フランス全土で15日、マクロン政権に反発するデモが行われた。実施は5週末連続。仏政府は暴徒化を防ぐため、約6万9000人を動員して厳戒態勢を敷いた。仏当局によると、昼(現地時間)までの全国の参加者は約3万3500人。午後2時時点で拘束されたのは約100人で、いずれも前回8日に比べ大幅に減少している。

 

蛍光の黄色いベストを着て集まる反政権運動「黄色いベスト」は、政府の燃料税引き上げ方針への抗議をきっかけに始まり、毎週土曜を中心にデモを実施している。15日は朝からパリの観光名所シャンゼリゼ通りなどでデモが始まった。パリには治安部隊約8000人が動員された。パリ中心地では多くの店舗が休業した。以上は、『日本経済新聞 電子版』(12月16日付)が伝えた。

 

暴徒化したデモの背後に、ロシア政府の介在が疑われている。

 

エマニュエル・マクロン氏が2017年の仏大統領選で有力候補に踊り出ると、ロシア政府が背後にあるとみられるマクロン陣営へのハッカー攻撃が相次いだ。このことから、フランスの治安当局は目下、反政府デモ「黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)運動」を煽り、偽情報を拡散したとみられるソーシャルメディア上のやり取りに、ロシア政府が関与していなかったのか調査しているという。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月15日付)は、「黄色いベスト運動にロシア関与か、仏当局が調査」と題する記事を掲載した。

 

(1)「2017年の仏大統領選では、親ロシア派のフランソワ・フィオン、マリーヌ・ル・ペンの両候補を破り、マクロン氏が当選。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとっては予想外の痛手だった。マクロン氏は国際舞台で、プーチン批判の急先鋒に立つようになる。また、匿名のソーシャルメディア・アカウントに加え、フランス国内の親ロシア派の活動家がデモに参加し、抗議活動の拡大に寄与しているもようだ」

 

ロシアは、2017年の仏大統領選でマクロン氏の落選を狙って介入したが失敗した。このことで、マクロン大統領はプーチン批判の先頭に立っている。その意味で、ロシアがマクロン政権をひっくり返す機会を狙っていたわけだ。フランスとロシアは、ロシア帝政時代から関係がある。そういう因縁を使って、フランスの親ロシア派に働きかけて騒ぎを大きくしたのだろう。

 

(2)「こうした動きは、欧米の極右の政治活動家をプーチン氏が刺激している構図を浮き彫りにする。活動家らは、黄色いベスト運動により、マクロン氏の政権を弱体化する、もしくは崩壊させることも可能だとみている。マクロン氏は北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)といった欧米の制度を強く支持しているが、プーチン氏はこうした制度を脅威と見なしている」

 

マクロン大統領は、NATOやEUの強い支持者で、ロシアに対抗する姿勢を鮮明にしている。ロシアにとっては不都合な政権なのだ。ロシアは、前回の米国大統領選にも介入した疑いが持たれている。民主党ヒラリー候補では、ロシアに強い姿勢を取るものとして、トランプ候補へテコ入れしたと疑われている。

 

米大統領選では、トランプ氏が当選してロシア介入は成功した形だが、現実は米国司法の厳しい捜査に遭っている。この結果、米ロの首脳会談も満足に開けない状況である。ロシアは介入して勝った形だが、実質的に敗北同然の状態だ。高度の民主主義国への介入は失敗するもの。フランスも同じ道を歩むであろう。

 

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