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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、学生時代に学んだ北朝鮮の「主体(チュチェ)思想」の虜になったままである。北朝鮮の金正恩国務委員長の発言を信じており、核放棄の意思に変化はないと言いきっている。内外の代表的通信社7社の書面インタビューに答えたもの。

 

前記のインタビューでは、例によって日本批判を続けている。日本が、徴用工問題を政治的に利用しているというのだ。政治的に利用しているのは、文氏自身である。韓国が、1965年の日韓基本条約で解決済みの問題を蒸し返し、積弊一掃という政治スローガンに、この問題を忍ばせているからだ。

 

文氏が、日本に対して何のわだかまりもなかったとすれば、徴用工判決が出た直後、善後策を相談したはずだ。そういう動きは一切なく、日本政府の問合せにも無言を貫いてきた。大阪G20サミット直前になって、これではまずいた判断して、大統領府自身が拒否した棚ざらしの案を、関係者に相談することなく日本へ提案してきた。この脈略のない動きに対して、日本が拒否することが政治的な動きなのか。日本は、第3国委員による判断を仰ごうと韓国に提案しているが、なしのつぶてである。

 

文氏は弁護士出身である。そうならば、三百代言的発言を取り下げて、隣国日本に対してもう少し、真摯な態度を取れないのか。文氏の言動こそ、自らの支持率を上げるべく計算し尽くした動きをしており見苦しい限りである。

 


『朝鮮日報』)6月27日付)は、「文大統領、『金正恩氏を信じる』『日本は国内政治に歴史を利用するな』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は26日、3回目の米朝首脳会談が開催される見通しについて「今やその時期が熟しつつあると考える」と指摘した。文大統領はこの日、聯合ニュース、AFPAPなど国内外七つの通信社による書面インタビューでこのような考えを示し「韓半島(朝鮮半島)平和プロセスはすでにかなり進展した。朝米交渉の再開を通じて次の段階に進むだろう」とも予想した。文大統領は「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による非核化の意志を信じる」「(金正恩氏は)非常に決断力と柔軟性のある人物だ」と非常に高く評価した」

 

文氏は、北朝鮮が今なお核放棄の意思を持っていると断言している。これは、韓国内外で少数説になっている。韓国の世論調査でも4人に3人は、金正恩氏の非核化を信じないのだ。それを証拠もなく、正恩氏の発言を信じているのは余りにもナイーブ過ぎる。

 

文氏は、韓国軍の最高指揮官でもある。こういう底抜けの「善人」に、韓国の安全保障のカギを預けるのは不安になって当然であろう。


(2)「文大統領は韓日関係の最大の懸案である強制徴用判決問題について、韓国政府が提示した「韓国と日本の企業が出資した基金の設置」が解決策になると主張した。しかし日本は「韓日協定違反」との理由でこれを拒否している。文大統領は「韓日関係発展のためには歴史問題を国内の政治に利用してはならない」「歴史問題は韓国政府が作っているのではなく、過去の不幸な歴史のために生じた」などと主張した。G20首脳会議では韓日首脳会談が行われないが、文大統領は「いつでも対話のドアは開かれている。G20の機会を利用するかどうかは日本に懸かっている」との考えも示した」

 

文氏は、日韓の歴史問題を積弊と位置づけている。「親日排除」は、まさに官製民族主義の象徴だ。当人が、歴史問題をテコにして自身の支持率引上げに使っている矛楯を自覚していないとすれば、これもまた「ナイーブ」としか言いようがない。