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韓国は、何かと日本と比較したがるクセがある。一枚のグラフに、日韓の経済成長率のカーブを描くと、ほぼ20年のタイムラグ(時間の遅れ)がある。韓国は、20年遅れで日本の軌跡をなぞっているわけだ。日本の総人口のピークは2010年の1億2804万人。過去のパターンから言えば、韓国の総人口は2030年に山を迎えてもおかしくない。

 

ところが、最近の出生率が急速に低下してきた。日本と比較したがる韓国の総人口は、ピークの山が大幅に前倒しになって、面目丸つぶれである。2023年が総人口の山であり、日韓の「タイムラグ」パターンから言えば7年も早まる計算だ。

 

人口は、領土と共に国家を形成する重要な基盤である。領土は侵略されない限り変化はないが、人口だけは経済政策の巧拙と深く関わっている。日本は、世界で最初の人口減社会になったが、第二次世界大戦後の人口抑制策が大きな影響を与えた。その日本の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子どもの数)は1.4人台。韓国は、1.17(2016年)で台湾と並んで世界最低に落ち込んでいる。

 

この合計特殊出生率の差が、日韓の総人口におけるピークのラグを決めたと解釈できよう。そうなると、日韓で合計特殊出生率に影響を与えた経済政策は、何であったのかが問われてくる。ここまで来ると、人口専門家の域に入るので小難しい話は省略する。要は、安心して子どもを生める環境が整っているかどうかに帰着する。

 

韓国はその点で、抜かりがあったと言うほかない。就職難の社会では、結婚がままならない。幸い結婚しても、出産・育児で職場や地域の協力が得られるかどうかだ。この点で、韓国は「イマイチ」である。大学を出ても就職に辿り着くまで、平均1年間の「就職浪人」が普通である。これを、おかしいから改革しようという動きもないのだ。韓国は儒教社会で、公務員になることが最大の夢である。朝鮮李朝では、「科挙試験」に合格するまで相当の歳月がかかった。こういう事例が今でも、就職浪人を当たり前のことにさせている。韓国社会が、「イノベーション能力」に欠ける理由がここにある。

 

次の記事は、最新の人口ニュースである。

 

『中央日報』(6月28付け)は、「韓国、出生数また歴代最低、人口減少が前倒しに」と題する記事を掲載した。

 

 

   今年の出生数は低位推計予想値にすら至らない可能性が高まっている。今年1~4月までの出生数を基に推算してみると、年間出生数は32万人をかろうじて越えるものと予想される。統計庁が2016年末に公表した『将来人口推計(2015~65)』で2018年に37万6000人~44万7000人の赤ちゃんが生まれるだろうと予想した。44万7000人は最上の状況を仮定した高位推計に伴う出生児の数字で、37万6000人は最悪の状況を仮定した低位推計に伴う数字だ」

 

   「これに伴い、人口が減る人口減少開始時点も当初の予想よりも前倒しになる可能性が高い。統計庁が将来人口推計で予想した人口減少時点は、中間予想値の中位推計を適用した場合は2032年で、低位推計を適用すると2023年となる。統計庁が最も可能性が高いと考えていたのは中位推計だったが、現実は別の方向に向かっている。統計庁のイ課長は、『現傾向通りにいく場合、2023年から人口減少が始まる可能性が高い』としている」

 

人口推計は、経済統計の中で最も信頼性の高いデータとされる。それが、これだけの狂いが生じるとは、「これいかに」である。やっぱり、韓国の経済政策がピンボケであったという以外、言葉が浮かばないのだ。