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際限なかった中国バブル経済に、最後の断がくだったようだ。国中を舞ったバブル・マネーの象徴であるネット金融の「P2P」(ピア・ツー・ピア)が、ついに実質「店じまい」を迎える。「P2P」とは、個人間のお金の貸し借りをインターネットで仲介するもの。「フィンテック」(ファイナンスとテクノロジーの結合)の先駆ともてはやされたこともあった。隆盛を極めた「P2P」が、あっけない幕切れを迎えたのは、昨年12月の中国政府による「通告」から始まる。

 

『ロイター』(2017年12月15日付)は、次のように報じた。

 

中国銀行業監督管理委員会(銀監会、CBRC)は、消費者金融に対する規制を強化し、未承認の借り手への融資および、現金貸付や学生ローンなどへの投資を禁止した。証券時報が15日報じた。同国では銀行口座を持たない人が多く、その需要を満たすため消費者金融市場が活況。小口の高金利ローンを扱う小規模な業者が増えている。CBRCが消費者金融業者に配布した文書では、承認を受けていない借り手に対し「ピア・ツー・ピア」(P2P)や第三者を介した融資を拡大することを禁止。投資先は債券のみに限定される」

 

この記事の中に、ネット金融の危なさが余すところなく示されている。「未承認の借り手への融資」を禁じたからだ。中国では銀行口座を持たない人々が多い社会である。これでは、身元確認が不可能である。こういう不確かな相手への融資が、回収上危険であるのは自明である。金銭貸借のイロハの手続きを無視して金融が行なわれていたことに、中国の前近代的社会状況が浮かび上がる。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月21日付)は、「中国PP金融、相次ぐ倒産や閉鎖、投資家に動揺広がる」と題する記事を掲載した。

 

(1)「新たな登録規制の実施期限である6月末が近づくに連れ、業界では逆風が強まり始めた。そこに景気減速が加わったことから融資返済に窮する企業が増え、一部は事業閉鎖を決めたようだ。さらに警戒した投資家の資金引き揚げも重なり、こうした融資プラットフォーム会社をさらに追い込んでいるとみられている。オリエント・キャピタル・リサーチのアナリスト、アンドリュー・コリエ氏は『資本チェーン全体への不安が広がっている』と話す」

 

昨年12月の中国銀行業監督管理委員会(銀監会、CBRC)の通達によれば、「承認を受けていない借り手に対し『ピア・ツー・ピア』(P2P)や第三者を介した融資を拡大することを禁止。投資先は債券のみに限定される」。この結果、身元不確かな相手(銀行口座を所有しない者)への融資が禁じられた。インターネットによる消費者金融には、箍(たが)をはめられた形で、もはや従来のような発展どころか、縮小への動きである。

 

(2)「P2P金融とは、小規模な借り手と一般投資家をつなぐ融資事業だ。中国では通常、投資家の資金を集め、運転資金に窮している企業に短期融資や高金利融資を提供しており、資本プールのような働きをする傾向がある。中国では、当局が経済成長のけん引役としてフィンテック業界の育成を推進したことで、2010年代に入りP2P金融が拡大。だが2015年終盤に、あるネット金融プラットフォーム会社が倒産し、投資家に76億ドル(約8500億円)の被害をもたらしたことで、審判の日を迎えた。当局はこの事件を『ポンジ・スキーム』(注:自転車操業)詐欺だとしている。その後、金融当局は規制強化に乗り出すが、実施は難航した。アナリストによると、P2P金融会社の多くは通常のビジネスとして登録しており、また地方当局者はネット金融を規制する経験がほとんどなかったという」

 

中国当局は、P2P金融についてポンジスキームと呼んだという。こういう不健全な金融事業を「フィンテック」の走りとしてちやほやしたことが悔やまれる。また、P2P金融会社の多くは、通常のビジネスとして登録していたことも問題である。金融ビジネスの一環という認識がなかったのだ。この認識不足が、「P2P」を歪んだ形にしてしまった。