7月24日のブログで取り上げたネット金融「P2P」(ピア・ツー・ピア)」は、投資家の被害拡大で、大規模な抗議デモに発展するなど、中国社会で新たな不安につながる懸念をはらんでいる。
香港紙『香港経済日報』(7月23日付)によると、7月2日から16日までの14日だけで、国内に131社のP2P業者が突然閉鎖・倒産した。一部のP2Pプラットフォームの経営者が貸し手の資金を持ち逃げ、行方をくらましている。投資家に約1000億元(約1兆6300億円)の被害をもたらした。資金回収の見込みがほぼないとみられる。P2P業者の大半は北京、上海、深圳など大都市に集中している。以上は、『大紀元』7月25日付)が伝えた。
次の事例は、ネズミ講組織で資金を集めて破綻したケースである。「フィンテック」と称して近代的な金融ビジネスを装っていたが、その手口は典型的な詐欺である。命の次に大切な「カネ」が、まんまと詐欺団に吸い取られたわけで、中国の金融事情の混乱を物語っている。
『大紀元』(7月25日付)は、「中国でネット金融P2P業者が相次ぎ倒産、7月にすでに131社」と題する記事を掲載した。
(1)「7月13日、深圳市にあるP2P業者『深圳投之家金融信息サービス有限公司』(以下、投之家)が事業閉鎖した。14日、同市警察当局は、同社がねずみ講を行った疑いがあるとして捜査を始めた。23日、同社の約400人の投資家が深圳市政府庁舎前に集まり、資金返還をめぐって陳情を行った。当局は数十名の警官を投入して警戒に当たった。投之家のウェブサイトによると、同社は2014年に設立。利用者が29万人で、貸借の規模が266億元(約4336億円)」
ネズミ講は、集めた資金を投資などで運用せず、自転車操業的に配当へ回して、次の資金集めに使うもの。それ故、高率配当で投資家を釣るシステムである。最初から詐欺目的で資金集めする破滅型である。日本では1980年、「天下一家の会」が、被害者112万人から1900億円を集めて破綻した。当時の日本では、大変な社会問題になった。
(2)「2015年、P2P金融大手『e租宝』の投資プロジェクトの9割以上がねずみ講であると判明してから、被害を受けた投資家が中国各地で大規模なデモを行った。同社は、全国90万人の投資家から500億元(約8150億円)をだまし取ったと報じられた。大紀元コメンテーターの陳思敏氏は、P2P金融業者の相次ぐ倒産で、『資金を持ち逃げる経営者の増加、従業員の失業、被害投資家の大規模な抗議デモに関する報道が増えるだろう』と話した」
中国当局はすでに、「e租宝」という事件を経験している。「P2P」に対しても警戒して当るべきであった。それが、昨年12月になって初めて通達を出すという後手に回った。中国が、バブル経済下にあることを考えれば、早く実態解明に乗り出すべきだった。被害者が地方政府に集まって抗議する気持ちも分るのだ。金融は、相当な規制を加えても「安全確保」が第一の分野である。
(3)「中国時事評論家の文小強氏は、P2P業者は、より多くの貸し手を呼び込むために、銀行の預金金利よりはるかに高い利回りを掲げていると述べた。なかには、10%や20%の利回りを提示する業者がいるという。しかし、一部の業者がねずみ講をして、市民の資金をだまし取ってきた」
ネズミ講であるから、資金集めが目的である。いくらでも高い金利を付けられる。これが、実際の資金運用で利益を上げるとなれば不可能である。中国の消費者に対しては、初歩的な金融知識の教育が是非とも必要だ。


コメント
コメントする