中国経済は、世界のGDPの16%を占める。その「巨漢」が、急減速に見舞われあちこちに波紋を呼んでいる。日本が、平成バブル崩壊で急減速したときは、これだけの騒ぎにならなかった。この日中の差が、経済体質の違いを表わしている。
日本経済は、徹底的に輸入しない体質になっていた。海外から原材料を輸入して、それを製品にするまで一貫体制を築いた。川上から川下までの産業群を揃え、国内技術で生産し、輸入を極力減らすという産業配置を完成していた。だから、バブル経済が崩壊しても、原材料輸入が減るだけで、世界への影響は少なかった。
中国の場合は、全く異なる。日本が緻密型産業構造とすれば、中国は粗放型産業構造である。もともと、近代的技術体系を持たず、資源浪費型の産業配置である。資源ガブ飲み型であるから、大量の資源を輸入してきた。日本のGDP1単位を産み出すに必要な資源必要量(原単位)と比べて、中国は多くの資源を使い環境を悪化させてきた。この中国経済が、急減速して輸入が減れば、日本と比べ大きな影響が出るのは当然のこと。日本経済の体質を筋肉型とすれば、中国は肥満型で「資源浪費型経済」といえる。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月1日付)は、「中国経済の急減速、反動で世界に衝撃波」と題する記事を掲載した。
(1)「中国政府を悩ませている巨額債務の蓄積、過剰投資、民間企業に対する制約など、国内経済の弱点は、貿易摩擦と相まって、世界第2位の経済規模を誇る同国の成長率を30年ぶりの低水準に落ち込ませた。工場生産と消費の減退は、他のアジア諸国、米国、欧州諸国からの中国の輸入に打撃を与えている。こうした経済減速の余波は、各種の株価指数をはるかに超える範囲に及び、中国から遠く離れた地域の経済成長をも阻害している。中国は、長年の急速な経済成長を背景に、世界中の国々の主要な貿易相手国となった。過去10年間、中国が世界の輸出入の伸びの5分の1をもたらした」
中国経済の急減速が、世界貿易に大きな影響を与えていることは確かだ。だからと言って、これまでの野放図な経済成長がいつまでも続くはずがない。現在の急減速は、「いつか来る道であった」はずである。それが、ついに来ただけである。私のように、2010年5月から中国経済を毎日ウオッチしてきた立場から言わせて貰えれば、現在の事態到来は遅すぎたのである。ここまでバブル経済が悪化する前に、習氏は引締めに転じておくべきだった。それが、自己保身と絡んでもはやどうにもならない所まで放置した。その責任はきわめて重いと言うほかない。
(2)「中国経済の弱さは、あらゆる分野に影響を及ぼしている。中国での半導体製造装置やスマートフォン部品の需要減退は、世界第3位の規模を誇る日本の昨年12月の輸出を、前年同月比で3.8%減少させた。この減少幅は、過去2年強の期間で最大だった。ドイツは対中輸出拡大に力を入れてきたが、欧州最大の同国経済の昨年の成長率は、その対中依存の大きさが主因となって、わずか1.5%に減速した。これは過去5年間で最も低い伸びだ。オックスフォード・エコノミクスの調査によれば、米国を含む経済規模の大きい先進諸国や、アジア諸国の昨年の対中輸出は、前年比10%近く落ち込んだ」
日本の昨年12月の輸出は、中国経済の急減速により前年同月比で3.8%減少になった。韓国は、全輸出の26%が中国向けであり、昨年12月は前年同月比1.3%減であったが、今年1月は同5.8%減へ拡大した。中国の「粗放型経済」のもたらすガブ飲みが減れば、途端に他国へ影響が出るのは致し方ない。
(3)「中国経済の減速はアジアに特に大きな打撃を与えている。アジア諸国の対中輸出は、衣料品、自動車から中国の巨大製造業企業を支える技術に至るまで多岐にわたる。昨年末にかけての中国の需要の落ち込みは、著しいものだった。その落ち込みは、より好調だった時期を含む昨年1年間のデータでは、覆い隠されている。こうした状況は、中国の輸入の15%を占め、同国の成長に欠かせない半導体の分野で特に明確になっている」
中国が、半導体を輸入(全輸入の15%)し電子製品に組立て輸出してきた。この半導体関連輸出の恩恵を受けてきたのが韓国である。日本の対中輸出は投資財が主で、中国の設備投資減退の影響を早めに受けた。韓国の輸出は、半導体などの中間部品が主体である。今後、時間が経つとともに、中国経済減速の影響が強く出てくるにちがいない。


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