韓国経済は、文大統領の就任で急坂を転げ落ちる状況に陥っている。理由は言わずと知れた、最低賃金の大幅引き上げだ。自営業者などの経営を直撃しており、最低賃金引き上げを実現できない事業体が、解雇者を増やしている。まさに、「人災」である。

 

来年についても、最低賃金は予定通り10.9%の引上げである。今年の16.4%に次ぐ引上である。もはや、これを乗り切れない零細自営業者では、解雇や倒産が続出するものと予想される。暗い予測がまかり通っている。政府が、これに有効な手も打てないのだ。「所得主導成長論」という幻の経済理論を盲信している結果である。

 

『中央日報』(12月30日付)は、「韓国の大卒3人に1人は未就業者」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国の大学・大学院卒業生3人に1人は未就業者であることが分かった。特に、しばらくの間上昇傾向にあった就職率が文在寅政府発足以降、再び減少傾向に転じた。若者が体験している最悪の雇用難が政府の公式統計で確認された。昨年末、全体の就業者は33万7899人で前年より1万1685人減少した。卒業生に比べた就業者の割合である就職率から見ると2016年末67.7%から昨年末66.2%へと1.5%ポイント減少した」

 

韓国の厳しい大卒就職状況に比べると、日本は「天国」である。2018年3月に大学(学部)を卒業した人の就職率が前年比1.0ポイント増の77.%である。文部科学省が発表した学校基本調査(速報値)で分かった。8年連続で上昇した。韓国の昨年卒業の大卒就職率は66.2%。日本の昨年の大卒就職率は76.1%である。この差は、9.9%ポイントである。

 

(2)「2011年以降就職率が67%以下に落ちたのは今回が初めてだ。特に、2014年(67%)から2015年67.5%など上昇傾向にあった就職率が今回再び減少傾向に転じた。教育界内部では今回の調査結果が十分に予想されていたものという分析が出ている。匿名を求めた私立大学教授は『現場で感じる若者の就職難は1997年通貨危機の時より深刻だ』として、『今年より来年が厳しいものとみられるというのがさらに大きな問題』と話した」

 
「雇用政権」という看板を掲げてきた文政権が、大卒就職率では前政権よりも悪化する皮肉な事態になった。大学の現場の印象では、若者の就職難は1997年通貨危機の時より深刻だという。この時の通貨危機は、アジア通貨危機の一環として韓国が襲われたもの。来年の就職率はさらに悪化すると見られている。

最近の文政権の支持率の調査では、若者の支持率が最も下がっている。文政権の誕生に当っては、若者が熱狂的に支持した。現状は全くの逆で人気離散である。理由は、就職難だ。大統領選の公約が、実現されていないことへの反発である。

 

メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

https://www.mag2.com/p/money/612755
ここをクリックしてください。