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あの強面のドゥテルテ・フィリピン大統領は、初訪中(2016年)で、中国の習近平国家主席と会談した。共同声明も発表されたが、盛りだくさんなフィリピンの開発事業に中国は協力を約した。その後、これらプロジェクトは動き出さずに終わっている。最近、ドゥテルテ氏は、理由を明らかにしなかったが、次期大統領選に立候補しないと語っている。この決断が本当とすれば、中国に空手形を掴まされた責任を取ろうとしているのだ。

 

フィリピンは、南シナ海における中国の不法行動を常設仲裁裁判所に訴え勝訴判決を得た国である。そのフィリピンのドゥテルテ大統領が、中国に対して媚びる姿勢を見せたことは、極めて不可解であった。この外交上の甘さが、中国に手玉に取られた理由であろう。対中国外交では、厳しく対応することが鉄則である。少しでも脇の甘さを見せると、「空手形」を掴まされるのだ。日本も、東シナ海での共同石油開発協定を反古にされている。中国は、「嘘つき」常連国家である。

 

『大紀元』(8月2日付)は、「比、中国に利用された、約束の投資が実行されず」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中比共同声明には、中国のフィリピンにおける鉄道、港湾、採鉱、エネルギーのインフラ整備や、中国農作物の輸入再開、貿易や投資の拡大などが盛り込まれた。フィリピン側によると、支援規模は総額240億ドル(25000億円)に上る。しかし、2年経っても投資プロジェクトはほとんど実行されていない」

 

フィリピンは、完全に中国に一杯食わされた。ドゥテルテ氏は外交経験ゼロであり、百戦錬磨の中国外交の前には歯が立たなかった。最初から、フィリピンが自らの手口を全部相手に見せて始めた外交交渉など聞いたことがない。中国は、外交交渉で得た結論に従わない国である。昨年11月、米大統領が訪中の際に行なった共同発表もその時だけ。何ら実行しなかった。米国は、実行しないことが事前に分かっていたので、今回の「通商法301条」という伝家の宝刀を抜いた。約束を守らない国には、守らせる方法がある。その実例は今、米国が中国に向けて投げつけた刃にある。

 

(2)「2016年10月、中国電力グループはフィリピンのエネルギー会社と共同で水力発電所の建設に合意した。総工費10億ドルの同計画は中国側が再三にわたり延期した。最後に2017年2月まで延期と発表されたが、2月になっても着工の気配がないため、フィリピン側は契約を中止した。ラテライトニッケル鉱石の探査、採掘を手掛けるGlobal Ferronickel社も中国側と7億ドルに上る工場建設計画を確定した。しかし、その後進展はなかった。726日付のブルームバーグの記事によると、フィリピン国家経済開発庁長官アーネスト・M・ペルニアは2年経ったが、中国政府とフィリピンとの間で、灌漑整備計画のローン貸付(7300万ドル)と2基の橋梁建設計画、合計7500万ドル規模の協議だけを結んだ。当初の投資総額240億ドルから大きくかけ離れている」

 

前記の灌漑整備計画と、2基の橋梁建設計画で合計7500万ドルが、ようやく日の目を見るという。当初計画の240億ドルにくらべて0.3%に過ぎない。フィリピンが、南シナ海問題で強硬策に出ない。中国は、このことを知ったから約束を守らなかった。中国のような国を相手にするには、トランプ氏のような人物でなければ歯が立たないことを示している。

 

3)「ドゥテルテ大統領は2016年の訪中時、投資を呼び込むために対中融和政策に転換した。軍事面でも経済面でも欧米と距離を置いた。しかし、中国依存の政策は実質的な収益をもたらされていない。また、ドゥテルテ氏は、中比両国が領有権を主張する南シナ海問題で政治的な譲歩姿勢を見せた。大統領は2017年11月12日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議関連のビジネスフォーラムで演説した際、南シナ海問題について『触れないほうがいい』と発言し、問題を事実上、棚上げした」

 

ドゥテルテ氏の完敗である。もともと南シナ海問題で、法的に違反しているのは中国である。その相手に妥協するとは、不思議な外交感覚である。ドゥテルテ氏が、大統領1期で終わり立候補しないとなれば、次期大統領が新規まき直しで、中国とやり合わなければならない。7月、フィリピンで1200人の成人を対象に行われた世論調査で、中国への信頼度は2016年4月以降、最低水準を記録したという。国民は怒って当然である。