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今から10年前、中国河北省でメラミン入り粉ミルクが販売され、世界中を騒がせた大事件が起こった。メラミンによってたんぱく質を偽装する事件だ。今度は、吉林省と四川省で検査不合格ワクチンが乳児に接種されて中国社会に衝撃を与えている。

 

事件の概要は次のようなものだ。『大紀元』(7月24日付)が報じた。

 

(1)「7月20日、吉林省の薬品管理当局は、ワクチンメーカーの長生生物科技(長生生物)が2017年に製造したDPTワクチンが品質基準に満たさないまま、山東省疾病予防センターに販売して接種された。このワクチンの対象は、3カ月の乳児から6歳の幼児までだ。販売した数は25万2600本という。吉林省当局は昨年10月27日にすでに、同社の製造状況について調査していた。しかし、中国国家薬品管理当局によると、吉林省当局が最近まで調査結果を伏せており、不正ワクチンの自主回収を実施しなかった」

 

吉林省当局は、ワクチンが検査で不合格にもかかわらず、回収命令を出さなかったこと。調査結果を公表しなかったことなで、明らかにワクチンメーカー側に立って行政を行なっている。これは、メーカーとの癒着結果であり、補助金が絡んだ問題であろう。中国の当局と企業は補助金で結ばれ、今回の事件を誘発した要因と見られる。

 

(2)「吉林省薬品当局は、長生生物に対して在庫のDPTワクチン186本を没収し、罰金344万2900元(約5853万円)の処分を科したに留まった。中国メディア『澎湃新聞』の22日の報道によると、山東省薬品管理当局の責任者は問題発覚直後、不適合ワクチンが省内に『どれぐらい残っているのか、どこの市・県に流通したのか、またすでに接種を受けた子供はどれくらいいるのかを、全く把握していない』と話した。中国国内メディアによると、他のワクチンメーカー、武漢生物が製造するDPTワクチンも当局の出荷基準に不合格であった。昨年11月に問題発覚にもかかわらず、ワクチン40万本が四川省重慶市、河北省各地に流通した。そのうち、144万本がすでに乳児に接種した。長生生物と武漢生物2社の問題ワクチンを接種した乳児は39万人に上る」

 

他のワクチンメーカーの武漢生物でも長生生物と同様な事件を引き起こしている。検査不合格ワクチンは、流通しないように処分するはずだが、それを行なわなかった点で、全く同じである。官民癒着が背景にある。長生生物と武漢生物2社の問題ワクチンを接種した乳児は39万人にも上がる。今後、副作用が発生した場合、不合格ワクチンを処分せず流通を黙認した政府の責任が問われよう。

 

中国政府が現在、取り組んでいる「中国製造2025」は、前記のワクチン同様に補助金が絡んでいる。中国ではあらゆる部門で補助金が湯水のように使われ、企業において緊張感を欠く原因になっている。補助金頼りの起業活動は、最終的な起業リスクを招かれるという甘えを許す結果になっている。この点が、中国経済を脆弱化させる大きな要因だ。甘えを許すことになっている。

 

冒頭で取り上げた「メラミン入り粉ミルク」事件では、官は関係していなかった。個人の酪農家がミルクのタンパク質比率を高めるために行なった犯罪である。この悪事によって、毒粉ミルクを購入した家庭では、幼児が痛ましい犠牲になった。毒入り牛乳を知らずに購入した粉ミルクメーカーはその後、毒牛乳混入事実を知ったが伏せていた。秘かに回収に動いていたことが被害を拡大する結果となった。

 

今回の不合格ワクチン問題では、地方政府がその事実を公表せず、流通させている。この点では、毒入りミルク製造企業と全く同じ対応をしている。「一般に知られなければ」という隠蔽体質が、中国の特質であることを示した事件である。