今朝、下記の目次で発行しました。ご購読よろしくお願い申し上げます。

 

「中国製造2025」が壁

26年前に米国は騙された

中国の早まった世界覇権論

3大業病抱える中国の末路

香港不動産下落が象徴する

米中金利逆転は来年3月に

 

米中首脳会談は、今週末(11月30日~12月1日)のG20サミットで開催予定です。米中貿易戦争が、「一時休戦」するのかどうか注目されます。事前の事務レベルの折衝では、肝心のハイテク技術をめぐる問題で溝が埋まりません。この点が、米中貿易戦争の核心部分です。米国には、対中貿易赤字の改善も大きな問題です。ただ、中国が米国企業の技術窃取を是正しない限り、米中貿易戦争は解決しないのです。

 

米通商代表部(USTR)が、米通商法301条に基づく中国の知的財産権・技術移転政策に関する最新調査で、次のような行為が継続されていると指摘しました。

 

1.   サイバー空間での米知的財産権の侵害行為やそれを支援する政策・慣行を継続している。

2.   差別的な技術ライセンスの制限を引き続き行っている。

3.   外資規制を利用して米企業に中国部門への技術移転を強制したり圧力をかけたりする。

 

「中国製造2025」が壁

米国の基本的な立場は、中国が前記3点の行為を中止することを求めています。これに対して、中国が回答を渋っている理由は、習近平国家主席の肝いりで始った「中国製造2025」計画の実現が遅れることにあります。この計画は、7年後の中国の産業構造をハイテク化して、海外からのハイテク製品輸入に頼らずとも、自立できる体制を目指したものです。

 

米国といえども、中国の計画を阻止はできません。内政干渉に当ります。米国の言い分は、米国を初めとする先進国技術の窃取行為を止めることを求めているだけです。ところが、中国は前記の3つの手段で窃取計画を継続する意思を鮮明にしているのです。これでは、制裁を加えるしかありません。米国企業の技術を窃取して製造した製品には、高い関税を科すという大方針を中国に突き付けているのです。ただ、ハイテク製品以外にも対象品目が拡大されています。家具などはそういう好対照ですが、「流れ弾」が当ったような被害を被っています。

 

中国は、必死になって来る米中首脳会談で、「一時休戦」に持ち込みたいと米側に申入れています。米国の関税第3弾2000億ドル相当製品の上乗せ関税率25%(現在は10%)が、来年1月1日から実施予定です。トランプ米大統領は、米中首脳会談で米国の望むような解決案が提示されない限り、第3弾関税上乗せ分を実行する。同時に、第4弾として残り2630億ドル相当製品に関税をかけ、中国からの全輸入品を対象にすると迫っています。ここまで事態が悪化すると、世界経済への影響が大きくなります。その前に、中国経済が金融的に破綻するリスクを抱えます。(つづく)