中国経済は追い込まれてきた。1~9月の経常収支は128億ドルの赤字であることが判明した。国家外為管理局(SAFE)が、5日に発表した速報値による。このまま、米中貿易戦争が激化すれば、今年の経常収支赤字は決定的となり、人民元相場急落の危機を迎えるであろう。このタイミングを見て、王岐山国家副主席の発言が出てきた。

 

『ロイター』(11月6日付)は、「貿易問題解決へ米国と協議の用意ー王岐山国家副主席」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の王岐山国家副主席は6日、世界の二大経済大国が対立すれば損失になるとし、中国は貿易問題の解決に向けて米国と協議を行う用意があると表明した。王副主席は当地で行われたフォーラムで「中国側は共通の関心事について米国と協議を行い、貿易問題で双方に受け入れ可能な解決策に向けて取り組む用意がある」と述べた」

 

王氏が国家副主席に就任した理由の一つは、対米交渉の切り札役が期待されていたもの。これまで沈黙してきたのは、米中交渉が軌道に乗る可能性が低かったからだ。それが、沈黙を破り発言したのは、中国国内が相当の切迫感を持ち「米国案」への歩み寄り姿勢を見せたのかも知れない。米国は、経済的にも絶対的優位にあるので妥協する必要性がないからだ。