米国が、金利を引き上げると共に新興国通貨が下落している。韓国も安泰ではない。ウォンを守るには米韓金利差をプラスにして、資金流出を抑えなければならない。だが、韓国では国内経済がガタガタになっており、金利を引き上げられる状況にないのだ。
文政権の大幅な最低賃金引き上げが、中小・零細企業を直撃している。最賃引き上が不可能な職場の解雇が増えているのだ。こうした「最賃失業」が増えているにもかかわらず、政府は最賃を撤回する意思がなく、雇用悪が続いている。この状態では、通貨危機が起これば、一挙に資金流出が起こりかねない危険性を抱えている。
最近、下記に取り上げたような新興国通貨が下落している。背景には、外貨建て債務の対GDP比の高い点が上げられる。次に、外貨建て債務の対GDP比と括弧内に通貨下落率をあげる。
トルコ 50.1%(38.0%)
アルゼンチン 32.3%(38.9%
ロシア 24.1%(15.4%
ブラジル 24.2%(19.5%
南アフリカ 21.7%(13.8%)
韓国 20.1%( 5.0%)
(資料は『産経新聞 電子版』8月26日付、外貨下落率は年初来)
上掲の表を見て気付くことは、韓国が「中所得国のワナ」を脱した国であるにもかかわらず、外貨建て債務比率が高く、通貨下落ランクに数えられていることだ。これは、韓国にとって不名誉な話であるが、実態を反映している。韓国は、輸出依存度が高いこと。しかも米中への輸出が1位、2位を占めていることから、その受ける影響が極めて大きい点が災いしたのだろう。
韓国政府が、この状況を見ながら何らの対策も打ち出さないことが不思議である。三度目の通貨危機を回避するために、何をなすべきか。そういう準備があってしかるべきだ。残念ながら皆無である。経済無策の政府と言って良かろう。具体的には、無謀な最賃の大幅引き上げを行い、経済を混乱させているのだ。
韓国の最賃騒動については、このブログで再三取り上げ、もはや食傷気味と思われる。書き手の私も興味を失いかけるほど。「何やってんだ」というのが正直な気持ちである。だが、韓国経済は、この問題を解決=撤回・縮小しない限り、衰弱することは確実である。文大統領は、「正しい政策」であると頑張っている。それどころか、責任を韓国統計庁トップになすりつけて更迭する暴挙に出た。理由は、所得統計調査で標本母数を変更する際、高齢者の比率が若干(約2%ポイント)増えたことを、記者発表で公表しなかった点に難癖を付けている。韓国は人口高齢社会である。高齢者世帯の調査対象が増えるのは当然。そのような枝葉末節なことで更迭したのだ。
この現実を見ると、韓国経済の改革が進むという期待はゼロとなった。韓国革新政権は文政権を以て終わりとなり二期継続という悲願達成は不可能になる。経済政策面では、韓国歴代政権で最低最悪のレッテルが張られても不思議はない。
『中央日報』(8月27日付)は、「韓米の金利差、来月0.75%に、雇用ショックで動けない韓国」と題する記事を掲載した。
(1)「米国が9月25、26日(現地時間)の政策金利(年1.75-2.0%)引き上げを既成事実化した半面、韓国は8月31日に政策金利(年.1.5%)を据え置くと予想されるからだ。この場合、両国の政策金利の差は0.75%とさらに広がる。2006年8月以降の最大となる。 このため8月31日の金融通貨委員会全体会議を控えた李柱烈(イ・ジュヨル)韓国銀行(韓銀)総裁は悩みが多い。7月の金融通貨委員会で利上げを主張する李一衡(イ・イルヒョン)委員の少数意見が登場し、市場に信号を送った」
韓国の外貨建て債務比率が20.1%と高い現実を考えると、米韓の金利差が0.75%もあることから、ウォン売りが起こらないという保証はどこにもない。全く無防備であるので、為替投機筋が狙ってくれば一波乱起こりかねない状況である。万一の場合は、日本と通貨スワップ協定を結べば、なんとかなるという気持ちであろう。日中が、通貨スワップ協定の話合いをしているくらいだから、日本はむげに断らないだろう。そういう楽観論に立っていると見られる。
(2)「しかし内外の悪材料が足かせになっている。7月の就業者数増加幅は5000人にすぎず『雇用ショック』は進行形だ。トルコ発の国際金融市場の不安定も無視できない。さらに21日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)関係者は、『米国が利上げしても我々に合う政策を進めなければいけない』とし、利上げにブレーキをかけるような発言をした。市場の予想は年1.5%の政策金利据え置きだ。こうした雰囲気を反映するかのように24日、3年国債の利回りは年1.963%で取引を終えた。年1%台に落ち、10カ月ぶりの最低水準となった。海外投資銀行(IB)は、韓銀が10-12月期に利上げに踏み切る可能性があると予想している」
韓国が、遅くも12月には金利引き上げが予想される。それまでに、雇用ショック一掃は望み薄であるから、来春は雇用問題をさらに追い詰める形になろう。韓国では、自営業が雇用の有力な受け皿になっている。だが、最賃の大幅引き上げで最も打撃を受けているのは自営業である。自営業の資金繰りでは、正規の金融機関が渋っており、非正規金融機関に頼らざるを得ないのだ。金利がここで引き上げられれば、自営業を直撃する。雇用問題は、さらに悪化するジレンマを抱える。文政権がメンツを捨てて、最賃政策を棚上げしなければ、韓国経済の立て直しは不可能と見る。





