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朝鮮半島の周辺海域には、米国や日本だけではなく、英国、フランス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど各国の海軍が配置されている。海上における北朝鮮の違法密売を摘発するために、24時間体制で監視活動を行っているのだ。

 

主役となるべき韓国海軍の姿が見られないばかりか、むしろ制裁の穴となっているのではないかと国際社会から疑いのまなざしで見られている。韓国が、北朝鮮に協力しているのでないか、疑われている。文大統領が、「危ない橋」を渡っているとすれば、ただ事では済まされない。それこそ、弾劾に値する大事件になろう。

 

『朝鮮日報』(4月28日付け)は、「なぜ韓国の原油が韓国籍の船を通じて北に違法搬出されるのか」と題する寄稿を掲載した。筆者は、尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国外大碩座(せきざ)教授・元国立外交院長である。

 

(1)「北朝鮮金委員長の非核化への意志は確かだと、米国に対して間違った情報を伝達してきた韓国が、米朝対話の促進者を装い、グッド・イナフ・ディール(十分に良好な取引)、アーリー・ハーベスト(早期収獲)といった感性的な用語で飾り立て、事実上の制裁緩和を要求した。仕事の手順からすれば、当然北朝鮮に非核化の戦略的決断を促し再確認することを優先しなければならなかった。予想通り第2回韓米首脳会談は成果なしに終わった。金委員長でさえ韓国に、さしでがましい仲裁者役はご免だと言い切った」

 

韓国は、第2回米朝首脳会談前、間違った情報を北朝鮮へ提供した。これが、第2回会談失敗の理由である。

 

(2)「これほどまでに南北が共に関心を示す制裁緩和とは一体何なのか。2017年末に北朝鮮経済に直接影響を与える力強い制裁案へと水準を引き上げ、決議した。石炭など10億ドル(約1120億円)に上る鉱物の輸出が禁止され、北朝鮮の交易は90%近く減少した。外貨稼ぎの主な手段だった海外への人材派遣も大幅に減った。さらに国連安保理は、北朝鮮が輸入することのできる原油を400万バレルに、そして精製油(航空燃料などを含む)は50万バレルに制限した。北朝鮮経済が必要とする精製油を毎年500万バレルとした場合、その90%が阻まれる計算だ。ハノイ会談で金委員長が制裁解除に固執した理由がまさにここにある」

 

2017年、北朝鮮への制裁は大幅に引き上げられた。交易は90%減、精製油の90%が削減された。北朝鮮にとっては死活的な問題で、制裁緩和要求が強くなっている背景だ。

 

(3)「昨夏、数十万トンに及ぶ北朝鮮の石炭が韓国にひそかに搬入された。まかり間違えば、韓国の国民企業である鉄鋼会社や電力会社、最大手の都市銀行までが制裁の対象となるくらいの危険な瞬間だった。幸い事は警告で済んだ。しかし、搬入されたのは何も石炭に限られていたわけではない。国連対北制裁委員会と米政府が最近報告したところによると、韓国製の精製油が韓国の船舶まで動員され、相当量が北朝鮮に違法搬出されたという。ある船舶などは、公海上で27回にわたって16万トンの精製油を積み替えするために使用されていたことが分かった。英海軍によって違法の瀬取りが摘発されたシンガポール国籍の油槽船は、韓国から10万トン以上の精製油を違法搬出したのではないかとの疑いが持たれている。驚くべきことは、韓国港湾で密輸行為が行われ、さらには韓国国籍の船舶までが動員されているというのに、これまで韓国は1件も摘発していないということだ」

 

昨夏、数十万トンに及ぶ北朝鮮の石炭が韓国にひそかに搬入されていた。重大な事態に至らず警告だけで済まされた。北朝鮮は、韓国を利用して制裁破りを行なっていることが明らかになってきた。ある船舶などは、公海上で27回にわたって16万トンの精製油を積み替えするために使用されていたことが分かった。

 

(4)「韓国政府が抑留している5隻の船舶も、韓国が摘発した船ではなく、国際社会が提供した情報に基づき摘発した船舶だ。対北制裁専門家のヨシュア・スタントン氏は、同問題が政治的スキャンダルに飛び火する恐れがあると警鐘を鳴らす。問題は、スキャンダルとして終われるような単純な内容ではないということだ。韓国企業と金融機関が米国によってセカンダリーボイコットの対象となれば、対外依存度100%の韓国にとっては致命的だ。そうでなくとも低迷を続ける韓国経済が、こうした外部からの衝撃に果たして耐えることができるのか懸念される。通貨危機のショックからも分かるように、韓国経済は一瞬にして崩壊する恐れがある。文在寅(ムン・ジェイン)政権は南北関係に「完全投入」することで、国民の生活を奈落の底に突き落とすようなまねだけはしないよう心から願っている」

 

韓国政府が抑留している5隻の船舶も、韓国が摘発した船ではなく、国際社会が提供した情報に基づき摘発した船舶だ。対北制裁専門家のヨシュア・スタントン氏は、同問題が政治的スキャンダルに飛び火する恐れがあると警鐘をならす。韓国大統領府が裏で暗躍した可能性も囁かれている。こうなると、韓国は面目丸潰れになる。