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中国ほど身勝手な国はない。胡錦濤時代は、平和的台頭を一枚看板にして、空母保有計画を頑なに否定していた。一方ではこっそりと、ウクライナから廃船空母を「スクラップ」名目で購入し、空母に再建していた。現在の「遼寧」である。これを皮切りに、第2空母の建艦をしており、さらに第3空母(原子力空母の可能性)建艦に着手してことが判明している。

 

この中国が、日本の「いずも」空母化に「平和憲法違反」と噛みついてきた。自国は空母を3隻持つが、日本は一切罷り成らぬというのである。空母は、移動する基地である。空母で艦載機を移動させれば、遠距離作戦の遂行が可能になる。中国が、その空母を日本海と東シナ海へ航行させ攻撃態勢を取ってきた場合、日本が自衛作戦により空母で迎え撃ち、海上で撃破する作戦は当然だ。中国の軍拡の脅威が、「いずも」の空母化計画を促進させている。

 

『レコードチャイナ』(11月30日付)は、「『いずも』の空母化は平和憲法を完全に踏みにじるもの中国軍事専門家」と題する記事を掲載した。人民日報からの転載である。

 

『人民日報』(11月30日)によると、日本政府が護衛艦「いずも」の空母化を検討しており、『防衛計画の大綱』に明記しようとしていることについて、中国の軍事専門家が『平和憲法を完全に踏みにじるものだ』と批判している。

(1)「記事は、防衛省が改修しようとしているヘリコプター搭載護衛艦『いずも』は、海上自衛隊の中で最大の艦艇で、満載排水量は26000トン、飛行甲板は全長248メートルで、F35Bを離陸させることができると紹介。日本メディアが27日に『いずも』の改修を念頭に、戦闘機を搭載して運用する事実上の空母化の方針を新たな『防衛計画の大綱』に明記する方向で調整していると報道したことを伝えた」

 

日本は、原子力空母まで保有する中国の攻撃から、いかに身を守るかという切実な脅威にさらされている。効率的に防御するには、「いずも」の空母化ぐらいは自衛策として許される。中国が自らの巨大軍備を棚上げして、日本批判するのは内政干渉である。

 

(2)「日本政府がどのよう『いずも』を改修するかについて、軍事専門家の杜文龍(ドゥー・ウエンロン)氏は、「『いずも』の基礎の上に甲板を取り換えて耐熱能力を高め、改修後はF35Bとよくマッチし、短時間で(作戦)能力を持てるようになる」と分析した。 杜氏は、「日本はさらに大きくて能力の高い航空母艦を設計・建造する可能性があり、格納庫の数量は将来的な艦載機の数量に応じて臨機応変に決定できる。このクラスの航空母艦が出現すれば、日本は戦後最強の艦艇を有することとなり、他の編隊と組み合わせると非常に強い能力になる」としている。さらに、「いかなる方法であっても、空母を有することは進攻に属する。日本は空母所有を基本的な目標としているが、これは日本が平和憲法を完全に踏みにじり、『専守防衛』の方針を徹底的に突き破ることを意味している」との見方を示した」

日本政府は、防衛費の対GDP比1%枠を守る方針を再確認している。米国との共同防衛作戦を展開して、中国の攻撃を撃退する戦略だ。同時に、豪州やインドも加わった、日米豪印の4ヶ国で共同作戦が詰められている。中国には同盟国が存在せず、ロシアが隙を見て攻め込む地政学的問題も抱えている。中国が突出した軍備を持てば持つほど、危機を招くという「安全保障のジレンマ」に落ち込むはずだ。中国の巨大軍備が、自滅のリスクを招く。これが、専制国家の皮肉な巡り合わせである。

 

メルマガ8号 「日本に背を向ける韓国、来たるべき経済危機をどう克服するのか?」が、『マネーボイス』で紹介

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

https://www.mag2.com/p/money/590125

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