世界一の自動車市場となった中国は、経済減速の影響を免れず、今年の販売台数は減少する見通しが濃くなってきた。この問題は、これまでしばしば取り上げられてきたので、驚くほどのニュースバリューはない。ただ、中国当局者の発言として話題になっている。

 

『サーチナ』(11月9日付)は、「中国の新車販売台数は約30年ぶりマイマス成長!? 貿易摩擦で米国車が深刻な不振」と題する記事を掲載した。

 

上海で開催中の「中国国際輸入博覧会」で国家発展改革委員会の産業協調司・機械装備所の呉衛所長が7日、「18年の販売数は3000万台を下回る見込みで前年実績を割り込む可能性がある」と発言したことを中国メディアが取り上げて話題になっている。

(1)「中国の新車販売台数は、2017年実績で2887万8900台(前年比3%増)と世界最大。2009年に米国を抜いて世界トップになってから9年連続で世界一を継続している。米国の新車販売台数が1700万台あまりなので、世界一の地位が簡単に揺らぐものではないが、1990年代に乗用車が一般に普及し始めてから成長をし続けてきた中国の自動車販売にブレーキがかかることは、中国経済の変調を感じさせる」

 

一昨年から、販売台数は変調を来していた。前年比マイナスになって急遽、減税を行い下支えしてきた経緯がある。普及率が20%を超えて、市場の飽和化現象が始っていたものだ。当然、起るべきことが起った感じである。中国経済全体と同様に、成熟化現象の一環と見られる。

 

(2)「2009年以降も2ケタ成長を続け、2013年には2120万台と2000万台を突破し、2018年には3000万台の大台を超えるという見通しだった。しかし、2018年9月の新車販売台数は前年同月比11.6%減の239.4万台で3カ月連続の前年同期比割れになった。1-9月累計の販売台数は2049万台。また、1-9月累計での乗用車の国別シェアは、中国国産が41.96%で前年並み、次いで、独系が21.70%で前年同期比6.1%ポイント増、日系が18.48%で同4.43%ポイント増とシェアを伸ばしている。これに対し、米国系は10.69%で前年同期比11.79%ポイントもシェアを落として不振だ」

日系が伸びている。トヨタの躍進が押上げている。理由は、中国の自動車関税率引き下げによって高級車の販売価格を引下げたこと。プラグインハイブリッド車(PHV)が伸びているなど、いくつかの好調要因が指摘できる。米国車は、米中貿易戦争の影響を受けている。米車だけ関税率引き上げで狙い撃ちされている点も打撃に。