中国が、米国の先端技術を窃取する手法の一つに、対米直接投資がある。だが、今年上半期は、米国の厳重警戒と中国の資本流出規制によって大幅な減少になった。まさに、「見る影もない」状態に落込んだ。
ここで、最近の中国による対米直接投資の実態を見ておきたい。資料は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月26日付)から転載した。
2015年 149億ドル
16年 456億ドル
17年 294億ドル
18年 21億ドル(2018年は上半期)
中国は、米国の大学から先端技術を窃取すべく中国人留学生の寄宿舎建設案を提出したり、米空軍基地の近くに工場建設案を持出すなど、手を変え品を変えて接近を試みている。だが、米国内では中国警戒論が根強く、「中国の狙いは何か」と詮索される始末で、米国のガードの堅さの前に撃退されている。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月26日付)は、「輝き失った中国資本、米国内で警戒広がる」と題する記事を掲載した。
「中国人のデベロッパー、タン・ジシン氏は昨年9月、のどかなテキサス州タイラー市に16億ドル(1800億円)規模の集合住宅建設計画を携えてやってきた。地元の学校に数千人の中国人留学生を呼び込み、周辺の郡に1000人以上の雇用をもたらすとの触れ込みだった。だが地元当局者や有権者らはここにきて、安全保障上のリスクに加え、タン氏の資金調達能力や新規インフラに関する納税者の費用負担を巡り、懸念を口にし始めた。市の当局者はまだ、必要な土地利用規制条例の変更をまだ承認しておらず、タン氏が計画を実行に移すかは不透明だ。批判的な向きは、経済・軍事上の競合相手である中国政府からの指示、または資金援助を受けている恐れがあるとして、中国資本による投資案件は国家安全保障上のリスクだとみる」
のどかなテキサス州タイラー市に、1800億円規模の集合住宅を建設する案だ。1000人以上の雇用を創出する計画だと言うが、半信半疑で飛びつくような姿勢はない。この留学生をテキサス州立大学に留学させ、先端技術を窃取するのでないか。地元では、こう疑っているという。ここまで中国の投資を疑い始めているのは従来にないことだ。
米議会は、中国資本を主たる対象にして対米直接投資の厳重審査を開始する法的な手続きが進んでいる。米上下院は、国防権限法(NDAA)で海外勢による対米投資の審査を厳格化するもの。NDAAではまた、米政府機関の海外製通信機器の利用に関する規制強化規定が盛り込まれた。具体的には、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)と華為技術(ファーウェイ)の技術を利用することを禁じる項目である。両院の本会議で再可決した上で、トランプ大統領の署名を経て成立すると、ロイターが7月23日に伝えた。
米国は、徹底的に中国資本と中国技術を排除する重大決定を下した。米国の怖さはここにある。1911~12年にかけて、米国は太平洋での「対日戦争」の準備に入っていた。米国が一度、「敵」と決めた相手国には一切の妥協を排して追込んでゆく「一念」さがある。中国は、かつての日本が「敵対国」になったように、中国もまた同じ「座」に座らせられた。中国の将来が、おぼろながら分るはずだ。


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