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韓国政府は、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を「ホワイト国」問題の取引道具に使うという不謹慎な態度を見せている。米国は、日米韓三ヶ国の安保体制維持の象徴として、GSOMIAを位置づけている。先頃、米国大統領補佐官のボルトン氏が、日韓を訪問した理由の一つはこれだ。

 

韓国外相は、30日の国会審議で、二通りの答弁をしている。午前中は、状況次第ではGSOMIAを破棄すると答弁。午後には、日米韓3カ国の協力体制は必要と、カメレオン答弁を行っている。質問者にあわせた答弁をしているのだろう。狙いは、日本を揺さぶって鬱憤を晴らすという低次元の話とすれば、呆れたと言うほかない。

 

『聯合ニュース』(7月30日付)の午前は、「韓日軍事情報協定、『状況により破棄検討の可能性も』=韓国外相」と題する記事を掲載した。

 

軍事情報包括保護協定は日韓が北朝鮮の核・ミサイル関連情報などを共有するために締結したもので、2016年11月に発効。効力は1年で、効力が切れる90日前に両国どちらかが協定を破棄する意思を通告すれば終了する。8月中旬までに破棄を通告しなければ自動的に1年間延長される。

 

(1)「韓国外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官は30日、韓日の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長に関して「状況の展開によって(協定破棄を)検討する可能性もある」と明らかにした。康氏はこの日午前、国会外交統一委員会の全体会議に出席し「政府は現在さまざまな状況について見守っており、現時点では協定を維持する立場だ」とした上で、このように述べた。また、政府がすぐにでもGSOMIA破棄の意志を明確に公表すべきだとする野党「民主平和党」議員の要求に対しては、「政府の意志は固く、確実だ」とした上で、「ただ、韓国政府の立場を状況によっていつどのように伝え、発表するかは戦略的思考が必要だ」と答えた」

 

GSOMIAについては、現与党も野党時代は締結に反対していたが、政権に就いてその重要性を認識するようになった。ただ、その認識度合いは、前政権に比べれば格段に低い。今回も、北朝鮮が破棄を要求している。北朝鮮にすれば、自らの軍事情報を日本が把握して韓国側に通報するケースが多いとされている。そういう不都合なGSOMIAが、存続されては困るはず。それだけ有用性が高いのだ。

 


午後になると、外相はGSOMIAを維持するニュアンスで答弁している。

 

『聯合ニュース』(7月30日付)は、「韓米日協力体制は維持必要、韓日関係とは別問題=韓国外相」と題する記事を掲載した。

 

(2)「韓国の康京和外交部長官は30日、国会外交統一委員会の全体会議で、韓米日3カ国の協力体制について「韓日両国間の対立は別途管理するとしても、韓米日3カ国の安全保障協力関係は持続的かつ強固に維持しなければならないというのが韓国政府の基本的立場だ」との考えを示した。康氏は、先ごろ訪韓したボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に日本の輸出規制強化措置が不当だとする韓国政府の立場を説明したとし、ボルトン氏からは韓米日3カ国の安保協力が特に重要なこの時期に、米国政府が何をできるかを模索しなければならないとの反応を得たと述べた」

 

この答弁は、午前中とはニュアンスが異なっている。質問者に合わせた答弁であろう。相手から揚げ足を取られないようにしている情景が目に浮かぶような答弁だ。信念がないのだろう。