論語では、「巧言令色、鮮(すくな)し仁」という。ペラペラ喋って歩く人間には、仁という最高の徳がないと解されている。中国はその典型例である。保護主義反対と言い、自由な世界貿易を行なっている恰好だが、内実は全くの逆である。孔子もさぞかし嘆いているに違いない。

 

中国に「仁」の欠片でもあれば、サイバー攻撃をかけて、他国の秘宝の知識を盗み出すはずがない。米司法省は12月20日、中国政府が関わるハッカー集団が主導したサイバー攻撃で、日本を含む12カ国が被害を受けたと発表した。航空や自動車、金融機関など幅広い業界を対象に機密情報や先端技術を盗み出していたと告発された。

 

『日本経済新聞』(12月22日付)は、「中国のサイバー攻撃、12カ国に被害、米司法省発表」と題する記事を掲載した。

 
(1)「 米司法省は先端技術を盗み出した疑いで20日に起訴した2人の中国人をハッカー集団「APT10」のメンバーだと断定した。同集団は2016年ごろからサイバー攻撃を強めており、活動拠点は中国との見方が大勢だ。米政府は中国の情報機関である国家安全省の関与を指摘し、国家主導で世界規模のハッキングを画策したとみなしている」


(2)「14年ごろには顧客企業のIT(情報技術)システムの運営・管理を代行する事業者『マネジメント・サービス・プロバイダー』(MSP)に対象を絞ったサイバー攻撃を開始。MSPは顧客企業の大半のネットワークにアクセスできる例が多く、ハッカーはMSPを経由して顧客企業に不正アクセスをしていた。MSPはグローバル企業を顧客に持ち、サイバー攻撃の被害が世界中に広がった」。

 

MSPという、ITシステムの運営・管理を代行する事業者のネットにサイバー攻撃を行い世界中に被害が広がった。北朝鮮のサイバー攻撃であれば、「あのならず者国家か」で話は終わる。だが、世界覇権を狙うと豪語している中国が、「情報盗賊」に身を落としていたとなると話は違ってくる。その影響度合いが大きすぎて、「中国封じ込め論」が澎湃(ほうはい)と起っても不思議はない。はっきり言えば、世界からつまみ出すに値する国家である。

 

(3)「検察はMSPを通じて、英国やフランス、ドイツ、インド、日本、アラブ首長国連邦(UAE)など、少なくても12カ国が被害を受けたと説明した。中国がMSPを標的にした意図についても『世界規模で知的財産や機密情報を盗み出すためだった』と断じた。トランプ政権は中国のサイバー攻撃に各国と連携して対応する方針だ。英政府も20日、中国のハッカー集団が欧米やアジアでサイバー攻撃を実施していると発表した。中国が20カ国・地域(G20)の一員であることを念頭に『知的財産を盗難する技術の運営や支援をしないというG20の約束と矛盾する』と強く非難した」

 

中国の対日サイバー攻撃では、防衛省も標的にしていたとの情報が流れている。現時点で被害は確認されていない。IT関連企業約10社も狙われ、技術情報などを盗み取られたという。以上は、『共同通信』(12月21日付)が伝えた。


英国は、G20が「知的財産を窃取する技術の運営や支援をしない」とする約束に違反していると強い非難を浴びせている。欧米先進国にとって、「約束順守」は最高の道徳である。論語で言えば、「仁」である。中国政府は、その「仁」を破ったのだ。

 

これから、中国は針の筵(むしろ)に座らせられる。米中通商交渉で著しく劣勢の立場に追い込まれるのだ。

 

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