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資本主義経済で生活している者には、株式投資をする、しないに関わらず、その「渦」から逃れられない宿命を負っている。ならば、世界経済のエンジン役である米国経済の株価に目を向けて、しっかりと点検して置くことが必要だろう。

 

12日の米株式市場は、ダウ平均は4営業日ぶりに反発し、前日比287ドル高で終えた。後場に入って、前日までの下げがきつかったハイテク株を買う動きが優勢になったもの。この日発表された銀行決算は好調そのもので、米国経済の基盤に何らの陰りがないことを証明した。経済の土台には揺らぎはなかった。

 

米国の株価が一時的な調整はあっても、現状では本格的な下落場面に転換しないであろうと見られる理由は、前記のような銀行決算が好調であることのほかに、もう一つの理由がある。それは、中間選挙の結果に関わらず、選挙の翌年に株価がさらに上昇局面に向かっているという事実だ。1946年以降、この「事実」に反することは一度も起きておらず、今年の中間選挙後も同じ現象が期待されるというのだ。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月13日付)は、「『金利上昇も悪くない』 米銀決算に見るプラス面」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米国の大手銀行は12日、世界の終わりではないことをタイミングよく思い出させてくれた。金利上昇を嫌気し、ダウ工業株30種平均はここ2日間に1300ドルを超える下げを演じたが、銀行は当然ながら金利上昇の恩恵を受ける。株価が急落する中でも、JPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴの3行が発表した7-9月期(第3四半期)決算はいずれも、米経済の基本的な強さを示す形となった。JPモルガンとシティは利益が市場予想を上回ったほか、不祥事に揺れるウェルズ・ファーゴもコスト削減が寄与してまずまずの内容となった。法人向け融資やクレジットカード融資の金利は預金金利を上回るペースで上昇するため、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは、大半の銀行にとっては差し引きプラスとなる」

 

米国経済は、金利上昇が無理なものでなく実態にそったものである。それが好調な銀行決算によって確認できた。トランプ大統領はFRB(連邦準備制度理事会)の強引な利上げが、株価の大幅下落をもたらした非難していたが、それは杞憂に終わった。利上げで萎縮するほど脆弱な経済基盤でないことを証明したからだ。

 

(2)「銀行幹部は米国債利回りの上昇を楽観しているようだ。JPモルガンのマリアンヌ・レーク最高財務責任者(CFO)は決算会見で『(利回り上昇は)予想していたことであり、望んでいたことだ』とし、『経済が拡大していれば、長期債の利回り上昇は望ましい』と述べた。同行のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も、金利上昇に『人々が驚いていることに驚いた』と語った」

 

JPモルガンのトップは、次のように強調した。

    (利回り上昇は)予想していたことであり、望んでいたこと。

    経済が拡大していれば、長期債の利回り上昇は望ましい。

    金利上昇に「人々が驚いていることに驚いた」。

以上のようなことは常時、FRBも把握しているはず。FRBが自信を持って利上げに臨んでいる事情が分るであろう。

 

(3)「JPモルガンのコア融資は7~9月に前年比7%増と、力強い伸びを維持した。レーク氏は金利上昇が顧客に打撃を与えている兆しは見られないと話している。シティグループの融資は、前四半期の4%増から3%増にやや減速した。ウェルズ・ファーゴでさえ、融資動向は懸念されていたほど悪くなかった。ジョン・シュルーズベリーCFOは先月、法人向けの主要な貸し出し先である商業用不動産(CRE)融資と商工業融資がいずれも4~6月期に比べ減るとの見方を示していた。だが実際には、減少したのはCRE融資のみで、ウェルズ・ファーゴは慎重な見方をしていたためだと説明している」

 

JPモルガンのコア融資は7~9月に前年比7%増と、力強い伸びを維持した。金利上昇が顧客に打撃を与えている兆しは見られないと指摘している。これは、企業利益が利上げ分を吸収している結果であって、好循環過程にあることを示すものだ。

 

(4)「消費者・法人の双方で、返済に窮している兆候が消えた。JPモルガンとウェルズ・ファーゴはいずれも貸倒引当金を引き下げており、両行はデフォルト(債務不履行)が減ると想定していることを示唆している。シティグループも引当金を少し積み増した程度だ。つまり、消費者も企業も極めて良好な状況にあり、大手銀の収益改善をけん引したということだ。金利の上昇が続けば、株価が下がらないという訳ではないが、米経済にとって破滅的ではないということは言えそうだ」

 

貸倒引当金は、消費者・法人の双方で減少した。債務不履行の兆候が見えないので貸倒引当金を減らしたものだ。貸出が増える中で貸倒引当金を減らしているのは、米国経済が絶好調であることを示している。先に見られた株価波乱の理由は、実態経済面になかったのだ。株価のスピード調整という色彩が濃い。