韓国では、健康な男子は30歳前に21カ月間兵役を務めることが、法律で定められている。だが、国際舞台でトップの成績を収めた選手に対して、兵役義務の軽減を認めている。サッカー選手に関しては、オリンピックでの金銀銅いずれかのメダル、アジア大会での金メダルを獲得することが、兵役免除の条件という。
韓国サッカーのスター選手である孫興民(ソン・フンミン)は、あす9月1日に行われるアジア大会での日本との決勝戦で、兵役免除がかかる「世紀の一戦」になる。そうでなくとも、韓国にとって日韓サッカー試合は格別の意味を持つ。仇敵・日本へ絶対に勝たねばならない宿命を負っている。日本に併合された恨みからだ。
『ウォールストリートジャーナル』(8月31日付)は、「韓国サッカースター選手、兵役免除はアジア大会次第」と題する記事を掲載した。
(1)「もし韓国が敗れれば、イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーのフォワードであるソン選手(26)は、スパイクシューズをしまって、銃の扱いに慣れなければならい。つまり、韓国軍でのほぼ2年間に及ぶ兵役義務を果たすことを求められるのだ。韓国が勝てば、ソン選手は金メダルと宿敵を打ち負かした満足感だけでなく、兵役義務の大半の免除をも手にして、アスリートとしての絶頂期を謳歌することができる。トッテナムの事情に詳しい関係者によれば、同チームは、兵役義務軽減の可能性を念頭に喜んでソン選手にアジア大会でプレーする機会を与えたという」
日本では戦後、徴兵制がなくなったので、ソン選手のような切羽詰まった気持ちがわからないだろうが、韓国の軍隊生活は「虐め」の連続で大変だと聞いたことがある。戦前の日本軍の「しごき」の伝統がそっくりそのまま残っているからだ。「柱に掴まらせて、蝉の真似をして声を出すよう」命じられたこともあるという。文大統領流に言えば、「積弊一掃」の対象だ。
(2)「韓国国内外のサッカーファンは、ソン選手の徴兵条件の行方を、固唾をのんで見守っている。韓国大統領府のホームページには、この件で国民から800件を超える請願が寄せられている。その大半は、兵役免除を求めるものであり、ソン選手の代わりに兵役義務を果たしたいとの申し出も何件かあった。『ソン・フンミン選手の代わりに、私が4年間兵役を務める』という請願もあった。ソン選手は、12年と14年にスポーツ選手として兵役免除の資格を得るチャンスを逃している。韓国代表に選出されなかったからだ」
韓国大統領府への「請願」では、ソン選手について800件もの兵役免除が出ているという。過去2回、兵役免除に該当する試合があったものの、ソン選手には代表選手になるチャンスがなかった。それだけに、年齢的にも今回の日韓試合が最後の舞台になるという。日本としても、韓国の「家庭の事情」を忖度するわけにはいかない。正々堂々と戦って、「日本勝利」をもぎ取って貰いたい。