a0960_006618_m
   

けさ、下記の目次で発行(有料)しました。よろしくお願い申し上げます。

 

文氏は南北統一に政治生命

08年境に激変の韓国労組

獅子身中の虫になった労組

国内経済立て直しが急務へ

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの5月で、就任2年を迎えます。この間の政策で浮かび上がった目標は、南北統一への準備にあることが明白となりました。民族統一は、誰にも反対できないテーマです。文政権はこれを実現すべく、国内の保守勢力を徹底的に排除して弱体化させる。一方で、政権支持基盤の労働組合と市民団体の意向は、100%受入れる必要があると判断しているようです。

 

文氏と与党「共に民主党」は、以上のような戦略を組んでいると見られます。その証拠に「100年政権」という構想を立てています。保守派に政権を渡さず、「共に民主党」が政権を維持するという前提です。こういう、非現実的な構想を練るほど、南北統一への夢に傾斜しています。この延長線で、「反日」を強化し保守勢力と結びつけて、同時に排除するという狙いが透けて見えるのです。

 

最近の日韓問題は、文政権が南北統一目標実現の上で、国内保守派と「反日」を結びつける視点に基づいた動きでしょう。南北が融和して、軍事的な緊張関係が解ければ、米国との関係も希薄化します。それは、同時に日本との関係も見直しが起るでしょう。もともと日韓は同盟関係になく、米国を仲立ちにする間接的な関係です。韓国はいつでも、日韓関係を断ち切れるものと見ている節が感じられます。

 

文政権が、以上のような戦略図を描いているとすれば、完全に北朝鮮の戦術に乗せられた動きでしょう。北朝鮮は金日成時代から、韓国にとって最大の後ろ盾が日米と見ていました。その日米が、韓国から距離を置くことは千載一遇の機会です。韓国の南北統一派と提携して、革命を起こすという計画が練られても不思議はありません。この大構想実現の第一歩として、韓国保守派=反日を一括りにして排除する必要があるのです。

 

文氏は南北統一に政治生命

文氏が、金正恩氏と三回の会談を経て意気投合した裏には、この南北統一大構想の話し合いがあったと見るべきでしょう。文氏が昨秋、訪欧して各国で金正恩氏の「代理人」のように振る舞って冷笑されました。北朝鮮への経済制裁解除を呼びかけて歩いたからです。各国の反応は、北の核放棄が先であろうと指摘されたのです。

 

文政権にとって、南北統一への準備が最大の政治目標である以上、国内経済や日韓問題の立て直しの優先度が低くならざるを得ません。南北統一には、膨大な政治エネルギーが必要です。国民運動と同じ大掛かりものになります。朴槿惠・前大統領を弾劾に追い込んだような「ロウソク・デモ」が必要になります。労働組合と市民団体が、前衛的活動する必要があるのです。文政権は、この二大団体を引きつけて置かなければなりません。

 

文政権が、二大団体を協力させるには、彼らの要求を満たさなければなりません。つまり、最低賃金の大幅引上げと原子力発電所の段階的な廃止です。国内的には、大変な反対論があり、韓国経済を混乱させています。だが、文政権はこれら政策の手直しをする動きを見せません。あくまでも押し通して、二大団体の利益を擁護する姿勢を貫いています。

 

最低賃金の大幅引上げがもたらす混乱は、これまで一貫して取り上げてきました。文政権が、なぜ韓国経済を亡国に導く最悪政策にこだわっているのか。後で、その背景をさらに分析します。

 

先ず、原子力発電所を廃止して自然エネルギーに変える構想が、韓国の場合いかに自然破壊をもたらすか。その点について取り上げます。

 

太陽光発電では、地形の影響が発電実績に大きな影響を与えます。韓国では平地が少なく、傾斜地の山林を伐採して設置するほどです。こういう点が、太陽光発電が不利な点となっています。米カリフォルニア州の「トパーズ・ソーラー」と呼ばれる太陽光発電施設は、大平原にあります。太陽光の利用効率は24.%にも達します。これに対して、韓国の江原道寧越郡の太陽光発電所は、わずか17%の利用効率に止まります。(つづく)