韓国が最大の看板とする半導体技術は、日本の技術を窃取したものだ。サムスンが、日本の半導体技術者をアルバイトで雇ったもの。土日の休日を利用してソウルに呼び寄せたのだ。これが長い目で見れば、韓国の半導体技術の偏った発展をもたらした。汎用品のメモリー半導体は製造できても、高級品の非メモリー半導体のシステム半導体技術は、弱体という跛行性をももたらしている。自力での半導体技術開発でない報いが現れた恰好である。
『中央日報』(9月3日付)は、「過去最大の輸出額も実際は半導体錯視」と題する記事を掲載した。
(4)「韓国の輸出は、半導体依存度が1~8月で過去最大の22.5%になっている。
問題は、この半導体輸出好調で他の産業の危機が埋もれる、いわゆる「半導体錯視」現象が生じている点だ。今年1~8月の輸出は前年比6.6%増えたが、半導体を除けば輸出増加率は0.37%にすぎない。伝統的に輸出に寄与してきた船舶(-56.2%)・液晶表示装置(-8.8%)・家電(-7.3%)・無線通信機器(-5.4%)は同期間の累積輸出額が前年比で減少した」
半導体輸出好調が、他産業の輸出不振を隠している点が問題である。伝統的に輸出に寄与してきた船舶、液晶表示装置、家電、無線通信機器がいずれも前年比マイナスになっている。中国製品に食込まれたのであろうが、まさに「韓国輸出危機」という実感がする
(6)「半導体依存の副作用は他の指標にも表れている。未来の産業と直結する投資部門でだ。統計庁によると、7月の設備投資は前月比0.6%減少した。3月から5カ月連続の減少となる。通貨危機当時(1997-98年、10カ月連続の投資減少)以来20年ぶりの長い期間だ。これは半導体設備減少の影響が大きい。オ・ウンソン統計庁産業動向課長は「主要半導体企業が1年半ほど設備投資を大規模に増やし、今年4月ごろ最終段階に入ったことで投資が減少した」と説明した」
7月の設備投資は、3月から5ヶ月連続で前月比マイナスを続いている。これは、半導体設備投資減少の影響による点が大きい。ここまで半導体の影響が大きくなると、「韓国経済は半導体と心中」という危機的状況にある。来年、半導体市況が下落して半導体関連設備投資がさらに減れば、韓国のGDPを直撃して足を引っ張る懸念が強まる。ここまで来たら、韓国経済は「バンザイ」でお手上げになろう。
韓国ではメモリー半導体技術は進んでいるが、非メモリー半導体技術は半ばである。だが、韓国政府はこれを誤解している。非メモリー半導体研究開発に資金を投じることに消極的であるからだ。メモリー半導体では、いずれ中国の量産化が軌道に乗ってくる。そうなると、韓国は非メモリー半導体で勝負しなければならないが、その技術を持っていないという悩みを抱えている。
『中央日報』(8月17日付)は、「国半導体危機論より重要なこと」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のソ・ギョンホ/論説委員である。
韓国は、半導体量産技術が進んでいる。だが、研究レベルでもリードしていると錯覚してはいけない。このコラムは、何が問題かについて指摘している。
(7)「第一に、半導体人材養成が危機だ。黄哲盛ソウル大教授は「絶望的」と語った。ソウル大材料工学部41人の教授のうち半導体専攻は黄教授が唯一だ。半導体研究が成熟期に入ると新しい成果を出すのが難しく、ネイチャーやサイエンスのような権威のある学術誌に半導体論文はあまり掲載されない。このため魅力は落ちるしかない。ソウル大が輩出した半導体専攻修士・博士は2006年の97人から2016年には23人と10年間に77%も減少した」
ソウル大学の黄教授は、「半導体専攻人材を現在の10倍に増やし、優秀な人材が半導体企業を満たし、装備と材料・部品会社にも十分に広がってこそ互いに協業もできるが、現在はそのような環境ではない」と説明している。文政権は、大企業虐めを楽しんでいる風情だが大間違いである。金の卵を産む大企業の規制を外して、自由にさせるべきだ。世界の流れと逆行している。
(8)「第二は、国家レベルの研究開発(R&D)が「大企業フレーム」に閉じ込められている。半導体の好況で半導体企業は稼いでいるのになぜ国家予算を支援する必要があるのかという主張だ。実際、過去5年間に半導体関連予算は大幅に減った。しかし、半導体関連の国家R&D予算は大企業ではなく、中小・中堅装備・素材会社と大学にいく。半導体の生態系形成のために国家R&D予算が必要であり、下手をすると第4次産業革命の成長動力を失う可能性がある」と懸念を表した。白雲揆(ペク・ウンギュ)産業通商資源部長官は最近、次世代メモリー素子・素材開発を支援し、韓国が相対的に弱いシステム半導体など非メモリー分野を育成する強力な産業政策を展開すると明らかにした。半導体危機論はいつもあった。まともに対応していなかっただけだ」
韓国の「反企業ムード」は極めて強い。それ故、政府資金をシステム半導体技術開発に向けると、すぐに国民が反発するという悪循環に陥っている。これが、回り回って韓国の半導体輸出競争力を削ぐ恐れを強くさせている。韓国最大の欠陥は、理性で物事を捉えずに感情論で議論することだ。これがどれだけ、社会の発展を阻害しているか分らない。「感情8割・理性2割」という価値判断基準から脱皮しないと、経済は縮小均衡へ陥るにちがいない。