中国政府は、不動産バブルの崩壊を食い止めるべく、いろいろと小細工を続けてきた。「毒を食わば皿まで」という思いか、地方政府に高値で土地売却させて、住宅価格の値下がりを防いできた。それもついに限界を超えたのだ。可処分所得の伸びを上回る住宅ローン残高の増加が、不動産バブルに「引導」を渡した。

 

みずほ総研が、独自の分析で中国経済が減速から停滞局面入りしたと発表した。

 

『日本経済新聞』(11月11日付)は、「中国に『停滞』サイン 、みずほ総研分析」と題する記事を掲載した。

 

(1)「みずほ総研は輸出、生産、投資、企業収益、小売り、求人倍率の指標を合成して分析。長期的な成長ペースに比べた景気の弱さに、前月からの変化も加味すると、中国景気は8月から停滞局面に入ったとの見方になるという。停滞入りは2013年から15年にかけて、リーマン・ショック後の財政出動を受けて生産能力や在庫を過剰に抱えて以来となる。直近では中国政府の景気対策で投資に持ち直しの動きがみられるものの、小売りや企業収益の悪化が下押しに働いている。同総研の大和香織氏は『貿易戦争の影響で輸出の下振れも強まれば、停滞が長引く可能性がある」と話す』

 

2010年以降の実質経済成長率を上げておく。

 

2010年 10.61%

  11年  9.50%

  12年  7.90%

  13年  7.80%

  14年  7.30%

  15年  6.90%

  16年  6.72%

  17年  6.86%

 

前回の景気停滞局面は、13年1Q~15年1Qまでの2年間である。GDPの成長率でも14年と15年にその痕跡が見られる。だが、16~17年では、相当の下支えをした跡を窺わせている。GDP成長率がもっと低下すべきところ、横ばいに止まっている。習氏の権力基盤を固めるべく、無理な成長策を取って証拠であろう。

 

19~20年を景気停滞局面とすれば、GDP成長率は、2年間で1%ポイントは下落する。20年のGDP成長率は、正常範囲で5.5%。貿易戦争が長期化すれば5%割れは確実だ