文在寅氏は原発について、国内で新規建設を禁止、海外では積極的に売り込んでいる。これは、説明がつかないことだ。昨年5月、文氏が大統領就任とともに打ち出した「原発禁止」によって、韓国の大学で原子力学科の学生がいなくなってしまうほどのショックを与えている。こんな状態で、海外での原発メンテナンスの人材をどのように確保するのか。文氏に一貫した政策がない。

 

早くも、この欠陥を突かれる事態が起っている。

 

アラブ首長国連邦(UAE)は、韓国の独自技術によって建設中であるバラカ原子力発電所の運営・維持保守に関する契約を、フランス電力(EDF)と結ぶ事態が起っている。韓国原発業界は、こういう契約自体が不適切であること。また、長期的に韓国の原発独占運営権を侵害されかねないと懸念している(『朝鮮日報』11月29日付「UAEが韓国に無断で仏企業と原発運営関連契約」)。だが、UAEの立場になれば、韓国国内で新規建設を禁止している状況で、メンテナンスの人材が確保できるかどうか疑問に思うのも無理はない。UAEだけを責める訳にいかない事情があるのだ。

 

『朝鮮日報』(11月29日付)は、「国内では脱原発、海外では原発を売り込む文在寅大統領」とだいする社説を掲載した。

 

(1)「文在寅大統領は28日にチェコでバビシュ首相と会談し、現地での原発建設プロジェクトを韓国が受注できるよう協力を要請した。チェコは現在稼働中の6基の原発で国内における電力需要の3分の1を賄っているが、ここからさらに追加で23基の原発建設計画を進めている。大統領自ら原発セールスに乗り出すのは素晴らしいことだ。ただ国民としては文大統領の原発セールスにどこか府に落ちないところもある」

 

(2)「文大統領は就任から1カ月後の昨年6月、『原発は安全でもないし安くもない。また環境に優しいわけでもない。脱原発の時代に進んでいく』と述べ、新規の原発建設計画の白紙化、既存の原発に対する設計寿命延長の放棄、延長稼働中の月城1号機の閉鎖を宣言した。韓国は自国では、『危険で費用が安くもない』との理由から原発を放棄したが、他国では「自分たちの原発は素晴らしい」と宣伝しセールス外交を行っている。これについて相手国の国民にどう説明するのか気になるところだ」

 

確かに、文大統領は「二重人格」的な振る舞いをしている。国内の原発は危険だから禁止。海外では安全だからと言って売り込んでいる。海外で安全な原発ならば、国内でも安全なはずである。文氏の本心は原発賛成なのだろう。支持基盤の市民団体が反対している。だから、やむなく反対しているのでなかろうか。こういう理解をしなければ、文氏の行動は不可能である。

 

文氏は大統領に当選するために、自らの信ずる道を捨てたように見える。もし、そうとすれば、大統領にはなるべきでなかったのだ。文氏は本来、政治家向きでない。リーダーシップに著しく欠けるからだ。社会派弁護士で止まっているべきだった。


メルマガ8号 「日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?」が、『マネーボイス』で紹介

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

https://www.mag2.com/p/money/590125

ここをクリックしていただければアクセスできます。