a1370_000549_m
   

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政治目標は、南北統一にあります。民族分断は悲劇であり、統一こそ目標であることは不思議でありません。問題は、文氏が統一のために自由主義を捨てる覚悟の点です。文氏は学生時代、北朝鮮の金日成が唱えた「チュチェ思想」に心酔し、現在もその影響から抜け出せないと指摘されています。

 

韓国のプロテスタント教会の代表が、個人の資格で文大統領辞任要求を突付けた理由は、「チュチェ思想」による自由主義と民主主義抹殺の危険性を理由にしていました。実は、小学校高学年の社会科教科書では、すでに韓国の国是である「自由民主主義」から「自由」が消されています。「民主主義」だけ残したのは、北にも「人民民主主義」があるという屁理屈でした。

 

文氏は、何が何でも南北を統一させるという民族主義者です。人権派弁護士という看板を掲げてきました。草の根民主主義というスタイルですが、政権を握って明らかになったことは、北朝鮮と思想的に大差ない「自由主義」の否定でした。

 

経済政策でも、反市場主義であり自由主義を否定しています。サムスンを中国へ接近させるべく、米国の要請した「反ファーウェイ」にも首を縦に振りませんでした。だがその後、日本が韓国を「ホワイト国」から除外する動きを鮮明にするに及んで、米国へ接近する動きを見せています。これは、一時的な「回避策」であり本心は、「親中朝・反日米」にあるのかも知れません。

 

多感な20代の学生時代、火焔瓶闘争を行った闘士の「文在寅」が、大統領になって自由民主主義に鞍替えするはずがないでしょう。「危険な大統領」と見る決定的な理由があります。

 

韓国の「統一教育支援法」では、「自由民主的基本秩序を侵害する内容で統一教育が行われたときは、修正を要求するか、捜査機関に告発しなければならない」という一項目があるそうです。ところが、国立シンクタンクの発行する冊子に、この「原則を見直すべき」という主張が記載されたと報じられています。

 

これが、なぜ問題かといえば、南北統一には韓国の現在の骨格である「自由民主的基本秩序」を骨抜きにして、韓国を「北朝鮮化」させる前提が込められているのです。文政権は、こういう重大な原則変更を、何ごともなかったように変えてしまう策略を巡らしているのです。実に、巧妙なやり方です。韓国与党に、その陰湿性において日本の憲法改正を批判する資格はありません。

 

韓国は、日本に対して「普通に戦争する国になりたがっている」と罵倒しています。韓国こそ、「知らない間に自由主義を否定する国」へ変えてしまおうとしています。隣国ながら、文政権とその与党「共に民主党」は、危ない橋を渡ろうと策略を練り始めています。日本からも、文政権を「監視」する必要があるでしょう。