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破竹の勢いで、対中貿易戦争に臨んでいる米国トランプ大統領に、前途多難を予想させる問題が持ち上がっている。トランプ氏が過去に関係した二人の女性に対して、大統領選挙中にトランプ氏の個人的弁護士は「口止め料」を払った。これが、選挙違反に問われて有罪となった。しかも、トランプ氏が口止め料支払いを承知していたことも分かった。

 

野党の民主党は、鬼の首を取ったような「喜び」を押し殺している。これで、仇敵のトランプ氏を弾劾に持ち込みたい、としている。ただ、トランプ氏が、ロシアと謀議を重ねて大統領選を勝ったという問題ではない。「派生的」問題で大喜びして、今から「トランプ弾劾」と言い出せば、逆に「トランプ支持派」を刺激して逆効果になりかねない。だから、前述のように「喜び」を押し殺して、次なる闘いの準備を始めている、というのだ。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月24日付)は、「大統領の弾劾に口つぐむ民主党」と題する社説を掲げた。

 

(1)「(トランプ氏の元私的弁護士の)コーエン被告の罪は重大だが、大統領弾劾の議論は「時期尚早」だと民主党の上院院内幹事を務めるディック・ダービン議員も言う。『より多くの情報が出てくる必要がある』ため、『まだそうした言葉を使う段階ではない』。政治的な現実はこうだ。民主党が11月の選挙で下院の過半数を獲得すれば、ほぼ確実にトランプ氏の弾劾手続きに入るだろう。民主党のこれまでの発言や既に動き出したプロセスからみて、民主党には他に取るべき道があまりない。ただ、選挙前の今はそれを認めたくないだけだ。4年の任期を見越して大統領を選んだつもりでいる大勢の『嘆かわしい人々」』(トランプ氏の支持者)や無党派層の人々を刺激しないようにとの配慮だ」。

 

民主党支持者にとってトランプ氏は、仇敵である。大統領選直前まで、有利に闘っていたクリントン氏が、まさかの敗北を喫した。その理由は、ロシアの選挙干渉である。その裏に、トランプ氏がいたはずだ。そう思い込んでいる。現在は、選挙違反ということだが、今後にボロが出てくるはず。11月の中間選挙までは沈黙して我慢しよう、というもの。

 

(2)「民主党が下院(定数435)で228議席を獲得し、過半数を奪還するのが妥当な推測だと思われる。10議席差は多くないが安定的多数といえる水準だ。それは民主党が2年間主張し続けたことによってもたらされた結果となる。すなわち、トランプ氏はロシア政府と共謀して2016年の大統領選をかすめ取った正当性を欠く大統領であり、大統領の地位を私利私欲の手段に利用しており、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー前長官を解任したことは司法妨害にあたり、コーエン氏が有罪を認めた以上、もはや選挙資金不正の「起訴されていない共謀者」(注:トランプ大統領)だという主張だ」

 

民主党が下院で過半数の議席を得たら、「トランプ弾劾」を声高に主張する。これが、民主党の戦略である。確かに、トランプ氏は破天荒なタイプだ。世界中をかき回している人物である。だが、米中貿易戦争という世界の自由と民主主義を賭けた大戦略を前に、二人の女性に口止め料を払ったことを理由に、弾劾する意味を考えるべきだ。中国が、先の米中交渉でなんらの解決策も持たずに臨んだ裏に、民主党と気脈を通じていた? そんなことはあり得ないが、中国は大いに期待していることだろう。民主党は、党利党略を避けて世界の利益を考えるべきだ。