長期的視点から株式を運用する。こういうファンドのベテラン運用者は、何を基準にして売買方針を決めるのか。経験の浅い投資家は、一喜一憂して売買し、結果はわずかな利益か、マイナス勘定で終わるものだ。これから紹介する例は、表題の通りの株式運用者が最近、中国株を全て売却し、代ってタイとベトナムの両株式に入れ替えたという。理由は、マクロ経済指標の差だという。中国は黄昏経済。タイとベトナムは、これから上り坂経済になるという判断を下した結果だ。
『ブルームバーグ』(7月18日付)は、「中国株、初めて全て売却、アジアでキャリア20年のベテラン運用者」と題する記事を掲載した。
(1)「アジアでロング戦略ファンドとヘッジファンドを20年にわたって運用してきたジョン・フー氏は、資産運用者としてのキャリアで初めて中国株を全て売却した。フー氏はこのほどインタビューに応じ、貿易摩擦が激化し、中国国内で信用の引き締まりが見られる中、同氏率いるキングスミード・アセット・マネジメントが約2カ月前に、中国株の上昇・下落を見込む全ての投資をやめたことを明らかにした。シンガポールを拠点とするキングスミードはアジアに重点を置くヘッジファンドで約6000万ドル(約67億4600万円)を運用するほか、別口座で顧客資産の運用を手掛けている」
投資ファンドを20年間運用してきたジョン・フー氏は、資産運用者としてのキャリアで初めて中国株を全て売却したという。多分、2015年の株価と人民元の暴落の経験から、今後の中国経済の動きに、同じ「死臭」を感じ取ったのかも知れない。フー氏は、マクロ経済指標を重視するとテレビ放送で強調していた。確かに、中国経済は時限爆弾をあちこちに抱えている。①過剰債務、②不動産バブル、③米中貿易戦争。この三つは、中国経済の死命を制するものばかりだ。国内に抱えきれないほどの難題を背負いながら、海洋進出という膨張政策に歯止めがかからない。ブレーキを失った状態になっている。
(2)「中国株は、レバレッジ解消が進んでいる影響で既に困難な状況に陥っている経済に米中貿易摩擦が打撃を与えるとの懸念を背景に時価総額2兆ドル相当が失われ、ここ1週間はさらに下落している。香港と米国で上場されている企業を中心に中国株はフー氏のファンドのネットエクスポージャーの40%を占めていた。ネットエクスポージャーは強気と弱気な取引の差を示すリスク指標の一つ。フー氏は、投資を再開するには、人民元が1ドル=7.5元よりも安くなることや、『意味のあるレバレッジ解消』、バリュエーションが30%低下することが必要と述べた。同氏は以前、フロントポイント・パートナーズで資産運用に携わっていた経歴を持つ。人民元は2018年4~6月期(第2四半期)に過去14年で最大の下落を示した」
フー氏は、中国株投資を再開するには、次の3点を強調している。
① 人民元が1ドル=7.5元よりも安くなること
② 意味のあるレバレッジ解消
③ バリュエーションが30%低下すること
これら3点が実現するのは、中国経済がバブルを崩壊(住宅価格の下落)させて過剰債務の強制的な整理が前提になろう。
「バリュエーションが30%低下する」とは、次のような意味だ。株価が相対的に割安か割高かを判断する具体的な指標としては、株価純資産倍率(PBR)や株価収益率(PER)、配当利回りなどがある。これらが、現在よりも30%低下して(配当利回りは上昇)初めて、中国株は真っ当な評価になると見ているに違いない。これからが、正念場を迎える。


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