米中貿易戦争が、中国経済に強い影を指してきた。11月の製造業PMI(購買担当者景況指数)は、3ヶ月連続で低下し、ついに50.0となった。景気が拡大を止めたという意味で、28ヶ月ぶりである。このまま低下し続ければ、景気のエンジン役である製造業が縮小過程にはいる。

 

『ロイター』(11月30日付)は、「中国製造業PMI、11月は50.0に低下、2年超ぶりに拡大止まる」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国国家統計局が30日に発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.0と、市場予想の50.2を下回り、2年超ぶりに拡大が止まった。PMIは50が業況改善・悪化の分かれ目となる。50は「中立水準」であり、月間ベースで拡大も縮小もしていないことを意味する」

 

製造業PMIが、3ヶ月連続で低下しているのは製造業の景況悪化の厳しさを示している。米中貿易戦争の影響のほか、「信用収縮」に伴う経済の停滞がもたらしたものだ。11月は、50.0と好不況の分岐点に差し掛かっている。12月以降は回復よりもさらなる下落の可能性が強い。

 

来年1月1日から対米輸出2000億ドル相当の製品の関税が25%(現在10%)に引き上げられるので、駆け込み需要が出ていた。これが、間もなく剥落する。インフラ投資に力を入れているが、タイムラグ(時間の遅れ)で需要に結びつくまでに時間がかかる。

 

(2)「11月のPMIでは、国内外の新規受注の不振が鮮明になった。生産指数は52から51.9に低下した。将来の生産活動のバロメーターとされる新規受注指数は、50.8から50.4に低下した。新規輸出受注指数は47で、10月の46.9から小幅ながら上昇したが、6カ月連続で50を割り込んだ。中国の製造業者の輸入注文指数は47.6から47.1に低下。引き続き縮小していることが示され、弱い内需を反映する内容だった」

 

新規輸出受注指数は47。10月の46.9から小幅ながら上昇したが、6カ月連続で50を割り込んでいる。輸出減が景気全体に与える影響は大きい。中国は加工型貿易であるので、中小零細業者を巻き込んでいる。これらが、一斉に不況風に吹かれるので、消費などへの影響が大きいはずだ。

 

 

(3)「11月の非製造業PMIは53.4と、10月の53.9から低下したが、節目の50は上回った。製造業と非製造業を合わせた総合PMIも10月の53.1から52.8に低下した」

 

非製造業PMIにも、製造業PMIの軟調の影響が出ている。製造業PMIがさらに落ち込めば、非製造業PMIにも波及する。来年は両PMIが揃って50を割る事態も想定されよう

 

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まぐまぐの『マネーボイス』で抜粋が紹介されています。どうぞお読みくださるようお願い申し上げます。

https://www.mag2.com/p/money/590125

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