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ロイターの最新ニュースによれば、トランプ大統領は米中通商交渉が大詰めであることを明らかにした。中でも、中国側が合意したがっていると漏らしている点が注目される。中国は、トランプ氏の意表を突く強硬策に翻弄されているのだ。

 

5月初め、中国は「不平等」や「国家主権の侵害」を理由に、150ページにまとまっていた米中合意の文書案を突然、105ページにまで修正・圧縮して米側に送り返した。この強気の習近平作戦が、米国によるファーウェイへの「核爆弾」投下を招く結果になった。中国経済は混乱しており、日本の「終戦前夜」にも似た雰囲気が伝えられている。

 

『ロイター』(6月26日付)は、「米大統領、中国との通商合意は可能、物別れなら追加関税」と題する記事を掲載した。

 

(1)「トランプ米大統領は26日、今週予定する中国の習近平国家主席との会談で通商合意を得ることは「可能」と言明した。同時に、物別れに終われば、中国製品に追加関税を発動する考えを示した。トランプ大統領はFOXビジネスネットワークとのインタビューで、大阪20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせて開かれる米中首脳会談で妥結することは「間違いなく可能だ」と語った。同時に「合意に達することは可能だが、現状にも満足している」とした。さらに、中国指導部は「合意を望んでおり、私以上に合意にこぎ着けることを望んでいる」と語った」

 

下線を引いた部分は、きわめて重要だ。トランプ流の「張ったり」があるとしても、中国が合意を切望しているとすれば、長期的にサプライチェーンの再編成が行なわれることに危機感を強めている結果であろう。鈍感な中国が、「最後まで戦う」と粋がってきたが、足下の潮流変化に気付き始めたのか。

 

トランプ氏は、100%の成果を上げる意向を示している。現状は、すでに「90%」ぐらいの満足すべき水準だが、いま一息粘って、この際「有終の美を飾ろう」としているのかも知れない。

 


(2)「また、「合意できないのであれば大幅な追加関税を課す」とも表明。追加関税を発動する場合、関税率は25%でなく10%になる可能性があると述べた。同時に可能性は残されているとも強調した。さらに中国との通商合意が実現できなければ、同国との取引を縮小する計画だとした。企業の生産拠点を中国からベトナムに移転する点については、ベトナムと通商問題を協議しているが、ベトナムの対応は中国より悪いと指摘した」

 

第4弾の関税率を当初の25%から10%程度に下げる意向を示した。その背景には、次のような事情があるトランプ政権は25日、中国からのほぼすべての輸入品に制裁関税の対象を広げる「第4弾」に関する公聴会を終えた。その結果、スマートフォンやノートパソコン、衣料品など対象品目では輸入総額に占める対中依存度が平均4割に達し、産業界からは「代替調達が困難」「値上げが避けられない」など反対意見が相次いだ。米通商代表部(USTR)は結果を踏まえて最終案を作成する方針を示したもの。

 

トランプ氏は、ベトナムを中国に代わる生産基地にする意向を見せている。ベトナムがまだ、それに十分に対応できないことを示唆しているのであろう。ベトナムにとって、夢のような話であるから、前向きに取り込むはずだ。「打倒中国」が、ベトナムの歴史的な悲願である。