中国は、先進国から排除される雲行きになったので「仲間捜し」に必死である。とりわけ、ファーウェイ製品がスパイ網の最先端であると指摘されるにいたり、中国へのイメージはさらに悪化している。こういう中で、日本のメディアが「反米親中」になったという記事を流し始めているという。「?」である。

 

『レコードチャイナ』(12月28日付)は、「どういうこと?!日本メディアが突然『反米親中』に」と題する記事を掲載した。

 

中国『参考消息』(12月27日付)は、「どういうこと?!日本メディアが突然『反米親中』に」と題する記事を掲載した。「レコードチャイナ」が転載した。

(1)「米通商代表部(USTR)が21日に公表した日米貿易協定の交渉目的に言及。「一般のネットユーザーからメディアに至るまで、『米国と手を握る』ことに慎重になるよう求める声が上がった」とし、こうした中で複数の日本メディアが中国との協力を呼び掛けていることを伝えた。記事は、「米国は日本の自動車、農業分野に再び照準を合わせた」などと説明し、公表内容が日本にとって厳しいものであることを指摘する。その上で、『日本が非市場国と自由貿易協定を結ぶなら、透明性と適切な行動を確保するためのメカニズムを設ける』との一文に日本メディアが関心を寄せた」と述べ、

 

この記事に信頼性がおけないのは、引用記事の出典が不明であることだ。引用の場合は、必ずその出所を明記するのがルールである。

 

米国が、カナダ・メキシコと結んだ新NAFTAには、加盟国が非市場経済国(中国を指す)との貿易協定を結べば、新NAFTAから離脱するという一項目が入っている。米国は、この項目を他国と結ぶ貿易協定に挿入させる意向だ。日米貿易協定が成立する場合、挿入させたいのであろう。中国排除を目的にしている。

 

日本が、この項目に反対した場合のデメリットを考えることだ。米国市場を捨てて、中国市場で利益を上げられるか、である。挙げられるはずがない。日本にとっての最大の顧客は米国である。この現実をしっかりと認識すべきだ。

 

(2)「ある大手紙は、「日本と中国の自由貿易協定締結をけん制するためのもの」との声が上がったと紹介。さらに「偶然だが…」と前置きした上で、「日米貿易協定が空前の反対に遭う中、日本メディアは中国との協力における積極的な面に次々と言及し始めた」と続け、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は非常に重要な経済枠組み」「日本は中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を歓迎すべき」などと述べる記事が見られたことを報じた」

 

前のパラグラフに示したコメントから言えば、米国市場を捨てて中国へ接近することは、経済的なメリットがないこと。加えて技術窃取に遭い、日本の安全保障の基盤が棄捐する。ましてや、AIIBに参加する意味など欠片もない。こういう主張をするメディアは、日本共産党の『赤旗』ぐらいであろう。

 

(3)「記事は、10月に中国を訪れた安倍首相が「中国の発展は日本にとって重要なチャンス」と強調したとも説明する。このほか、中国現代国際関係研究院日本研究所の樊小菊(ファン・シャオジュー)氏が、「日本国内では経済や安全保障の面で米国に対する不信感が増している」と見ていること、「米国が通商問題でむやみにプレッシャーをかければ日本の反米感情はさらに高まるだろう」と指摘したことを伝えた」

 

下線部分は、中国がそう願っているというだけだ。米国への小さな不満はあっても、日米同盟を解消するという話ではない。明治維新以降の歴史で、日本が平和であったのは、日米が密接な関係を維持していた時期だけである。こういう歴史の教訓から言っても、「反米親中」など、荒唐無稽の作り話に過ぎない。

 

メルマガ15号 「貿易戦争で疲弊する中国、改革派が追い詰める習近平」が『マネーボイス』で紹介されました。

まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

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