世界一の通信機メーカー、ファーウェイ副会長の逮捕は、米国政府による10年来の警戒が取らせた結果だ。もっとも、ファーウェイに部品を供給しているのは、米国のIT企業である。次世代通信網「5G」の共同研究相手も、米IT企業である。ここで、ファーウェイへ制裁が加えられれば、5G構想が瓦解するとも言われている。米国は、絶妙な機会を狙って「ちゃぶ台返し」を行なったと言える。
この問題は、私の「メルマガ13号」(13日発売)で取り上げた。
『大紀元』(12月13日付)は、「ファーウェイ締め出し、米政府10年越しの成果、5Gの軍事利用に最も懸念」と題する記事を掲載した。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月8日付)の転載である。
(1)「米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)は8日、広がりを見せているファーウェイ排除は米政府の『10年越しの成果だ』と報じた。また、米に国家安全保障上の脅威とみなされているファーウェイの排除はこのタイミングで大きな意味を持つという。ファーウェイは、2020年の実用化が見込まれている5Gの覇権を狙っているからだ。5Gが導入されれば、IoT技術が普及し、家電製品や車などさまざまなモノがインターネットに接続され、モノの相互通信・データ収集が従来より簡単に実現する。また、一部の専門家は5Gの場合、その仕組みから通信障害が容易に引き起こされると懸念している」
今回のファーウェイ副会長の逮捕は、世界がファーウェイによって支配される5Gの危険性を浮き彫りにした。自動運転車で起りかねないハイジャックの危険性が、ファーウェイによって5Gを支配されれば、現実のものになるところだった。中国の諜報機関が背後に控えているからだ。中国が謀略戦術に長けている点を十分に警戒しなければならない。
(2)「5G技術では、コア・システムの役割は基地局のハードウエアが担うことになる。このハードウエアが破壊されると、ネットワーク全体の壊滅を意味する。ファーウェイの設備が採用されれば、同社は容易にハードウエアを停止したり、データを他の場所に転送したりできるからだ。米政府は、5G技術でファーウェイが覇権を確立した場合、中国当局がファーウェイを利用して、他国へのスパイ行為、通信ネットワークの破壊、サイバー攻撃を強めていくと危惧する。特に有事の際、同社製品がもたらす影響を最も懸念している」
中国が、世界覇権に意欲を見せていた裏には、ファーウェイによる5G支配を利用して、世界のネットワークを中国が牛耳る。そういう、取らぬ狸の皮算用が働いていたのであろう。これが成功すれば、労せずして先進国の技術も情報もすべて中国に握られる瀬戸際にあった。間一髪というところだった。
(3)「WSJの記事では、南シナ海で米中が開戦した場合、中国当局がファーウェイに対して、特定の空港、または他の戦略的場所で通信の中断と破壊を命じる可能性があると指摘した。また、ファーウェイが米兵士の個人用スマートフォンを追跡すると、米軍基地の運営状況などの情報収集も可能になるという」
このパラグラフでは、身の毛のよだつ恐怖の未来図が示されている。中国が、ファーウェイを利用して、自由世界の運命を握る可能性があった。まさに、危機がそこまで迫っていたのだ。
(4)「米議会の一部の議員と情報機関は2007年から、ファーウェイの動きを注視してきたという。2012年10月、米議会は1年間に及ぶ調査の結果、ファーウェイとZTEが国家安全保障上のリスクとなっていると結論付け、継続して両社に対して監視するよう提言した。その懸念を払拭しようとファーウェイの任正非総裁は、ラッパーズバーガー下院議員(民主党)を招き、同年香港で会談した。同議員は帰国後、共和党と民主党に提出した報告書で、ファーウェイは依然、中国当局の支配下にあると結論を示した。『中国当局からアメリカの監視を命じられ、それに従わなかった場合、あなたは投獄されるのか』という質問に、任氏は返答に困っていたという」
自由世界は、中国という「異質国家」を無害な存在として包摂する課題を背負っている。中国は今後も、専制国家として生存権を主張するであろう。「同質化」しないと宣言している以上、自由世界は監視していくしかない。国内で「革命」が起らない限り、危険な存在であることは間違いない。
メルマガ10号 「混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?」が、『マネーボイス』で紹介
まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。
https://www.mag2.com/p/money/596639
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