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自由が当たり前の米国社会で生きてきた米企業が、貿易戦争をきっかけにして中国撤退を検討している。中国政府は、外資系企業にまで共産党支部をつくらせて監視しているからだ。企業の計画は、共産党に筒抜けという異常事態に音を上げている。

 

『レコードチャイナ』(10月30日付)は、「米中貿易戦争、中国進出米国企業の7割超が中国からの撤退を計画」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米『自由アジア放送(RFA)』(10月29日付)の中国語版サイトは、「米国と中国の貿易対立の激化に直面し、ますます多くの米国企業が中国での事業に困難を感じているようだ」と伝えた。その上で、ロイター通信の29日付の報道を引用し、中国の南部で事業を展開する米国企業の7割超が、米中貿易戦争で利益に悪影響を受けていることを理由に、今後の針路を検討している。①投資を延期または中止するか、②製造業務の全部または一部を他国に移すかを検討している」

 

中国の南部で事業を展開する米国企業の7割超が、米中の貿易戦争の悪影響を受けている。その結果、①投資を延期または中止するか、②製造業務の全部または一部を他国に移すかを検討しているという。これは、米政権の狙いでもある。中国のサプライチェーンの位置低下を計っているのだ。

 

(2)「上記の米企業動向は、在中国南部米国商工会議所の調査で分かった。219社(うち3分の1が製造業)を対象にした調査結果によると、調査対象企業のほぼ半数が、行政による監視の強化や通関の遅れを含む中国側の非関税障壁が日増しに広範化していると述べている。ロイター通信は、調査結果について「輸出に依存している中国の都市と省が米中貿易戦争の下で困難に直面しているという新たな証拠を提供している」と報じている」

 

調査対象企業のほぼ半数が、地方政府による監視の強化、通関の遅れを含む中国側の非関税障壁が日増しに強まっていると感じている。中国が、米企業に「出ていけ」と言わんばかりの感情的な振る舞いを始めた。地方政府は、自分の首を自分で締めていることに気付かないのだろう。