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中国の抱える難題は多い。とりわけ、カネにまつわる事件が多発している。この国は、何ごとも自然発生的に始り、制度として確立させないで終わっている。その間、多くの被害者が出て悲運の涙を流しているのだ。

 

オンライン融資の「P2P」(ピアツーピア)もその一つである。10%という高い金利で資金を集めてゆきづまり倒産する。実質的に金利自由化が行なわれていない結果、銀行預金より高い金利を付ける、怪しげな詐欺まがいの「P2P」が出現している。

 

『ブルームバーグ』(10月11道付)は、「中国でP2P倒産ドミノ 資産回収困難、自殺する出資者も」と題する記事を掲載した。

 

(1)「彼らと闘うには私はあまりにも小さな存在だ」。9月上旬、中国浙江省出身の31歳の女性はそう書き残してこの世を去った。オンライン融資の『ピアツーピア(P2P)』を手掛ける会社が倒産し、約4万ドル(約450万円)を失ったことを苦にした自殺だった。『国有系のP2Pが逃げ出し、株主も責任を取ろうとせず、捜査当局の腰も重い。疲れ果てて希望が見えない』と訴えた女性の両親宛ての手紙がソーシャルメディア『微博』のチャットグループに投稿された」

 

この問題は、以前にもブログで取り上げている。自殺者が出るという事態になるまで放置してきた当局の責任は重い。監視カメラで市民を監視するが、こういうインチキ金融ビジネスを監視しない。裏で、賄賂が動いているのだろう。

 

(2)「倒産したPPミャオで損失を被ったとして何百人もの人々が8月下旬、抗議のために上海の国際ファイナンスセンターの外に集まった。ここに同社と関係する企業がオフィスを構えていたが、地元の警察や警備員に追い返された。被害を受けたと訴える出資者らによると、PPミャオが破綻した結果、最大4000人が計1億1700万ドルを失った。その多くが資金の返還を求めて中国の主要都市に集まっている」

 

地元の警察は、被害者が抗議に集まれば追い払う。何とも不思議な構図である。当局は、被害者よりも加害者の側に立つ例が多いのだ。清朝時代とどこが違うだろうか。いつも泣き寝入りさせられるのは、名もない庶民である。この国に生まれた底辺の人々は、常に権力によって踏みつけられているようだ。

 

(3)「上海の調査会社、盈燦集団によれば、今年6月から8月までで400社余りのP2Pプラットフォームが破綻。それでも1800社程度が残っているが、今後も倒産ドミノが続き200社弱まで減少すると中国国際金融(CICC)は見込んでいる。中国のP2Pは、銀行の預金金利を大きく上回る10%以上のリターンで5000万人を引き寄せてきた。これは米国のニューヨーク、テキサス両州を合わせた人口を上回る。6月時点の投資残高は過去最大の2000億ドルだ。従来の銀行セクターではない金融機関、いわゆるシャドーバンキング(影の銀行)の一角で、ほぼ野放し状態だったP2Pに対し、中国政府は監視を強めようとしている。P2Pのサイトに資金を預けるなら全てを失ってもかまわないとの覚悟が必要だと、銀行監督当局は今年の夏に警告した」

 

今年6月から8月までで400社余りのP2Pプラットフォームが破綻。まだ、1800社程度が残っているが、今後も倒産ドミノが続き200社弱まで減少するという予想だ。いくら「自己責任」の原則とは言え、金融ビジネスは常時、当局が監視すべき対象である。もともと、「P2P」事業モデルに問題があるのだ。ここまで来たら、すぐに一斉に事業を停止させ、資金を確保し出資者を保護する。そういう緊急対応が取れないのか。当局と業者が裏でつながっているのだろう。賄賂社会の宿命である。