を移転する傾向を鈍化させるだろう」と分析した。その上で、中東危機を契機に中国が国際社会で「安定した経済パートナー」というイメージを強化したと評価した」

     

    ASEANは、日本とエネルギー長期供給安定計画の策定に入っている。日本企業がチームを組んで、年内はフィリピンへ。次いで、ベトナムやインドネシアも作業に入る予定だ。この記事とは反対のことが今、始まっている。 

     

     

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