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文大統領は、北朝鮮政策をめぐって米国から厳しい批判にさらされている。北の金正恩氏の代理人のように振る舞っているからだ。ローマ法王と面会した際も、金氏の北朝鮮招待を受けてくれるかどうか打診するなど、涙ぐましいほど「北の代理人」として奔走している。

 

人権弾圧で世界一の北朝鮮が、ローマ法王を招待したいとは驚くべき話だ。キリスト教精神に反することを数々やっている。そういう金ファミリーが神に祈る資格はない。自らの蛮行に目を瞑って、神のご加護を賜りたいとは余りにも図々しい振る舞いだ。文氏は、ローマ法王招待の話が出た段階で、金氏に人権弾圧を諫める忠告する立場である。ちなみに、文氏はクリスチャンである。それを止めもせず「北の代理人」を務めている。

 

文氏は、韓国大統領としてどこまで「北の核放棄」に対して真剣だろうか。最近、憶測されていることは、北の核保有を黙認して南北統一を目指すという疑念である。韓国与党では、「北の核は朝鮮民族の資産」などという、とんでもない発言まで飛び出している。ともかく、韓国の政権・与党は、常識外れのことに夢中である。

 

常識外れといえば昨日、韓国大法院による日本企業の戦時中の徴用工判決も同じ流れだ。文大統領が、昨年8月に「個人請求権は存在する」と発言し、判決を暗にリードする言動をしている。このように、文氏にはバランス感覚が欠如している。

 

『朝鮮日報』(10月28日付)は、「米官僚ら表向きは文大統領支持でも内心は怒り」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米国の韓半島(朝鮮半島)専門家らが、「対北朝鮮制裁の緩和と南北経済協力の推進」をめぐる韓米の考えの違いが深刻なレベルにあると繰り返し警告している。専門家らは米政権の官僚らの話を引用し、韓国の「前のめり」の姿勢に対する米政権内部の「反感」が、韓国が感じているレベルよりはるかに強いと指摘した」

 

文大統領は、北の核放棄の促進で、米国と一体になって対応すべきなのに、「唯我独尊」である。国際社会が一丸になって取り組むべき課題を、南北の話し合いだけで実現可能なごとき錯覚をしている。米国が、文大統領に手を焼いているのは事実である。

 

(2)「米国のシンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は最近、米国務省の招請でワシントンを訪れた韓国外交部(省に相当)の記者団に会った。クリングナー氏は、「米国が表向きは文在寅(ムン・ジェイン)大統領とその努力を支持する態度を見せている。だが、米政府関係者と話をすると、相当数が文大統領の対北政策について非常に懸念しており、一部は激しく怒っている」と話した。かつて米中央情報局(CIA)の韓国分析官を務めたクリングナー氏は「米政府は文大統領に対し、南北関係について何度も『もう少しゆっくり進めるように』とかなり強いメッセージを送った」と説明した」

 

文氏は一度、思い込んでしまうと後から軌道修正することが難しいタイプである。政治家として必要な柔軟性に著しく欠けている。朴槿惠前大統領も相当に思い込みが激しかった。文大統領も負けず劣らずの思い込み型である。朴槿惠氏は大統領として失敗したが、文大統領も同じ轍を踏む懸念が強い。

 

(3)「前記のクリングナー氏は、韓米政府の見解が一致していない代表的な事例として終戦宣言を挙げ「終戦宣言への署名は国連決議、在韓米軍駐屯をはじめ韓米相互防衛条約、米国の『核の傘政策』にまで影響を及ぼす可能性がある」と述べた。韓国政府は「韓米の協調は堅固だ」と主張しているが、米政権内部の本音は異なっているというわけだ」

 

文大統領は、北朝鮮政策では「終戦宣言」を一貫し主張している。米国は、北が核リストも出さないうちに「終戦宣言」に合意すれば、これまでと同じで「食い逃げ」されると警戒する。文氏には、こういう外交の修羅場が分らない、元学生運動家の域を超えられない政治家なのだ。