中国では、家計の節約がじわりじわりと進んでいる。可処分所得の伸びが鈍化していることが原因だ。スタバ・コーヒーも敬遠して安いコーヒーで我慢する。昼食は高いレストランを避けて、身近なコンビニで済ませる。消費への取り組みが、180度の変わりようである。
ここまで節約生活が進んでくると、中国を代表する高級酒の貴州茅台酒の売上が落ちても当然であろう。かつての高度成長期、賄賂華やかりしころは、この貴州茅台酒が高級官僚の元に、山のように持ち込まれたものだ。それが一転、現在は売上不振で、10月29日の株価は、上場以来17年ぶりの「ストップ安」(株価が10%以上の値下がり)。取引を中止する事態になった。中国経済が、不動産バブル崩壊後の消費低迷期に突入している証拠である。
『レコードチャイナ』(10月30日付)は、「貴州茅台、1兆2385億円分が1日で蒸発ー株式上場して17年来初のストップ安」と題する記事を掲載した。
中国を代表する酒として国際的にも有名な茅台酒(マオタイ酒)の製造販売元である貴州茅台酒の株価が週明けの29日、取引開始直後から大暴落し、同社が2001年8月に上海証取に上場してからの約17年間で初めてのストップ安となった。中国メディア『澎湃新聞』は時価総額の約766億4000万元分(約1兆2385億円分)が蒸発したと表現したという。
(1)「茅台酒は中国の伝統酒でも最高の高級酒とされている。標準的な1本500ミリリットルの「飛天茅台」ついて会社側が指定する上限価格は、1月に従来の1299元(約2万1000円)から1499元(約2万4000円)に引き上げられた。それでも人気がありすぎて「1本を手に入れるのも難しい」状況が続いている」
茅台酒は、コーリャンやモロコシが原料の蒸留酒である。白酒である。強い芳香が特色とされている。「飛天茅台」は、日本の通販でも購入可能。価格は上記の会社指定価格よりも若干高い程度だ。
(2)「貴州茅台酒の工場は貴州省・仁懐市茅台鎮の一角にあるが、生産には現地の極めてデリケートな微生物バランスが不可欠と分かっている。これまでに貴州省内の別の場所で同社工場と環境がよく似ている場所での生産が試みられたことがあったが、貴州茅台酒のトップ技術者や熟練職人、各種資材が投入されたにもかかわらず、同一の品質の酒を作ることはできなかった。そのため、貴州茅台酒は増産を断念。結果として「品薄であることが人気を呼び、さらに品薄になる」という状態が続いている。ブランド価値の高さと「作れば必ず売れる」という信用により、貴州茅台酒の株価も上昇し続けてきた」
地理的な条件で、増産が不可能とされる「天下の銘酒」である。それだけに、株価は上場来17年間も上昇し続けてきた理由だ。それが昨日、大暴落となった。このインパクトは大きい。昨晩は、貴州茅台酒を飲んでも苦い酔いであったろう。
(3)「29日の株価大暴落について澎湃新聞は、18年第3四半期(7―9月)の業績報告で、成長の鈍化が示されたことが株価下落の懸念材料になり売り注文が集中、売り注文の多さを見て、さらに多くの売り注文が殺到したとの分析を示した」
この7~9月期の業績が伸び悩んだという。それが一挙に、市場の不安心理へ火を付けたにちがいない。中国株式市場が、いかに戦々恐々としているかを証明している。中国経済は、不動産バブル崩壊と貿易戦争に挟撃されている。「前門の虎後門の狼」という、絶体絶命のピンチを迎えている。





