a0960_006602_m
   


韓国の李洛淵(イ・ナクヨン)首相は9月26日、国会の対政府質疑に出席し、政府による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定について、「日本が不当な経済報復措置を撤回すれば、われわれもGSOMIAの終了決定を再検討する用意がある」との方針を改めて示した。

 

韓国は、一貫して日本に対して「バーター取引」を求めているが、見当違いの発言である。日本の韓国への「ホワイト国除外」は、戦略物資の管理が不十分でという理由である。韓国は、この日本の指摘を受入れ、改善すれば済む問題である。それが、メンツを絡めて日本を批判するから騒ぎが大きくなる。

 

韓国と米国は、9月26、27両日にソウルで安全保障上の主要懸案を調整する高官級協議体、統合国防対話(KIDD)第16回会合を開催した。米国側は、韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を決めたことについて、改めて懸念を表明したという。

 

韓国国防部によると、米国側はGSOMIAの終了が韓米日の安保協力に影響を及ぼす可能性について懸念を示し、これに対し韓国側はこれまでの立場を再度伝達した。つまり、前述のとおり、日本政府が対韓輸出規制の強化を撤回すれば、GSOMIAの終了決定を再検討するとの立場を明らかにしたのだ。


韓国は強気になっている。だが、韓国の軍事情報収集能力は、日本に比べて相当に遅れている。軍事情報衛星を飛ばしているわけでもない。この面で遅れた韓国が、ここまで粘ってなぜ「超強気姿勢」を取っているのか。興味の焦点は、むしろこちらに向くのだ。

 

韓国は、これまで無意識で過ごしてきた日本の工業技術力の凄さを「ホワイト国排除」で痛感させられた。同時に、韓国はこれまで日本を軽んじてきた振る舞いが、どれだけ日本を怒らせてきたか。それを「半導体製造3素材」の輸出手続き強化で思い知ったのであろう。また、これまで日韓関係は「政経分離」できた。日本は今回、「政経不分離」であることを示して、韓国の不合理な歴史問題への蒸返しを拒否する姿勢を鮮明にさせたのだ。

 

この日本の強硬姿勢に驚いた韓国は、「GSOMIA」と「ホワイト国撤廃」を交換条件にし、起死回生策を打ってきたのだ。韓国は、GSOMIA破棄によって米国を巻き込んでいるが、日米間では意見調整が済んでいるとみるべきだろう。つまり、GSOMIAとホワイト国排除は別問題という認識の一致である。

 

日本の防衛力は、韓国をはるかに凌いでいる。その日本が、頭を下げてまでGSOMIA廃棄取消しを韓国に要請するはずがあるまい。その根拠を見ておきたい。

 

『中央日報』(9月27日付)は、「日本の衛星・空母・潜水艦戦力、韓国との格差拡大へ」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国が日本に最も遅れを取っている軍事力分野が宇宙だ。人工衛星がなければ偵察や無人機などほとんどすべての武器体系がまともに作動しない。米国は宇宙分野でロシア・中国との戦争に死活をかける。日本も同じだ。 宇宙が戦場に変わっていくが、韓国は対応できていない。日本は2020年代半ば、妨害衛星を打ち上げる計画だ。この衛星はロボットアームで他国の衛星を破壊して通信を途絶えさせ、偵察衛星の機能を失わせる。韓国の衛星にも適用可能な軍事戦略だ。

日本の人工衛星技術に比べれば、韓国は「月とスッポン」ほどの違いがある。それを忘れて、韓国が日本に対してGSOMIA廃棄を取り消す条件を突付けるとは「噴飯物」である。日本が、自らの優位性を捨ててまで、この取引条件に応じるとは思えない。

 

(2)「 元JAXA(宇宙航空研究開発機構)鹿児島宇宙センター所長の坂爪則夫氏は、日本の宇宙技術のうち最も誇れる技術を「ドッキング技術」と述べた。JAXAは蓄積されたロボットアーム技術と世界最高レベルのドッキング技術で妨害衛星にロボットアームを付け、外国の人工衛星を破壊することが可能だ。ドッキング技術を軍事的に使用すればミサイル迎撃技術に転用できる」

 

日本の宇宙技術の中で、「ドッキング技術」は世界最高とされている。外国の人工衛星を破壊もできるというのだ。

 

(3)「 韓国は2021年を目標に1.5トンの人工衛星を打ち上げる独自のロケットを開発中だが、日本は偵察衛星の地球の軌道に16トンの人工衛星を乗せることができるH-2A液体燃料ロケットをすでに保有している。燃料を入れるのに時間がかかるH-2Aロケットだけでなく、ボタンさえ押せば直ちに発射できる1.2トン弾頭用固体燃料ロケットのイプシロンもある。軍事的に転用すれば直ちに大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有する日本だ」。

韓国の人工衛星打ち上げは2021年、2年も先の話である。韓国は、日本の足下にも及ばないのだ、こういう現実を見れば、韓国が「ホワイト国撤廃」を条件にして、GSOMIA復帰とはおこがましいと言うべきであろう。恥を知るべきだ。