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6月28~29日のG20大阪サミットが終わった。韓国メディアは、日韓首脳会談が開かれなかったことで「韓国外交敗北論」を報じている。そのためか、ことさら日本の韓国「冷遇論」を流している。

 

文大統領が関西国際空港へ到着の際に、日本側がわざと雨の中、傘をさしてタラップを降りるように仕向けたと報じるほど。これは、韓国大統領府が否定し、韓国側が選択した結果と釈明した。米国のトランプ大統領も雨の中、傘をさしてタラップを降りたので、韓国側の疑念も解けたであろう。

 

韓国メディアが注目したのは、日中首脳会談である。その際に飛び出した「永遠の隣国」に、心穏やかではいられなかったようだ。この言葉は、かつて日韓の間で使われていたもの。日中間にお株を奪われた形となった。

 

『中央日報』(6月29日付)は、「安倍氏『来年の桜の咲く頃お迎えしたい』、習氏 笑顔で『いいアイデア』」と題する記事を掲載した。

 

安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)開幕を翌日に控えた27日夕方、大阪府内のホテルで会談を行った。両国の友好的雰囲気は冒頭発言からはっきりと感じ取ることができた。特に、過去の会談の時にはあまり見られなかった習主席の表情に笑顔がたびたび登場した。

 
(1) 「安倍首相は冒頭発言で「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」とし「日本は平成から令和に、中国も建国70周年を迎える。大きな節目の年に、習主席と手を携えて日中新時代を切り開きたい」と述べた。これに習主席も「今年は中国の建国70周年で、日本も令和時代に入った。中日関係は新たなスタートラインに立っている」として「新しい時代にふさわしい中日関係を構築したい」と述べた」

 (2)「安倍首相が「来年春、桜の咲く頃に習氏を(ドナルド・トランプ米大統領に続き令和時代2人目の)国賓として日本にお迎えしたい」と提案すると、習主席は「いいアイデアだと思う。外交当局で具体的な時期について意思疎通を図っていきたい」として応じる姿勢を見せた。日本政府の発表によると、会談で両首脳は「『永遠の隣国』として緊密な意思疎通を通じてハイレベル往来と対話を強化していく」という方向で意見を一致させた」

「永遠の隣国」とは、平和共存を目的にした日中関係の樹立という意味であろう。中国が、この言葉に賛意を示したとすれば今後、尖閣諸島の領海侵犯問題が起こらないようにするのかどうか。相変わらず、領海侵犯が起これば、リップサービスとなる。

 


(3)「 安倍首脳は2017年までの国会施政方針演説に入っていた「韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国」という表現を昨年から外し、日本政府も昨年外交青書にあった同様の表現を2019年版から削除した。 逆に中国に対しては「東シナ海を隔てた隣国である中国との関係は、最も重要な二国間関係の一つ」(2019年外交青書)と強調していたが、今回「永遠の隣国」にまで格上げさせた」

 

「永遠の隣国」は、日韓関係に使われていたものだ。それが、韓国による慰安婦協定の白紙化に続き、昨年の徴用工裁判において賠償問題が命じられて、日韓関係はズタズタに切られてしまった。もはや、韓国への信頼感は喪失しており、「永遠の隣国」なる言葉が死語になった。

 

(4)「対立している東シナ海など海洋安全保障に関連し、両首脳は建設的な関係構築を通じて「東シナ海を平和、友好、協力の海とすること」で一致した。安倍首相は福島産水産物などに対する輸入規制の早期解除を習主席に要請した。 これに先立ち、安倍首相は欧州連合(EU)首脳部との会談で、福島産食品の輸入規制撤廃を要請し、この中でジャン=クロード・ユンケル欧州委員長は「今後数カ月で良い結果を出せる可能性がある」と応じた」
 
日本が、中国へ福島産水産物の輸入規制の早期解除の実現を要請した。対応は不明だが、EUからは年内の解除を示唆する発言が出てきた。韓国にとっては、いつまで規制を続ける積もりか。